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2013.06.30

夢の先史壁画! ラスコー洞窟壁画

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Img_0001_2            ラスコー洞窟壁画 ‘中国の馬’

Img_0003_2             ‘牛 鹿’

Img_0004_2             ‘バイソン’

4年前、インドを訪問し有名な‘アジャンタ石窟’にある菩薩の壁画をみた。そのとき現地のガイドさんは壁画の劣化防止のためもう数年すると石窟が閉鎖されるといっていた。近くにできるミュージアムでレプリカの鑑賞になるとのこと。確認してないが、ミュージアムはオープンしたのだろうか?

このツアーの参加者にフランスのラスコーの洞窟壁画にもでかけられたという男性がいたので、どんな壁画だったか聞いてみた。じつはこの壁画も本物はみれず洞窟のすぐそばに建設された立体レプリカ‘ラスコーⅡ’(1983年オープン)で体験するのだそうだ。その話はまったく知らなかったので、ちょっと興味が薄れた。

でも、その人はレプリカといっても描かれた馬や牛の描写には感激するといっていた。身近なところにもラスコー観光の入ったフランスツアーに参加した人がいて、その人も同様に満足した様子だった。歴史の教科書に載っていたラスコーの洞窟壁画、そのときからここは行ってみたいと思っていた。いつかチャレンジしたい。

ラスコー洞窟が発見されたのは1940年のこと。この年の6月ナチスドイツの進撃でパリが陥落した。そして、その3ヶ月後にモンティニャックに住む17歳の少年3人が偶然小さな穴をみつけた。古い館に通じる地下道があり、そこに宝物が埋まっているという伝説が昔からあったので、かれらはそれを見つけたと大喜び、地下道をどんどん進んでいると目の前にすばらしい雄牛の壁画が現れた!

この壁画が描かれたのは先史旧石器時代、今から約1万7000年前とみなされている。図録をみているだけでも馬や牛、バイソンの躍動感にあふれる姿や強い生命力がストレートに伝わってくる。レプリカは動物たちが精巧に復元されているようなので、その前に立つと興奮するかもしれない。

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2013.06.29

ユトリロの愛した‘ラパン・アジル’!

Img_0003_2     ‘モンマルトルのキャバレー ラパン・アジル’(1916~18年)

Img_0002_2     ‘小さな聖体拝受者’(1912年 八木コレクション)

Img_0004_2     ‘レストラン 雪のノルヴァン通り’(1934~36年)

Img_0001 ‘イル・デ・サンジュの酒場にて パリのコブラン地区’(1928~30年)

日本橋の高島屋で行われた‘ユトリロ展’は6/24に終了した展覧会ではあるが、足を運ばれた方がおられるかもしれないのでこの偉大な画家が残した街の風景画をいくつか紹介することにした。

今回の作品はほとんどが個人が所有しているもの。その数76。こういう個人蔵のユトリロ(1883~1955)をみる機会が3年前新宿の損保ジャパン美でもあった。このとき90点くらいみたので、じつは高島屋のユトリロ展は行くかどうか迷っていた。でも、やはり出かけることにしたのはチラシに載っていた‘モンマルトルのキャバレー ラパン・アジル’が気になったから。

ユトリロの絵で特に思い入れがあるのはポンピドーにある‘コタン小路’と‘ラパン・アジル’、ユトリロが生涯に描いた絵は約6000点といわれており、よく通ったラパン・アジルは400点ほど制作している。今回、このうちの6点が展示され画像はそのひとつ。ほかのラパン・アジルは画面の右に通りとその向こうの家の壁が描かれているのに、このヴァージョンはそこは省き、ラパン・アジルを中央に配置し視線がそこに集中する構成になっている。そして、画面全体がすこし明るくて建物の描き方も非常に丁寧。印象に強く残る一枚だった。

日本の八木というコレクターがユトリロのいい絵をいくつももっているという話は以前から耳に入っていた。ホテルオークラで毎年開催されるチャリティー展で1,2点みたような気もするが、、今回は白の時代の‘小さな聖体拝受者’など13点(これが全部?)がでていた。しかも1点々とてもいい絵、噂以上にすごいコレクションだった!

パリのモンマルトルは2度体験したが、サクレ・クール寺院とムーラン・ド・ラ・ギャレットの位置関係とか、コタン小路やラパン・アジルがある場所の実感がまったくない。だから、次回でかけることがあったら、こうしたユトリロの絵に描かれた関心の深いところやノルヴァル通りのレストランなどもしっかりチェックしておきたい。

コブラン地区の街角を確かな遠近法で描いた作品は日曜画家が好みそうなアングル。消失点から道が右に曲がるところがとてもいい。なんだか、自分が今そこを歩いているような気になる。パリにはぶらぶら歩いてみたい場所な沢山ありそう。

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2013.06.28

ファインバーグコレクション 目をひく応挙、蘆雪、蕭白!

Img_0004_2     円山応挙の‘鯉亀図風炉先屏風’(江戸時代 18世紀)

Img_0006_2                長沢蘆雪の‘藤に群雀図’(18世紀)

Img_0002_2     曽我蕭白の‘宇治川合戦図屏風’(18世紀)

Img_0005_2        鳥文斎栄之の‘遊女と蛍図’(18~19世紀)

円山応挙(1733~1795)が描く鯉の絵にとても魅了されている。その鯉がファインバーグコレクションにもあった。この絵は名古屋の徳川美でみたものとよく似ている。目が寄っていくのは水面下にある鯉の体の描き方。普段みている池の鯉は水面の下はこんなに透き通ってはみえない。だから、余計に釘づけになってみてしまう。

図録をみて惜しいことをしたなと思わせる作品が2点ある。それは前期(5/21~6/16)に展示された長沢蘆雪(1754~1799)の‘藤に群雀図’と‘梅・薔薇に群鳥図’。蘆雪は鳥を描くのが上手い。とくに雀がいい。雀の名手は蘆雪と菱田春草。

雀は一羽でいるとそれほど印象は強くないが、何羽も一緒になって木の枝などにとまっていると人目を惹きつける存在感がでてくる。とにかくにぎやかで群れているのが楽しくてしょうがないという感じ。この‘藤に群雀図’はみたかった!

曽我蕭白(1730~1781)は4点、後期(6/18~7/15)の展示は京博で行われた‘曽我蕭白展’(05年)でもみたことのある‘宇治川合戦図’と仙厓の絵をみている気分になる‘大黒天の餅つき図’。‘宇治川合戦図’で視線がむかうのはどうしても右の武者、京劇の役者のように顔は白く塗りたぐり唇は女でもないのに真っ赤。

なんじゃいこの赤、じぇじぇじぇ!蕭白は色彩にかんしても200%規格外の絵師、派手な赤や黄色をどどっと使う。この色彩パワーは京劇の影響かもしれないが、蕭白にとってどうして京劇が刺激の源になったのだろうか?興味は尽きない。

最後のコーナーは浮世絵の肉筆画と版画が沢山飾ってあった。菱川師宣や師平が描いた吉原風俗画は日本の美術館や展覧会でもなかなかお目にかかれないので、夢中になってみた。ほかで足がとまったのは勝川春章の細密描写が冴える‘文を破る女図’と鳥文斎栄之の蛍と遊ぶ遊女の絵。小さい頃は夏になると蛍を光をみるのが楽しみのひとつだった。絵ではない生の蛍をまたみたくなった。

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2013.06.27

見どころ満載の‘ファインバーグ・コレクション展’!

