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2014.01.12

‘シャヴァンヌ展’は特別な鑑賞体験!

Img     ‘諸芸術とミューズたちの集う聖なる森’(1889年 シカゴ美)

Img_0006     ‘労働’(1867年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img_0003     ‘羊飼いの歌’(1891年 NY メトロポリタン美)

Img_0001            ‘幻想’(1866年 大原美)

展覧会の開催を知ったときから関心を寄せていた‘シャヴァンヌ展’(1/2~3/9)をみた。美術館は好感度の高い渋谷のBunkamura。

シャヴァンヌ(1824~1898)の作品をみる機会は2012年末の時点ではごく限られていた。まとまった形でみたのはオルセーに展示してある‘貧しき漁師’とか‘夏’など9点とメトロポリタン蔵の5点くらいしかなく、このほかはロンドンのナショナルギャラリーにある‘洗礼者聖ヨハネの斬首’とか日本で開催されたシカゴ美やフィリップスコレクションやウィスロップコレクションの名品展でみた4点などがプラスされるだけ。だから、トータルの体験はせいぜい20点ほど。

そして昨年1月アメリカの美術館をまわったとき、シャヴァンヌ作品が少しばかり増えた。今から振り返ると今回の回顧展のプロローグだったのかもしれないが、ワシントンのナショナルギャラリーで3点、フィラデルフィア美で2点と遭遇した。

そのうちナショナルギャラリーでみた2点がBunkamuraに展示されていた!現地では忙しくてメモする暇がなかったタイトルは‘労働’と‘休息’というものだった。この2点だけでなく今回出品されている作品の大半はフレスコ画風の壁画の縮小作品。

シャヴァンヌが公共建築の壁を飾る壁画で名をなしたことは一応インプットされているが、なにぶん1874年からはじまり1900年に完成したというパリのパンテオンの壁画装飾をはじめとしてこれまで一度も壁画にお目にかかったことがない。そのため、目の前にある作品は傑作‘貧しき漁師’や‘少女’のような精神性の高い象徴的な作品とはまったく別のものをみているという感じ。

壁画装飾として油絵具の艶を消したような淡い色調で描かれているのは穏やかで荘厳さが漂う世界。アルカディア風の森が聖なる舞台となっているのがシカゴ美が所蔵する‘諸芸術とミューズたちの集う聖なる森’、チラシをみたときからみたくてしょうがなかったが、期待通りのすばらしい作品。この壁画はシャヴァンヌの生まれ故郷であるリヨン美の階段の壁に描かれているそうだ。いつかみてみたい。

ところで、不思議なのがこの絵と08年シカゴ美を訪問したとき会ってないこと。どこかへ貸し出されていたのだろうか、この大きな絵は美術館がつくる図録(英語版)にもどういうわけか掲載されてない。だから、展覧会のチラシで絵の存在を知ったときは頭が混乱した。こんないい絵なのに情報がまったくないとは。そういうわけでBunkamuraでこれを体験できたことは一生の思い出になる。

メトロポリタン美の‘羊飼いの歌’ は1年前にみたばかりだから記憶に鮮明に残っている。これと対照的なのが数回足を運んだ倉敷の大原美にある‘幻想’ と‘警戒’、この大きな絵をみたという実感がまったくない。どうしたことか?東京でリカバリーできて本当によかった。

ほかで印象深いのは平面的な人物描写が強いインパクトをもっている‘聖女マリアたちの上陸’とパンテオンの壁画の一部の‘聖人のフリーズ’。フィラデルフィア美では‘聖人のフリーズ’は展示されておらず、出会った2点は‘労働’と似たタイプの作品だった。

この回顧展を契機にシャヴァンヌの描いた壁画をめぐる旅がしたくなった。スタートとしてパリに行くことがあったらパンテオンへ出かけることを心に決めた。

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コメント

私も一昨日行ってきました。

ビデオが詳しく解説してくれているのはありがたかったです。

改めて感じたのは、油絵なのにフレスコ画を思わせる、艶消しされた色調です。それが他の油彩画とはまるで違う雰囲気を持っていて、惹きつけられました。

また影をほとんど描かない平面的な画面は、モーリス・ドニに影響を与えたというのも、よくわかりました。

フラ・アンジェリコを描いた作品がビデオで紹介されていましたが、やはりシャヴァンヌは、フィレンツェのサン・マルコ修道院などのフレスコ画に感動したのでしょうか。

人物の顔について気がついたのですが、初期の作品を除いてシャヴァンヌは、目や瞳を描かないのですね。両目のところがただ影で表されているのは、人物の内面については見る人に想像してほしいということなのかな、とも思いました。


投稿: ケンスケ | 2014.01.13 08:06

to ケンスケさん
ビデオが流れてましたが、これはみませんでした。
シャヴァンヌは20代のとき2度でかけたイタリア
でフレスコ画のとりこになったのでしょうね。油分
の少ない絵の具を使っています。

ドニとシャヴァンヌのつながりも平面的な描写を
みると納得です。今回の回顧展をみたおかげで
タブローはだいぶみたことになります。となると、
次はどうしても壁画になりますね。リヨン美と
パンテオンを当面の目標にします。

投稿: いづつや | 2014.01.13 13:46

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