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2014.02.28

ターナーやコンスタブルとは違う風景画!

Img     ミレイの‘安息の谷間’(1858年)

Img_0002     ブラウンの‘干し草畑’(1855年)

Img_0003      コリンズの‘5月、リージェンツ・パークにて’(1851年)

Img_0005     ダイスの‘ペグウエル・ベイ、ケント州’(1858~60年)

ラファエロ前派で関心の大半を占めているのはロセッティ、ミレイ、そしてバーン=ジョーンズ、だから正直言ってハントとかブラウン、ヒューズの作品の前に立っている時間は長くない。

ロセッティの描く女性画は歌麿の大首絵の美人画のようにどっと迫ってくる感じだが、ミレイ(1829~1896)の女性肖像画は子どもでも大人の女性でも全身像によりその美を完璧に表現しているイメージが強い。とにかく肌合い、髪の毛、衣装がびっくりするほど精緻に描かれているので強く印象に残る。

1858年に制作された‘安息の谷間’は2008年にBunkamuraでお目にかかったとき、右の尼僧の目力に圧倒された。夕暮れ時の墓場、左ではもうひとりの尼僧が腕まくりをして墓を掘り起こしている。この手前の二人とその向こうに立ち並ぶ糸杉とポプラは並行的に描かれているので、画面はとてもみやすい。だから、よけいにこの右の女性の目が気になる。

はじめてみたブラウン(1821~1893)の風景画が新鮮だった。イギリスの画家の風景画というとコンスタブルとターナーをすぐイメージするが、ラファエロ前派のブラウンにも風景を描いたものがあった。モチーフは干し草畑、モネの有名な連作積み藁やミレーの農村の絵とはちがい、ここでは月が輝いている。これは農村のイメージが変わる幻想的な光景。小さな絵なのに強く印象付けられた。

もう2点足がとまった風景画がある。コリンズ(1828~1873)とダイス(1806~1861)の作品。どちらもすごく奥行きを感じさせる絵。共通しているのは視線が横に動くこと。手前をまず左右にみてだんだん上にあがっていく。こういう風にみていくと遠近法とはちがって人物でも木々や草花、そして断崖でもじっくり目が追っていける。そのため、描かれた人物がなにをしているのかよくイメージできる。

‘ペグウェル・ベイ、ケント州’はモネやクールベが描いたエトルタの海岸を連想した。テートブリテンが作った図録(英語版)にこの絵は載っており目にとまっていたが、本物は見ごたえのあるいい絵だった。これでイギリスの風景画に対する見方が変わった。

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2014.02.27

名作揃いのミレイと仰天のバーン=ジョーンズ!

Img_0001_2     ミレイの‘オフィーリア’(1851~52年)

Img_0002_2     ミレイの‘両親の家のキリスト’(1849~50年)

Img_0003_2     スタンホープの‘過去の追想’(1858~59年)

Img_0004_2     バーン=ジョーンズの‘愛に導かれる巡礼’(1896~97年)

昨年7月テレビ東京の人気番組‘美の巨人たち’でターナーの‘戦艦テメレール’がとりあげられたとき、興味深い話が盛り込まれていた。それは2005年にBBCラジオが行ったアンケート結果。

質問は‘イギリスでみることのできる最も偉大な絵画は何か?’というもの。ベスト10のなかで6つがイギリスの画家の作品。その顔触れの半分はなるほどと思ったが、半分は意外なものだった。ランキングの上からあげてみると、

1位 ターナーの‘戦艦テメレール’
2位 コンスタブルの‘干し草車’
5位 ホックニーの‘クラーク夫妻とパーシー’
7位 レイバートンの‘ウォーカー師’
8位 ブラウンの‘イギリスの見納め’
10位 ホガースの‘放蕩息子一代記’

ターナーやコンスタブルがイギリス国民に大変愛されている画家であることはよくわかる。わからないのはここにミレイ(1829~1896)の‘オフィーリア’もロセッティ(1828~1882)の‘プロセルピナ’も入ってないこと。同じラファエロ前派のブラウンの名前があるのに。

‘オフィーリア’はイギリス人にとっては偉大な絵画ではないのだろうか?イギリス国内で長いことミレイの回顧展が行われなかったのはこの画家の愛され度が関係しているのかもしれない。

今回ミレイの作品は6点、いずれも魅力的な作品だが08年Bunkamuraであった回顧展でも展示された。何度対面しても言葉を失いじっとみてしまうのが‘オフィーリア’、こんな傑作がベスト10にあがってこないのが不思議でならない。

‘両親の家のキリスト’もお気に入りの一枚。視線が向かうのは中央の左手を釘で傷つけたキリストではなく、右端で傷を洗うために水をもってきたヨハネ少年。その目がじつにいい。こういう少年はどこにでもいる。この絵は宗教画ではあるが日本の浮世絵でいう見立て絵と同じ発想。普通の人たちの日常生活に置き換えて描いているので宗教臭さがなくすっと入っていける。

スタンホープ(1829~1908)の‘過去の追想’は非常に気になる絵。この気持ちは東京都美ではじめてみたときと同じ。女性の表情はどうも冴えない、感情の起伏が激しそうにはみえず、どちらかというと内向的な性格でなにか気の晴れないことをずっと引きずっている感じ。この絵をみるたびにドガの‘アプサント’を思い浮かべる。

今回でていた作品のなかで一番のサプライズはバーン=ジョーンズ(1833~1898)の描いた‘愛に導かれる巡礼’、縦1.57m、横3.05mの大作、美術本では見慣れた絵だがこれほど大きな絵だったとは!左に描かれた頭巾を被った巡礼者はちょっと不気味。横を向き腰を老人のように大きく曲げているのでぱっとみると悪魔と見まがう。この絵を日本でみれたのは幸いだった。ミューズに感謝。

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2014.02.26

魅力いっぱいの‘ラファエロ前派展’! ロセッティ

Img_0001       ‘プロセルピナ’(1874年)

Img_0002        ‘ベアタ・ベアトリクス’(1864~70年)

Img_0003_2       ‘モンナ・ヴァンナ’(1866年)

Img_0004       ‘聖なる百合’(1874年)

現在、六本木ヒルズにある森アーツセンターで開催中の‘ラファエロ前派展’(1/25~4/6)をみてきた。この展覧会は4/6までのロングラン興行、作品を所蔵するテートブリテンは自慢のお宝であるロセッティ(1828~1882)の‘プロセルピナ’やミレイ(1829~1896)の‘オフィーリア’をこれほど長いこと不在にしていいのだろうかと、つい余計な心配をしてしまう。

イギリスの美術館でナショナルギャラリーの作品は日本で一度も名品展を体験してないのに、テートブリテンのものは幸運なことに鑑賞する機会が多い。1998年には東京都美で名画がごそっと公開され、念願だった‘プロセルピナ’と‘オフィーリア’を今回のようにロンドンではなく日本でみることができた。このときからラファエロ前派の虜になった。

そして、2008年Bunkamuraがなんと‘ミレイ展’を主催、‘オフィーリア’がまた登場した。このようにターナー、コンスタブルとともにイギリス絵画の中核的な存在であるロセッティやミレイの代表作が何度もお披露目されるということは日本でラファエロ前派の人気が高いことの証。そのためか会場の森アーツセンターには予想をこえる大勢の人たちがつめかけていた。

お目当てのロセッティは油彩、水彩があわせて19点でている。圧巻なのが最後の部屋に飾られた7点。これはすごいラインナップ。まさにロセッティのいい絵、全部みせちゃいます、という感じ。一番の収穫はアヘン中毒がもとで亡くなった妻のシダルを回想して描いた‘ベアタ・ベアトリクス’。

ロセッティは長い時間をかけてこの油彩を仕上げたあと、すくなくとも6枚のレプリカを制作している。これまでフォッグ美蔵の水彩ヴァージョンと日本で遭遇し、08年にはシカゴ美で油彩のものに出会った。ところが、最初に描かれた油彩を08年訪問したテートブリテンでみる予定だったの不運にも展示されてなかった。

だから、残念な気持ちを引きずっていたが、6年経ってようやくお目にかかることができた。素直に嬉しい。金髪のまわりに日があたり神秘的な雰囲気につつまれたシダルの姿を息を吞んでながめていた。

黄色の豪華な衣装を身につけたワイルディングがモデルとつとめた‘モンナ・ヴァンナ’は見栄えのする見事な女性画。東京都美の名品展にも展示されたので今回で3度目の対面となったが、その強すぎる魅力のためいつも近くに寄っていけない。