Img_0001_2              俵屋宗達の‘虎図’(江戸時代 17世紀)

Img_2     鈴木其一の‘松島図小襖’(19世紀)

Img_0003_2     池大雅の‘東坡戴笠図屏風’(18世紀)

Img_0002_2     与謝蕪村の‘竹斎訪隠図屏風’(18世紀)

現在、江戸東博で開催中の‘ファインバーグ・コレクション展’(5/21~7/15)をみてきた。この里帰り展は今は後期(6/18~7/15)に突入、前後期に一部作品が入れ替わっているのは予想外だった。

これまで体験した日本画の展覧会や回顧展でこのファインバーグ・コレクションというのはちょくちょくでくわす。だから、サプライズの連続ということはなく、プラスαとなる作品に期待していた。展示会場に入ってすぐに出迎えてくれたのが俵屋宗達の虎の絵。ええー!、いきなり宗達がくるの、という感じ。宗達の虎は愛嬌があり可愛い、お気に入りは出光美にあるものだが、この虎もゆるキャラ系に変わりない。My宗達に即登録した。

図録をみると琳派の作品は全部で17点、そのなかでチラシに使われている鈴木其一(1796~1858)の傑作‘群鶴図屏風’や酒井抱一の‘柿に目白図’などは08年にあった‘大琳派展’(東博)でも里帰りした。期待ははじめてお目にかかる作品、足が思わずとまったのは其一の‘松島図小襖’、これは宗達の‘松島図’(ワシントン フリーア美)に刺激を受けて描いたものだが、千葉市美であった‘酒井抱一展’(11年)にもよく似たものが展示されていた。

2つは同一の作品だと思うのだが、抱一展の図録には個人蔵で最近見つかったとある。これをファインバーグコレクションが手に入れたのか?それともファインバーグの名前は出さないことにして展示したのか?

文人画では池大雅(1723~1776)が5点、与謝蕪村(1716~1783)が3点ある。ずっとみていたいのが‘東坡戴笠図屏風’。これは3年前MIHO MUSEUMで行われた‘伊藤若冲アナザーワールド’にも出品された。そのときと同様に気持よくながめていた。この文士高士のぽっちゃりと丸い顔とお腹、だまってみてるだけで楽しくなる。大雅の描くこの丸顔の人物は元気のいい赤ちゃんの姿とどこか相通じるものがある。

蕪村の収穫は薄緑の木々が心をゆるっとさせてくれる‘竹斎訪隠図屏風’。何年か前NYのバーク・コレクションがやって来たときも蕪村や大雅のいい絵に遭遇した。こうした質の高い文人画を蒐集するアメリカ人コレクター、作品をみる確かな眼力は江戸絵画に対する強い情熱によって養われたものにちがいない。

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2013.06.26

主役はダルビッシュでも黒田でもなく イチロー!

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パソコンに変なソフトが入りこの駆除を依頼していたため、ブログをお休みしてました。リカバリーしたので再開します。

今日の大リーグ中継、ヤンキースとレンジャーズの試合はいつものBSではなくNHKの総合。ヤンキースは黒田、レンジャーズはダルビッシュが登板し、イチローも先発出場するのだから美味しい3段重ねお重をいただくようなもの。

黒田は前回の登板で勝ちがつき7勝目をあげたが、ダルビッシュはもう一ヶ月以上勝ち星から遠ざかっている。レンジャーズはここ数試合打線の調子が上がり再度首位に立っているので、今日はダルビッシュの8勝目が実現するだろうと予想していた。が、またダメだった。

6回まで投げたが、3失点、これが全部ホームラン。まあ、3点の失点にとどめゲームをつくったので先発投手の役割をはたしているから監督的ないいかたをするとOK。応援しているファンとしては残念でしょうがないが、次は勝てると思うしかない。4月にくらべると体調が悪いのだろう。

一方、地元で投げる黒田、同じく3失点で7回に降板、9番のマルチーニにまさか2本のホームランを打たれるとは!ピッチングというのはなかなか思うようにいかない。指のひっかかりがちょっと狂っただけでもこきーんとスタンドにもっていかれる。黒田は今日悔しくて眠れないかもしれない。

ダルビッシュ、黒田ともに勝敗に関係なくかったから、ゲームの関心はうすれた。が、9回裏にサプライズが用意されていた。イチローが俺が主役になる!とばかりに2死のあとライトにサヨナラホームラン、まさに千両役者、イチローは1番か2番で打たせたらこのようにいい働きをする。

ジラルディ監督はもうすこしイチローを信用したらいいと思うのだが、どうも上位に定着させたがらない。この活躍でイチローがもっている男ということを今まで以上に感じてくれたらいいのだが。

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2013.06.19

夢の先史壁画! タッシリ・ナジェールの岩面画

Img    アルジェリア サハラ砂漠に位置するタッシリ・ナジェール山脈

Img_0001_2     ‘白い巨人’

Img_0003_2     ‘タン・ズマイタク’

Img_0004_2     ‘重ねがきの牛と踊る女たち’

美術の本はほかの本とちがって文章を読むというより掲載されている美術品の図版をみることが多いので、本棚にとどまっている時間が長く、そのぶん愛着も大きくなっていく。‘世界 名画の旅(全5冊)’(1986年 朝日新聞社)も本棚の一角を長く占めている本のひとつ。

これは朝日新聞の日曜版に連載された名画追っかけ記を書籍化したもの。そこに先史時代に描かれたとても存在感のある絵が載っている。壁画がある場所はサハラ砂漠の中央部に位置するタッシリ・ナジェール山脈、アフリカで足を踏み入れたのはエジプトだけなので、この山脈がどんなところなのかはわからない。写真や映像でみると鋸の刃をおもわせるごつごつした岩が筍のように立ち並んでいる感じ。

一度みたら忘れらrれないのが‘白い巨人’。制作期は最も古い‘狩猟民の時代’(紀元前7000~4000年)末期といわれる。この巨大な男性像は高さ3.2mもあるという。左側には腕をあげて祈る女性がみえる。そして、長い胴と重なるようにヤギが描かれている。この岩面画を一度みてみたいと思うが、どう考えてもムリ。あの荒涼たるサハラ砂漠へでかける勇気はとてもない。

朝日の記者は現地へ赴く前、この膨大な数の岩面画を1956年に発見したフランスの調査隊の隊長をつとめたロート氏(当時83歳)とパリで会い、こんなことを注意されている。‘サハラ砂漠では毒ヘビに気をつけなさい。噛まれたら、間違いなく死ぬ。サソリは心配ありません。多少の後遺症は残るでしょうが’。名画の取材がルーヴルなら楽しいだろうが、こういう先史の美術を目指すとなる道中は命がけ!

