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2013.11.06

都市風俗画の名手 カイユボット!

Img_2     ‘ヨーロッパ橋’(1876年 ジュネーブ プティ・パレ美)

Img_0002_2     ‘ヨーロッパ橋にて’(1876~77年 フォートワース キンベル美)

Img_0006_2     ‘シルクハットの漕手’(1877年)

Img_0005_2  ‘ジュヌヴィリエの平野、黄色の畑’(1884年 メルボルン 国立ヴィクトリア美)

ブリジストン美で開催中の‘カイユボット展’(10/10~12/29)をみてきた。昨年この美術館で‘ドビュッシー 音楽と美術展’があったとき、カイユボット(1848~1894)が弟をモデルにして描いた‘ピアノを弾く若い男’(拙ブログ12/8/8)にとても魅了された。カイユボットは08年シカゴ美で代表作に出会って以来気になる存在、だからこの絵との出会いを素直に喜んでいたが、美術館の人たちは作品の購入を機に回顧展まで突き進んでいた。

今回油彩が51点でている。これまでみたものはオルセーにある自画像、ブリジストンが手にいれたもの、そして2年前やって来たワシントンナショナルギャラリー蔵の‘ペリソワール’(11/6/24)の3点のみなので、どの絵もすごく新鮮にうつる。

最もみたかったのは美術本では長いこと対面している‘ヨーロッパ橋’、この絵を所蔵しているのはジュネーブにあるプティ・パレ美。若い頃ジュネーブに住んでいたが、当時は絵画への興味は普通程度だったから、この美術館へは足を踏み入れてない。

時が流れて今ではカイユボットに開眼するまでになり、何年か先に予定しているスイス美術館めぐりでこの絵との対面を果たそうと思っていた。それが幸運にも日本で叶えられることになった。この絵に描かれているのは橋の上、視線がむかうのは3つ。隣の女性となにか話しながらこちらにやってくる帽子の男、手前の犬、そして鉄の柵に体を倒し前方の駅の情景をみている男。

帽子の男が女性に話しかける姿は海外を旅行しているとよく目にする光景、男性でも女性でも二人でしゃべりながら歩いているとき彼らは互いの顔をときどきみながら話すので体を横にまげる。日本人はまっすぐ前をみながら話すことが多いのでこういうふうに体はくねくね左右に揺れない。日差しが強いので人物や犬の影がくっきり地面にでき、遠近法で描写された右の頑丈そうなX字の鉄のところにも光が当たり消失点まで続いている。図版でみる以上にすばらしい絵だった。

アメリカ・テキサス州のフォートワースにあるキンベル美が所蔵する‘ヨーロッパ橋にて’(展示は11/10まで)がみれるのは嬉しいかぎり。これはチラシに載ってなかったから驚いた。目に焼きつくのが帽子の男がみている列車の煙の白さ。輝いている。そして、男の手と顔、じつにいい色をしている。この絵は写真をみているよう。活気づくパリのひとこまがこの絵に封じ込まれている。

ぐっときた絵がもう2枚ある。お気に入りのカヌーの絵‘ペリソワール’の隣に飾ってあった‘シルクハットの漕手’。このいかにも裕福そうな男が力をこめてボートを漕ぐ姿に圧倒された。これは大収穫。モネの絵とみまがうほどに光が満ち溢れているのが‘ジュヌヴィリエの平野、黄色の畑’。カイユボットがこんな印象派全開の絵を描いていたとは!

満足度200%の回顧展だった。ミューズに感謝!

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コメント

カイユボットの全体像がわかる、いい展覧会ですね。

後期の作品はともかく、前期の作品は印象主義的というより古典的な作風ですね。それで当時は、ほかの印象派の画家たちほど有名にならなかったのでは?と思いました。

それでも『ヨーロッパ橋』を初め魅力的な作品が多く、一点一点丁寧に見ていたら、かなりくたびれてしまいました。

ただ、もう一点の『ヨーロッパ橋』を見た時、キンベルという所蔵先を見落としてしまい、いつづやさんのご指摘で「えっ」と思いました。15年ほど前キンベル美術館に行ったのですが、このとき見た記憶がありません。

いづれにしても、日本でカイユボットの絵がまとめて見られる機会は、大変貴重ですね。


投稿: ケンスケ | 2013.11.07 07:54

to ケンスケさん
人物画をみているとカイユボットはドガを意識
している感じですね。また、ルノワール、モネ風
も目にとまりました。‘黄色い畑’と‘猟鳥’は
モネの絵かと思いました。

そして、カイユボット独自の画風で描かれた
‘ヨーロッパ橋’やカヌーやボートを漕いでいる絵
に大変魅了されます。

08年シカゴ美で‘パリの通り、雨’をみて以来、
カイユボットが気になる存在になりましたから、
沢山の作品を前にして最高の気分です。

キンべル美にある絵は昨年、‘夢の美術館’に載
せましたから、じぇじぇじぇです。次の目標は
ルーアン美にある絵です。いつかみたいですね。

投稿: いづつや | 2013.11.07 09:10

カイユボットとモネは親しかったんですね。
三菱一号館の名品展で出ていました。
ブリヂストンが、カイユボットの作品購入して回顧展に進んだように、三菱一号館も、ヴァロットンの作品購入して、来年回顧展やるそうです。
ブリヂストンはまだ観ていませんが、日本橋丸善で図録売っていて、それ眺めて、力入っているなと。
いづつやさん、スイスですか、セガンティーニとか、楽しまれるのかな?

投稿: oki | 2013.11.08 00:45

to okiさん
カイユボット展、期待値以上によかったですよ。
モネのような光全開の絵が描けるのは印象派の
なかでもルノワールだけだと思ってましたが、
カイユボットがいました。大きな発見です。
ブリジストンへはあまり行きませんが、今回は
大ヒットだと思います。

スイス美術館めぐりはセガンティーヌ美とか
印象派の宝庫、オスカーラインハルトコレク
ションなど楽しみがいっぱいなんです。

投稿: いづつや | 2013.11.08 11:20

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