ズームアップ 名画の響き合い! 1878年
ルノワールの‘シャルパンティエ夫人とその子供たち’(メトロポリタン美)
カサットの‘青い肘掛椅子の少女’(ワシントン ナショナルギャラリー)
昨年はアメリカの美術館と国内の展覧会でルノワール(1841~1919)をおおいに楽しんだ。年が変わりその余韻はなくなり、今は次に現れる新規の作品のことをぼやーっと夢みている。
JR東京駅の八重洲口から歩いて5分くらいで着くブリジストン美、以前ここの理事をしていた人と知り合いだったのでまあまあ足を運んでいたが、最近はその方もいなくなったので訪問する回数は年に1回程度になった。昨年はカイユボット展が好評だったが、今年は秋に行われる‘デ・クーニング展’に出かける予定。
ブリジストン美にあるとびっきりの印象派の絵はなんといってもルノワールの‘すわるジョルジョット・シャルパンティエ嬢’、このお嬢ちゃんはまだ4歳なのに足を組むポーズは大人の女性のような身のこなし。当時文芸サロンを主催していたシャルパンティエ夫人の愛娘だけのことはある。
ジョルジョットが6歳になった1878年に描かれたのが‘シャルパンティエ夫人とその子供たち’、ルノワールの作品に魅せられパトロンとなった夫人の黒の衣装が印象的だが、それ以上に視線が釘づけになるのが2人の女の子、でも、正確にいうと女の子は大きな犬の上にのっているジョルジョットだけ、夫人の隣にいるのは3歳の男の子ポール。当時裕福な家庭では男の子に女の恰好をさせていた。どうみても可愛いお嬢ちゃん。
この2人に負けないほど愛らしく描かれているのがカサット(1844~1926)の‘青い肘掛椅子の少女’、この絵を3年前国立新であった‘ワシントン・ナショナルギャラリー展’でみたときはしばらく息を吞んでみていた。目の覚めるほどインパクトのある椅子の青は白い肌をした少女を浮かび上がらせている。Bunkamuraか三菱一号館美あたりでいつかカサット展をやってくれないかなと、ひそかに期待している。
ドガ(1834~1917)の‘手袋をした歌手’をみたのは今から24年前のこと、ハーヴァード大のなかにあるフォッグ美の印象派とポスト印象派コレクションで構成された展覧会が伊勢丹美で開催された。心に残る作品がいくつもあったが、衝撃度ではドガのこの絵が一番強烈だった。印象派でこんなびっくりする絵はほかにない。手を前にあげ熱唱する歌手の歌声が聞こえてきそうな感じ。これは写楽の役者大首絵をみたときのザワザワ感と似ている。
フォッグ美にあるロセッティ(1828~1882)もお気に入りの一枚。ラファエロ前派で最も魅かれているのはロセッティの女性肖像画、どの絵をみても同じ人物がモデルではないかと思ってしまうが、歌麿の描く美人画と同じで一人々じっくりみると目や鼻の形が微妙に違っている。こういう作品をみていると森アールセンターへまたふらふらと寄ってみたくなる。
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