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2013.09.06

驚愕のラインナップ‘竹内栖鳳展’!

Img_0003      ‘金獅’(1901年 ボークス)

Img_0005             ‘おぼろ月’(1928年 京近美)

Img_0001             ‘驟雨一過’(1935年 京都市美)

Img     ‘夏鹿’(1936年 MOA美)

つい一週間前、東近美のHPに載っている出品作を確認し想像していた以上の大回顧展であることがわかった‘竹内栖鳳展’(9/3~10/14)、早めに出動してきた。

会期は京博や東博であった狩野永徳展や長谷川等伯展並みの40日ちょっと。これを前期(9/3~9/23)と後期(9/25~10/14)に分けて、全部で100点くらいが展示される。そのラインナップがすごい。画集に載っているものがほとんどでてくる。巨匠のわりに回顧展が行われることが極めて少ない竹内栖鳳(1864~1942)、だから東近美の学芸員はとびっきり気合が入っている。まさに‘栖鳳のいい絵全部みせます!’スタイルの立派な展覧会、拍手々!

これまで栖鳳の絵を体験した美術館は東近美、京近美、山種美、熱海のMOA美、そして島根の安来にある足立美。画集には京都市美がもっている作品がいくつも載っているが、このコレクションは縁がなかった。また、広島にある海の見える杜美でも竹内栖鳳の作品がよく展示されることは知っていたが、訪問することがないまま横浜に帰ってきた。

昔手に入れた画集に記されている所蔵先がちがっているものがあった。京都の竹内栖鳳記念館にあったものは海の見える杜美の所蔵になっている。そして、先般書いた‘おぼろ月’は個人蔵ではなくて京近美の所蔵。海の見える杜美の場合は作品を購入したのだろうが、‘おぼろ月’は寄贈されたのかもしれない。

一回目の鑑賞で最も注目していたのは‘金獅’。このライオンは動物園でみるライオンそのもの。顔を思いっきり右にむけているが、次の瞬間こちらを振り向き牙をむきだして威嚇してきそう。口の上の髭だけは胡粉の白で目立つように描かれている。

長いこと対面を待っていた‘おぼろ月’、ようやくみることができた。うすい黄色がかった大きな月を後ろ姿の狐がじっとみている。おぼろ月の手前、草木を斜めに配置して狐を挟む構成にとても魅了される。本当にいい絵をみた。

この絵の隣に飾ってある‘驟雨一過’にも足がとまった。この鴉は与謝蕪村の晩年の傑作‘鳶鴉図’(重文 北村美)を彷彿とさせる。図版でみるのとはちがって柳のうす青緑と鴉の黒の対比がじつに印象的。栖鳳は画業の後半こうした青緑やうす緑を多用し墨の濃淡だけで表現した風景画とは趣の異なる深みと装飾性を融合させた画風を生み出した。

MOAにある‘夏鹿’はお気に入りの作品。今は熱海までクルマを走らせることはなくなったが、以前はよくでかけた。ここには心を打つ栖鳳の絵が片手くらいあり、すばらしい動物画に夢中にさせられた。この鹿もその一枚。

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コメント

「おぼろ月」は京都の西村証券の社長・会長を歴任した西村延良氏が所有していた1枚ですね。。8月5日付で京近美が4000万円で落札したということですから、買い立てのほやほやです。
去年は国立美術館4館で27億円の美術品購入のための特別予算が付きましたが(事業仕分けのおかげ?従来の倍以上です)、今年も同額の予算が組まれていますからこれからが楽しみですね(年度後半には某コレクション購入の予感...)。

投稿: 緑色の切符 | 2013.09.06 23:34

私も開催二日目に行ってまいりました。

一番印象に残ったのは、やはり『おぼろ月』でした。月に照らされる枝葉の黄緑、狐の毛皮の薄茶色、空の銀色がかった青。すべて淡く薄い色が美しく、夢の中のような幻想性を感じます。

『金獅』は、それまでの概念上の唐獅子ではなく、本物のライオンを描いた初の日本画で、新鮮ですね。

『驟雨一過』の既視感は、おっしゃる通り与謝蕪村作品を彷彿させるからですね。

有名な『ベニスの月』も見られて満足でしたが、『斑猫』は後期の展示なので、もう一回足を運ぶと思います。

投稿: ケンスケ | 2013.09.07 08:09

to 緑色の切符さん
‘おぼろ月’は寄贈ではなく購入でしたか、
4000万円!京都の西村証券ははじめて知り
ました。なかなか聞けない話をありがとうござ
います。

栖鳳展をみたあと、ついでですからコレクション展
も楽しんだのですが、今年購入したという速水御舟
の‘京の家・奈良の家’が展示されてました。長い
スパンでみると作品の所有者もいろいろ変わり
ますね。

投稿: いづつや | 2013.09.07 10:13

to ケンスケさん
出足速いですね。この栖鳳展は3年前ここで開催
された‘上村松園展’と同じくらいすごい回顧展
ですね。やはり東近美は日本絵画の殿堂だけの
ことはあります。私も後期にまたでかけます。

念願の‘おぼろ月’とか鹿や鯛の絵を長く見てま
した。そして、大英博物館からやってきたビロード
友禅壁掛‘ベニスの月’に圧倒されました。後期
にでてくる原画と再会するのが楽しみです。

投稿: いづつや | 2013.09.07 10:46

雨の絵、水郷の風景、枝の鳥。
閉館時刻には、外はstormで、「遅日」にふいをつかれ感激しました。尾形乾山「花籠図」を思い出しました。
お堀も緑もビル群もすべて雨に閉ざされた。展覧会の余韻ですぐに帰る気になれず、むしろありがたかった。美術館の軒下の椅子で大雨をながめていたら、そのうちに眠りこんでおりました。
栖凰の絵に、包み込む暖かさがあったからであろう。

投稿: natsu | 2013.09.10 01:26

to natsuさん
はじめて体験した竹内栖鳳の回顧展でこれほど
多くの傑作がみれるのですからご機嫌です。
‘遅日’の鴉はインパクトがありますね。
花籠図’はイメージが膨らみませんでした。

投稿: いづつや | 2013.09.10 14:01

夜間開館利用して行ってきました。
期間が短いから、お客さん途切れることをしらず。
いやあ、いくら斑猫を持っていても山種美術館では出来ない規模の大きな展覧会ですね。
山種美術館では、1200円。近代美術館は常設展も観られて1300円ですか、どちらが良いかは自ずとー。
僕は大英博物館所蔵のタピスリーに度肝を抜かれました。
西洋の画家が描いたと言ってもなんら不思議はない!
斑猫やアレ夕立に、は後期ですか、もう一回行っても良い展覧会ですね。

投稿: oki | 2013.09.13 22:25

to okiさん
東近美はやはり近代日本画の殿堂ですから、ビッグ
ネームの回顧展はかなりレベルの高いものをやります。

前売り券で1100円、山種美は狭い会場で1200円
もとるのですから行く気がしません。アクセスが悪い上
大半が所蔵品でこの値段ですから勘違いもいいとこ
です。

京都の画家の腕は本当にたいしたものです。後期の
作品に期待大です。

投稿: いづつや | 2013.09.13 23:42

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