初見の‘聖なる百合’は日本でみたことのある‘祝福されし乙女’(フォッグ美)のための習作、金箔が施された背景と衣装、そしてふさふさとした金髪に吸いこまれていく。瞬時にクリムトの絵が頭をよぎった。

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2014.02.25

ズームアップ 名画の響き合い! 1876年

Img   ルノワールの‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’(パリ オルセー美)

Img_0003      カイユボットの‘ローロッパ橋’(ジュネーブ プティ・パレ美)

Img_0002     ドガの‘アプサント’(パリ オルセー美)

Img_0005     モローの‘サロメ’(パリ モロー美)

昨年は多くの時間をさいて図録の大整理を行い、My図録全集をつくってきた。その作業もほぼ終了し今は脳がそこにおさまった美術品にたいしぐーんと本気になっている。

西洋絵画とは食わず嫌いにならず幅広くつきあうことを心がけている。でも、好みの濃淡は当然ある。どうしても心が向かわない画家がいる、例えば、幽霊やホラー映画にでてくる気持ち悪い怪物のイメージしか湧いてこないベーコン、また、ボナールも響かない。

こういう作家のものは除いてこれまで体験した絵画のなかで作家ごとに好きな作品ベスト5を選び、その描かれた時期を仕分けしてみる。すると、自分の好きな一枚が若い時に制作されたものとか晩年のものとかがわかってくる。作品の描かれた年というのは意外としっかり頭に入っていないもの。

日本でも西洋でも過去の歴史に大変興味がある。でも、何々の事件が西暦何年に起きたといっても知識としては頭に入っているがリアリティがないから脳はいまひとつ本気にならない。脳を本気にさせるひとつのきっかけになるのが関心のあることをベースにしてその時代に近づくこと。

さしむきこれを美術で行っている。第一回目の印象派展が行われた1874年から2年経った1876年、この年にどんな名画が生まれていたか、ベスト5からでてきた4点はルノワール(1841~1919)、カイユボット(1848~1894)、ドガ(1834~1917)、モロー(1826~1898)。

生きる喜びが全開モードの‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’がある一方、都市の華やかさと影の部分がひとつの画面のなかに描かれた‘ヨーロッパ橋’や何にも感動しないような表情をみせる女性がぐさっと胸につきささる‘アプサント’も同じ年に誕生した。そして、象徴派のモローが描いたのは19世紀末を彩るファムファタル(宿命の女)のイメージをつくったサロメ。

近代における芸術表現は一筋縄ではなくいろいろ複雑に絡み合う。だからこそ、アートに多くの人が魅せられる。

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2014.02.24

ソチ五輪閉幕!

Img       ソチ五輪閉幕

Img_0001     フリーでトリプルアクセルを成功させた浅田真央

Img_0002    会心の演技にうれし泣きをしたあと満面の笑みをうかべる真央ちゃん

冬の競技を存分に楽しませてくれたソチ五輪が終了した。オリンピックはやはり最高のスポーツの祭典。今回日本が獲得したメダルの数は8個と長野大会に次ぐ立派な成績だったが、6つの種目でメダリストが誕生したのでバンクーバーのときより感動の総量は3倍くらいあった。

どの大会でも勝敗の行方は戦前の予想通りにはいかない。金メダルを期待されたのはジャンプ女子の高梨沙羅ちゃん、スピードスケート男子500mの長島&加藤、そしてフィギュア女子の浅田真央ちゃん。17歳の沙羅ちゃんはW杯で飛ぶたびに優勝し話題をさらっていたので、天才ジャンパーの称号をこの大会でもらうのではないかと思っていた。が、シナリオ通りにはいかなかった。

ジャンプの技術はトップレベルにあったのに4位にとどまったのだから、五輪のプレッシャーが沙羅ちゃんの体を極度に硬くさせたとしかいいようがない。自信にあふれた顔つきではなく明らかに緊張していた。あれだけW杯で勝っていたら誰だって金メダルを夢みる。今回はダメだったが、もう2回くらい出場しそうだから、そのとき力強いジャンプをして2個金をゲットすればいい。沙羅物語はとりあえずリセット。

スピードスケートの500mは加藤の金を期待していたが、パワフルなオランダ勢の前に完敗だった。ところで、どうしてオランダは男女ともこんなに強くなったの?バンクーバーでは7個(金3個)のメダルだったのが、なんと23個も獲得、うち金が8個だからすごい。この勢いは当分続く予感がする。日本が得意とする500m、立て直せるだろうか?長野で金メダルを獲った清水が朝日に内部批判の記事を寄せていたが、スピードスケート界は組織運営がどうもうまくいってない様子。

浅田真央ちゃんは悲しみと感動の2日間だった。ショートプログラムはまさかの16位、素人の目にもこれでは低い技術点がでても仕方ないなと思えた。ところが、真央ちゃんはやはり世界の真央ちゃんだった。フリーではほかの誰もできないトリプルアクセルを成功させるとそのあとの3回転ジャンプも次々と力強く決めていく。

もう前日とは別人のように体は思い通りに動くのでラフマニノフの名曲、ピアノ協奏曲2番の美しいメロディーがその芸術性豊かな表現力を引き出してくれる。トリプルアクセルがうまくとべたのでバンクーバーのあと身につけた技術がプログラム通りにでてくる感じ。見事な回復力、これはすごい!メダルは逃したが、世界中のフィギュアファンの心を虜にした真央ちゃん。まさに美しきフィギュアの華! 

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2014.02.23

東京でみれないギメ東洋美蔵の歌麿!

Img         ‘二つ枕’(1789~1801年)

Img_0001        ‘武蔵野’(1789~1801年)

Img_0002       ‘婦人相学十躰 面白キ相’(1789~1801年)

Img_0003_2       ‘北国五色墨 切の娘’(1789~1801年)

江戸東博で多くの観客を集めている‘大浮世絵展’(3/2まで)、いい作品がどどっとでているので一生忘れられない浮世絵展となったが、図録をみるたびに残念なことがある。それはパリのギメ東洋美が所蔵する25点が江戸東博では公開されず、東京のあと巡回する名古屋市博(3/11~5/6)、山口県美(5/16~7/13)にいってしまうこと。

そのなかでみたい度の強いのが喜多川歌麿(1753~1806)、全部で7点ある。ギメが歌麿を何点所蔵しているのか知らないが、7年前太田記念美で開かれた‘ギメ東洋美蔵浮世絵名品展’のときは19点が里帰りした。今回の7点はこれとダブっているのは1点もない。

美術本によく載っているほど有名なギメの歌麿、揃物‘歌撰恋之部’の‘物思恋’と‘深く忍恋’は幸いにも‘写楽展’(2011年 東博)に顔をだしてくれたが、ほかの5点はまだ縁がない。これらも手元の歌麿本に載っているので、すごいラインナップの歌麿が名古屋、山口ではみることができる。

‘二つ枕’と‘武蔵野’は3枚続のワイド画面、これに‘虫籠’と‘婦人相学十躰 面白キ相’、そして‘北国五色墨 切の娘’、このうち鏡でおはぐろをチェックしている‘面白キ相’は国内にあるものをみたことがあるが、摺りの状態はあまりよくなかった。

吉原の遊女を描いた‘北国五色墨 切の娘’は追っかけ画の一枚、これは26日に日本浮世絵博物館がもっているものと対面することになっているのでちょっと安心。ギメのものは次の楽しみにとっておこうと思う。

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2014.02.22

二度目の‘大浮世絵展’!

