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2013.09.03

アートに乾杯! 雨が降ってきた

Img_0003     鈴木春信の‘雨中美人’(1765年 ボストン美)

Img_0001     葛飾北斎の‘絵本隅田川 両岸一覧’(1801~06年 ロンドン V&A美)

Img_0005   歌川広重の‘東海道五捨三次之内 庄野 白雨’(1833~36年 ボストン美)

Img_0004     歌川国芳の‘東都御厩川岸之図’(1831年 ボストン美)

絵画のジャンルのなかで風景画が心のなかに占めている部分はとても大きい。西洋絵画は印象派であり、日本や中国で描かれたものでは浮世絵版画や牧谿や雪舟の山水画。

浮世絵で雨の情景が描かれた絵というとすぐ思い浮かべるのは歌川広重(1797~1858)の‘名所江戸百景 大はしあたけの夕立’。雨が太さを変えた2つの墨の線で表されている。われわれ日本人はこの浮世絵に慣れているので雨が斜めの線で表現されていることに違和感がない。

でも、西洋人にとってこの雨の線は衝撃的だっただろう。敏感に反応したのがゴッホ、しっかり模写して自分流の‘大はしあたけの夕立’をつくった。ここで素朴な疑問、ゴッホはもうひつつの雨の絵の傑作‘東海道五捨三次之内 庄野 白雨’をみたのだろうか?

‘庄野 白雨’は横長サイズの画面の上斜めの角度をかなりつけた雨の線なので激しく降る夕立の光景がリアルに伝わってくる。坂を登っていく籠かきも下っていく鍬を担いだ農夫も雨に濡れまいと大急ぎで走る。広重の緊張感のある動的描写が冴える傑作中の傑作。

鈴木春信(1725~1770)の‘雨中美人’は雨の勢いと同時に突風が吹き荒れている感じ。にわか雨というより大嵐のイメージ。‘大変々、早く干しものをかたずけなくちゃ、下駄がぬげちゃった。もう、裸足でやるわ’ 春信はじつにいい絵を描く。

町の人々が雨に打たれる光景を横一面に描いてみせたのが葛飾北斎(1760~1849)の狂歌絵本‘隅田川 両岸一覧’。視線が集まるのが着ていた衣服をぬいで雨除けにしている真ん中の男、大股で走っているのに対し右にいる女たちは小走りで進んでいる。ざざっとひかれた斜めの雨の線をじっとみていると小刻みに動いている。

歌川国芳(1797~1861)の雨は斜めではなく垂直線で表現されている。地面には水たまりがいたるところにできており、ぴちゃぴちゃという音が聞こえてくる。本降りになってきたので男たちは覚悟を決めて歩いているのだろう。どうでもいいことだが、かつて仕えた上司のなかに雨が極端に嫌いな人がいた。雨がふりだすと、落ち着きがなくすぐタクシーにしようといいだした。今でも雨の日は顔がしかめっ面になっているにちがいない。

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