ほかにも狩猟の様子を描いたものや人物と動物が一緒にくらし、ときには女が踊っている場面を描いたものなどがある。文字のない時代は岩に描かれた絵が情報を伝える唯一のメディア。画面からは先史時代に生きた人々の神を畏怖する気持ちとか喜びの感情がよく伝わってくる。美術本をみているだけでも想像力がいろいろ膨らんでくるから結構楽しい。

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2013.06.18

アートに乾杯! ダ・ヴィンチの注目‘徴描写’は金髪

Img_2     復元想像‘モナリザ’(1503~06年 パリ ルーヴル美)

Img_0002_2     ‘キリストの洗礼’(部分 1472~75年 フィレンツェ ウフィッツィ美)

Img_0003_2     ‘ジネヴラ・デ・ベンチの肖像’(1478~80年 ワシントン国立美)

Img_0004_2     ‘音楽家の肖像’(1485年 ミラノ アンブロジアーナ美)

ルネサンスからバロックあたりまでの西洋絵画を前にして、仮に誰の絵が好きか5人あげてみてといわれたとする。これは難しい。5人になかなか絞りこめない。心を奪われる作品はいくつもあり、傑作絵画を生み出した画家たちは例えていうならヨーロッパアルプスにそびえる名峰のようなものだからである。モンブラン、マッターホルン、モンテローザ、アイガー、、どの山も雄々しく美しい姿で人々の心をとらえて離さない。

でも、ダ・ヴィンチ(1452~1519)が5人のなかに入ることは確定している。西洋画家のなかで特別の存在であるダ・ヴィンチ、運がいいことに新規に発見されたものは除き画集に載っている作品はすべてみることができた。描かれた人物画のなかでいつも目をこらしてみているのは3つ。スフマート、金髪の描き方、そして背景の風景に用いられた空気遠近法によって彩られた空のうす青。

ときどきフランスの工学技士パスカルスコット氏が08年にマルチスペクトル高解像度カメラを使って復元した‘モナリザ’をながめ、この絵が描かれたときの色彩を楽しんでいる。透明な絵の具を何度も々塗り重ねて描くスフマートという技法は究極の‘徴描写’、これはもう200%神業!そして、背景の空の紫がかったうす青。この神秘的な青に心を奪われる。

人物の描き方で夢中にさせるのは金髪。ダ・ヴィンチはヴェロッキオの工房にいたとき‘キリストの洗礼’の画面左にいる天使を描いた。この天使をはじめてみたとき、その水流の渦巻みたいに描かれた金髪の美しさに目が釘づけになった。金髪にこだわってみるようになったのはこの‘徴描写’が影響している。

1月ワシントンのナショナルギャラリーを訪問したとき古典絵画の多くはパスしたのだが、ダ・ヴィンチの‘ジネヴラ・デ・ベンチの肖像’の前には少し長くいた。この女性の顔には惹かれないが、金髪の精緻な描写にはつい引き込まれる。金髪の完成度の高さではこの絵が一番かもしれない。

6/30まで上野の東京都美で展示されている‘音楽家の肖像’も‘キリストの洗礼’の天使同様、目をひくのはきれいにカールした金髪。ダ・ビンチの作品は少ないので今年ワシントンと東京で2点の金髪‘徴描写’に遭遇したのは幸運だった。ミューズに贈り物をしておかないといけない。

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2013.06.17

アートに乾杯! 天才カラヴァッジョの‘徴描写’

Img_0001_2     ‘果物籠’(1597年 ミラノ アンブロジアーナ美)

Img_0007_2     部分拡大図

Img_0005_2     ‘バッカス’(1595年 フィレンツェ ウフィッツィ美)

Img_0003_2     ‘トカゲに噛まれた少年’(1593年 ロンドン ナショナルギャラリー)

絵画を宗教画とか人物画といったジャンル別にみたとき、夫々にすぐ思い浮かべる傑作がある。静物画の場合、愛してやまないリファレンス作品は3点。鑑賞した順番にあげると、セザンヌの‘リンゴとオレンジ’、カラヴァッジョの‘果物籠’、そしてシャルダンの‘木いちごの籠’。

このなかで特別な体験をしたのがカラヴァッジョ(1571~1610)の‘果物籠’。この絵をミラノのアンブロジアーナ美でみたときは時間がなかったためじっくりみれなかった。その驚くばかりの‘徴描写’を体験することになったのは2度目の対面のとき。

3年前、ローマでカラヴァッジョの大回顧展(拙ブログ10/5/13)が開催され、‘果物籠’ははじめて館外で展示された。予約していたので開館するとすぐ入れこの絵の前にいるのは数人のみ。単眼鏡を使ってじっくりみた。そのときすごいサプライズがあった。それは梨や緑の葉についている水滴の表現(部分図を拡大で)。生の感覚をそのままとらえる‘徴描写’はこの水滴だけでなく、水が霧状になって飛び散っているところにも。隣の方と単眼鏡をまわしながらみたが、体が震える感激とはこのこと。本当にスゴイものをみた。

もう一点、夢中になったみた作品はウフィッツイからやってきた‘バッカス’。どこに注目したかというと画面左に描かれているワインのフラスコ。事前に得た情報によるとここにカラヴァッジョの顔が映っているという。ファン・エイク同様、カラヴァッジョも‘徴描写’をここで披露している。ところがである。単眼鏡を使って何度もみたが、その顔がつかめない。絵の前では幼稚園児に付き添いのお姉さんがお話をしている。その素振りからはカラヴァッジョの顔のことをいっているようで、手でフラスコを指している。

これは焦る。でも、最後まで像は確認できなかった。これはダリのダブルイメージみたいなもので、ひとつのイメージが固定するともうひとつがみえなくなるのと似ている。展覧会の図録にこの部分を拡大したものが載っており、ここのところかな?という気はするが確信はもてない。フィレンツェで再会することがあれば、もう一度挑戦したいと思っている。

ロンドンのナショナルギャラリーにある‘トカゲに噛まれる少年’にも大変魅せられる。視線が長くとどまっているのがガラスの花瓶を青白く輝かせる光の描写。カラヴァッジョの比類ない技術によって生まれた透き通るガラスの質感、これほど美しいガラスの花瓶はほかにみたことがない。

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2013.06.16

アートに乾杯! ファン・エイクの驚愕‘徴描写’

Img_0002_2     ‘ロランの聖母子’(1435年 パリ ルーヴル美)

Img_2     部分拡大図

Img_0005 ‘ファン・デル・パーレの聖母子’(部分 1436年 ブリュージュ フルーニンゲ美)

Img_0001_2     部分拡大図

西洋絵画のなかには油絵の魅力を存分に味わせてくれる作品がある。その一番上のランクにいるのがファン・エイク(1390~1441)。その画面は隅から隅まで対象を微細にとらえた驚愕の‘徴描写’でみたされている。

ルーヴルにある‘ロランの聖母子’はこれまで数回みた。はじめて対面したときはファン・エイクの画技のスゴさを知っていなかったから、こんな聖母子もあるのか、という感じで特別の思い入れはなかった。でも、今はちがう。絵画をいろいろみる機会がふえ、ファン・エイクの美術史における位置づけがわかってくると、本物との遭遇はかけがえのない楽しみであり一つのイベントになった。

そこまでこの画家にのめり込ませるものは何か?それは鮮やかな色合いと神業的な細密描写、この‘徴描写’でまだ確認していないことがある。ロランと聖母子の向こうに川のながれる風景をながめている二人の男が小さく描かれている。この二人や川に架かる橋、そしてそこにいる人たちは前回単眼鏡でしっかりみた。

まだみてないのは橋のもっと先に描かれたもので、右の川岸の奥にみえる緑の木にかこまれた建物。ここで火災が起きているのである(部分図を拡大で)!これが発見されたのは美術史家の元木幸一氏によると1970年以降とのこと。絵が描かれて500年以上も発見されずにいた!

ブリュージュのフルーニンゲ美にある‘ファン・デル・パーレの聖母子’は2年前幸運にもみることができた。この絵で夢中になってみたのが右の聖ゲオルギウスの身に着けている兜や鎧のリアルな質感。光沢のある金属の輝きが見事に描かれている。まるで本物の武具をみているようだった。

はじめての対面だから、聖母子や左の司教の衣装、そして寄進者のファン・デル・パーレの細密描写にも時間をさかなくてはいけない。そのため、聖ゲオルギウスの盾のところに映っている人物(部分図)を単眼鏡でみるのをすっかり忘れていた。この人物は絵を描いているファン・エイク自身。‘徴描写’は衣装のひだや老人の顔のしわだけでなく、盾への映りこみにまでおよんでいた。本当にスゴイ技である!

