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2013.09.02

アートに乾杯! 北斎のダブルイメージ

Img_0003     葛飾北斎の‘富嶽百景 海上の不二’(1835年)

Img_0001     葛飾北斎の‘竜神に祈る新田義貞’(メトロポリタン美)

Img_0004   クレインの‘ネプチューンの馬’(1892年 ミュンヘン ノイエ・ピナコテーク)

Img_0006     川端龍子の‘渦潮’(部分 1956年 川端龍子記念館)

人気の浮世絵師のなかで図録の数が多いのは葛飾北斎(1760~1849)と歌川国芳(1797~1861)。これはそれだけ回顧展が多く開かれたということ。逆に美術本はあっても図録は一冊もないのが喜多川歌麿(1753~1806)、不運なことに歌麿展を一度も体験してない。

千葉市美が開館したとき企画された歌麿展は仕事の関係で東京を離れていたので見逃した。そのあと回顧展は開かれてない。だから、今度は東博がやってくれないかと思いつづけている。北斎や写楽のような大歌麿展を。願いが叶うかはわからない。東博なら次は歌麿をやらなくてはいけないだろう!と勝手に妄想しているだけ。

図録が多いと楽しみも多い。本がとにかく好きだから、いい図録を横に置いておくと気分がいい。こうした図録をいくつかマージしてMy図録に仕上げた。いい絵をいろいろ結集させ絵同士が響き合うようにレイアウトしたから、名画たちも喜んでいるはず。そして、この編集作業のおかげで絵師の画力がいろんな角度からみえるようになった。そのひとつが北斎の表現したダブルイメージ。

‘富嶽百景’の一枚に‘海上の不二’というのがある。ダイナミックにうねる波頭が頂点に達し下にむかってはじけ散っているが、そのしぶきは千鳥の姿に変身している。これが北斎のスゴさ。同じようなイメージの絵がもう1点ある。それはメトロポリタン美が所蔵する‘竜神に祈る新田義貞’。この波頭が竜神になるのをみて瞬間的に思い浮かんだのがクレイン(1846~1915)の描いた‘ネプチューンの馬’。北斎とクレインの頭の中では同じアイデアが閃いた。

明治以降に活躍した日本画家、川端龍子(1885~1966)にもダブルイメージの絵がある。白い波が竜に変わる‘渦潮’。こうしたダブルイメージはダリが構成する精緻なフォルムの変容とはちがって、空に漂う雲や海辺にうちよせる波をみていたら誰しもふと別のものや生き物をイメージするようなこと。よく対象をみつめ、形の変化を楽しんでいると案外アーティストしているかもしれない。

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