飛び跳ねる色彩 ‘ウォーホル展’!
ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホル(1928~1987)の大回顧展(2/1~5/6)をみてきた。森アーツセンターで‘ラファエロ前派展’をみたあと昼食をとり、元気をつけて森美へ向かった。この美術館で展覧会をみるのは5、6年ぶり。ふだんは縁がないが、ウォーホルが登場すれば出かけないわけにはいかない。
昨年8月、国立新美でみたウォーホルはあるひとりのコレクターが所蔵するものだったが、今回の回顧展に出ているのはピッツバーグにあるウオーホル美にあるもの。絵画、写真、シルクスクリーン、スケッチ、3Dインスタレーション、彫刻、資料など700点。ウォーホルの創作活動の流れがよく頭のなかにはいる構成になっている。
ウォーホル物語がまだまとまった形でインプットされてないので、どのコーナーもすごく新鮮、時間をじっくりかけてみたのでこれまで描いていたウォーホルのイメージをあらためて強く心に刻むことになった一方で、意外な側面に接しはっとすることも多くあった。
広告の仕事をしていた若い頃のドローイングに思わず足がとまった。線の流れが滑らかでマチスのドローイングが重なってきた。とにかく絵が上手い。ウォーホルで最も魅せられているのはその豊かな色彩感覚、シンプルな造形に色付けされ飛び跳ねる色面の響き合いにぐっと惹きこまれる。
定番の‘キャンベルスープ缶’、‘マリリン・モンロー’、‘毛沢東’、‘花’、‘$’、注文肖像画にははじめてみるものが多数でてきた。‘ヴァレンティノ’、‘マイケル・ジャクソン’、今日本に来ている‘ミックジャガー’、‘アレサ・フランクリン’、‘モハメド・アリ’、そして‘坂本龍一’。坂本龍一の肖像もあったとは知らなかった。
ウォーホルってこんな絵も描いてたのか!と感心したのが‘絶滅危惧種’シリーズと子どもたちのために描いた‘玩具の絵画’、ここでアフリカゾウ、グレービー・シマウマ、ジャイアント・パンダ、オオツノヒツジに出会うとは思ってもみなかった。
画商の依頼で制作された‘玩具の絵画’は心温まる作品、‘魚の壁紙’を背景にして飾られた船、蒸気機関車、ヘリコプター、子犬、魚などは子どもたちが見やすいように低い位置に掛けられている。ウォーホルのやさしい心根が現れている。
昨年1月のアメリカ美術館めぐり、夏のアメリカンポップアート展、そして今回の大回顧展、リキテンスタイン同様ウォーホルにもグーンと接近できたことを心から喜んでいる。
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コメント
ウォーホルの子どもの為の作品、ちゃんと子どもの目線の高さに作ってあるのがイイですね。
写真が沢山出ていましたが、ローマ法王との写真には驚きましたね。
案外ウォーホルは昔の精神を持っているのかも。
リキテンシュタイン、ウォーホルときて、いづつやさん次のお待ちはなんでしょう。オキーフなんていかがでしょうか?
投稿: oki | 2014.03.06 22:13
to okiさん
アートの流れからいうとポップアートは一世代も
二世代も前のアートという感じなんですが、
ウォーホル物語は初体験ですから作品ひとつ
々がとても新鮮です。子どものための絵画は感心
しました。
そうですね、やはりオキーフの回顧展がみたい
ですね。Bunkamuraに期待してます。
投稿: いづつや | 2014.03.07 01:14