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2013.12.12

点描から生まれる美  風俗画!

Img_0002     シニャックの‘ダイニングルーム作品152’(1886~87年)

Img_0003     レイヘルベルヘの‘7月の朝’(1890年)

Img_0004     トーロップの‘版画愛好家’(1897~1900年)

Img_0005     リュスの‘鋳鉄工場’(1899年)

国立新美にクレラー=ミュラー美が所蔵するスーラ(1859~1935)やシニャック(1863~1926)などの作品がやって来るという情報得たとき、あの傑作がみられると喜びが隠せなかったのはスーラよりもシニャックのほう。その期待の絵は‘ダイニングルーム’

それまでにみたシニャックの点描画というとほとんどが海景画、オルセー蔵の作品や西洋美や宮崎県美にあるものなどいろいろみてきた。スーラの点描から生まれてくる風景画が‘静の美’につつまれているのに対して、シニャックの海の絵は‘動の美’であり、軽音楽がバックに流れるパラダイス映像をみている感じ。

そういうイメージがシニャックの作品として体に刷り込まれているので、この‘ダイニングルーム’には強い衝撃を受けた(拙ブログ12/1/4)。圧倒的な存在感で椅子に座っているのが右の横向きの老人。じつに威厳のある顔。まさに裕福な家庭の旦那様という感じ。

現地ではスーラがパリのダンスホールで繰り広げられるシャユ踊りの場面を描いた作品の横にこのシニャックの絵が並べられている。スーラは海の絵では音が消え人の気配がしない静寂な光景に仕上げているのに、人物が大勢登場する風俗画では激しい踊りにより画面が揺れ動き音楽がガンガン聞こえてくる。

シニャックはこれとまったく逆。海に停泊する船や波の動きは鮮やかな色の点々を使い輝く光のなかにとけこませて描いたが、人物の描写は形がよく整いとても静か。この描き方の違いが興味深い。そんなことを思いながらこの老人をしばらくながめていた。

レイヘルベルヘ(1862~1935)は点描ではスーラ、シニャックに次ぐビッグネーム。ぐっとくる作品が多く、以前から気になる存在だった。今回6点でている。お気に入りはなんといっても2年前にも大変魅了された‘7月の朝’、この絵がこれまでみた作品のなかではベストワン。

この絵のタイトルはスーラの代表作‘グランド・ジャットの日曜日の午後’を意識してつけられている。構図がとても巧み。画面の中央に夫々別の方向をむいている5人の女性が描かれている。右の二人は大きな幹の木を挟んで椅子に座らせ、木に顔が隠れている女性のむこうには3本の木を縦に配置する。これにより画面に奥行きをつくっている。

そして、遊んでいる3人のこどもを極端に小さく描かれているため空間が広々としているとつい錯覚してしまう。この絵はまさに光の賛歌、木漏れ日がつくる衣服の白い丸をみているとルノワールの初期の傑作が目の前をよぎり光の描写に釘づけになる。

再会したトーロップ(1858~1928)の肖像画も嬉しい一枚。昨日とりあげた‘海’同様、長くみていた。リュス(1858~1941)の鋳鉄工場を描いた一枚にはびっくりした。溶鉱炉や溶けた金属がでてくる絵が点描の技法で描かれていることがすごく新鮮、瞬時に日本画家の川端龍子が建艦の作業の現場を描いた‘海洋を制するもの’を思い浮かべた。

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