プラハ国立美に展示されているミュシャの‘スラブ叙事詩’!
西洋絵画の名画のなかにはとても関心が高いのにそれをみる機会がかぎりなく小さい作品がある。アルフォンス・ミュシャ(1860~1939)が14年の歳月をかけ描いた20枚からなる‘スラブ叙事詩’もそのひとつ。
ミュシャの存在を知ったのは1999年ころ。作品を見た瞬間昨日紹介したようなアールヌーヴォー調の装飾文様に飾られた衣装をまとった女性の虜になった。心がとろけるような整った顔立ちとしなやかな肢体、こんな女性を描くミュシャは当時パリっ子の関心を的だった。
そんな人気画家がアメリカをへて故郷のチェコに帰ると、スラブ民族のアイデンティティを強く意識するようになり千年以上におよぶスラブの歴史の連作を描きはじめる。1912年のこと、それから1926年までかけて20枚を描きあげ‘スラブ叙事詩’が完成する。
この連作はいつもはブルノ(昨日の記事の地図を参照方)の近郊にあるモラフスキー・クルムロフ城に飾られている。このことは1999年のころ情報としてはインプットされていた。でも、そのブルノがチェコのどのあたりにある街かがわかったのはそれからだいぶ経ったあと。
今、‘スラブ叙事詩’はプラハの国立美で展示されている。ネットでチェックしたら昨年の5月10日から展示されており、当初は9月30日までだったが、これが12月31日まで延長になっている。プラハ国立美は幸いにも10年前中欧を旅行したとき訪問した美術館。
収蔵品は8つの分館に展示されている。多くの人が足を運ぶのはプラハ城のすぐ近くにあるシュテルンベルク宮殿、ここでは古典絵画のすばらしいコレクションをみることができる。もうひとつ外せないのが19世紀から20世紀の絵画、彫刻、工芸品を展示しているヴェレトレズニ宮殿、‘スラブ叙事詩’が展示されているのはこの宮殿。
ここは旧市庁舎広場からはちょっと離れた北東3キロくらいのところにある。地下鉄に乗り、途中で何人もの人に聞いてようやくたどり着いた。この美術館でミュシャの絵、アンリ・ルソーの‘私自身、肖像=風景’とクプカの抽象絵画の傑作をみれたのは一生の思い出、ここで今ミュシャの‘スラブ叙事詩’が公開されている。孫悟空のように空を飛んで駆けつけたい気持ちになる。
| 固定リンク
コメント