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2013.05.31

追っかけ‘佐竹本三十六歌仙絵’!

Img_0001_2  ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 鎌倉時代 13世紀 京都・北村美)

Img_0002_2     ‘小大君’(重文 奈良・大和文華館)

Img_0003_2     ‘紀友則’(重文 京都・野村美)

Img_0004_2     ‘藤原敏行’(重文)

‘佐竹本三十六歌仙絵’には特別の思い入れがあり、一点でも多くみたいと願っている。でも、この絵の追っかけはとても完成しない。サントリー美の展覧会であらたに一点が姿をみせてくれ、これまでみたものは37点のうち17点になった。

過去に‘佐竹本’を少しまとまった形でみる機会がいくつかあった。
★‘日本と東洋の美’(東博 1992年)  ‘平兼盛’など5点
★‘歌仙の饗宴’(出光美 2006年)   ‘小大君’‘紀友則’など9点
★‘特集陳列 佐竹本三十六歌仙絵’(東博 2006年)  ‘小野小町’など4点
★‘森川如春庵コレクション’(三井記念美 2007年)  ‘藤原敏行’
★‘もののあはれ展’(2013年 サントリー美)   ‘藤原高光’‘源順’

‘徒然なるままに’さんが06年ご自身のブログで‘佐竹本’37点がどこの美術館あるいは個人に所有されているかをまとめられた。大変有難い情報で追っかけに利用させてもらおうと思っている。その貴重なリストによると個人の所蔵が多く16点を数える。このなかでお目にかかったのは画像に載せている‘藤原敏行’、‘藤原興風’、‘小野小町’、‘壬生忠見’の4点だけ。残りは大‘佐竹本三十六歌仙絵展’でもないかぎりみれそうにない。

対面の可能性があるのは美術館にあるもの。日本画の場合、常時展示されていないので美術館へでかけてもみれるという保証はないのだが、アバウトに狙いを定めている美術館は、

★京都・北村美 ‘藤原仲文’
★京都・湯木美 ‘在原業平’
★京都・泉屋博古館 ‘源信明’
★諏訪湖・サンリツ服部美 ‘大中臣能宣’
★広島・耕三寺博物館 ‘紀貫之’

まずは旅行計画のたてやすい京都の3つの美術館。ぼちぼち進んでいきたい。

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2013.05.30

アゲイン ‘もののあはれと日本の美’展!

Img_0003_2     土佐光起の‘春秋花鳥図屏風’(右隻 江戸時代 17世紀 穎川美)

Img_0001_2     本阿弥光悦・俵屋宗達の‘鹿下絵新古今集和歌巻’(17世紀 サントリー美)

Img_0004_2     尾形光琳の‘秋草図屏風’(右隻 18世紀 サントリー美)

Img_2     北野恒富の‘星’(1939年 大阪市立美)

サントリー美で開かれている‘もののあはれ展’(4/17~6/16) は追っかけ画が5点あるのでまた行かざるをえない。北村美蔵の‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 展示5/8~5/20)もみたかったが、これは京都へでかけたときの楽しみにとっておくことにして、ほかのものを優先した。

その絵は土佐光起の‘春秋花鳥図’(5/22~6/16)と‘伊勢新名所絵歌合’(重文 5/15~6/16)。‘春秋花鳥図’を所蔵しているのは西宮にある穎川(えがわ)美。この美術館の名前は20年前にあった‘やまと絵展’(東博)の図録でインプットされたが、えがわと読むのに時間がかかった。

この屏風のほかに長沢蘆雪の‘月夜山水図’(5/22~6/16)もコレクションしている。関西方面へでかけたときは訪問してみようと思っていたが、運よく東京でみれたのでその必要がなくなった。

前回とりあげた‘秋草鶉図’同様、‘春秋花鳥図’も図録で魅了されていたが、本物は期待どうりの華麗な屏風だった。季節柄右隻の桜と柳に目が釘付けになる。ナイアガラの滝を連想させるのが柳の細い枝、多くの柳が金雲を前後ではさむようにして垂れ下がっている姿がとても美しく感じられる。

今回はこの絵と‘伊勢新名所絵歌合‘の2点買いなので、あとはさらっとみた。足がとまったのは光悦と宗達の合作‘鹿下絵新古今集和歌巻’、鹿の絵はほかにもいくつかあるが鹿が何頭も群がっているこの絵が一番気に入っている。

琳派の絵とやきものが今回沢山でている。宗達10点、尾形光琳(1658~1716)の‘秋草図’、乾山の絵・やきものが合わせて5点、酒井抱一1点、鈴木其一4点。だから、琳派に心を寄せてみると楽しさが増すかもしれない。

近代日本画のいい絵と再会した。北野恒富(1880~1947)の‘星’、こういう美人画の構図は簡単にでてくるように思いがちだが、これがむつかしい。しばらくいい気持ちでみていた。

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2013.05.29

五感に序列があるの?

Img_0003     ヤン・ブリューゲルとルーベンスの‘嗅覚’(1618年 マドリード プラド美)

Img_0004      ‘聴覚’

Img_0002      ‘視覚’

Img ティツィアーニの‘ヴィーナスとリュート奏者’(1560年頃 NY メトロポリタン美)

2年前、スペイン旅行をしたときマドリードのプラド美で所蔵するルーベンス(1577~1640)の作品を数多く展示した特別展に遭遇した。そこにも‘貴婦人と一角獣’に描かれた‘五感’を表現したものがあった。

作品はルーベンスがヤン・ブリューゲルと一緒に描いたもので、‘触覚’、‘味覚’、‘嗅覚’、‘聴覚’、‘視覚’をクピドを連れたヴィーナスの仕草や行っていることで表している。‘嗅覚’ではヤンのお得意の花が画面いっぱいに咲き誇っている。‘聴覚’はヴィーナスが楽器を演奏する場面、そして‘視覚’ではクピドが持つ絵をヴィーナスがながめており、部屋は絵画や彫刻で埋め尽くされている。

