ビッグなオマケ アンリ・ルソーのジャングル画!
クリーブランド美展で雪村の龍虎図とともに期待値の高かったのがアンリ・ルソー(1844~1910)のジャングル画。この絵を日本画の里帰りに同行させてくれるのだから、真のおもてなしの心があらわれている、本当にエライ。
今回西洋絵画はルソーの‘トラとバッファローの戦い’、モネの‘アンティーブの庭師の家’、モリゾの‘読書’、そしてピカソ(1881~1973)の‘画家の妹ローラ’。この美術館が西洋絵画を何点所蔵しているのかは知らないが、前回モディリアーニの‘女の肖像’とかモネの‘アンティーブ’、ゴッホの‘サン・レミのヴィクトル・ユーゴー大通りの道路工夫’といったいい絵が公開され、さらにこの4点がやって来たから、ひょっとするとコレクションの核になる作品は相当数みたことになるかもしれない。
‘トラとバッファロー’はMETにある絵に描かれたライオンが口のまわりに血糊をべったりつけ獲物を食べている光景と比べると緊張感はなく、トラもバッファローも冷めたような目つきをしている。強く印象に残るのが画面全体をおおう木や草の緑、この微妙に色調の変わる緑の色彩表現がルソーのジャングル画の最大の魅力。奥のほうに視線を伸ばしたり丁寧に描かれた手前の細い草一本々を釘付けになってみていた。
ピカソの女性の絵はピカソがパリにでる前に住んでいたバルセロナで描かれたもの。モデルは妹のローラ、その強い目力がとても気になる。じつはこの絵より美術本に載っている青の時代の作品‘人生’を密かに期待していたが、これはダメだった。
オマケには中国絵画も3点入っている。思わず足がとまったのは南宋の画家馬遠(生没年不詳)の‘松渓観鹿図’、松の枝ぶりをこのようなフォルムにし、これに蛇行しながら流れる川を絡ませる画面の構成はなんとか思いつくような気がするがそう簡単ではない。斜めの構図のバリエーションは無限にあるからそこから無駄なものをそぎおとしてやっと人目みていい風景画だなと感じさせるものができあがる。こうして馬遠独自の様式が生まれた。
室町時代の足利将軍に仕えた同朋衆の一人、相阿弥(?~1525)が米友仁に影響されて描いた‘山水画’にも魅了された。もこもことした形の山々がゆったりした気分にさせてくれる。みているとすぐに京都の大仙院にある‘瀟湘八景図’を思い浮かべた。
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コメント
いづつやさん、はじめまして!
検索から、辿り着きました(^^)
クリーブランド展ではルソーの絵が見れたんですね。私は西洋絵画が好きで、最近はバルテュス展に行ったのですが、中国絵画も素敵ですね。
また、あそびにきます!
投稿: マサル@アンリ・ルソーWeb | 2014.06.08 21:09
to マサルさん
クリーブランド美の‘虎とバッファローの戦い’が
オマケでついているのですから最高でした。
ルソーの作品をコンプリートしようと意気込ん
でますが、今秋のチューリヒ美展が待ち遠し
いです。
投稿: いづつや | 2014.06.08 23:35