Img_0001       菱川師宣の‘見返り美人図’(元禄前期、東博)

Img_0002      歌川国政の‘市川鰕蔵の碓井の荒太郎定光’(1796年 東博)

Img_0004 歌川国虎の‘羅得島湊紅毛船入津之図’(1815~42年、アジア美)

Img_0005     井上安治の‘新吉原夜桜景’(1880年 江戸東博)

江戸東博で行われている‘大浮世絵展’(3/2まで)はなにしろ出品作が400点くらいあるから、一回の鑑賞では終わらない。数が多いだけでなく一枚々の質の高さも相当なもの、普通の浮世絵展ではでてこない個人が所蔵しているものとか大英博、シカゴ美、ホノルル美、ベルリンアジア美の摺りの状態のいいものが続々登場するのでそうやすやすと見逃すわけにはいかない。

開幕前にチケットを2枚買っておいたが、隣の方は2回目はお一人でどうぞ、というので都合3回足を運ぶことになった。展示リストとにらめっこして2/4~2/16、2/18~3/2に展示されるものをみると8割くらい目のなかに入れることができる。2/7にみたのは137点。大半は展示替えのものだから、みるぞ!モードはスタートから全開。

まず足がとまったのが菱川師宣(?~1694)の‘見返り美人図’、美人画の代名詞のような浮世絵だから心も体もぐっと寄っていく。それにしてもこの目の覚める赤の衣装は強烈なインパクト、そしてその赤を引き立てる薄緑の帯。師宣は天性のカラリスト。

赤というと歌川国政(1773~1810)の描いた歌舞伎役者の隈取も強く印象に残る。真横から描いた血管が浮き出るような赤の筋隈と鷲鼻の形が荒事の豪快な演技をあますところなく伝えている。

今回大きな収穫だったのが歌川国虎(生没年不詳)の描いた巨人像(ベルリン国立アジア美蔵)。これは世界七不思議のひとつ、エーゲ海のロードス島の港に立っていたとされる太陽神ヘリオスの像。老人顔の神像だが、これだけ大きいと思わず息を吞んでみてしまう。足をかけた港の入口を通って海にでていく帆船がだんだん小さくなっていくところをみるとこの像がいかに巨大だったかが想像できる。国虎も描いていて楽しかったにちがいない。

そして、お気に入りの井上安治(1864~1889)の‘新吉原夜桜景’、これも追っかけ画の一枚。青みがかった漆黒の世界に浮き上がる窓の朱の明りが心に沁みる。

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2014.02.21

祝 スキー女子ハーフパイプ 小野塚彩那銅メダル!

Img      新種目のハーフパイプで銅メダルを獲得した小野塚彩那

Img_0001      高いエアーのあとのスムーズな着地

フリースタイルスキーでソチ五輪から競技種目になったハーフパイプ、小野塚彩那(25歳)が見事3位に入った。拍手々!

小野塚はアルペンスキーでは高い技術をもった選手だったが、ハープパイプが新種目として五輪に加えられたのを機に3年前転向、この戦略がうまくいき念願のメダルを手にすることができた。狙い通りのシナリオが実現したのだから、喜びもひとしおだろう。

今大会日本選手のメダル獲得はスノーボードの男子ハーフパイプからはじまった。平野、平岡の10代コンビが銀、銅に輝き、そしてスキーでもまた銅メダルを獲った。お蔭でハープパイプにも目が慣れてきて、いろんな技の名前が少しいえるようになった。

スノーボードとスキーを較べてみると、スノーボードのほうが板の長さが短いため空中でぐるぐるまわる回数が多く、よりアクロバティックな動きになる。だからスピード感と派手さはスノーボードのほうが上回る。ひとつひとつの技はよく似ているが、スキーのほうが板が長いため操作するのがやっかいそう、回転やひねりのタイミングがずれたり遅れるとすぐ転倒したり尻もちをつく感じ。

小野塚の2回目、最後は2回とも後ろ向きでパイプを下っていった。後ろ向きに滑るなんてみているだけでも怖くなる。やっている選手たちは怖くないのだろうか?スノーボードのほかの競技でこういう後ろ向きで上から滑ってきて斜面に着地する場面をみたが、心臓に悪かった。

今大会女子で2個目のメダルを小野塚が獲得したことで日本のメダルの数は8個になった。目標の11個にはとどかないが、上々の成績ではなかろうか。すばらしい!

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2014.02.20

‘人間国宝展’にずらっと並ぶやきものの名品!

Img       中里無庵の‘朝鮮唐津耳付水指’(1975年)

Img_0001      三輪壽雪の‘鬼萩 作品’(1998年 岐阜県現代陶芸美)

Img_0002     藤本能道の‘草白釉釉描加彩 翡翠図四角隅切筥’(1985年)

Img_0003  今泉今右衛門(十三代)の‘色絵吹重ね草花文鉢’(1996年 東博)

今月23日(日)で終了する‘人間国宝展’(東博)は現代の名工の作品とともに古典の名宝が並んで展示されているのが大きな魅力。まさに‘日本工芸の祭典’。だから、今回作成された図録は宝物を手に入れたような気分になる。

とにかく、これもあるの!というくらい国宝、重文がいくつも目の前に現れてくる。やきものでは、
★‘奈良三彩壺’(重文 九博)
★‘志野茶碗 銘広沢’(重文 湯木美)
★‘火焔型土器’(国宝 新潟十日町市博)
★‘青磁下蕪形瓶’(国宝 アルカンシェール美)

このなかで‘奈良三彩壺’がみれたのは大きな収穫。また、なかなかみる機会のない‘火焔型土器’にまた会えたのも幸運だった。古典の名宝とセットでみることでいっそうやきものの味わいが伝わってくるひとつが中里無庵(1895~1985)が作陶した‘朝鮮唐津耳付水指’。いつかみたいと願っていたが、白濁した藁灰釉が飴釉のなかに流れてできる景色がじつにいい感じ。

2年前、102歳で亡くなった三輪壽雪(1910~2012)、この萩焼の名工の代名詞となっているのが‘鬼萩’。器面をおおう厚ぼったい白釉をみるたびに小さい頃食べた砂糖が盛り上がるほどついたビスケットを思い出す。そして、どっしりした十字の割高台にも目がいく。

まるで花鳥画をみているようなのが藤本能道(1919~1992)の翡翠が描かれた八角の筥。5年くらい前に体験した回顧展でこの翡翠の目の覚めるような青緑に魅せられ、木の葉ずくや雀とも遊んだ。こうした鳥たちに見入ってしまうのはモチーフの構成と八角形という筥の造形がうまくマッチしているから。藤本は絵画的な表現で独自の作風を切り開いた。

十三代今泉今右衛門(1926~2001)の色鍋島にも大変魅了されている。青色のにじみや灰色のグラデーションを使いリズミカルに描かれた草花の幻想的な意匠、円い鉢とそのやわらかな曲線が一体化しており、花の美しさを十二分に感じさせてくれる。

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2014.02.19

祝 スノーボードパラレル大回転 竹内智香銀メダル!

Img        スノーボード女子ではじめてメダルを獲得した竹内智香

Img_0001     決勝1本目 クレマー(左) vs 竹内(右)

Img_0002       2本目の竹内

TBSがLIVEで放送したスノーボード女子パラレル大回転で竹内智香(30歳)が見事銀メダルを獲得した。今大会の女子メダル1号、拍手々!

スノーボードの競技が全部でいくつあるのかはっきりわかってない、このパラレル大回転は過去の大会でみたような覚えはあるものの、正直言って関心のうすい種目。ところが、大会前のメダル候補予想により一応名前がインプットされていた竹内は今調子がすごくよく、予選を1位のタイム決勝トーナメントに進んでいた。こうなると応援モード全開となる。

世界ランキング2位の実力通り、竹内は準々決勝、準決勝を勝ち、ランキング1位のクレマー(26歳 スイス)との決戦となった。1本目は0.3秒の差をつけて先着、これは金メダルが獲れそう、俄然盛り上がったきた。この競技は2人が並んで滑りゴールまでのスピードを争っているが、1本目で勝った選手は2本目には1本目でつけた時間の差の分早くスタートする。

これは昨日あったノルディック複合のクロスカントリーのときのスタートと同じやり方。でも、1秒とか2秒とかの差だったらわかるが、0.30秒後のスタートというのはやれるのだろうか?竹内とクレマーは同時にスタートした
ようにみえたが、

竹内は後半、残念なことに転倒、金の夢はもろくの消え失せてしまったが、銀メダル獲得は見事。過去3回五輪に出場し、22位、9位、13位だったのが今大会堂々の銀。この4年ののびしろはすごい。どんなトレーニングで技術を磨き心の鍛錬をしたのだろうか。徐々に成績を上げていくアスリートの話は教えられることが多い、どこかのTV局が竹内物語をつくってくれたいいのだが。

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2014.02.18

祝 ジャンプ団体 銅メダル!