五感は伝統的に序列がつけられている。‘高次’の感覚と‘低次’の感覚に分けられ、この‘高次’に入る聴覚と視覚だけが愛や美の世界と関係をもつとされ、触覚、味覚、嗅覚は排除された。そして、聴覚と視覚の序列についてはいろいろ論じられたが、視覚が聴覚より上というのが一般的な認識でダ・ヴィンチもこういっている。‘音楽はたんに絵画の姉妹というにすぎない。なぜなら、視覚のあとに位置づけられる聴覚を用いるのだから’

これに対し、新プラトン主義のフィチーノ(1433~1499)は中道の立場をとり視覚と聴覚は同じとし、二つを心と同格にまで引き上げる。‘美には三種類ある。魂の美、肉体の美、音の美、である。魂の美は心が感知し、肉体の美は視覚が享受し、音の美は聴覚を通じて感じられる。愛は常に心、目、耳に満足する’

美術史家のパノフスキー(1892~1968)はティツィアーノ(1485~1576)の描いた‘ヴィーナスとリュート奏者’についてこの聴覚、視覚の関係を切り口にして興味深い読み解きを行っている(‘ティツィアーノの諸問題’2005年 言叢社)。ティツィアーノはヴィーナスと音楽を結びつけたテーマではもうひとつオルガン奏者のヴァージョンを3点描いており、その2点がプラドにある。

ふたつの絵はオルガン奏者が先に描かれそのあとにリュート奏者が描かれた。‘オルガン奏者とヴィーナス’では最初の絵とつぎの2点ではオルガン奏者の描き方により、視覚の聴覚に対する完全優位からいくらか優位に変わったと、パノフスキーはいう。

ベルリン美にある最初のヴァージョンは奏者は楽器に触れてなく、横たわっているヴィーナスをうっとり見つめているが、プラドにあるヴァージョンでは両手は鍵盤に置かれ奏者は体をよじりヴィーナスをみている。この描き方のちがいにより聴覚の美(音楽を聴くこと)に対する視覚的な美(裸体に具現される)の優位が変わったと解釈するのである。

そして、オルガン奏者からリュート奏者に変わり視覚と聴覚は均衡のとれた状態になったと読み解く。それはこう。オルガンを演奏しながら美しいヴィーナスを感嘆して眺めることはできない。でも、リュートならヴィーナスの美しさに魅せられながらセレナードを奏でることができる。パノフスキーは音楽にも造詣の深かったティツィアーノがフィチーノの思想を絵の中に表現したと解釈した。

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2013.05.28

アートに乾杯! 一角獣の美

Img_0001_2     モローの‘一角獣’(1885年 パリ モロー美)

Img_0003_2     ボスの‘快楽の園’(部分 1500~10年 マドリード プラド美) 

Img_0004_2     ‘驚異の書’マルコ・ポーロの旅の報告記、1410年頃 フランス国立図書館

Img_0002_2     ‘エジプトの奇想天外な動物たち’1485年 フランス国立図書館

一角獣(ユニコーン)の絵というとすぐ思いつくのがある。モロー(1826~1898)の‘一角獣’、この絵は何年か前、日本にやってきた。たしかBunkamura。国立新美で今展示されているタピスリー‘貴婦人と一角獣’が一般公開されたのが1882年。モローはこのタペスリーに刺激されてこの絵を描いたといわれている。

獰猛な一角獣は処女の前ではおとなしくなるというのはこの絵をみるとよくわかる。サロメを連想させる妖艶な女性二人に体を触られて3頭はもう羊のようなやさしい動物に変身している。モローの絵にはスフィンクス、ケンタウロス、キマイラなど架空の動物がいろいろでてくるが、この一角獣の姿に一番惹きつけられる。

ボス(1450~1516)の‘快楽の園’(三連祭壇画)にも一角獣は登場する。でも画面をじっくりみないと気づかない。全部で3頭いる。まず1頭は左翼パネルの‘地上の楽園’の左上に描かれ、生命の泉で水を飲んでいる。もう2頭は中央パネルの‘快楽の園’。真ん中の池の周囲をまわっている騎馬行列に目をやると、右上に裸の男が一角獣に乗っている。そして、左下のところにもう1頭が首や前足をみせている。

一角獣は怪獣のひとつとして百科事典的な書物によくでてくる。マルコポーロ(12世紀)の東方見聞録に記述された一角獣を15世紀のはじめ頃当時の画家が描いている。マルコポーロはサイを伝説上のユニコーンと同じものだとみなしていた。

フランス国立図書館にはおもしろい本がもう一冊ある。挿絵‘エジプトの奇想天外な動物たち’はロピネ・テスタール著‘世界の驚異の書あるいは自然の秘密’に使われたもの。ライオンやワニなどにまじって白い一角獣がいる。

NYのメトロポリタン美の分館、クロイスターズに7枚の連作タピスリー‘一角獣狩り’があることは以前から図録で知っている。これがつくられたのは‘貴婦人と一角獣’と同じ1500年頃、日本で‘貴婦人と一角獣’を奇跡的にみることができたので、METにあるものも是非みたくなった。

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2013.05.27

一生の思い出となる‘貴婦人と一角獣展’!

Img_2     ‘貴婦人と一角獣 触覚’(1500年頃 クリュニー中世美)

Img_0001_2     ‘味覚’(部分)

Img_0004_2     ‘視覚’(部分)

Img_0002_2     ‘我が唯一の望み’

国立新美で開催されている‘貴婦人と一角獣展’(4/24~7/15)をみてきた。パリのクリュニー中世美にすばらしいタピスリーがあることはTVの美術番組などにより以前から知っている。だから、アバウトだがクリュニー美は次のパリの美術館めぐりをするときの候補のひとつに入れていた。

その追っかけが幸運なことに一気に早まった。貴婦人と一角獣、そしてライオン、うさぎ、猿、鳥、花の精たち御一行様が大挙日本へお出ましいただくことになろうとは。こんな夢みたいな話が実現するのだから日本の美術シーンは本当にスゴイ。

そして、タイミングよく昨日の日曜美術館はこの貴婦人と一角獣のタピスリーを特集、そのためか2階の展示室には大勢の人がいた。この6枚の大きなタピスリーに何が描かれているかは事前のインプットが効いているので、絵の中にすっと入っていける。描かれた‘五感’は序列の低い順番から時計まわりで飾られている、‘触覚’、‘味覚’、‘嗅覚’、‘聴覚’、そして‘視覚’、最後は‘我が唯一の望み’。