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2013.06.15

アートに乾杯! ‘徴表情’と‘徴描写’

Img_2     スネイデルスの‘猿のいる静物画’(部分 1630年頃) 

Img_0002_2     マセイスの‘両替商とその妻’(1514年 パリ ルーヴル美)

Img_0005_2     凸面鏡部分

タイトルの‘徴表情’というのは聞きなれない言葉かもしれない。これは‘お気に入り本’に載せているコロンビア大ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授の本‘選択の科学’(2010年 文芸春秋)にでてくる。

アメリカで‘人間ウソ発見器’の異名をとるポール・エクマンという心理学者は目の前にいる人物がウソをついているかどうかを95%の的中率であてるという。エクマンが手掛かりにしているのがこの‘徴表情’。ウソをつく人はわずか数ミリ秒(1ミリ秒は1秒の1000分の1)しか持続しない‘徴表情’でボロを出すことがわかった。

普通の人はこれに気がつかない。ところが、エクマンにはこれが読みとれる。‘徴表情’を見抜く訓練を重ねほかの人にはない能力を身につけていった。例えば、真実をいっている人とウソをついている人の映像をスローモーションでつぶさに観察したという。

じゃあ、こういう訓練をすると誰でも人がウソついているか見破れるかというとそう簡単ではない。エクマンは顔を生涯の研究テーマとしており、人間の顔だけでなく動物の顔もずっと見つづけている。その一例が猿、猿の瞬間瞬間の表情を観察して、猿がつづいて見せた行動と関連づけた。例えば、この表情をしたときは盗む、あの表情のときは攻撃する、またあの表情をみせるときは親愛の情を示す、といったようにさまざまな表情が行動の前触れだということをつきとめた。

こういう長年の観察に積み重ねにより、エクマンは‘徴表情’の瞬間がみえるようになった。なんともスゴイ話!では絵画の世界にも‘徴描写’(My造語)のスゴ技を使って絵を描いた画家がいるか、そこは長い歴史をもつ絵画、卓越した写実の技で見る者をあっと驚かせる異能の人はしっかり存在する。

ルーヴル美にマセイス(1465~1530)が描いた‘両替商とその妻’という風俗画がある。目が点になるのがカウンターの前に置かれた凸面鏡。下の拡大図でもわかるとおり、凸面鏡にはこちら側が映っている。老人が手を窓にかけ、向こうには教会がみえる。

よくまあ、こんなに細かく描けることと感心する。こういう神業的な技術が目を惹く作品は訓練に訓練を重ねた一握りの人間の手からしか生まれてこない。そしてミューズからは親方の称号が授けられることになる。

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2013.06.14

ブルージェイズ 川崎 勝利に貢献! 

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今日の試合でヤンキースの黒田、レンジャーズのダルビッシュ、ともにいいピッチングをしたのに勝ち星がつかなかった。一ヶ月近く勝ちがつかないと応援している側も気が萎える。

ヤンキースとアスレチックスの試合はなんと延長18回まで進んで結局、アスレチックスが2-3でサヨナラ勝ち。黒田は8回まで投げ通しヒット2本で2失点、これだけ好投しても勝ち投手になれないのは、打線が湿っているから。現在、ヤンキースには3割を打っている選手は一人もいない。この打力の低さは相当深刻。

このため、監督は毎日のように選手の打順を変えている。軸になるのはカノー。で、2番で打たせたり、3番で打たせりする。これは打順が前のほうが打席に立つ回数が多くなるから。大リーグは3番を打つ選手が最強打者。この考えがあるので、イチローが今日みたいに7回打順がまわってヒット3本をつらねても2番には引き上げない。あくまでも監督の頭のなかにあるのはカノー中心のオーダー。

ダルビッシュが登板したブルージェイズとレンジャーズの1戦、レンジャーズの打線が下降しているなか、ダルビッシュは7回をヒット3本の1失点に抑え試合をつくったが、勝ち越すことができすマウンドをおりたため、勝敗はつかなかった。試合は8回にブルージェイズが2点をいれこれが決勝点になった。

ダルビッシュはここ2試合、少ない失点がのりきったので防御率は2.64まで上がってきた。これはアリーグの4番目の成績、2番は岩隈の1.79.また、黒田は2.78で8番につけている。

このところブルージェイズのショートで先発出場している元気印の川崎、3回打席がまわってきたが、四球と犠打で得点にからむ働きをした。守備は無難にこなしている感じだが、打つほうはまだ余裕がない。それでも、毎日試合にでているせいか簡単にはアウトにならないしぶとさがでてきた。これは大きな変化。

やはり選手は場数を踏まないと自信をもってプレーできない。もうすぐ足の故障で戦列を離れていたレイエスが戻ってくるが、ショートでも出場はなくても、セカンドとかサードで起用されることは十分ありうる。だから、川崎は今監督に強くアピールしておかないといけない。今日のプレーは○、熱く応援したい。

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2013.06.13

トレド街角ウオッチングとスペインの食べ物!

Img_0001        トレドのタベーラ施療院

Img_0002      ダベーラ施療院にあるエル・グレコの祭壇画‘キリストの洗礼’

Img_0003               トルティージャ

Img_0004                   チュロスとホットチョコレート

2日前、BS日テレで放送された‘大人のヨーロッパ街歩き スペイン・トレド’(火曜日 夜7時)を楽しく見た。この旅番組はこれまでみたことなかったのだが、今年2月にみた大規模な‘エル・グレコ展’(東京都美 拙ブログ2/28)が強く印象に残っているので、TV番組雑誌で情報を得たとき‘見るマーク’をつけていた。

トレドは07年に訪問した。団体ツアーの場合、ガイドさんまかせのぞろぞろ歩きだから、有名なトレド大聖堂が街のどのあたりにあるのかよく頭にはいってない。とにかく、ガイドさんを見失わないように迷路のような石畳の道を歩いたという感じ。だから、番組のなかで案内役の2人の女性が紹介していた名所も見覚えのある場所は大聖堂とエスカレーターがあったところだけ。ほかの風景はまった記憶にとどまってない。

現在美術館になっているタベーラ施療院がでてきた。ここが所蔵するエル・グレコ(1541~1614)の‘聖アンナのいる聖家族’は1月の回顧展に出品されたので、敏感に反応する。中にある祭壇画はグレコの手によるもの。またトレドへ行く気になったら、ここは是非寄ってみたい。

女性が案内する旅番組はどうしても食べることが多くなる。07年と11年のとき食べたトルティージャ、これはじゃがいもをいっぱい使ったスペイン風オムレツ、なかなか美味しい。バールでもう一品食べていたのは豚肉のトマスソース煮込みのカルカムサス、これを食べたかはよく覚えていない。

11年スペインをまわったときはじめて胃袋のなかにいれたチュロス、女性たちはホットチョコレートにチュロスをつけて食べていた。ほかの番組でみたときもこんな風にぱくついていた。これは甘そうなので次回はこの食べ方でいきたい。

トレドをはじめて訪問した時お土産として買ったのが金属の装飾置物のダマスキナード、黒地に金の線を細かく埋め込んで模様をつくっているので見栄えがとてもいい。だから、つい買ってしまう。ところが、何年か経つと全体が錆びてきた。これには参った!

