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2014.02.28

ターナーやコンスタブルとは違う風景画!

Img     ミレイの‘安息の谷間’(1858年)

Img_0002     ブラウンの‘干し草畑’(1855年)

Img_0003      コリンズの‘5月、リージェンツ・パークにて’(1851年)

Img_0005     ダイスの‘ペグウエル・ベイ、ケント州’(1858~60年)

ラファエロ前派で関心の大半を占めているのはロセッティ、ミレイ、そしてバーン=ジョーンズ、だから正直言ってハントとかブラウン、ヒューズの作品の前に立っている時間は長くない。

ロセッティの描く女性画は歌麿の大首絵の美人画のようにどっと迫ってくる感じだが、ミレイ(1829~1896)の女性肖像画は子どもでも大人の女性でも全身像によりその美を完璧に表現しているイメージが強い。とにかく肌合い、髪の毛、衣装がびっくりするほど精緻に描かれているので強く印象に残る。

1858年に制作された‘安息の谷間’は2008年にBunkamuraでお目にかかったとき、右の尼僧の目力に圧倒された。夕暮れ時の墓場、左ではもうひとりの尼僧が腕まくりをして墓を掘り起こしている。この手前の二人とその向こうに立ち並ぶ糸杉とポプラは並行的に描かれているので、画面はとてもみやすい。だから、よけいにこの右の女性の目が気になる。

はじめてみたブラウン(1821~1893)の風景画が新鮮だった。イギリスの画家の風景画というとコンスタブルとターナーをすぐイメージするが、ラファエロ前派のブラウンにも風景を描いたものがあった。モチーフは干し草畑、モネの有名な連作積み藁やミレーの農村の絵とはちがい、ここでは月が輝いている。これは農村のイメージが変わる幻想的な光景。小さな絵なのに強く印象付けられた。

もう2点足がとまった風景画がある。コリンズ(1828~1873)とダイス(1806~1861)の作品。どちらもすごく奥行きを感じさせる絵。共通しているのは視線が横に動くこと。手前をまず左右にみてだんだん上にあがっていく。こういう風にみていくと遠近法とはちがって人物でも木々や草花、そして断崖でもじっくり目が追っていける。そのため、描かれた人物がなにをしているのかよくイメージできる。

‘ペグウェル・ベイ、ケント州’はモネやクールベが描いたエトルタの海岸を連想した。テートブリテンが作った図録(英語版)にこの絵は載っており目にとまっていたが、本物は見ごたえのあるいい絵だった。これでイギリスの風景画に対する見方が変わった。

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コメント

ラファエル前派の風景画は馴染みがなかったので、新鮮でした。

ミレイの『安息の谷間』は、とても印象に残っています。黄色や紫を使った日没前の空の色がいいですね!世紀末の幻想絵画や象徴主義の先駆けのような気もします。

ダイスの作品は、おっしゃるようにクールベが描いたエトルタの断崖をイメージしました。ただ人物が描かれている分、単なる風景画というより、人間の営みを意識します。

ブラウンやコリンズの作品も人間に関心が行くように思います。

投稿: ケンスケ | 2014.03.01 08:05

to ケンスケさん
‘安息の谷間’がいいですね。人物描写と背景の
風景が同じウエートで表現されている感じです。

また、ダイスの右に描かれた断崖がすごく存在感
があります。じつはモネやクールベの絵も思い
出したのですが、人物が何人も描かれているの
で江戸東博の大浮世絵展にでていた歌麿の‘潮干の
つと’を連想しました。横に広がる構図は浮世絵
の風景画に似ており、このコラボがとても新鮮
でした。

投稿: いづつや | 2014.03.01 14:24

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