御一行様のなかで緯線が向かうのはやはり貴婦人と一角獣。貴婦人の顔は6面ともみな違う、お気に入りは‘味覚’の右手でお菓子をとり左手にとまった鳥にあたえている貴婦人。また、‘触覚’の一角獣の長い角を握っている貴婦人の横顔にも惹かれる。

一角獣とライオンがペアで描かれているが、ライオンには申し訳ないが一角獣ばかりみていた。体に量感がありとても愛らしいのが‘視覚’の一角獣。容姿度ではちょっと落ちる貴婦人のひざに前足をのせる姿が微笑ましい。

このタピスリーにはいろいろな動物が登場する。一角獣とライオンのほかには、うさぎ、猿、犬、子羊、狐、子こどもライオン、そして鳥はカササギ、鷺、ハヤブサなどなど。このなかでおもしろいことに気づいた。猿は6面全部に登場しない、なぜかある感覚にはまったく描かれてない。何度もみたがいなかった、さてどの感覚か?みてのお楽しみ!

最後の‘我が唯一の望み’はこれまでいろいろな解釈がされてきた。ここには第六感の‘心’が描かれている。貴婦人は宝石箱に首飾りを戻しているのか、これからつけようとしているのか、どっちだろう。それとこの‘心’の意味がどうつながっているのか、興味は尽きない。

久しぶりに読み応えのあるいい図録が手に入った。満足度200%の展覧会だった。

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2013.05.26

クリムトの花オール・オーヴァー!

Img_0003     ‘けしの野’(1907年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

Img_0001     ‘ひまわりの咲く農家の庭’(1905~06年 ベルヴェデーレ宮)

Img_0005     ‘農家の庭’(1905~06年 プラハ 国立近代美)

Img     ‘りんごの樹Ⅱ’(1916年 ベルヴェデーレ宮)

オーストリアのウィーンは2003年に訪問した。はじめてこの街に足を踏み入れてから20年経っていたので、ウイーン美術史美やクリムトの‘接吻’があるベルヴェデーレ宮殿がとても新鮮に感じられた。ウィーンはヨーロッパではお気に入りの街、あと1,2回行きたいという気持ちを強く持っている。

そのときの楽しみ方はおおよそイメージできている。3つある楽しみの大半を占めているのがクリムト、シーレめぐり。あとは美術史美でチェッリーニの傑作彫刻‘フランソワ1世の塩入れ’をみることと昨年その素晴らしいコレクションが公開されたリヒテンシュタイン美を訪問すること。

クリムト(1862~1918)の作品が沢山あるベルヴェデーレ宮、2回の訪問と日本であったクリムト展などで画集に載っている名画にだいぶ済みマークがついている。でも、まだ9点も残っている。今、クリムト作品の展示についての生の情報がないが、とても一回では終わりそうにない。

そのなかでとくに関心の高いのが正方形の画面いっぱいに花が描かれた風景画。‘けしの野’や‘ひまわりの咲く農家の庭’は花をモチーフにした静物画とちがい、絵にとても力がある。数多くの花が画面全体にオール・オーヴァーに広がり、花の命の輝きを感じさせる。装飾的に描かれているのに花の存在感が強く印象に残るその生感覚、これが一番の魅力。‘ひまわり’と画面構成がよく似ているのがプラハの国立近代美が所蔵する‘農家の庭’、これも大変魅せられる。

‘りんごの樹Ⅱ’は15年くらい前日本にやってきた。大きなアフロヘアのような形をした木に赤や黄色のりんごが豊かに実っている。インパクトのある木のフォルムが今も忘れられない。ベルヴェデーレ宮にはりんごの木を描いた作品がもう1点あたったのだが、こちらは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’などと同様2006年競売にかけられ個人が所有することになった。これで対面の夢が完全に消えた。

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2013.05.25

もっとみたいクリムトの風景画!

Img_0004_2

Img_2     ‘アッター湖畔のカンマー城Ⅰ’(1908年 プラハ 国立近代美)

Img_0001_2     ‘アッター湖畔のカンマー城Ⅲ’(1910年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

Img_0003_2  ‘アッター湖畔ウンターアッヘの家並み’(1916年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

若いころスイスのジュネーブに住んでいたとき、オーストリアのザルツブルクへクルマで行った。クリムト(1862~1918)が毎夏恋人のエミーリエ・フレーゲと一緒に避暑のため出かけたアッターゼー(ゼーは湖の意味)はザルツブルクからそう遠くないところにある。

このアッター湖畔で描いた風景画が全部で何点あるのかわからないが、手元の画集などには13点載っている。このうちお目にかかったのは以前ベルヴェデーレ宮にあり今は個人が所有している‘アッター湖畔ウンターアッヘの家並み’や宇都宮美でみた‘アッター湖のほとり’など5点ほど。残った8点の多くは個人蔵だから、今後本物に出会う可能性はきわめて少ない。

アッター湖はオーストリア国内では最大の面積を誇る南北約20㎞の細長い湖。クリムトが湖に浮かべたボートから望遠鏡も使って描いたカンマー城は湖の北にあるオーストリア王室の夏の離宮。‘カンマー城Ⅰ’を所蔵するプラハの国立近代美は10年前訪問したことがある。

この美術館ではとても残念なことがあった。クプカの美しい抽象絵画やミュシャの装飾性にあふれる人物画と出会ったのに、どういうわけかクリムトの‘乙女たち(処女)’と‘カンマー城Ⅰ’が姿をみせてくれなかった。なにしろはじめての美術館だから館内のレイアウトがよくつかめない。ぐるっとまわったつもりでも一部の展示室は見落としていたのかもしれない。監視員に英語が通じなくてとうとうクリムト作品に会えなかった。一体どこにあったのだろうか?

二度目のプラハはないから、この2点は夢のままで終わりそう。どこかの美術館で‘プラハ近代美展’があるかなと思ったりもするが、これは200%妄想。それに仮に実現しても(しないが)クリムトよりミュシャのいい絵をもってくるのだろう。かえすがえすもクリムトを見逃したことが悔やまれる。

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2013.05.24

国宝‘大神社展’に‘北野天神縁起絵巻’が登場!

