アゲイン ‘洛中洛外図屏風’に完全密着!
‘福岡市博本 通りのにぎわい 曲芸’(重文 江戸時代・17世紀 福岡市博)
東博で開催されている‘京都展’(10/8~12/1)は11/6から後期がスタート、重文の‘洛中洛外図屏風’が3点でてくるので喜び勇んで出かけた。
洛中洛外図をみるのは体力的にしんどい面があるが、残っている重文3点をみれば済マークがつくので完全密着してみた。前回同様通期に展示されている‘舟木本’はパス。まず列の最前列に並んで蟹の横這いをしたのは国立歴博にある最古の洛中洛外図‘歴博甲本’。
通りで営業している店が何を売っているのか見当をつけようと思うのだが、知識不足ではっきりとはわからない。当たっているかなというのは扇子屋、やきもの屋、魚屋、そして右隻の左端に公衆浴場があるのをみつけた。ここから視線を下に移すと辻では念仏踊の真っ最中。この洛中洛外図では祭りの場面がそれほど躍動的に描かれてないので、この輪舞する踊り手の姿に思わず足がとまる。通りには定番の動物、犬、闘鶏、猿がいた。
次にみた‘福岡市博本’は楽だった。屏風としては六曲一双だが、天地が短く通りがひとつだけしか出てこないので目をキョロキョロさせずにすみ、描かれているひとつ々の場面に気持ちが集中できる。目を惹いたのが女たちが夢中になってみている曲芸、女の後ろをみると煎茶売りが商売をしている。そして、その右にあるうどん屋の前では男が竹で子どもを打ちつけている。何が気にさわったのか?
右隻のはじめにおもしろい場面が描かれている。白い衣装を着た坊主が酔っぱらって千鳥足、女に支えられてやっと立っている感じ。隣で行なわれている勧進相撲に興じてつい飲みすぎたのかもしれない。イベントや祭りに酒がつきものというのは今も昔も変わりない。また、左隻にでてくる二人の大原女にも足がとまった。頭に炭をのせ元気よく歩いている。その前では人形使いが女、子どもたちの視線を釘づけにしている。
最後にみた‘池田本’(岡山・林原美)でびっくりさせられるのはまばゆいばかりに輝く金雲と描かれている人物の多さ、その数なんと3000人。画面のいたるところで賑やかな祭りの場面や見世物や踊りがみられ、京の町全体にあふれる活気と華やかさがあますところなく描かれている。単眼鏡で隅から隅までみたのでちょっと疲れた。
とくに興味深くみたのはエンターテイメント心に火をつける見世物。猿の被りものをしたパフォーマンスがあったり綱渡りの曲芸があったりするのでタイムスリップして観客のなかに紛れ込みたくなった。そして、目が点になったのが祭りに繰り出す武者たちの被る兜。クワガタの角を馬鹿デカくしたような形の兜、これには参った!また山鉾のまわりにくくりつけられている虎の皮にも目がいく。
前期も後期も洛中洛外図にすべての鑑賞エネルギーを注ぎ込んだ。この展覧会は一生の思い出になる。
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