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2013.06.12

日本野球機構は呆れるほどひどい組織!

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今年のプロ野球は飛ぶボールの影響で打撃力の差が勝敗に大きくかかわってくるという話を先月書いた(拙ブログ5/11)。その飛ぶボールについて日本野球機構(NPB、球団の経営者団体)がようやく認めた。

これまでNPBはずっと仕様変更はしてないといってきたが、このウソが通じなくなったので本当のことを今頃明らかした。球団を経営する側の人間の考え方、行動にはいつもながら呆れかえる。選手やファンのことなどちっとも考えないまったくひどい組織である。以前からNPBには愛想をつかしているので、とくに驚くことは無いが、こういう隠ぺい体質、ファン無視の態度が繰り返えされると、相も変わらずダメな組織だなと思ってしまう。

NPBはボールをつくっているミズノにもウソをつかせていた。シーズンがはじまったらすぐボールが飛ぶことはわかるのに、なにを勘違いしたのか‘ボールの仕様は昨年と同じという方針でずっといくからな’、で2ヶ月半とおしてきた。この間球団サイドはなにもコメントしない。選手、監督、コーチ、解説者、ファンはみなわかっている。なにをいまさらである。

これだけホームランが飛び交い、乱打戦が多くなると打撃力があるチームのほうが断然優位。打てないチームは上位には食い込めない。もちろん、投手力がよくないと優勝にはとどかないが、今年は飛ぶボールなので、投手陣をそろえたチームでも失点を少なくするのは大変。勝負は打力で決まる。

NPBがボールの仕様をまた昨年のものに変えることはないのだから、ペナントを狙うのなら打撃の強化が最優先課題になる。飛ぶボールを利用した打ち方をよく考える、これは打撃コーチの仕事。ポイントはとにかく振り切ること、するとホームランが思いのほかでる。バッターは気持ちがいいはず。昨年はこのくらいのスイングではスタンドにとどかなかったのに今年ははいってくれる。みているファンも乱打戦のほうが楽しい。

投手は今年は厄年と思って打たれてもあまり気にしないこと。ボールのせいにしてしまう。また、バッターも打ち損じや打ち疲れがあるから、極端に慎重にならず持ち球を信じて投げる。それでOK。率直にいわせてもらえれば、投手陣には悪いがバッターが元気に打ち続けるのを楽しみたい。

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2013.06.11

マリナーズ 岩隈 7勝目!

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ここしばらく日本人投手トリオの勝ち星無しの試合が続いていたが、今日行われたアストロズとマリナーズの1戦で岩隈がようやく勝利投手になった。これで7勝目!

ここ数試合、岩隈の投球内容はまったくすばらしく、この試合でも7回を1点に抑え込んだ。チームの成績が振るわないので同じ西地区のレンジャーズ(現在首位)で投げるダルビッシュのように登板の度に中継してもらえないが、これだけいいピッチングをすれば、これからは投げる試合が放送されることが多くなるかもしれない。

岩隈の防御率は1.79にあがり、大リーズ30球団の先発投手のなかでは2番目の成績になった。勝ち星ではダルビッシュと並び、防御率ではぐっと差をつけた。だから、数字でみるかぎり現在岩隈はダルビッシュを上回っている。

好成績の秘密はその安定したコントロール、球種はストレート、フォーク、スライダー、カーズの4つだが、どの球も低めに決まるので、がぁーんと長打をくらったり、続けてヒットを打たれることが少ない。今、これだけ左右の低めにポンポンとストライクをとれるピッチャーはほかにいない。とにかく安心してみられるのがいい。また、四球を与えないことも失点が少ない要因になっている。

こうした安定したピッチングは昨年後半先発で投げるようになってから、ずっと続いている。アメリカのメディアがこれを昨年後半と今年を合算した防御率のデータで明らかにしている。岩隈の防御率はドジャースのエース、カーショーに次いで2番目の成績。先発投手として大リーグにデビューし、その投球術は加速度的に磨きがかかり今やトップのレベルに達している。これは本当にスゴイ!

岩隈のオールスター出場の可能性がかなり高くなってきた。このまま好投を続けて欲しい。

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2013.06.10

今秋 見逃せない日本美術展覧会!

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この秋に開催される日本美術の展覧会で期待大なのは東博の‘京都 洛中洛外図と障壁画の美’(10/8~12/1)。チラシの裏には京博がカリカリきそうなキャッチコピー‘京都でも見ることのできない京都’が踊る。そこまで刺激しなくてもいいのに。

お楽しみは‘洛中洛外図’、国宝・重文に指定されている7点を全部展示するというから豪華なラインナップ。それらは
★国宝 狩野永徳の‘上杉本’ 米沢市上杉博
★重文 岩佐又兵衛の‘舟木本’ 東博
★重文 ‘歴博甲本/町田本’ 国立歴史民俗博
★重文 ‘歴博乙本/高橋本’ 国立歴史民俗博
★重文 ‘勝興寺本’      富山 勝興寺
★重文 ‘池田本’        岡山 林原美
★重文 ‘福岡市博本’     福岡市博 

05年上杉博までクルマを走らせ念願の‘上杉本’をじっくり時間をかけてみた。そのとき03年ここで‘洛中洛外図’の特別展が開かれ、7点のうち‘舟木本’と‘池田本’、‘福岡市博本’を除く4点が展示されたことを知った。だから、東博の展覧会はそれ以来のビッグな‘洛中洛外図展’、これは見逃せない!

まだ出品作の全容が明らかでないがほかの風俗画、例えば‘四条河原遊楽図’などもどどっと結集するような気がする。5年前渋谷のたばこと塩の博物館であった‘近世初期風俗画 躍動と快楽’をぐっとスケールアップした感じの風俗画展になるのではなかろうか。

やきもの展でスゴすごそうなのが‘光悦展’(10/26~12/1 五島美)と‘井戸茶碗展’(11/2~12/5 根津美)。ともにやきものの展覧会では定評のあるブランド美術館、名品が沢山みられるにちがいない。開幕が待ち遠しい。

お気に入りの近代日本画家の回顧展が横浜で3つ開催される。横浜美では‘横山大観展’(10/5~11/24)をまずやり、そのあと‘下村観山展’(12/7~2/11)。そして‘今村紫紅展’(11/2~12/8)が三渓園で行われる。また、東近美の‘竹内栖鳳展’(9/3~10/14)も注目の回顧展。

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2013.06.09

後半展覧会の鑑賞計画!