Img_0003_2     国宝‘北野天神縁起絵巻’(鎌倉時代 13世紀 京都・北野天満宮)

Img_0001_2     狩野内膳の‘豊国祭礼図屏風’(重文 左隻部分 17世紀 京都・豊国神社)

Img_0007_2     国宝‘彩絵檜扇’(平安時代 12世紀 広島・厳島神社)

Img_0005_2     ‘狩衣 紺地白鷺葦模様’(安土桃山時代 16世紀 岐阜・春日神社)

二度目の‘大神社展’(4/9~6/2)のお目当ては後期展示(5/8~6/2)の国宝‘北野天神縁起絵巻’。この絵巻は展示される機会が滅多にないから心待ちにしていた。東博に展示されるのは‘巻第八’で僧日蔵が六道めぐりをする場面、東京展のあと巡回する九博では‘巻第六’の清涼殿に落雷し雷神が現れる場面が展示される。

長年待っている雷神の絵が東博で展示されないのは残念だが、東京でこの絵巻をみれるなんて幸運このうえないことなので‘巻第八・天道’を2回並んでみた。ほかの絵巻とちがって天地が50㎝もあるので、一人々の人物が大きく描かれているのが特徴、だから勢いのある動きや表情豊かな顔を夢中になってみてしまう。赤ん坊をかかえて走っている女や正面向きの男の円い顔、優雅に空を飛ぶ天女、年老いたことを嘆き悲しむ老婆、、、

‘豊国祭礼図’のみどころはなんといっても二つの風流踊りの輪。最近は洛中洛外図のような画面にびっしり描き込まれ当世風俗をじっくり追っかけることがしんどくなっているのだが、久しぶりの‘豊国祭礼図’、単眼鏡のピントを合わせてこのエネルギッシュな踊りをのぞいてみる価値はある。傘を被った女たちは体を大きく曲げリズミカルに踊っている。このスピード感、イタリアの未来派がみたら裸足で逃げるにちがいない。これは世界に誇れる一級の風俗画。

入ってすぐの部屋には前期春日大社や熊野速玉大社の古神宝がどどっと飾られていたが、後期は広島の厳島神社や鎌倉の鶴岡八幡宮のお宝づくし。その一つ‘彩絵檜扇’を長くみていた。薄い檜の板に雲母を蒔き野原の風景を楽しむ直衣や狩衣を着た人物がじつに繊細に描かれている。こんな装飾性豊かな扇を一度でいいから手にしてみたい。

刺繍であらわされた白鷺が幾羽も飛び交う紺地の狩衣にも足がとまった。能衣装をみる機会がこれまで数回あったが、この模様は強く印象に残る。

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2013.05.23

東芸大美の好きそうな‘夏目漱石の美術世界展’!

Img_0002_2     ターナーの‘金枝’(1874年 ロンドン テート・ブリテン)

Img_2            ミレイの‘ロンドン塔幽閉の王子’(1878年 ロンドン大学)

Img_0004_2              与謝蕪村の‘竹渓訪隠図’(重文 18世紀)

Img_0006_2            長沢蘆雪の‘山姥図’(18世紀 遠山記念館)

東芸大美では現在‘夏目漱石の美術世界展’(5/14~7/7)が行われている。足を運んだのは漱石の絵画に対する好みに興味があったからではなく、チラシにのっているある絵がみたかったから。1点買いの鑑賞だから、さらさらとみて20分で終わった。

ターナー(1775~1851)の‘金枝’は一度現地でみたことがある。黄金色の光にあふれた画面はクリムトの金箔で彩られたものとはだいぶ趣がちがう。描かれているのはヴェルギリウスの詩‘アエネアスの歌’の一場面。左にいるのが金枝をもった巫女。巫女は地下の世界へ行こうとする英雄アエネアスに‘ささげものとして金枝を探してもっていかないと入れてくれない’と教えてやる。

真ん中の踊りの輪を対角線的にとりかこむように立っているのがキノコのような形をした松。こんな松は実際にみたことがない。慣れ親しんでいる日本の松とは異なった形なのでこの松ばかりに視線がいく。

今回のお目当てはミレイ(1829~1896)の絵。エドワード4世の二人の王子が叔父のリチャード3世によってロンドン塔に幽閉され殺されたことをテーマにしたこの絵の存在を知ったのは17年前のこと。一生縁がないと思っていたが、日本でみる幸運に恵まれた。不安げな表情をみせる二人の王子、死はそこまでしのびよってきている。

ミレイがみれればそれで目的は達せられたのに、嬉しいオマケがあった。5/26までの展示となっている与謝蕪村(1716~1783)の‘竹渓訪隠図’。以前MIHO MUSEUMであった蕪村の回顧展でこの絵は展示替えで見逃したので、追っかけ画リストにずっと残っていた。その絵が目の前に現れた。まさに犬も歩けば棒にあたる!

再会した長沢蘆雪(1754~1799)の‘山姥図’は緊張をしいられる作品。山姥の顔はまるで般若の能面のよう。厳島神社にあるグロテスクな山姥と金太郎の作品と較べると、こちらの山姥のほうがずっと怖い目をしている。


テーマ型の展覧会のときはいつも軽くみている。ミレイと蕪村があったからそれで十分。

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2013.05.22

クリムトを追っかけて宇都宮美へ!

Img_2     クリムトの‘黄金の騎士’(1903年 愛知県美)

Img_0003_2     クリムトの‘赤子’(1917~18年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img_0001_2     クリムトの‘アッター湖畔’(1900年 ウィーン レオポルト美)

Img_0006     マッキントッシュ夫人の‘刺繍パネル’(1904年 グラスゴー美術学校)

宇都宮美で開かれている‘クリムト展’(4/21~6/2)をみてきた。宇都宮まで行っているJR湘南新宿ラインに乗ったのだが、美術館に着くまで3時間40分かかった。バス料金にびっくり。駅前から乗っている時間は20分なのに400円が料金箱に。

クリムト(1862~1918)の生誕150年を記念して企画されたこの回顧展は最初愛知県美でおこなわれ、そのあと東京をとびこして宇都宮へ巡回。クリムトを日本でみるのは3,4年ぶり。作品は愛知県美自慢のお宝‘黄金の騎士’を軸に油彩、素描、そしてウイーン世紀末芸術に集った作家たちによってつくられた家具、工芸品、ジュエリーなどが展示してある。

