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2014.01.11

極上のやきもの展 ‘板谷波山の夢みたもの’!

Img     ‘彩磁桔梗文水差’(1953年)

Img_0001     ‘葆光彩磁草花文花瓶’(1917年)

Img_0002     ‘葆光彩磁花卉文花瓶’(1923年)

Img_0003     ‘彩磁延壽文花瓶’(1936年)

江戸東博で浮世絵の名品の数々に出会いテンションがプラトー状態のまま、次に向かったのはJR有楽町駅から歩いて5分で到着する出光美。ここで今没後50年となる板谷波山(1872~1963)の回顧展(1/7~3/23)が開かれている。関心の高い展覧会のときはすべてに気がまわる、そのシンプルなタイトル‘板谷波山が夢みたもの’もいい感じ。

波山のやきものを回顧展へでかけてみるのは2度目。前回みたのは今から17年前、当時広島に住んでおり門司にある出光美の分館で板谷波山展があるというので、クルマを走らせた。そのとき購入したのは回顧展のためにつくられた図録ではなくその前にできていたもの、これをみると掲載された作品の半分くらいが展示されていた。だから80点くらいだったように記憶している。

今回は出光の波山コレクションの173点がでている。近代の陶芸家としては別格の存在である板谷波山の作品がこれほど多くみれるのだから、素直に嬉しい。バラエティに富んだ作品のなかでとくに心が揺すぶられるのが葆光彩磁(ほこうさいじ)、葆光というのは光をつつみかくすこと、艶のないことを意味する。

波山がこの淡い彩色を施し艶消し釉をかけた葆光彩磁を完成させたのは大正のはじめころ。草花の表面に浮かびあがる微妙なぼかし効果は淡いベールにつつまれたような色合いを生み、色彩のむこうから淡く光がもれているかのよう。とても温かみがあって穏やかな感じがするのがこのやきものの魅力。

お気に入りは花瓶の形とアールヌーヴォー調の花の図案が完璧に一体化している‘草花文花瓶’と花の咲き具合と枝ぶりがとても美しく感じられる‘花卉文花瓶’、こんな名品に会えると心がふわふわしてくる。彩磁の作品にも端正なアールヌーヴォーの美を表現したものがある。波山が81歳のときに制作した‘桔梗文水差’、このシャープなデザイン感覚にはただただ感心するばかり。

釉下彩の作品、彩磁には鳳凰や鳥や鹿などの生き物をモチーフにしたものがあるが、一番好きなのは胴部に窓をもうけ薄肉彫りで桃を描きまわりを青の青海波でうめた‘延壽文花瓶’。この再会した吉祥文の桃を息を吞んでみていた。

満足度200%のご機嫌な展覧会だった。ミューズに感謝!

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コメント

初日に見て来ました。チラシに出ていた淡い色合いの作品に惹かれたからでしたが、行ってみると、予想を覆す多彩な作品群に圧倒されてしまいました。単にきれいなだけではない、独特の艶やうるおい、生命力。触れてみたいとか、抱きしめてみたいとこれほど感じた器の展覧会は初めてです。
来場者が少なかったですが、もっとたくさんの方に見に行って頂きたい展覧会でしたね。

投稿: みけ | 2014.01.13 01:26

to みけさん
ひさしぶりの波山、傑作の数々を堪能しました。
波山のやきものは平均的なものがないのがすごい
ですね。

とにかく一点々の器の形のよさ、豊富な色のバリ
エーションに見惚れてしまいます。とくに葆光彩磁
の淡いベールがかかったような優しい色調には心が
和みます。やきものは色が永遠に残るのがいい
ですね。

投稿: いづつや | 2014.01.13 13:24

今日観てきました。
至極の時間ですね、来場者も少なかったし。
葆光彩とは、つまりは、光を包むということなのですね。
白にも、あれこれ名前付けるところが、波山の真骨頂でしょうか。
出光美術館の所蔵品だけかと思ったら、佐野市立吉澤記念美術館というところからも借りてますね。
下図だけが展示された、野間記念財団の作品は借りられなかったのでしょうか、実物と見比べてみたいです。

投稿: oki | 2014.01.24 22:31

to okiさん
吉澤記念美のものはまだお目にかかってません
ので1点でもみれたのは幸運でした。野間美の
波山は常時飾ってあったような気がしますが、
最近ご無沙汰してますので記憶があやふやですが。

波山は完璧主義者ですから、よくみないと気づか
ないような傷とか釉薬の流れでも皆失敗作として
家の裏でこわしました。日本画の上村松園がちょ
っとでも線が乱れたらすぐ描き直すのと同じです。
ですから、波山の作品には並みの出来栄えだな
というのはないんです。

もう近代陶芸家の神様みたいな芸術家ですね。
敬愛してます。

投稿: いづつや | 2014.01.24 23:36

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