Img   団体銅メダルを獲得した(左から)清水、竹内、伊東、葛西

Img_0001    2回目131m50の清水礼留飛

Img_0002      1回目を上回る130mの竹内択          

Img_0003     葛西に次ぐ大ジャンプ132mの伊東大貴

ジャンプ団体で日本は見事銅メダルを獲得した。拍手々!3位以内に入ったのは長野大会以来16年ぶりのこと、葛西が銀に輝いたラージヒルに続き団体戦でも銅、日本の得意とする種目が久しぶりに日本中を熱くした。やっぱりジャンプはおもしろい。

4人は2本ともいいジャンプをした。失敗ジャンプがないというのがすごい。1回目が終わって日本の得点はオーストリア、ドイツにちょっと離されたが3位、4位のポーランドにだいぶ差をつけたからメダルの可能性が高まった。あとは2回目で大ジャンプを連発して2位に食い込めるかどうか。

若い清水(20歳)は今大会調子がいい。思いっきりのいいジャンプで距離も131m50と申し分ない。2番手の竹内択(26歳)は1月に体調がすぐれず苦しい思いをしたなかでのオリンピックだったが、それをみじんもださず130mも飛んだのだから立派。

伊東大貴(28歳)は数年前はW杯で優勝するなど日本のトップジャンパーだった。今回は個人戦はラージヒルだけの出場だったが、解説者の原田氏がその技術を高く評価していた通り、団体でも2本とも葛西につぐ安定したジャンプをみせた。

2回目132mを飛び頼りになるなと感心していたら、着地したあと普通なら緩く大きなカーブをえがいて止まるのにそれができず横に倒れた。どうしたのかなと思っていたら、これは左ひざの痛みのせいだった。ひざは相当悪かったのにすばらしいジャンプをびしっと決め銅メダル獲得に貢献した。この精神力はスゴイ。

最後に飛んだ葛西紀明(41歳)は気力、技術とも今最高の状態、またも134mのビッグジャンプ。まさに切れ味鋭いサムライジャンプ。これで葛西は原田、船木と同じくらい名の知られた輝けるジャンパーになった。これからもジャンプ陣のリーダーとしてがんばってもらいたい。

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2014.02.17

‘森本草介展’にやっと遭遇!

Img_0002_2       ‘アンティーク・ドール’(2012年)

Img_0003_2       ‘女FORME’(1996年)

Img_0004_2       ‘初秋の川辺’(2006年)

Img_0005_2       ‘ペリゴールの村’(1999年)

先週の金曜、新聞の広告欄に日本橋の三越で行われている‘森本草介展’が載っていた。会期は2/5にはじまり今日17日まで。この画家の回顧展に遭遇することを長いこと願っていたのに迂闊にもこの情報は見逃していた。これはミューズのお告げ、幸運をかみしめて最終日にすべりこんだ。

出品作33点はすべて千葉市にあるホキ美が所蔵するもの。数年前この美術館が誕生したことは承知しており、写実画が多く揃っているという情報も入っていた。だが、その中核となっている森本草介(1937~)が36点もあることは知らなかった。国内最大の森本コレクションとのこと。これにもっと早く気づいていたら、現地へ足を運んでいたのに。

森本の作品で惹かれるのは女性を描いたものと風景画。といっても過去体験したのは3点のみ、その1点はびっくりするほど精緻に描かれた女性の肖像画、そのリアルすぎるほどリアルな肌の質感描写や髪1本々まで息を吞んでみた。今回そんな女性像と裸婦画が全部で20点ちかくあった。

どの作品の前に立っても画面に吸いこまれてしまうが、とくに長くみていたのが2年前に描かれた‘アンティーク・ドール’。そして、裸婦画では‘女FORME’の珍しいポーズが目にとまった。静謐なセピアトーンの空間のなかでこの女性はなにか思いつめたように視線を下にむけている。

同じセピア色で描かれた風景画、以前みた‘初秋の川辺’はホキコレクションの一枚だった。川面をきらきら照らす光やそこに映りこむ木々をみていると、手前からこの川の光景を実際にながめているような気分になる。これほど写実性の高い風景画を描く日本人画家を森本のほかにみたことがない。

フランスの田舎の情景が横長の画面に描かれた‘ベリゴールの村’は心がとても落ち着く風景画、前景いっぱいに広がる草花の静けさ、やさしさ、じっとみているとワイエスの‘クリスティーナの世界’(MoMA)が重なってきた。そうだ、森本草介は日本のワイエス!同じような横長の作品がほかにも3点ほどあった。

森本の作品は今号100万円、するとここにある33点の価値はうん十億円、ホキ美が所蔵する自慢のコレクションをみる機会が突然めぐってきたことを心から喜んでいる。

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2014.02.16

祝 ジャンプラージヒル葛西紀明 悲願の銀メダル獲得!

Img                大喜びの葛西紀明

Img_0001               美しいV字飛型

Img_0002               テレマークを入れた着地

41歳の老練ジャンパー葛西紀明(41歳)がついに悲願のメダルを手に入れた。惜しくも金は逃したが金に限りなく近い銀メダル、拍手々!

連日朝5時まで起きているので寝不足気味。でも、日本選手がメダルを期待通り獲得してくれるのでその疲れも吹っ飛ぶ。五輪のジャンプをこれほど興奮してみたのは1998年の長野大会以来。今回ラージヒルに出場した4人は皆いいジャンプをした。葛西2位、伊東9位、清水10位、竹内13位、

関心の的は葛西が金メダルを獲れるか、だったが競技が進むにつれ団体戦のことが頭をかすめこんないいジャンプができるのなら日本は久しぶりにメダルがとれそうな予感がしてきた。このジャンプ競技、昔から日本は強い種目。だから、過去のオリンピックで繰り広げられたメダル争いは強く脳裏に焼きつている。が、それは最高の成績をあげた長野大会まで、そのあとはさっぱりダメ。個人戦でも団体戦でもずっと3位以内に入れなかった。

その不成績に41歳の葛西が終止符を打ってくれた。すばらしいジャンプを2本決め16年ぶりに日本に銀メダルをもたらした。誰もが感動するのはジャンパー葛西は41歳になってもなお進化し続けていること、技術的にもメンタル面でも。これは本当にすごいこと。

1本目は139m飛び、2本目が133.5m、この遠くに飛ぶ技術は豊富な経験と絶え間ないトレーニングによって生まれたもの。ふつうの人はここまでたどり着く前に競技人生を降りてしまう。ところが、葛西は金メダルを手にしたいためにまだきついトレーニングに取り組み、体でおぼえさせた高いジャンプ技術を発揮し競技中に微妙に変化する風とうまく折り合いをつけ遠くに飛んでいく。まるで日本の伝統工芸における名工のすご技をみているよう。

金メダルをとったポーランドのストッフはノーマルヒルとあわせて2冠。現在ランキング1位の選手だから、2つ勝っても驚きではないかもしれないが、大舞台である五輪で金を独占するのはやはり特別なこと。これから絶対王者の道を歩んでいきそう。われわれ日本人からすれば、勝利の女神がラージヒルはレジェンド葛西に微笑んでくれてもよかったのにと、つい思ってしまう。

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2014.02.15

祝 フィギュア羽生結弦金メダル!

Img        フィギュア男子の頂点に立った羽生結弦

Img_0001      2回目の4回転ジャンプは成功

Img_0002

昨日のSPで五輪史上最高の101.45点をだし金メダルの期待がかかる羽生結弦(19歳)、見事に男子の頂点に立ち日本に今大会初の金メダルをもたらした。拍手々!

SPの演技があまりにすばらしかったので、今日のフリーでも最高の滑りとジャンプをみせつけてオリンピックチャンピオンになると思っていたが、イメージ通りにはいかなかった。最初にとんだ4回転ジャンプで転倒、技術的なことはわからないが4回転ジャンプには2種類あり、これはサルトという難しいほう。誰でもできる技ではないらしい。羽生は緊張しているのか、これをみた瞬間金はダメだなと思った。心がザワザワしてくる。

2回目の4回転ジャンプは楽に成功させた、ところがそのあとのジャンプでまた転んだ、ううーん、これは厳しくなった。だから、後半の演技はなにか放心状態でみていた。だぶん大勢の人が同じような気分だっただろう。

こうなると、世界選手権で3連覇しているカナダのパトリック・チャン(23歳)が大きくみえてくる。最初に4回転ジャンプ&3回転をびしっときめたから、ますます落ち込む。ところが、このチャンも相当なプレッシャーを感じていたのか、ジャンプのあと両手をついたり、失敗が3回もあった。解説していた本田氏も細かいミスを指摘。これは意外な展開になった。結果は羽生のほうが高い得点。こんなこともあるんだ、ほっとすると同時に体中から嬉しさがこみあげてきた。

日本人スケーターが五輪で金メダルを獲得するなんて、歴史に残る快挙である!トリノ大会で荒川静香が金メダルに輝いたが、2人とも仙台の出身。宮城県は真にフィギュア王国、これからますますフィギュア熱が高まるにちがいない。

町田、高橋も5位、6位にはいり健闘したがメダルにはとどかなかった。この二人にも拍手々!。おもしろいことに上位6人のうちヨーロッパ人は4位のスペインのフェルナンデスだけ。ほかの5人はアジア系。フィギュア男子の勢力地図が大きく変わってきた。次の大会は韓国、羽生の2連覇は大いに可能性があるし、もう一人日本人がメダルを獲るかもしれない。

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2014.02.14

目を見張らせる‘人間国宝展’!