15年くらい前これと同じようなラインナップのクリムト展をみたが、作品の質はそのときと同じレベル。今回の追っかけ作品は‘黄金の騎士’ではなくワシントンナショナルギャラリーからやってきた‘赤子’とウィーンのレオポルト美にある‘アッター湖畔’。

‘赤子’は1月ワシントンを訪問した際はすでに名古屋へ出張していたため08年のときと同様お目にかかれなかった。だから、ようやくみれたという感じ。画面上のほうで顔をみせている赤ちゃんはぱっとみると端午の節句できれいな服を着せられた日本の男の子を連想させる。

期待通り心に響いたのは‘アッター湖畔’。正方形の画面にはひんやりとした静謐な空気が流れている。印象に強く残るのが波紋を表わす明るいうす緑の点々。その斜めに流れる波をじっとみていると色は違うが福田平八郎の‘漣(さざなみ)’が目の前をよぎった。昨年ウィーンで行われたクリムトの風景画を集めた特別展(レオポルト美)をみれなかったのは残念でならないが、この‘アッター湖畔’と対面できたのでもって瞑すべしの心境。

今年わが家はクリムトイヤー、アメリカ美術館めぐりでクリムト作品に全部で9点(そのうち初見が7点)出会い、宇都宮でも油彩6点(初見5点)が姿を現してくれた。それらはノイエギャラリーにある‘踊り子’(拙ブログ4/04)など画集に載っている作品が多く、クリムト狂いには心躍る鑑賞体験。こんなことは二度とないかもしれない。

クリムト以外の作品ではマッキントッシュの夫人の装飾意匠に大変魅了された。クリムトはエジプトの棺に描かれた目の模様を‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’に使っているが、この‘刺繍パネル’にもこの目が上に描かれている。興味深くながめていた。

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2013.05.21

海外旅行 体調トラブルあれこれ!

Img_0001     ウェッセルマンの‘浴槽コラージュ#2’(1963年 東京都現美)

Img_0002     ギザのピラミッド

海外旅行をしているとき、お金や物を盗まれるのは経済的また心理的に痛いことは痛い。でも、これよりもっと辛いのは旅行の途中で体調を崩したり、怪我をすること。幸いこれまで大ごとになるような体調トラブルに見舞われたことはない。でも、小さな怪我やちょっとした調子の悪さならあれこれある。

10年前、中央ヨーロッパを旅行した。10日間の団体ツアーに参加しベルリン、マイセン、ドレスデン、プラハ、ウィーン、ブダペストをまわった。このときどこのホテルだったかは忘れたが、浴槽で足をすべらして肩をしこたま打った。バスタブはウェッセルマン(1931~2004)の絵のような感じ。見慣れたものだが、長楕円的な底は卵の殻のように丸くなっているところがあるから、立ってシャワーを浴びたりする際は注意しないといけないのだが、なにかの拍子でバランスを崩しばたっと倒れた。

そのときは肩は痛かったが、まあ打撲だから持参してペタンシップを貼っておけばそのうち治るだろうと思っていた。旅行中もその痛みはそう気にはならなかった。ただ、毎日シップを貼ってもなかなか痛みが消えない。指で押さえるとまだ痛い。日本へ帰ってからもその状況は変わらなかったので1週間後病院へ行きレントゲン写真を撮った。すると肩のところにひびがはいっていた。

先生は`痛かったでしょう、それは災難でしたね’といわれたが、当人はそれほどでもなかったから`どうしたら治るのでしょうか?’と聞いた。すると`そのうち治るでしょう、あまり重いものをもったりしないでください’。1ヶ月ほどでもとに戻った。

1997年エジプトへ行ったとき最も気をつけていたのが水、現地の水を飲むのは200%NG、ホテルでも外のレストランでも口にするのはミネラルウォーターだけ。日程の前半はうまく乗り切り、カイロに戻ってきた。ところが最後の日、バザールを見学しているときにお腹がぐるぐるいいだした。憂欝な気分になったが、運がいいことによく話をしていた看護婦さんがいい薬をもっていて、そのお蔭で一回の苦痛ですんだ。

帰国後友人と酒を酌み交わし旅のみやげ話をしていたら、彼もロンドンに駐在していたときエジプトを訪れ同じ目にあったという。エジプト旅行をすればお腹ぐるぐるはつきものなのだろう。今も変わってないような気がするが、それとも大丈夫?

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2013.05.20

海外旅行でスりにあったり物を盗られたことは?

Img      ラ・トゥールの‘女占い師’(1630年代 NY メトロポリタン美)

Img_0003      カラヴァッジョの‘女占い師’(1599年 パリ ルーヴル美)

今年いただいた年賀状のなかにお気の毒にというのが一枚あった。昨年8月オランダを旅行された知人はデルフトで盗難被害に会われたという。海外旅行でこういう目にあったのは初めてとのこと。それを読んで3年前パリでおきたスリ事件を思い出した。

海外へ何度も行かれている人のほうがスリや盗難に会う確率は大きいが、そんな災難には無縁という方もいれば、またお金スラれちゃったよ!という運の悪い方もいる。また、はじめての海外旅行でバッグを盗まれるという可哀想な女性もいる。これは運命の女神の気分次第だからどうすることもできない。

2010年の11月、パリの地下鉄で財布を盗まれた。まったく不覚というほかないのだがなんとも生々しい事件だった。駅の名前は忘れたが、スリにあったのは夕方の5時半ごろ。帰宅する通勤者たちで地下鉄をかなり混んでいた。車両のドアが開き降りる人がでたあと、大勢の人にもまれながら中に入ろうとした。

ドアの近くにやっと体が入ったが隣の方がなかなかうまくいかない。離れ離れになったら大変なので不安な気持ちになったが、なんとか一緒になった。そのあと、狐につままれるようなことが起きた。床に見覚えのある自分の財布が落ちている。一瞬何がおこったのかわからなかった。それを拾って顔をあげるとまだ空いているドアの向こうで若い女がニヤッと笑って‘あんたの財布だよ!’といった。そしてドアは閉まり車両は動き出した。