Img_2     モスクワ プーシキン美術館 別館

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今年前半に鑑賞を計画していた展覧会は一部パスしたものもあったが、ほど予定通り出動した。で、心は後半に開催される展覧会のほうへ向かっている。

美術館のHPをサーフィンして情報をゲットしたりチラシがいろいろ集まってきたので、後半どこの美術館でどんな展覧会が開かれるかおおよそつかめてきた。いつものことだが、デパート系の美術館の情報が少ないのがもどかしいが、1ヶ月先くらいまではわかっている。こうした展覧会情報はもう少し情報を加えて7/1に紹介する予定。

そのなかでお楽しみのものを先出ししてみたい。最も期待しているのが横浜美で7/6から開催される‘プーシキン美展’。今は愛知県美で行われており(4/26~6/23)、これに合わせてBS朝日が4月に放送された‘世界の名画’でプーシキン美自慢のコレクションに光をあてていた。

1月に念願のフィラデルフィア美を訪問したのでビッグ美術館で残るはこのプーシキン美のみ。番組によるとここは本館と別館に分かれており、本館に古典絵画、そして別館に19~2世紀ヨーロッパ・アメリカ美術が展示されているようだ。

具体的な計画ができているわけではなのだが、なんとしてもこのプーシキンには足を踏み入れようと思っている。そう心に決めてはいるが、今回日本にやって来た作品はそれをぐらつかせるほどすごいラインナップになっている。画集で追っかけマークをつけていたのがアングル、ルノワール、ゴッホ、、ゴーギャン、アンリ・ルソー、ほかにもプッサンやモネなどもある。

とくに期待を寄せているのがルノワールとルソー、今年わが家はルノワール、クリムト、ルソーイヤー。ルノワールは三菱一号館美でクラークコレクションに遭遇し、アメリカでもフィラデルフィア美、フィリップスコレクション、METで心を浮き浮きさせてくれる傑作をみることができた。その締めくくりが横浜におでましいただくジャンヌ・サマリー。対面がもうすぐ実現する。

ルソーは‘詩人に霊感を与えるミューズ’、これもすごく楽しみ。またゴーギャンの‘エイアハ・オヒバ(働くなかれ)’も待ち望んでいる一枚、ゴーギャンの絵はエルミタージュとこのプーシキンにいい絵がごそっとあるが、そのなかの傑作2点が日本で公開された。‘果実を持つ女’(エルミタージュ)と‘その名はヴァイラウマチ’(プーシキン)、そして今回‘働くことなかれ’。大いに期待したい。

1月アメリカで現代アートの目慣らしをだいぶやったので、国立新美で行われる‘アメリカン・ポップ・アート展’(8/7~10/21)に対してはかなり前のめり状態。作品の詳細はまだ不明だが期待はできそう。はたして、ウォーホル、リキテンスタインのプラスαはいくつでてくるか、とても楽しみ!

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2013.06.08

アートに乾杯! 猿の物真似

Img_2     ‘貴婦人と一角獣 嗅覚’(部分 1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0001_2     エル・グレコの‘寓話’(1580年 マドリード プラド美

Img_0004_2   スネイデルスの‘果物、猿のいる静物’(1630年 リヒテンシュタイン美)

Img_0002_2     アンリ・ルソーの‘異国風景’(1910年 パサデナ ノートンサイモン美)

‘貴婦人と一角獣’をみていてとても新鮮に感じられるのは五感の表現の仕方。‘嗅覚’では貴婦人がナデシコの香りを楽しみながら花の冠をつくっている。そして、その後ろでは猿がそれを真似てバラの匂いを嗅いでいる。猿というと遠い昔から物真似が得意な動物というイメージができあがっている。

小学生のころ動物園へよく行った。いろいろな動物と出会うが長くみているのは檻のなかを動きまわるもの。カバやワニはほとんど動かないからすぐ飽きてくる。これに対し、猿はとにかくせわしなく動く。鮮やかな色をした鼻で強烈な存在感をみせるマントヒヒ、休むことなく左右を行き来する姿が目に焼きついている

どこの動物園でも大勢の猿がいる山がある。ここには自由に動きまわる元気のいい猿、親猿にくっついてちょこちょこ歩く子猿など猿のいろいろな表情や姿態が目を楽しませてくれる。猿とはこの動物園でのおつきあいが長かったため、家のまわりにいる犬や猫と同じくらい身近な存在になった。

猿が描かれた西洋画は馬の絵のようにはぽんぽんでてこない。古典絵画ですぐ思いつくのはエル・グレコ(1541~1614)の‘寓話’とスネイデルス(1579~1657)の静物画。‘寓話’に描かれた猿はじつにリアルで真ん中の少年や右の男と一緒にいても違和感がないから不思議。こんな猿顔の人を探すのに苦労をすることはない。

この絵になぜ猿が登場するのか?ひとつの解釈は猿を描くことで美術を‘自然の猿真似’として示したというもの。なるほどね、そうくるかという感じ。

猿の強欲がそのまま表現されているのがスネイデルスの作品。猿は後ろにいる猫ににらみをきかせながら、テーブルにあるリンゴやブドウなどの果物を食べ放題。この絵は昨年国立新美であったリヒテンシュタイン美展でお目にかかったが、猿の顔が妙に頭のなかに残っている。

アンリ・ルソー(1844~1910)が沢山描いた熱帯の楽園で猿は森の風景に欠かせない生き物。ここでは猿は物真似や食べ物をがつがつ食べるイメージから解放されて、親しみを覚えるゆるキャラみたいな存在になっている。子ともがテナガザルのシールをペタペタ貼ったような描き方だから、余計にそんな雰囲気になる。まさに‘モンキーパラダイスへようこそ!’と歓迎されているよう。

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2013.06.07

アートに乾杯! おとなしいライオンと獰猛なライオン

Img      デューラーの‘聖ヒエロニムス’(1495年 ロンドン ナショナルギャラリー)

Img_0001    ルーベンスの‘ライオンの穴の中のダニエル’(1613年 ワシントン国立美)

Img_0002     ジェリコーの‘白馬を襲うライオン’(1824年以前 パリ ルーヴル美)

Img_0004  ティツィアーノの‘賢明の寓意’(1465年頃 ロンドン ナショナルギャラリー)

傑作タペスリー‘貴婦人と一角獣’で一角獣とペアを組んでいるのがライオン。7枚のタペスリーのなかには口を大きくあけて強さをアピールしているものもいるが、総じてあまり怖くなく可愛い感じのするライオン。一角獣が角を切ると即馬なのに対し、おとなしいライオンは犬を大型化したのと変わらない。

ライオンが古典絵画に登場するときはおとなしいことが多い。聖人ヒエロニムスはよく描かれる題材だが、聖人のそばにはいつもライオンがいる。デューラー(1471~1528)の描いた作品でもライオンがうしろに静かに座っている。獰猛さがみじんも感じられないのはこのライオンは聖人に恩があるから。体に刺さった棘に苦しんでいると聖人がこれを抜いてくれたのである。

ルーベンス(1577~1640)が描いた英雄ダニエルの物語ではライオンがいっぱいでてくるが、じつにおとなしい。預言者ダニエルをライオンのいる洞窟に投げ込んで抹殺しようと企てた者たちには想定外のことが起こった。ライオンたちはダニエルに襲いかかろうとしない。ダニエルの勇気と徳の高さがライオンの荒々しい気性まで変えてしまった。この絵を5年前、ワシントンでみたときはライオンの気高さが強く印象づけられた。

ライオンの獰猛さに戦慄を覚えるのがルーヴルにある‘白馬を襲うライオン’。描いたのはロマン派の画家ジェリコー(1791~1824)。これはとてもショッキングな絵。背中をガブリとやられた白馬の苦しそうな表情、この悲惨な光景は長くはみれない。ジェリコーの盟友ドラクロアにも緊張を強いられるライオンの絵がある。

ティツィアーノ(1485~1576)の絵に描かれたライオンはアメリカのMGM映画の映像を思い起こさせる。この絵は上に三世代の人間の顔、すなわち老人(過去)、壮年(現在)、若者(未来)が描かれている。これに対応しているのが狼、ライオン、犬。画像ではみえにくいが上に‘過去の経験によって、現在は賢明に振舞う、未来の行為を損なわぬために’と書かれている。百獣の王ライオンは動きが力強く活動的なので現在を表すとされた。

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2013.06.06

アートに乾杯! 絵画に描かれたペット犬と猟犬

Img_2     ‘貴婦人と一角獣 我が唯一の望み’(1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0002_2     タペスリー‘放蕩息子の出発’(1510~20年 クリュニー中世美)

Img_0003_2  ファン・エイクの‘アルノルフィニ夫妻の肖像’(1434年 ナショナルギャラリー)

Img_0004_2    コジモの‘ニンフの死を悼むサテュロス’(1495年 ナショナルギャラリー)

散歩をしていると愛犬を連れて歩いている人とよくでくわす。ペットを飼う習慣がないので、犬の散歩のときの心構えというものがわからない。でも、たぶんこうなんだろうなというのがひとつある。

それは愛犬が立ち止まって草の匂いなどを嗅いだりしているときは散歩に連れ出した人はずっと待っていること。‘さあー、行くよ!’と犬をせかせることはしない。犬が動き出すのを辛抱強く待っており、散歩のペースは犬が決めている。ほとんどの人がそうしているのをみると、犬をストレスから解放しのびのびさせてやるのが散歩の目的だからこれが当たり前なのかもしれない。当たっている?