Img     増田三男の‘金彩銀壺’(1990年 東博)

Img_0002     生野祥雲斎の‘竹華器’(1956年 東近美)

Img_0004     平田郷陽の‘抱擁’(1966年)

Img_0006     森口華弘の‘友禅訪問着 羽衣’(1984年 滋賀県美)

東博で現在開催されている‘人間国宝展(1/15~2/23)’を存分に楽しんだ。昨年60回をむかえた日本伝統工芸展に出かけたことは一度もないから、陶芸以外の工芸についての知識はとても少ない。だから、伝統の技を受け継ぎ新たな美を生み出す現代の名工たちの作品がずらっと揃った展覧会は工芸のすご技と豊かな芸術性を知る絶好の機会、一点々じっくりみた。

陶芸、染織、漆芸、金工、人形などいろんな作品があるので、その距離感を少しでも縮めるためにこれまでの鑑賞体験を総動員した。工芸とのとっかかりが少しはできているのは以前東近美の工芸館へ何度も通ったから。また、2006年日本橋の高島屋であった‘人間国宝展’をみたことも多様な作品に目を向けるきったけになった。

だから、今回の人間国宝展は2ランド目。これは前回出でていたな、というのが片手くらいあった。そして、記憶にとどまっている作家の作品をくらべてみると総じて前より出来栄えのいいものが多い。やはり東博で行われると作品のレベルがワンランク上がるという感じ。

増田三男(1909~2009)の‘金彩銀壺’は躍動感のある鹿に思わず見惚れた。兎か鹿かで隣の方と意見が食い違った。これは東博の所蔵だが、平常の展示でみたことがない。生野祥雲斎(1904~1974)の‘竹華器’も丸い造形美が心を打つ。竹細工いうのは温かみを感じるから手に触ってみたくなる。その斬新な造形は日本的な柔らかさとモダンな感覚が見事にとけあい美しさを際立せている。

平田郷陽(1903~1981)の人形を8年前みたときその溢れるやさしさに感激した。今回でている‘抱擁’も心が和むすばらしい人形。つい最近散歩の途中に生まれて2ヶ月の赤ちゃんに会った。この人形をみてそのときのお母さんと赤ちゃんが向き合う姿を思い出した。

東近美では森口華弘(1909~2008)の友禅の着物を夢中になってみる。‘羽衣’は爽やかで軽みを感じさせる意匠が強く印象に残る。風力発電の大きな羽がリズミカルにまわっている光景を連想した。また、山田貢の‘紬地友禅着物 夕凪’にも足がとまった。

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2014.02.13

祝 ノルディック複合個人で渡部暁斗銀メダル!

Img     20年ぶりにメダルをとった渡部暁斗

Img_0001      2位になった見事なジャンプ

Img_0002    クロスカントリー 残り1㎞でフレンツェルの前にでた渡部暁斗

日本選手のメダル獲得が2日続いた。今日はノルディック複合の個人ノーマルヒルで渡部暁斗(25歳)が銀メダル。この種目でのメダル獲得は20年ぶりの快挙。拍手々!

後半のクロスカントリーは金メダルの期待が高まった。ジャンプ1、2位のフレンツェルと渡部は3位以下の選手に大きな差をつけて金をかけてのマッチレース。残り1㎞、上りになって渡部が前にでたから俄然金メダルとれるか、と思った。だが、W杯で何度も優勝しているフレンツェルは強い、差はあまりつかず下り坂になると逆に渡部を追い抜きそのままゴール。残念!

五輪がはじまる前メデイアが予想するメダル候補選手のなかにこの渡部暁斗も入っていたから、30%くらいは期待していたが、ふたをあけてみたらまたダメだろうと思っていた。でも、この選手はすごい走力の持ち主だった。この力強い滑りができればもともとジャンプは得意だから、こういう結果がでてもおかしくはないのかもしれない。18日に行われるラージヒルでもメダル争いに絡んできそうだから見逃せなくなった。

ノルディック複合への関心が薄れて久しい。かつては1992年、94年と2大会連続で団体優勝をかざったからこの競技は人気の高い種目だった。ところが、欧州勢の意向でルール改正が行われ日本が得意とするジャンプの比重が下がったため勝てなくなった。クロスカントリーはやはり欧州の選手のほうが強い。どの種目でもいえることだが、オリンピックでメダルがとれないと人々の興味がうすれていくし、メディアでも取り上げられなくなる。

この競技の放映権をとったTV東京の現地ブースでキャスターをつとめていた荻原次晴が感激のあまり大泣きしていた。ノルディック複合のこの20年の苦しい競技事情のことが思いだされて感極まったのだろう。

ノルディック複合の復活ののろしをあげた渡部暁斗、はじめて見たが誰かに似ている。そう、サッカー日本代表のキャプテン、長谷部。精悍な面構えがなかなかいい。次の個人・団体戦では熱く応援したい。LIVE中継はまたTV東京?

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2014.02.12

祝 ハーフパイプ10代の平野・平岡が銀・銅メダル!

Img     左から平野(銀)、ポドラドチコフ(金) 平岡(銅)


Img_0001      2回とも90点台をだした平野歩夢

Img_0002      2回目に完璧の演技をした平岡卓

今日の早朝はハーフタイムのメダル争いに大興奮だった。なんと、15歳の平野歩夢が銀メダル、18歳の平岡卓が銅メダルが獲得した。拍手々!

この10代の平平コンビはアクロバチックな技をオリンピックという大舞台で過度に緊張することもなく次々と決めるのだからたいしたもの。ハーフパイプの試合は4年に一回しかみないのに、この競技にはアメリカのショーン・ホワイト(27歳)という絶対王者がいることくらいは知っている。だから、3連覇を目指していたショーンを4位に退けて二人がメダリストになったというのは大変価値がある。

決勝に進んだのは12人、予選で高い得点をだした平岡は10番目にスタート、次が平野、そして最後がホワイト。1回目平岡とホワイトは失敗したが平野は高さのある安定した演技をみせ90.75でトップに立った。2回目はスイスのポドラドチコフ(25歳)が名前は覚えられないがとにかくすごい大技を決めて94.75の高得点をたたきだした。

この時点で平野の金メダルはダメかなと思った。2回目の平岡、ここでいい演技をしなければメダルにはとどかない。ところがこの選手はすごい。最後にダブルコーク(エアーとこれだけは覚えた)を2回びしっと決めて2位におどりでた。

そして、平野。これまた難しい技を連発しく93.50の得点、ふたたび平岡を抜き返した。これで2,3位に平平が並ぶ。でも、ショーンが残っているからメダリストは1人だなと予想する。誰でもそう考える。が、あの王者ホワイトは技に切れがない。着地に小さなミスがでて90点しかでなかった。これで2人のメダリストが誕生した。

ハープパイプは競技種目になったのは長野大会から。やっとメダルにたどり着いた。10代の平平コンビが日本のハーフパイプを牽引すれば次の大会では金メダルも夢ではない。これはおもしろくなった。

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東京都美の‘世紀の日本画’展は日本美術の祭典!?

Img_0002_2     安田靫彦の‘飛鳥の春の額田王’(1964年 滋賀県美)

Img_2     小林古径の‘楊貴妃’(1951年 足立美)

Img_0005_2     小倉遊亀の‘舞妓’(1969年 京近美)

Img_0004_2     中村岳陵の‘婉膩水韻’(1931年 静岡県美)

上野で現在行われている3つの展覧会は事前にセットの割引前売り券(2400円)を購入していた。最初にでかけた東博の‘クリーブランド美展’ではまわりに引換券を手にしている人が結構いるから、このシステムは好評のようだ。お客を多く集めるために美術館同士が連携するのはとてもいいこと。

東博で‘クリーブランド美展&人間国宝展’をみたあと、東京都美へ移動して‘世紀の日本画’展をみた。だが、大きな勘違いがあった。それを生み出したのがチラシのキャッチコピー‘日本美術の祭典’とタイトルの‘世紀’、この展覧会が日本美術院再興100年を記念するものであることはちゃんと書いてある。

しかもチラシには橋本雅邦の‘龍虎図’をはじめ輝ける近代日本画の傑作が全部で10点載っている。まさに‘日本美術の祭典’であり‘世紀の日本画’をイメージさせる。ところが、作品をみていくうちに期待していた日本画展とはちがうものがでてきた。

