ズームアップ 名画の響き合い! 1886年
モネの‘アムステルダムのチューリップ畑’(パリ オルセー美)
サージェントの‘カーネーション、ユリ、バラ’(テートブリテン)
1886年に現れた西洋絵画というとほかの絵がちょっとあやふやだったとしてもスーラ(1859~1891)の‘グランドジャット島の日曜日の午後’はすぐ頭に浮かぶ。
この絵はスーラの点描画を代表する傑作として美術の本には必ず載っている。だから、絵に関心をもちだしたころから馴染んでいる。ところが、本物をみるとなるとそう簡単ではない。パリのオルセー美の場合、日本の美術館でそのコレクションがよくやって来る、そのためモネでもルノワールでも、そしてゴッホ、ゴーギャン、セザンヌも日本にいながら名画の数々を楽しむことができる。
シカゴ美にも印象派のいい絵が沢山ある。それらは一度まとまった形で日本の美術館で公開されたことがある。でも、スーラの‘グランドジャット島’だけは含まれない。理由は所蔵者の遺言で門外不出になっているから。この絵をどうしても見たいと思ったら、シカゴに足を運ぶしかない。
2008年にそのチャンスがめぐってきた。ある旅行会社が‘アメリカの美術館巡りの旅’を売り出し、そこにシカゴ美が入っていたのである。案内のチラシを見た瞬間参加を決めた。アメリカのブランド美術館にうちシカゴ美とフィラデルフィア美へ入館するツアーは滅多にないので、即座にとびついたというわけ。
こういういいことが重なり絵の前に立てたので感激もひとしお。これがスーラの代表作か!という感じ。点描の効果により光は美しく輝き濁りのない鮮やかな色彩が広い画面の隅から隅まで広がっている。絵に近づいたり離れたりしながら、この整然と配置された静かな人物群像画を時間の許すかぎり楽しんだ。まさにエポック的な鑑賞体験。
モネ(1840~1926)がこの年仕上げた作品はゴッホの絵をイメージさせる‘アムステルダムのチューリップ畑’と左向きと右向き2点の‘パラソルを持つ婦人’。お気に入りの‘チューリップ’に出会うのに長い時間がかかった。この絵はオルセーでは常時展示されてなく、4年前パリのグランパレであった大回顧展でようやく願いが叶った。絵の描き方からするとモネはゴッホにとって頼りになるひとまわり年の離れたお兄さんのようにみえる。
1998年に東京都美でテートギャラリー展が開催されたとき、心に残る作品がいくつもあった。そのひとつがサージェント(1856~1925)が描いた少女と花の絵。目が点になったのがカーネーションやユリなどの花に囲まれた2人の少女が手に持っている提灯。このころ提灯は日本から大量に輸入されロンドンのリバティー百貨店で販売されていた。ジャポニスムのブームがこんな絵にも現れている。
ドガ(1834~1917)のパステル画にだんだん惹かれるようになっている。アメリカのヒルステッド美にある‘たらいを洗う女’はとても気になる一枚。いつか現地まで追っかけたい。
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コメント
アメリカに長くいた関係で、シカゴ美術館は海外の美術館の中で私が一番数多く足を運んだ美術館です。確か15回くらい行った記憶があります。
展示室は、ありありと思い浮かべることができますが、今思い出しても印象派の傑作の数々はすごいの一言です。。
『グランドジャット島の日曜日の午後』は、改めて見ると水面の描写にスーラの真骨頂が見られるように思います。
ご紹介のモネ作品は、去年クラークコレクションで見たモネのチューリップ畑を思い出しました!
投稿: ケンスケ | 2014.03.27 22:07
to ケンスケさん
シカゴ美へはもう一度行きたいですね。すごい回数
足を運ばれたケンスケさんが羨ましいです。やはり
この美術館のコレクションはスゴイですね。
グレコ、プッサン、印象派、ホッパー、ホーマー、
マチス、マグリット、、、
08年のときコールやチャーチを見逃しましたので、
なんとかリカバリーしたいです。
モネのチューリップ畑、クラークコレクションの
ものも色彩が輝いてましたね。この絵をみるたびに
モネとゴッホは同志だなと思います。
投稿: いづつや | 2014.03.27 23:18