犬の種類で知っているのはわずか、ダックスフンド、チワワ、チン、スピッツ、ブルドッグ、ドーベルマン、柴犬、秋田犬、、西洋の犬がどの時代から存在しているのかよくわかってないが、西洋画を通じて犬の情報が少しばかり入ってくる。例えば、ルネサンスの時代ドイツで活躍したクラナハの描いた‘エデンの園’とか‘鹿狩り’では野犬や猟犬がでてくる。

そして、‘貴婦人と一角獣’では髪のふさふさしたチンみたいな犬が描かれている。こういう犬が貴族の館で飼われていたというのがすごく不思議な感じがする。この犬をみてすぐ思い出したのがロンドンのナショナルギャラリーにあるファン・エイク(1390~1441)の有名な絵。この‘アルノルフィニ夫妻の肖像’で夫婦の真ん中に描かれた犬はイコノロジー的にいうと貞節の象徴。この犬はいつごろからヨーロッパにいるのだろうか?

大きなタペスリー‘放蕩息子の出発’は‘貴婦人と一角獣展’(国立新美 7/15まで)で飾られているもの。父親に見送られて出発する息子が乗る馬のまわりには犬が何匹もいる。犬の名前は不明だが、絵画に描かれるのはだいたいこの細身の犬。‘貴婦人と一角獣’にもこういう子犬がチンタイプとともに可愛く描かれている。

ピエロ・ディ・コジモ(1462~1515)が15世紀の終り頃に制作した横長の‘ニンフの死を悼むサテュロス’は横たわるニンフをそばでじっとながめている猟犬の存在感が強く感じられる作品。古典絵画で犬が主役扱い風に大きく描かれたものはほかにない。コジモの絵にはグロテスクな怪物も含めて生き物がいろいろでてくるが、画家自身動物が好きだったのだろう。

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2013.06.05

アートに乾杯! ‘貴婦人と一角獣’には兎がいっぱい

Img_0001_3     タペスリー‘貴婦人と一角獣 視覚’(1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0007_2     ティツィアーノの‘うさぎの聖母’(1530年頃 パリ ルーヴル美)

Img_0005_2     デューラーの‘野兎’(1502年 ウィーン アルベルティーナ美)

今、国立新美でタピスリー‘貴婦人と一角獣’をみた感激の余韻にひたっている。これまで海外の美術館、宮殿、あるいは邸宅などでタピスリーを体験する機会は何回かあったが、夢中になってみたのはロンドンのヴィクトリア&アルバート美にあるラファエロが下絵を描いたものだけ。このMyタペスリーにあらたに‘貴婦人と一角獣’が加わった。

今回の展覧会に用意された図録は特別に出来がいい。そのなかでとくに興味深いのは詳細に解説されている千花文様(ミル・フルール)の花の数々と樹木、そして一角獣とライオン以外に登場する動物たち。タペスリーのなかには40種類の植物が描かれているそうだ。花の名前がなかなか覚えられなかったので、この図録はとても貴重。

動物で一番多くでてくるのが兎。7つのタペスリーに34回現れるという。たしかに目につく。西洋絵画に長く親しんでいるが、兎がこんなに登場する作品はみたことがない。‘視覚’に描かれた兎が一番多く全部で8匹いる。兎のポーズは5つあり、これが繰り返し使われている。

兎がでてくる絵ですぐ思いつくのはルーヴルにあるティツィアーノ(1485~1576)が描いた‘兎の聖母’とデューラー(1471~1528)の‘野兎’くらい。でも、本物にはまだ縁がない。‘兎の聖母’は繁殖力のシンボルとかキリスト受難とか、復活を意味するものとして図像的な解釈がなされる兎をみるにはもってこいの作品だが、この絵は倉庫にあることが多いのでいまだに追っかけ画リストに残っている。次回のルーヴル訪問でみれるだろうか?

‘野兎’にはデューラーの半端ではない写実力の高さが存分に発揮されている。兎が目の前にいるよう。ウィーンへまた行くことがあったら、この絵を万難を排してみようと思っている。

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2013.06.04

祝 日本W杯出場決定!

Img     PKを決めた本田圭佑

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サッカー日本代表がW杯出場を決めてくれた。拍手々!4年ごとにやってくるサッカーのW杯の予選、わが家ではこの出場権を決める試合だけは世間並みに盛り上がる。

今日の相手はオーストラリア、この予選は現在3位と日本より成績は悪い。だから、ここは勝って出場するイメージで試合をみていた。前半は日本が攻め込むこともあり、また逆にオーストラリアに逆襲されて危ない場面もあったから五分五分の戦いだった。

注目の選手は香川と長友、そしてエースの本田。3月のヨルダン戦のときは長友、本田が怪我で出場できなかったから、今日は2人のプレーに期待をしていた。戦術的はことはわからないが、本田がボールをキープするとなにか点が入りそうな気がする。香川の前へ前へ突破していく動きはやはりスゴイなと思う。

前半0-0で終わり、後半がはじまった。惜しかったのが香川のシュート。バーを少しはずれた。また、長友の左サイドからシュートも残念だった。あの角度からのゴールはなかなかむつかしい。25分が過ぎたころから、引き分けまであと20分と計算しはじめて。このままいくかなとみていたら、37分オーストラリアの選手が左サイドからふわーっと蹴ったボールがまさかのゴール。

あれー、こりゃ大変なことになった。この時間帯に点を入れられたらもうダメ、今日は悪い日だと観念した。ところが、44分瞬時にはわからなかったが、日本のPKだという。VTRをみたらオーストラリアの選手がハンドをしていた。こんなことがあるのか!という感じ。PKを決めれば同点になる。運がまた日本にやってきた。

蹴るのは本田。この男はやっぱりもっている。ゴールど真ん中に決めた!サッカーをよく知らないので真ん中を狙うのがわからない。キーパーがでーんと構えている真ん中を狙うより右か左にぶちこんだほうがゴールする可能性が大きいのではと思ってしまう。

本田の強烈ど真ん中シュートでブラジル行きが決まった。残り3分で劇的に追いついたので大感激。本当によかった。

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2013.06.03

アートに乾杯! 一角獣・イソップ物語・国芳

Img_0003_2 ‘一角獣狩り 追い詰められた一角獣’(1495~1505年 クロイスターズ分館)

Img_2     ‘イソップ物語 馬とライオン’

Img_0002_2     歌川国芳の‘近江の国の勇婦於兼’(1831~32年)

メトロポリタン美のクロイスターズ分館に所蔵されている連作タペスリー‘一角獣狩り’が掲載されている‘貴婦人と一角獣展’の図録を手に入れたことは大きな収穫だった。そのなかにとても気になる姿の一角獣がいる。キリスト受難の文脈で描かれた4点のひとつ‘追い詰められた一角獣’。