すぐ財布のなかをみた。はいっていたユーロのお札(3万円相当)はきれいに抜かれていた。クレジットカードは残っていたので助かった。財布はダウンジャケットの外の左のポケットに入れていた。内ポケットに入れるという鉄則を守ってなかったのだから、あの女スリは‘間抜けなジャポネだねー!’と大笑いしただろう。ハイ、その通りの間抜け之介でした。パリの地下鉄でスリにやられるとは思ってもみなかった。

じつはスリは最初は隣の方を狙っていた。女は車両に乗り込むのではなく、混雑している車両に乗る人の財布を一緒に乗るふりをして狙っていたのである。隣の方が中に入ろうとするとそれを邪魔して手をごそごそ動かしていたらしい。それに気づいてきっとに睨んだら女は諦めて横にいるこっちに狙いをさだめてきた。着ているダウンのポケットから財布を素早くぬきとり急いでドアの外に逃げる。スリはこういう手口を使っていた。

この事件が起きる30分前、グランパレでモネの大回顧展をみて心がふわふわになっていた。だから、気が緩みっぱなし。こういうときにガツーンとやられた。すきだらけだったのだ。大いに反省した。

こういう体験をしたので、ラ・トゥール(1593~1652)とカラヴァッジョ(1571~1610)の描いた‘女占い師’をみるときは女が抜き取ろうとしている財布や指輪に特別な感情がついてまわる。そして、二度とスリに会わないように財布は内ポケットを肝に銘じている。

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2013.05.19

開港から35年を迎える成田空港!

Img_0001          ルフトハンザのエアバスA380型機

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成田空港は20日に開港から35年を迎えるという。飛行機に乗るのが大好きなので、今日の朝日の記事を興味深く読んだ。そのなかでしっかり数字を頭に入れたのが世界の主要空港における国際線旅客数、このブラフをみると成田空港のポジションが一目でわかる。

2011年の時点で成田の旅客数は約2600万人、これに対し一番多いロンドンのヒースロー空港は6400万人、次いでパリのシャルル・ドゴール空港が5500万人、そしてヨーロッパを旅行するとき乗り継ぎで何度も利用したことのあるアムスのスキポールは5000万人くらいでフランクフルトは4900万人。

この4つの空港はこれまでの体験でその広さは実感できるが、利用客の数についてははっきりとつかめてなかった。ヒースローが最も多いことは知っていたが、6400万人かという感じ。あの頻繁に離発着する飛行機の光景をみたらこの数字は即納得する。

海外へ出かけるときはほとんどが成田空港からの出発、利用する航空会社によって南ウイングのときもあれば北ウイングのときもある。1月アメリカへ行ったときはANAだったので南ウイングだった。自宅から空港まではいつも成田エクスプレス、旅行会社から案内される集合時間は出発の2時間前だからこれに間に合う列車に乗り込む。

出発手続きを済ませたあとはクレジットカード会社のサービスが受けられる待合室へ直行。ここではいつもビールをいただくことにしている(1本は無料で2本目からは有料)。隣の方はオレンジとコーヒーを飲むのだが、ビールも飲むことにしてもらうのでもう1本もグイグイと。

ビールにはつまみがついてくるが、少ないのでMyつまみで増量する。口がいやしくできているからしょうがない。ふだんは酒呑みではないが、旅行の時だけは小原庄助さんになって朝酒をする。どうでもいいことだが、Myつまみを持っていくようになったきっかけのことを少し。

09年の11月インドを旅行した。若いころにもインドに行ったことがあり、どんな食事がでてくるかはおおよそわかっている。辛いカレーがダメなことは今も変わらない。で、この旅行でも食事の量が減ることを想定し、なにかお腹が元気になるものを日本から持っていくことにした。それが好物のおかき。

それまで海外へ行くときは日本のお菓子などをバッグのなかに入れておくことはなかったが、このインド旅行からいつもおかきを持っていくようになった。そして、空港のラウンジで一袋、二袋開け、飛行機でもビールやワインを飲むときまたむしゃむしゃ。

ヨーロッパでもアメリカでも飛行時間は13時間と長い。だから、食事のあと眠る時間がある。隣の方はもう寝たの?というくらい睡魔に襲われているが、あの飛行機のエンジン音のなかで眠るのはなかなかむつかしい。それでいつもやっているのはお酒をばんばん飲み酔っぱらうこと、まず食事の前ビールを2本、そして食事のときは白ワイン、そのあと睡眠タイムになるが、追加のワインを1本して、最後はウイスキーのオンザロック。これで深い眠りに落ちる。

ルフトハンザのエアバスA380型機は2回続けて乗った。昔からルフトハンザのファン、ビールは美味しいしスナック菓子なども機体中央の台置きにたくさんある。そして、客室乗務員の対応は明るくて心がこもっているから気持ちがいい。また、エアバスに乗りたい。

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2013.05.18

好調ヤンキース 黒田 6勝目!

Img     ヤンキース黒田 vs ブルージェイス川崎

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レンジャーズのダルビッシュが昨日タイガースとの試合で4点とられたものの7勝目をあげたのに続き、ヤンキースの黒田がブルージェイス打線をヒット2本と完璧に抑え今季6つ目の勝ち星をあげた。

今年の黒田は本当に安定している。投げたいところに投げられている感じ。だから、アウト3つをぽんぽんととる。こういう投球内容だと守っている野手はすごく楽で、得点をあげるのに気持ちが集中しゲームを優位に進めることができる。5-0で勝利した今日の試合はいい投手が投げて勝つときのベストプラクティスといえよう。

黒田の防御率はこれで1.99に上がった。アリーグでの順位は岩隈に次いで4位。オールスターゲームまで日があるが、この成績をキープしているとNYメッツの本拠地で行われる夢の球宴に出場できるのは確実、投手は野手と違ってファン投票ではなく監督の推薦により選出されるが、前半の試合でいい成績をあげた投手が選ばれる。

ヤンキースは現在東地区の首位、先発1番手のサバシアより2番手の黒田の成績がいいのだから、ヤンキースから選ばれるのは黒田しかいない。しかも今年はNYで行われるから地元ファンの思いも当然考慮される。黒田のほかにもダルビッシュ、岩隈も一緒に選ばれる可能性が高い。

