エルミタージュ美のゴーギャン!
2005年、東京都美で開催された‘プーシキン美展’ではプッサンやアングルなどはやって来なかったが、ルノワールやモネ、ゴッホ、ゴーギャンに加え、マティスの‘金魚’、ピカソなど目を奪われる傑作がずらっと揃った。そして今、再びシチューキン、モロゾフのコレクションが横浜美で美術ファンを楽しませてくれている。
7/3に放送された‘世界の名画’(BS朝日)の最後でプーシキン美の女性館長がちょっと気になることをいっていた。‘今、エルミタージュ美に対しシチューキンコレクションをプーシキンに返還するよう求めている’。東京都美であったプーシキン美展の図録をみると、シチューキンが蒐集した印象派やポスト印象派、マティス、ピカソなどの作品は全部で262点。
シチューキンはこれらをモスクワ市に寄贈することを決めていた。だから、1917年に起きたロシア革命によって国家に没収され今はエルミタージュに収まっているシチューキンのコレクションをプーシキンに返してちょうだいというわけである。なるほど、筋の通った話。
でも、これは難問。エルミタージュにあるゴーギャンやマティスの名画がサンクトペテルブルクからモスクワに移籍するなんてことは現実にはありえない。エルミタージュには体が自然とほてってくるようなすばらしい絵画が沢山展示されているが数、質ともに世界最高クラスのラインナップを誇るのはレンブラント、ゴーギャン、そしてマティス。
シチューキンとモロゾフの2人が蒐集したゴーギャンは夫々16点と11点、この27点は1948年エルミタージュとプーシキンに恣意的に分けられた。エルミタージュにあるのは15点、そのうち手元にある美術本や現地で購入した図録に11点が載っているが、一点々がどちらのコレクションかは不明。
これだけの数のゴーギャンと1999年対面した。でも、記憶にはっきり残っているのは大好きな‘果実を持つ女’、‘タヒチの牧歌’、‘幼児’の3点だけ。これは館内のあちこちであまりに多くの名画と接したため、脳が相当興奮し印象深いゴーギャンしか記憶できなかったからだろう。
二度目のエルミタージュがあるかわからないが、レンブラント、ゴーギャン、マティスのすごいコレクションを思い出すたびに旅心が刺激される。
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