大観や春草、さらには安田靫彦、小林古径、前田青邨といったビッグネームの作品と一緒にちょっと前まで院展に作品をだしていたそこそこ有名な作家や現役の作家の作品まで展示されている。こうした作品が前期(1/25~2/25)にでている63点のうち23点もある。そして後期(3/1~4/1)にも同じくらいの数が展示される。だから、この展覧会は近代日本画の祭典ではなく‘日本美術院の祭典’。

というわけで馴染みの傑作を中心にみて、40分ほどでひきあげた。再会した作品のなかで長くみていたのは女性を描いたものが多い。4点ある安田靫彦(1884~1934)は‘飛鳥の春の額田王’がお気に入り。この絵をみているとロマンあふれる古代飛鳥の世界に誘われるような気分になる。

小林古径(1883~1957)の‘楊貴妃’をみるのは2005年に東近美で開催された回顧展以来。所蔵する足立美(安来市)でも体験したが、中国の楊貴妃の話を翻案した謡曲‘楊貴妃’を題材にして描かれたものだから、その美形は能面で隠されて見えない。しかし、そこには幽玄な世界が広がり気品のある楊貴妃の姿が心のなかに浮かび上がってくる。

小倉遊亀(1895~2000)の‘径’と‘舞妓’に会うのも久しぶり。2点ともMy好きな小倉遊亀に登録している。色白で丸顔の‘舞妓’をみるたびに若い頃の(今でも子供顔?)安達祐実を連想する。

今回の収穫は中村岳陵(1890~1969)の川で泳ぐ裸婦像。一度岳陵の回顧展を横須賀市美でみたが、この絵はでてこなかった。静岡県美には‘残照’という傑作があるが、この絵も所蔵していたとは!それにしてもこの女性は長身。一瞬、鏑木清方が描いたあの‘妖魚’が岩から降りてゆっくりと泳ぐ姿が頭をよぎった。

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2014.02.10

ビッグなオマケ アンリ・ルソーのジャングル画!

Img_0001     ルソーの‘トラとバッファローの戦い’(1908年)

Img_0002     ピカソの‘画家の妹ローラ’(1899~1900年)

Img_0003     馬遠の‘松渓観鹿図’(南宋時代・12~13世紀)

Img_0004     相阿弥の‘山水図’(室町時代・15~16世紀)

クリーブランド美展で雪村の龍虎図とともに期待値の高かったのがアンリ・ルソー(1844~1910)のジャングル画。この絵を日本画の里帰りに同行させてくれるのだから、真のおもてなしの心があらわれている、本当にエライ。

今回西洋絵画はルソーの‘トラとバッファローの戦い’、モネの‘アンティーブの庭師の家’、モリゾの‘読書’、そしてピカソ(1881~1973)の‘画家の妹ローラ’。この美術館が西洋絵画を何点所蔵しているのかは知らないが、前回モディリアーニの‘女の肖像’とかモネの‘アンティーブ’、ゴッホの‘サン・レミのヴィクトル・ユーゴー大通りの道路工夫’といったいい絵が公開され、さらにこの4点がやって来たから、ひょっとするとコレクションの核になる作品は相当数みたことになるかもしれない。

‘トラとバッファロー’はMETにある絵に描かれたライオンが口のまわりに血糊をべったりつけ獲物を食べている光景と比べると緊張感はなく、トラもバッファローも冷めたような目つきをしている。強く印象に残るのが画面全体をおおう木や草の緑、この微妙に色調の変わる緑の色彩表現がルソーのジャングル画の最大の魅力。奥のほうに視線を伸ばしたり丁寧に描かれた手前の細い草一本々を釘付けになってみていた。

ピカソの女性の絵はピカソがパリにでる前に住んでいたバルセロナで描かれたもの。モデルは妹のローラ、その強い目力がとても気になる。じつはこの絵より美術本に載っている青の時代の作品‘人生’を密かに期待していたが、これはダメだった。

オマケには中国絵画も3点入っている。思わず足がとまったのは南宋の画家馬遠(生没年不詳)の‘松渓観鹿図’、松の枝ぶりをこのようなフォルムにし、これに蛇行しながら流れる川を絡ませる画面の構成はなんとか思いつくような気がするがそう簡単ではない。斜めの構図のバリエーションは無限にあるからそこから無駄なものをそぎおとしてやっと人目みていい風景画だなと感じさせるものができあがる。こうして馬遠独自の様式が生まれた。

室町時代の足利将軍に仕えた同朋衆の一人、相阿弥(?~1525)が米友仁に影響されて描いた‘山水画’にも魅了された。もこもことした形の山々がゆったりした気分にさせてくれる。みているとすぐに京都の大仙院にある‘瀟湘八景図’を思い浮かべた。

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2014.02.09

期待通りに楽しめた‘クリーブランド美展’!

Img_3     雪村の‘龍虎図屏風’(室町時代・16世紀)

Img_0003_4     ‘福富草紙絵巻’(室町時代・15世紀)

Img_0002_4     渡辺崋山の‘大空武左衛門’(江戸時代 1827年)

Img_0004_4     深江蘆舟の‘蔦の細道図屏風’(江戸時代・18世紀)

現在、東博で行われている‘クリーブランド美展’(1/15~2/23)を楽しんだ。クリーブランド美が所蔵する絵画コレクションみるのは2度目、8年くらい前には西洋絵画が公開された。今回は京博であった雪舟展(2002年)や曽我蕭白展(2005年)に出品されたものやこの美術館自慢のお宝である雪村の絵など40点あまりが里帰りした。これには中国絵画と西洋絵画7点のオマケがついている。その作品が上々なので美術館に対するク好感度はさらに上がるい。

最もみたかったのは雪村(生没年不詳)の‘龍虎図屏風’、絵の存在を知ってから十数年が経つが漸くみることができた。お目にかかれる可能性は少ないとみていたから、よくぞお帰りいただいたという感じ。根津美蔵の龍虎図よりこちらのほうに惹かれる。

左に描かれた虎は背中から尾っぽのラインはもうまるで猫、まん丸の顔は愛嬌がありゆるキャラとしてすぐにでもイベントに出演できる。後ろから風にビュービュー吹かれているが、じっと前方の龍をみている。この龍は光が当たってうろこが白く輝く胴体や手足の爪は生き生きしているのに、顔はなんともくたびれた爺さん顔。このアンバランスがおもしろい。

風俗絵巻にいいのがあった。室町時代に制作された‘福富草紙絵巻’。話の内容は一度京都・春浦院所蔵のものをみているから、頭のなかに入っている。思わず笑ってしまうのが中将邸で男が脱糞してさんざんに打たれる場面、‘なんて汚い奴だ!’‘勘弁してくださいよ、あっしは中将殿を楽しませた秀武ちゃんにいい音のする放屁の出し方をしっかり教えてもらったのでご披露しようと思って来たんですよ、ところがどうも腹の調子が悪くなってきましてねえー’。悪ふざけがすぎる長者の秀武にこの男の妻が噛みついたのも無理はないが、亭主をけしかけ自分たちも一儲けしようとするこの強欲な女にいいことがあるはずがない。

今回の収穫は渡辺崋山(1793~1841)の描いた2mをこえる力士の絵、浮世絵では相撲取りの絵がよくみるが、浮世絵以外でしかも等身大で描かれた人物画はお目にかかったことがない。唖然としてみていた。これは一生忘れない絵になりそう。

もう一点、深江蘆舟(1699~1757)の‘蔦の細道図屏風’の前にも長くいた。東博にもこのモチーフで描いたものがあるが、二つを比べると右に川が流れるこの絵の構成に魅力を感じる。修行僧を見送る男の立っている位置や岩に挟まれた道の曲がり具合、そして水流の柔らかな曲線、この空間構成がじつにいい。

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2014.02.08

待望のソチ五輪開幕!

