クリムトを追っかけて宇都宮美へ!
クリムトの‘赤子’(1917~18年 ワシントンナショナルギャラリー)
クリムトの‘アッター湖畔’(1900年 ウィーン レオポルト美)
マッキントッシュ夫人の‘刺繍パネル’(1904年 グラスゴー美術学校)
宇都宮美で開かれている‘クリムト展’(4/21~6/2)をみてきた。宇都宮まで行っているJR湘南新宿ラインに乗ったのだが、美術館に着くまで3時間40分かかった。バス料金にびっくり。駅前から乗っている時間は20分なのに400円が料金箱に。
クリムト(1862~1918)の生誕150年を記念して企画されたこの回顧展は最初愛知県美でおこなわれ、そのあと東京をとびこして宇都宮へ巡回。クリムトを日本でみるのは3,4年ぶり。作品は愛知県美自慢のお宝‘黄金の騎士’を軸に油彩、素描、そしてウイーン世紀末芸術に集った作家たちによってつくられた家具、工芸品、ジュエリーなどが展示してある。
15年くらい前これと同じようなラインナップのクリムト展をみたが、作品の質はそのときと同じレベル。今回の追っかけ作品は‘黄金の騎士’ではなくワシントンナショナルギャラリーからやってきた‘赤子’とウィーンのレオポルト美にある‘アッター湖畔’。
‘赤子’は1月ワシントンを訪問した際はすでに名古屋へ出張していたため08年のときと同様お目にかかれなかった。だから、ようやくみれたという感じ。画面上のほうで顔をみせている赤ちゃんはぱっとみると端午の節句できれいな服を着せられた日本の男の子を連想させる。
期待通り心に響いたのは‘アッター湖畔’。正方形の画面にはひんやりとした静謐な空気が流れている。印象に強く残るのが波紋を表わす明るいうす緑の点々。その斜めに流れる波をじっとみていると色は違うが福田平八郎の‘漣(さざなみ)’が目の前をよぎった。昨年ウィーンで行われたクリムトの風景画を集めた特別展(レオポルト美)をみれなかったのは残念でならないが、この‘アッター湖畔’と対面できたのでもって瞑すべしの心境。
今年わが家はクリムトイヤー、アメリカ美術館めぐりでクリムト作品に全部で9点(そのうち初見が7点)出会い、宇都宮でも油彩6点(初見5点)が姿を現してくれた。それらはノイエギャラリーにある‘踊り子’(拙ブログ4/04)など画集に載っている作品が多く、クリムト狂いには心躍る鑑賞体験。こんなことは二度とないかもしれない。
クリムト以外の作品ではマッキントッシュの夫人の装飾意匠に大変魅了された。クリムトはエジプトの棺に描かれた目の模様を‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’に使っているが、この‘刺繍パネル’にもこの目が上に描かれている。興味深くながめていた。
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コメント
おお、行かれましたか。
僕も体調が良ければ行きたいところでした。
去年はウィーンにクリムトが集結して、他の国には貸さない状態だったようですが、やっと日本にも来ましたね。
ノイエギャラリーとは、新しいという意味でしょうが、改装した?ギャラリーですか?増築したのかな?
何はともあれ、都会のルネサンスの中で世紀末芸術が宇都宮というのも興味深い。
投稿: oki | 2013.05.22 22:56
to okiさん
名古屋でなく宇都宮で2点みれたのでもって
瞑すべしでしょう。嬉しいクリムトイヤーに
なりました。
NYのノイエギャラリーは古い邸宅を改装して
ギャラリーにしました(2001年にオープン)。
そして、今年の2月にまた改装して美術館に
したようです。
投稿: いづつや | 2013.05.23 00:01