この場面は狩人と猟犬に追い詰められた一角獣が後足で最後の反撃をしているところ。一角獣が登場する絵をみることがきわめて少ないから一角獣の姿はとても新鮮。そのうえこの一角獣は生死の境にいるからおとなしくしてない。前足をぴんと伸ばし後足を高くあげできるかぎり強くみせようとしている。この姿がどうも気になる。

ある絵がすぐ頭をよぎった。それは歌川国芳(1797~1861)が描いた豪傑女と馬の絵。じつはこの絵は西洋の銅版画を下敷きにして制作されたものだった。1999年、神戸市立博物館の学芸員勝盛典子さんは江戸の旗本がもっていたフランス語版の‘イソップ物語’を調査しているとき挿絵のなかに国芳の浮世絵によく似たものがあることを発見した。

誰がみても国芳の絵が‘馬とライオン’を参考にして描いたものであることはわかる。そして、いま気になっているのはこの馬の姿。イソップ物語の挿絵を描いた画家はひょっとして‘一角獣狩り’で後ろ足をあげている一角獣をみたのではないかと。

馬が後足をあげることはよくあることだから、別に一角獣狩りのタペスリーを知らなくてもライオンに足蹴をくらわせる馬の姿は描ける。だから、まったく関係ないのかもしれない。隣の方は話は聞いてくれるが興味なしという顔つき。でも、これがイソップ物語というのがひっかかる。動物寓話集とか古い博物誌とつながっているのだろうか?

‘貴婦人と一角獣展’に遭遇したことで一角獣を含めた怪物や生き物たちが神話やキリスト教の世界でどういう姿形で描かれてきたのか知りたくなった。で、関連本を引っ張り出し動物情報の読み解きをはじめている。

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2013.06.02

メトロポリタン美の分館 クロイスターズにある‘一角獣狩り’!

Img_0003_2     タペスリー‘一角獣狩り 囚われの一角獣’(1495~1505年)

Img_2     ‘神秘の一角獣狩り’

Img_0001_2     ‘一角獣の発見’

Img_0002_2     ‘流れから飛び出す一角獣’

海外にある美術館をめぐる旅はこれまで大半がヨーロッパだったが、今心はぐぐっとアメリカにむかっている。1月ニューヨークで久しぶりにMoMAやグッゲンハイムを訪れ、近代絵画や現代アート作品を楽しんだ。これで心のなかにあるNY熱に一気に火がついた。そうすると、ふしぎなものでNYのアートシーンに関する情報がいろいろ入ってくるようになった。

4月末にはBS朝日で木梨憲武がMoMAを訪問したり画廊めぐりをするじつにタイムリーな番組に遭遇したし、昨日はその続編があり興味深いパブリックアートがいくつもでてきた。刺激的なオブジェを目にすると、自由の女神がNYへまたおいで!と微笑んでいるように思えてきた。

そして、もうひとつNYへ駆り立てるものがある。それはメトロポリタン美の分館、クロイスターズにあるタペスリー‘一角獣狩り’。これは27日に国立新美ですばらしいタペスリー‘貴婦人と一角獣’をみたことが大きく影響している。このフランスの至宝をみたことで、以前から存在は知っていたクロイスターズにある‘一角獣狩り’が俄然頭をもたげてきた。脳が文化記号の響き合いを強く感じているのである。

‘貴婦人と一角獣展’(7/15まで)は今、知人、友人に大いに宣伝している。この展覧会の収穫はもうひとつ、作品を収録した図録。とてもいい編集で情報量が多く読みやすい。有難いことにクロイスターズ蔵の‘一角獣狩り’の7点が全部掲載されている。これまでMETの図録でみたのは2点のみ。この図録のお蔭で連作タペスリーの全貌がわかった。

わかりやすい解説によると、一角獣狩りというテーマは宮廷的恋愛、受胎告知、キリスト受難という3つの文脈で解釈され、7点はそれにもとづいて描かれている。最初にでてくる‘狩りの始まり’と‘囚われの一角獣’は宮廷的恋愛を表現している。日曜美術館でも名大の先生がこの恋愛の話にふれていたが、一角獣は男性の恋人で一角獣を捕らえるための乙女は男性の求める女性。狩人は男性を虜にする愛を意味する。

気を惹くのが‘神秘の一角獣狩り’、これは受胎告知に見立てられている。乙女が聖母マリア、一角獣はマリアの母体に宿るキリスト、そして左で角笛を吹く狩人が大天使ガブリエル。これまで受胎告知を数多くみてきたが、ガブリエルが男性に代わったものはみたことがない。

残る4点は一角獣がキリストでこの場面がキリスト受難を表していることはすぐ理解できる。‘一角獣の発見’、‘流れから飛び出す一角獣’、‘追い詰められた一角獣’、‘殺され、城へ運ばれる一角獣’。本物の前では夢中になってみてしまいそう。その機会が早く訪れることを願ってミューズに祈りをささげることにした。

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2013.06.01

ニューヨークのパブリックアート!

Img_2     パークアベニューにある‘エンパイア・ステート・ビル’(2013年)

Img_0001_2     ウオール街にあるイサム・ノグチの‘レッド・キューブ’(1968年)

Img_0002_2     クラークソン・ストリートにあるキース・へリングの作品

Img_0003_2     ブリーカー・ストリートにあるピカソの‘シルベットの胸像’(1967年)

本日8時から放送されたBS朝日の‘木梨憲武 アートって何だ!’を楽しく見た。これは1ヶ月くらい前に放送された憲武のニューヨークアートめぐりの続編、パブリックアートが沢山でてきた。

NYの街を自分の足で歩いた範囲はごく限られているので、パブリックアートが置かれている場所のイメージがわいてこないのがもどかしいが、作品がもっている形や表現のおもしろさには大いに刺激される。セントラルパークのなかを気軽に歩いたことがまだない。ここにある‘ユナイテッドエメニー’というタイトルのついた人物彫刻はドーミエの風刺画にでてくる人物の感じ、こんなおもしろいオブジェがあったとは!

5番街から東へ2つ行ったパークアベニューに高層ビルをモチーフにした野外アート作品がいくつもでてきた。もっとも興味をおぼえたのがキューバ人アーティストが今年制作した‘エンパイア・ステート・ビル’、このNYのシンボルを消防車の横にぐるぐる巻きにされているホースのように表現する発想がユニーク、ほかにもクライスラービルが蛇がとぐろをまくみたいに変容していた。

作品は8ヶ月ごとに展示替えになるようだが、ここには奈良美智や村上隆の作品も設置されたという。へえー!こうしてNYのアートゾーンにしっかり根をはっているのだから、二人はコレクターや美術ファンの間ではヤヨイ・クサマとともに現代日本アートのシンボル的な存在になっているにちがいない。以前村上隆のオブジェがグランドセントラル駅に飾ってあるという話を聞いたことがあるが、今もあるのだろうか?

いつかみたいと思っていたイサム・ノグチの‘レッド・キューブ’が登場した。場所はウオール街、HSBC銀行の前、このあたりは1月のNY観光のときバスのなかからみたが、残念ながら‘レッド・キューブ’はとらえられなかった。これで次回しっかりみる心の準備ができた。

キースへリングのプールの周りの壁に描かれた作品やピカソのコンクリートでできた彫刻がある場所はまったくわかならいが、運よく情報を得たのでいつか本物の前に立ってみたい。

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