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2013.06.16

アートに乾杯! ファン・エイクの驚愕‘徴描写’

Img_0002_2     ‘ロランの聖母子’(1435年 パリ ルーヴル美)

Img_2     部分拡大図

Img_0005 ‘ファン・デル・パーレの聖母子’(部分 1436年 ブリュージュ フルーニンゲ美)

Img_0001_2     部分拡大図

西洋絵画のなかには油絵の魅力を存分に味わせてくれる作品がある。その一番上のランクにいるのがファン・エイク(1390~1441)。その画面は隅から隅まで対象を微細にとらえた驚愕の‘徴描写’でみたされている。

ルーヴルにある‘ロランの聖母子’はこれまで数回みた。はじめて対面したときはファン・エイクの画技のスゴさを知っていなかったから、こんな聖母子もあるのか、という感じで特別の思い入れはなかった。でも、今はちがう。絵画をいろいろみる機会がふえ、ファン・エイクの美術史における位置づけがわかってくると、本物との遭遇はかけがえのない楽しみであり一つのイベントになった。

そこまでこの画家にのめり込ませるものは何か?それは鮮やかな色合いと神業的な細密描写、この‘徴描写’でまだ確認していないことがある。ロランと聖母子の向こうに川のながれる風景をながめている二人の男が小さく描かれている。この二人や川に架かる橋、そしてそこにいる人たちは前回単眼鏡でしっかりみた。

まだみてないのは橋のもっと先に描かれたもので、右の川岸の奥にみえる緑の木にかこまれた建物。ここで火災が起きているのである(部分図を拡大で)!これが発見されたのは美術史家の元木幸一氏によると1970年以降とのこと。絵が描かれて500年以上も発見されずにいた!

ブリュージュのフルーニンゲ美にある‘ファン・デル・パーレの聖母子’は2年前幸運にもみることができた。この絵で夢中になってみたのが右の聖ゲオルギウスの身に着けている兜や鎧のリアルな質感。光沢のある金属の輝きが見事に描かれている。まるで本物の武具をみているようだった。

はじめての対面だから、聖母子や左の司教の衣装、そして寄進者のファン・デル・パーレの細密描写にも時間をさかなくてはいけない。そのため、聖ゲオルギウスの盾のところに映っている人物(部分図)を単眼鏡でみるのをすっかり忘れていた。この人物は絵を描いているファン・エイク自身。‘徴描写’は衣装のひだや老人の顔のしわだけでなく、盾への映りこみにまでおよんでいた。本当にスゴイ技である!

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コメント

ファン・エイクは類のない細密描写で、突如出現した天才と言えますね。

いづつやさんは単眼鏡を持っていかれたとのことですが、素晴らしい思いつきですね。

『ロランの聖母』はルーヴルで何度か実見しましたが、火事のことは知りませんでした!

『ファン・デル・パーレの聖母』は、私も20年ほど前、ブリュ―ジュで実見しました。それ以前からファン・エイクの画集で見て、一番好きな作品でした。まさに迫真の細部描写。。。ここまで描くのは、もう脱帽としか言いようがありません。 

投稿: ケンスケ | 2013.06.17 21:03

to ケンスケさん
ロランの聖母子の火事、こんな細かい描写、どう
やって描いたのですかね、はたして単眼鏡でみえ
るかどうか?ですね。

ファン・デル・パーレをみれたのは生涯の喜び
です。でも、盾に映りこんだファン・エイクを見逃
しました。リストに載せるのをうっかり忘れてま
した。それにしてもファン・エイクの作品は1点々
感激しますね。

投稿: いづつや | 2013.06.18 00:02

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