見どころ満載の‘ファインバーグ・コレクション展’!
現在、江戸東博で開催中の‘ファインバーグ・コレクション展’(5/21~7/15)をみてきた。この里帰り展は今は後期(6/18~7/15)に突入、前後期に一部作品が入れ替わっているのは予想外だった。
これまで体験した日本画の展覧会や回顧展でこのファインバーグ・コレクションというのはちょくちょくでくわす。だから、サプライズの連続ということはなく、プラスαとなる作品に期待していた。展示会場に入ってすぐに出迎えてくれたのが俵屋宗達の虎の絵。ええー!、いきなり宗達がくるの、という感じ。宗達の虎は愛嬌があり可愛い、お気に入りは出光美にあるものだが、この虎もゆるキャラ系に変わりない。My宗達に即登録した。
図録をみると琳派の作品は全部で17点、そのなかでチラシに使われている鈴木其一(1796~1858)の傑作‘群鶴図屏風’や酒井抱一の‘柿に目白図’などは08年にあった‘大琳派展’(東博)でも里帰りした。期待ははじめてお目にかかる作品、足が思わずとまったのは其一の‘松島図小襖’、これは宗達の‘松島図’(ワシントン フリーア美)に刺激を受けて描いたものだが、千葉市美であった‘酒井抱一展’(11年)にもよく似たものが展示されていた。
2つは同一の作品だと思うのだが、抱一展の図録には個人蔵で最近見つかったとある。これをファインバーグコレクションが手に入れたのか?それともファインバーグの名前は出さないことにして展示したのか?
文人画では池大雅(1723~1776)が5点、与謝蕪村(1716~1783)が3点ある。ずっとみていたいのが‘東坡戴笠図屏風’。これは3年前MIHO MUSEUMで行われた‘伊藤若冲アナザーワールド’にも出品された。そのときと同様に気持よくながめていた。この文士高士のぽっちゃりと丸い顔とお腹、だまってみてるだけで楽しくなる。大雅の描くこの丸顔の人物は元気のいい赤ちゃんの姿とどこか相通じるものがある。
蕪村の収穫は薄緑の木々が心をゆるっとさせてくれる‘竹斎訪隠図屏風’。何年か前NYのバーク・コレクションがやって来たときも蕪村や大雅のいい絵に遭遇した。こうした質の高い文人画を蒐集するアメリカ人コレクター、作品をみる確かな眼力は江戸絵画に対する強い情熱によって養われたものにちがいない。
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コメント
前期に行ってまいりました。
過去40年くらいの間に、これだけたくさんの名品を集めたなんて、すごい情熱ですね。
著名な画家の作品がずらりと揃っている中で、特に応挙の鯉の絵に惹かれました。裏側からも彩色してあると説明がありましたが、光の表現がなんとも言えません。
残念ながら鈴木其一の『松島図小襖』は前期には展示されていませんでした。
投稿: ケンスケ | 2013.06.28 08:30
to ケンスケさん
今回チラシに載っている2、3の目玉作品は
これまでみたことがあり、このコレクションの
質はかなりのものとみていたのですが、充実の
ラインナップに心が踊ります。
応挙の鯉の絵、私もぐっときてます。2回目で
とりあげることにしてました。名古屋の徳川美
にこの絵とよく似た構図の鯉の絵があります。
投稿: いづつや | 2013.06.28 15:55