Img_0002       入場行進する日本選手団

Img_0003     ‘ロシアの夢’をテーマにした楽しいショー

Img_0004      火の鳥をかたどった聖火台に点火された聖火

待望の冬季オリンピックがはじまった。今回はロシアの黒海に面する保養地ソチ、ここでオリンピックが開かれると決まったときこの街はまったく知らなかったが、今は地図のうえではイメージできるようになった。

五輪の開会式と閉会式で繰り広げられるエンターテイメントショーは4年に一度の大がかりかつ高い芸術性に満ちた特別仕立てだから、つぎつぎでてくるパフォーマンスを夢中になってみてしまう。午後8時14分にはじまった開会式に出演した俳優やバレリーナやオペラ歌手たちはロシアを代表するとともに世界的に名の知れた人たちであることは、オリンピック賛歌をソプラノ歌手では今トップといわれているあのマリア・グレギーナが歌ったことからも容易にわかる。

西洋美術が好きな人なら4回はこのショーに好感を覚えたはず。最初にアルファベットでロシア史に欠かせないできごとや人物を想起させていたとき、カンディンスキー、マレーヴィチ、シャガールがでてきたし、帝政ロシアのあとの社会の変化を描写する切り口としてにロシア・アヴァンギャルドを登場させていた。

こういうショーにもってこいの音楽がロシアにはいっぱいある、耳に馴染んだ名曲がいくつも流れてきた。ボロディンの‘ダッタン人の踊り’、チャイコフスキーの‘白鳥の湖’、‘くるみ割り人形’、ハチャトゥリアンの‘剣の舞’、そしてストラビンスキーの‘火の鳥’。

最後の盛り上がりはどんな仕掛けがあるのかと固唾をのんでみる聖火の点火。スタジアムの外にある火の鳥の形をした聖火台、そこにむかって聖火は一気にかけ上がっていく。この定番のセレモニーにうってつけの火の鳥、天国のストラビンスキーも満面に笑みを浮かべてみているにちがいない。

さあ、明日から日本選手を熱く応援しよう。ガンバレ、日本!

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2014.02.07

ビッグニュース!今秋 西洋美で‘ホドラー展’

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本日、上野の東博と東京都美をまわっていたとき大変嬉しい展覧会情報が入ってきた。この秋西洋美でスイスの国民的な画家、フェルディナント・ホドラー(1853~1918)の回顧展が行われる。

すでにチラシができており、7点が載っている。油彩、素描などが80点展示されるようだ。日本の展覧会でホドラーを体験したのは8点くらいだが、08年パリを旅行したとき運よくオルセーで開かれていた大規模なホドラー展に遭遇したため、この画家の画風については平均以上に目は慣れている。

ホドラーに興味が湧いたのはクリムト(1862~1918)の‘ベートーベンフリーズ’(1902年)にでてくる人物の描き方がホドラーの‘選ばれた人’(1893~94)で使われた平行の原理に強い影響をうけていることがわかったから。ベルン美にある‘選ばれた人’との出会いを切に願っているのだが、この絵は美術館のお宝のひとつだから日本にはやってこない。こういう絵は現地に出向くほかないが、実現にはまだ時間がかかりそう。

ホドラーの絵はチラシに使われている作品のように女性や男性を3~5人くらい画面のなかに平板に横に並べていくのが特徴。また、背景を単色にして描かれた肖像画も多く、自画像も何点かある。5年くらい前、世田谷美であった‘ヴィンタートゥール美展’には自画像と女性画の2点が出品された。

ホドラーはスイス人だからアルプスを描いたものも多い。チラシの7点のうち4点が山の絵。山はだいたい湖の向こう側でとらえられる。懐かしいレマン湖やトゥーン湖とアルプスの山が一緒にでてくるとスイスモードは全開。画面全体がすっきりと明るい色で彩られ、山や雲の形は意匠化されたように表現されているので装飾的な香りがする作品になっている。

今年はチャレンジしてくれないかなと思っていた画家の回顧展がいくつもある。今はシャヴァンヌがBunkamuraに登場し、4月がバルテュス(東京都美)、そのあと6月には三菱一号館美がヴァロットンをやり、秋にホドラー、最後が横浜美のホイッスラー。楽しみの多い1年になりそう。

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2014.02.06

Eテレ‘100分de名著’ 世阿弥の‘風姿花伝’!

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Eテレに‘100分de名著’というよくできた番組があり、関心のある本がとりあげられるときは楽しくみている。今年のスタートは世阿弥(1364~1443)が書き残した芸術論‘風姿花伝’、期待通りとてもおもしろかった。

指南役を務める先生は明治大学教授の土屋恵一郎さん、20歳から能にのめりこんでおり能の評論家でもある。話が上手いのでこれまで上梓された本のひとつでも読んでみようかという気になる。例えば、‘出世術は世阿弥に学べ’、‘世阿弥の言葉’。

能の舞台を生で見たことがないのに、‘風姿花伝’は読んでいる。岩波文庫のワイド版が出版されたのが1991年だから、今から20年くらい前のこと。以来この本は近くに置いている本の一つになった。マーキングしてある言葉をいくつかあげてみると、

‘初心忘るべからず’
‘秘すれば花なり’
‘幽玄’
‘序破急’
‘男時(おどき)、女時(めどき)’

‘初心忘るべからず’には思い出がある。会社で‘顧客満足度’の研修セミナーがあたっとき一本のビデオテープをみせられた。講師はホテルオークラの人、この方の話は今でもよく覚えている。こんな内容だった。

ホテル業に限らず、サービス業の仕事というのは毎日同じことの繰り返しなんですね。ホテルで働く人は男性でも女性でもいつも笑顔を絶やさず、お客様を心からお迎えし気持ちよくホテルのなかですごしていただく。そのために言葉使い行動に注意し、お客様に不愉快な思いをさせない。

社員のなかにはこれが励行できる人間もいるが、まだ期待値に達しない人間もいる。ではどんな人がよくないか、若手かベテランか。われわれは若手のミスよりベテランのミスを重要視している。若手は経験が足りないのだからある程度のミスは仕方がない。こうしたうっかりミスは何年も同じ仕事をしている人間でもみられる。これはよくない。

仕事に慣れひととおりできるようになるとどうしても余裕ができ緊張感が緩んでくる、だから、ベテランの人にはいつも‘仕事をはじめたとき、初舞台に立ったときのあの気持ちを忘れないように’と言っている。‘初心忘るべからず!’です。

若いころ山崎正和さんの本をよく読んだ。座右の書は‘室町記’(1976年 朝日選書)、この本のお陰で知識の森のなかに、現在の日本文化の原形をつくった室町文化の太い幹をのばすことができた。山崎さんの文章は惚れ惚れするほどキレがいい。ほとほと感心する。

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2014.02.05

サプライズの魔鏡現象!

Img_0004     ‘三角縁神獣鏡’(3世紀)

Img_0005      復元された‘三角縁神獣鏡’の鏡面

Img      鏡裏面の文様が映る魔鏡現象

1/31のTVニュースに大変興味深い映像が流れた。京博がデモンストレーションした‘魔鏡現象’、3世紀頃の古墳から出土した‘三角縁神獣鏡’を復元したものの鏡面に太陽の光を当てると壁に文様が映しだされた。

三角縁神獣鏡のことは知っていたが、この魔鏡現象というのははじめてみた。壁に現れた文様は鏡の裏面に描かれた神や獣。こういうパフォーマンスにより当時の支配者は人々に自らの権力を示していたのだろうか。遠い古代社会の風景に心が誘われる思い。

この古代鏡の復元に威力を発揮したのが最新の3Dプリンター技術、応用の範囲をドンドン広げているこの新兵器は美術品にも使われだした。ちょっと前までは魔鏡現象を確かめてみるなんてことは誰も考えなかったはず、その意味ではいい時代に生きている。

卑弥呼が女王として君臨した邪馬台国がどこにあったのか、九州か近畿か?今は近畿説が有力になりつつあるが、それを裏付けるものの一つが1997年に天理市黒塚古墳から大量にでてきた銅鏡。縁が鋭く三角にとがった‘三角縁神獣鏡’が34枚もみつかった。

魏志倭人伝には鏡についてこう記されている。
‘景初三年魏は卑弥呼に銅鏡百枚を贈った。そして、卑弥呼に魏と国交を結んだことを国中の人に知らしめるよう申し伝えた’。で、卑弥呼は銅鏡を日本中に配布したと考えられ、黒塚古墳と同様の三角縁神獣鏡は日本中から出土している。

卑弥呼は黒塚古墳付近を拠点にして鏡を全国へ配ろうとしたのではないか、近畿で銅鏡の出土数が多いのはここに邪馬台国があったから、これが近畿説のひとつのストーリー。

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2014.02.04

逸見東洋の彫漆をみてみたい!