過去オールスターのマウンドに立ったのは野茂と長谷川の2人だけ。同じ年に3人も出場すれば大きな話題になる。そんなスゴイことが現実味をおびてきた。勝手な選出の話にもう一人加えよう。今日3本ヒットを打って打率を.318まであげてきたブルワーズの青木。この調子で打ちまくれば監督推薦で出場できるかもしれない。日本人カルテットが実現したら、もう大変なことになる。

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2013.05.17

美術に魅せられて! 断続型の展覧会鑑賞

Img_0001     ダン・アリエリー著‘不合理だからすべてがうまくいく’(10年 早川書房)より

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展覧会へ出かける回数は2年前からぐんと減り、昨年は年間で59回(海外も含む)。今年もこのペースは変わらず、月に1度の頻度で動いている。出動日は最初の美術館に開館時間の10時前後に着くように家をでて、夕方まで4つか5つくらいの美術館を忙しくまわる。

05~07年のころは年に250回も280回も足を運んでいた。だから、今は展覧会との接触は大幅に減っている。でも、満足感が小さくなったという思いはまったくない。それどころか美術への愛着がますます深まり、思い入れの強い展覧会が日々の生活に心地よいリズムと喜びをもたらしてくれている。

こうした気持ちをぴったりいい表しているものが‘不合理だからすべてがうまくいく’(ダン・アリエリー著 10年 早川書房) にでてくる。上のグラフは買い物のスタイルによって満足度がちがってくることを示したもの。

ここで散財戦略というのは買いたいものを片っ端から買っていき、パーッとお金を使ってしまうこと。この場合、散財の直後は幸せ絶頂だが、われわれは新しいものにあっという間に順応してしまうので目新しさはすぐ薄れてくる。すると、満足度はあっという間に薄れる。

断続戦略は最初に全部買わないで少しずつ買い足していくやり方。まずは新しいベッドを買い、3ヶ月後にTVをそしてその次にソファを買という具合に。こうすると、最初の満足度は散財型には及ばないが、買い足すことにより順応のペースがゆるめられ、満足度を再び引き上げることができる。だから、断続戦略をとったほうが全体的な満足度は高くなる。

新製品を買ったときに起きる高揚感や満足感は時間が経つとどうしても減少していく。その満足感を長続きさせるには、いいかえれば順応を遅くするためにはどうしたらいいか、それは中断すること、次の買い物まで時間をおくことなのである。

展覧会の鑑賞もせわしく出かけるより、適度の間隔をあけて新鮮な気持ちを維持しておくほうがトータルでみると大きな満足が得られるのかもしれない。

来週から江戸東博ではじまる‘ファインバーグコレクション展’(5/21~7/15)はお楽しみの里帰り展。だんだん気分が盛り上がってきた。

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2013.05.16

マリナーズ 岩隈 一流ピッチャーの仲間入り!

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マリナーズの岩隈がヤンキースとの試合で安定した投球をみせ勝ち投手になった。1回の表にマリナーズ打線が好きなように打ち大量7点をとってくれたから、岩隈にとっては楽な展開、いつものようにボールを丁寧に低めに集め2ホームランによる2失点に抑えた。これで5勝目

マリナーズは現在、西地区の3位で勝率5割には2つ負け越しているが、昨年よりは調子がいい。投手陣の柱が昨日登板したエースのヘルナンデスと岩隈。この先発2人の投球内容がとてもよく、両リーグの投手のベスト50(防御率のいい順)の上位にランクされている。アリーグの投手を上からいい順番に並べてみると、

1 ヘルナンデス(マリナーズ)  1.53 5勝2敗
2 バックホルツ(レッドソックス) 1.69 6勝0敗
3 岩隈(マリナーズ)        1.84  5勝1敗
4 バーランダー(タイガース)   1.93  4勝3敗
7 黒田(ヤンキース)        2.31 5勝2敗
12 レスター(レッドソックス)   2.72 6勝0敗
13 ダルビッシュ(レンジャーズ) 2.73 6勝1敗

防御率1点台はアリーグでは4人、ナリーグを含めても10人しかいない。そのなかに岩隈がはいっているのだから、これはスゴイ。また、黒田が7位(全体では15位)、そしてダルビッシュが13位(25位)。今年は日本人投手3人がいずれも好調で勝ち星を順調にあげ、大リーグの一流ピッチャーと堂々と競い合っている。じつに頼もしい。

3人はともに背が高く、アメリカや中南米出身の投手と較べても体格的に見劣りしない。黒田も岩隈もコントロールがよく投球術に優れている。そして、ダルビッシュは150キロ台のストレートと切れのいい変化球で三振の山を築く。この調子でいくと3人とも勝ち星がどんどんふえていく感じ。登板するすゲームをみるのがとても楽しみ。

明日はダルビッシュがタイガースのエース、バーランダーと投げ合う。強打者カブレラをどうやって抑えるか、わくわくしてきた。

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2013.05.15

働くことの意味  実験に使われたシシュフォスの神話!

Img_0001_2     マイケル・マクローン著‘ギリシャ・ローマ神話’(00年 創元社)より

Img_2     ティツィアーニの‘シシュフォス’(1548~49年 マドリード プラド美)

ギリシャ神話に魅せられており、定期的にこれまで読んだ本の頁をぱらぱらめくったり物語が絵画化されたものをながめている。ある物語が行動経済学の‘不合理だからすべてがうまくいく’(ダン・アリエリー 10年 早川書房)にでてくるので今日はそのことを。

ダン・アリエリーは行動経済学の分野で活躍しているデューク大学の教授(NY生まれのイスラエル人)。‘予想どおりに不合理’に次いで上梓した‘不合理だからすべたがうまくいく’のなかに働くことの意味を解明するために行われた実験が紹介されている。

実験協力者は学生でレゴのバイオニクル(小さな戦闘用ロボット)を組み立てて報酬をもらう。学生会館に張り出された‘レゴでこづかい稼ぎをしよう!’をみて組み立てが大好きな学生たちが集まってきた。いつもように参加者は条件の違う2つのグループに分けられる。‘意味あり’条件と‘シシュフォス条件’