Img_0001     岡山市にある林原美術館

Img     逸見東洋の‘風神雷神図堆朱盆’(1911年)

Img_0002     20代堆朱楊成の‘彫漆文台 野遊之図’(1914年)

Img_0003     20代堆朱楊成の‘彫漆平卓 柳桜’(1941年)

広島に9年住んでいたとき、中国地方の美術館へよく足を運んだ。岡山県には倉敷市に有名な大原美があり、3回ほど訪問した。そして、岡山市では県立美と林原美にでかけた。

県美はどのあたりにあったかアバウト覚えているのだが、林原美の場所はすっかり忘れている。でも、ここで体験した広重の浮世絵展と常設展示されていたやきものの鍋島は図録の大整理を進めていることもあり記憶は消えていない。

昨年末に放送された‘美の巨人たち’にこの林原美が所蔵している彫漆がとりあげられた。それは逸見東洋(1846~1920)という稀代の名工がつくった‘風神雷神図堆朱盆’。館長によるとこの作品が日本の彫漆作品の最高傑作だという。番組で詳しく堆朱の制作過程などを解説してくれたので、東洋の技がどれだけスゴイかがよくわかった。

彫漆というのは漆を塗って厚みを出しそれを彫り込んでいき作品に仕上げたものであることは知っていたが、林原美に東洋が6年の歳月を費やして完成させた作品があることは訪問したときは情報としてインプットされてない。だから、そのとき展示してあったとしても(常設展示ではない)みていてもみていない状態だったと思う。

番組で東洋のつくった作品がいろいろでてきたのでこれらを一度まとまった形でみたくなった。いつそれが叶うか見当もつかないが、追っかけ作品のリストに東洋を加えることにした。

堆朱に興味をもつようになったのは1993年日本橋の高島屋で開催された‘敦井コレクション展’に出品された20代堆朱棏成(1880~1952)の作品を体験してから。やきものの赤にはそうたびたびでくわすことはないが、彫漆の場合大半が赤一色だから強いイメージが心に植えつけられる。中国美術展にはときどき彫漆が交っていることがあるから、東博で行われる‘台北故宮博物院展’でも楽しめるかもしれない。

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2014.02.03

今シーズン期待にこたえられるか中島、和田、藤川、松阪?

Img  今シーズン メジャー昇格をめざす中島

大リーグは2週間後にはキャンプがスタートする。ヤンキースと契約したマー君は来週NYで入団会見をし、そのあとフロリダでのキャンプ入りだからあわただしい。日本のメディアも多くのスタッフを派遣してマー君を追っかけることになるのだろう。また当然アメリカのTV局も密着取材し、日本からやってきた大物ルーキーの動きを全米に発信するからヤンキースファンだけでなく野球を愛する人々の目がマー君に集まることはまちがいない。

今年日本人投手はいい成績をあげられるか。3年目のダルビッシュは20勝するか、岩隈は昨年同様安定したピッチングでマリナーズの勝利にどれだけ貢献できるか、そしてヤンキースの黒田、心配な面が6割というのが正直なところ。過去2年頑張った分、体力的な疲れがでてこないか。そしてレッドソックス中継ぎの田澤と抑えの上原の快投は続くか、

こうした実績のある選手たちへの期待が高まる一方で、今シーズンマイナー契約の身分でキャンプインする選手のことも気になる。3人いる。昨年アスレチックへショートのレギュラーとして入団した中島、期待していたのだがキャンプで怪我をし出鼻をくじかれた。その怪我が直ったのにメジャーに昇格できなかったのは実力を過大評価していたことに球団が気づいたから。とくに期待値に達しなかったのが守備力。

今年はもう打撃も守備もがむしゃらにやるしかない。打撃はパンチ力がありいいところで打つのだから安定感のある守備をみせられればメジャーでも働ける。自信をもってプレーすれば大丈夫、がんばれ中島!

シーズンオフにオリオールズからカブスに移った和田もマイナー契約でキャンプにのぞむ。肘の手術から1年以上たったから、早くメジャーにあがって1勝したいところ。左投手は大リーグでは貴重な存在。和田はいい投球術をもっているからきっかけをつかめばバッターを抑えられる。そして、同じカブスに所属する抑えの藤川、肘にメスを入れてまだ1年にならないので今シーズンの後半に復帰できるかどうか。気がめいるリハビリだろうが、復活した投手は何人もいるのだから諦めることはない。

昨年シーズンの終盤になってメッツに入団し3勝あげた松阪、今年は開幕からメッツの先発陣のひとりとして登板すると思っていたが、現実は厳しくマイナー選手としてキャンプインしオープン戦でその実力をチェックされることになった。38歳の上原が昨年あれほど活躍したのだから、松阪だって必ず復活できる。熱く応援したい。

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2014.02.02

ズームアップ 名画の響き合い! 1875年

Img_0002_2     モネの‘日傘をさす女性’(ワシントンナショナルギャラリー)

Img_2     カイユボットの‘床のかんなかけ’(パリ オルセー美)

Img_0001_2  ビーアスタットの‘コーコラン山’(ワシントン コーコランギャラリー)

Img_0003_2   ロセッティの‘プロセルピナ’(ロンドン テートブリテン)

モネ(1840~1926)が描く風景画に200%魅せられており、印象派の画家のなかでは鑑賞した作品の数が群を抜いて多い。海をモチーフにしたものや連作の‘睡蓮’とか‘ルーアン大聖堂’などには人物は登場しないが、
川沿いの風景や駅舎を描くときでも多くの作品に人物がでてくる。

日傘をさす女性をモネは3点描いている。ワシントンのナショナルギャラリーにあるのは最初に描かれたもの。3年前国立新美で開催された‘ワシントンナショナルギャラリー展’にやってきたときはその光り輝く画面を立ち尽くしてみていた。モネには好きな絵がいくつもあるが、ベスト5でもこの絵は残ってくる。手元にあるTASCEN本の表紙をこの絵が飾っている。

昨年ブリジストン美が回顧展を行ってくれたカイユボット(1848~1894)、この画家を知るきっかけとなった絵が1875年に描かれた‘床のかんなかけ’。なんでまた床を削る絵なの?と正直思ったが、絵画の鑑賞というのはこういう思いがけないモチーフのほうが強く脳裏に刻まれる。回顧展でこの画家の画業全体が明らかになったので、この絵のよさがわかってきた。やはり絵画は多くの作品をみるにかぎる。

ハドソンリヴァ―派のビーアスタット(1830~1902)はモネより10歳年上のアメリカ人画家、ちょうど1年前はじめて訪れたコーコランギャラリで息を吞むような雄大な山の絵と出会った。コールやチャーチの大自然画もこの美術館、ナショナルギャラリー、フィラデルフィア美、メトロポリタン美でみてますますハドソンりヴァ―派が好きになった。

フランスで印象派が誕生したころ、イギリスではラファエロ前派のロセッティ(1828~1882)がゾクゾクっとするるような美女をモデルにして‘プロセルピナ’を描いている。ロッセティのいうとなんといってもこれが一番、嬉しいことにまた日本にお出ましいただいたのでその美しい姿態を目に焼きつけるため森アーツセンターに足を運ぶことにしている。

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2014.02.01

ズームアップ 名画の響き合い! 1874年

Img_0004     モネの‘印象日の出’(パリ マルモッタン美)

Img_0001     ルノワールの‘桟敷席’(ロンドン コートールド美)

Img_0005     マネの‘アルジャントゥイユ’(トゥルネ美)

Img_0003     コローの‘青い服の婦人’(パリ ルーヴル美)

歴史上の人物は政治家でも芸術家でも、また科学者でもいつ生まれいつ死んだのかということはその人物に特別の思い入れがないかぎり、すらすらとは出てこないし覚えようともしない。だから、これをしっかり頭のなかにいれようと思うとそれなりの努力がいる。

芸術家といっても画家、彫刻家、陶芸家など得意分野は様々だし、名の知れたものは沢山いる。全部はとてもカバーしきれないが、拙ブログではとりあげる作品を生み出したアーチストについては生まれた年、亡くなった年を必ず記してきた。この習慣を続けてきたためかその作家の活躍した時期のイメージがだんだん定着してきた。

そこで、今は次のステージに入っている。芸術の歴史のなかで名を残した作家の作品のうちお気に入りのものを5点選びそれらを時間軸で並べてみることで、傑作が響き合った年を強く心に刻む。スタートはライフワークである印象派が誕生した年、1874年。

第一回の印象派展に出品された作品で最も印象深いものはやはりモネ(1840~1926)の‘印象日の出’、マルモッタン美でこれとはじめて出会ったときは興奮した。これが本物か!ルノワール(1841~1919)の描いた女性画は好きな絵が多いので5点に絞り込むのは苦労するが、‘桟敷席’はどうしてもはずせない。この絵を1997年日本橋高島屋であったコートールド美名品展でみて以来、魅了され続けている。

1874年はマネ(1832~1883)の‘アルジャントゥイユ’、コロー(1776~1875)の‘青い服の婦人’が描かれた年でもある。‘アルジャントゥイユ’は‘光の賛歌 印象派展’が京都文化博物館で開催されるとき(3/11~5/11)、追っかける予定。コローは亡くなる1年前にこの傑作を完成させている。

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