‘意味あリ’条件ではバイオニクルを1体組み立てるたびに2ドルもらえる。報酬は11セントずつ減っていく。時間制限なし。‘シシュフォス’条件のほうはちょっとおもしろい。報酬の金額も時間制限なしも同じ。二つのグループのちがいはこう。

‘意味あり’では参加者のジョーが40個のピースを正確に組み立ててつくったロボットは1体、2体とできあがると台に置かれる。これに対して‘シシュフォス’ではチャドが1体をつくって2体目にはいると、実験者のショーンは1体目を分解する。

チャドはこれに驚いて‘ち、ちょっと、なに壊してんだよ?’という。すると、ショーンは‘なあに、ただの手順さ、きみがもう1体バイオニクルをつくるときのために、ばらしておかないとね’と説明する。

はたして、ジョーは10体つくり15ドル5セントをゲットしていい気分で帰っていった。一方チャドは4体つくって7ドル34セントを受け取った。ショーンがこの仕事を楽しんだかと尋ねるとチャドは‘そうだな、レゴで遊ぶのは好きだけど、この実験はそう楽しいってほどじゃなかった’と肩をすくめていった。

ジョーはこの仕事はその場かぎりのものであることはわかっていたが、仕事に意味があると思い楽しみながらバイオニクルをつくり続けることができた。ところが、チャドは自分の作品が少しずつ解体されていくのを見せつけられ、自分の仕事に意味がないと思わざるをえなかった。

この実験は仕事の喜びをやる気に変えられるかどうかは自分の仕事にどれだけ意味を見いだせるかにかかっているということを示している。

コリントスの王、シシュフォスは神の怒りにふれ冥界で巨大な岩を転がして険しい丘の上まで運び上げるように命じられる。ふつうならこれだけ大きな岩だから50個くらい運べばまあこらえてやろうかとなるが、ギリシャの神はそんなのは罰のうちにはいらないと気が遠くなるような罰を与える。

丘のてっぺん近くにくると岩をポンと押し、ふもとにまで転がり落とす。ありゃー、また一からやり直し、‘こんな無駄な骨折りは勘弁してよ!’とシシュフォスは未来永劫呟くことになる。

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2013.05.14

ブルワーズ 青木 3安打3打点 じぇじぇじぇ!

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今日の大リーグ放送はナリーグの青木がいるブルワーズとパイレーツの試合、朝8時から中継がはじまった。一番を打つ青木はすっかりレギュラーとして定着した。ポジションはライト。

チームの勝敗と青木の打撃成績はいつもMJBのホームページでチェックしているが、チームは最近10試合を1勝9敗とどん底状態、敗因は投手力の弱さ。打撃陣はいいのに先発投手が序盤に大きく点をとられることが多く、連敗が続いている。こんな状態だから勝利する可能性は大きくなかったが、青木のバッティングをみたい一心でチャンネルを変えずにみていた。

はたして、結果はどうだったか、予想に反してブルワーズが5対1で勝利し連敗にストップをかけた。勝利に大きく貢献したのがわれらが青木、2塁打を2本、内野安打1本と3安打も放ち3打点をあげた。日本で放送されているときこんなに打つとは、じぇじぇじぇ!おぬしも役者やのう。今日のヒット3本で打率は.299まで上がった。次のゲームではまた3割にのりそう。

ブルワーズの選手で知っているのは今日はお休みで出場してなかった3番のブラウンだけ。このゲームでいい選手を見つけた。青木の次に打つセグーラ(ショート)、打つのは打率がベスト5に入るほど好調な上、ショートの守りが素晴らしい。また、足も速く青木同様2盗塁を決めた。

ブルワーズには走れる選手が多くスモール野球もきっちりできるので、投手陣が頑張れば上位に食い込める。まだゲーム数はたっぷりあるからまた調子をあげていってもらいたい。そうなると青木のプレーをずっと楽しくみることができる。

ヤンキースのイチローの調子が落ちている。3試合ノーヒットとなり、打率は2割5分に低下。このところ5番で先発しているが、打順をまた7番に下げられそう。イチローの3割はもう期待できないかのしれない。残念だが、これが今のイチローの姿。疲れがたまってくるのか体の力と持ち前の技術が一体になってない感じ。体力の低下が修正能力を狂わせているのだろう。

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2013.05.13

ピーク・エンドの法則と展覧会の展示方法!

Img_4     マッテオ・モッテルリーニ著‘経済は感情で動く’(2006年)より

Img_0002_3     ミュンヘン アルテ・ピナコテーク

拙ブログの画面の左側には‘お気に入り本’を載せている。多くは美術関連の本なのだが、ほかの分野のものもある。行動経済学もそのひとつ、以前紹介したことのあるコロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授が上梓した‘選択の科学’(12/2/13)と‘予想どおりに不合理’‘不合理だからすべてがうまくいく’(ともにダン・アリエリー)

タイトルに使った‘ピーク・エンドの法則’は同じく行動経済学を扱った‘経済は感情で動く’(08年 紀伊国屋書店)という大変おもしろい本にでてくる話。著者はイタリア人のマッテオ・モッテルリーニ氏。この本には心理学の興味深い実験がいろいろでてくる。‘ピーク・エンドの法則’はその一例。実験は虫歯の治療を受けている人に対して行われたもの。

上の図の黒の部分が治療中に感じた痛みで、時間の経過で示されている。患者Aは8分で終わり、患者Bの場合は24分ガリガリやられている。こういう実験に協力する人は大変、治療のあいだ60秒ごとに‘0’(苦痛なし)から‘10’(極端な苦痛)をいわされる。そして、治療が終わったあと感じた苦痛を全体として評価する(ここでも‘0’から‘10’の段階で)。

興味深いのはこの苦痛の全体的な判断について、治療時間は患者の判断には影響しないことがわかった。この判断には治療のあいだに感じた苦痛の強さ(ピーク時)と最後に感じた苦痛の強さ(エンド時)が明らかに関連していた。

この例だと、ピークとエンドの平均は患者Aより患者Bのほうが小さい。AもBもピークの痛さは変わらないが、Aの治療はかなりの苦痛を伴って終わった。で、実験者はBのほうが痛みはひどかったのに、治療はいやだという記憶はそれほど強くないと結論付けた。

定期的に歯の治療を受けガリガリやられているので、この‘ピーク・エンドの法則’は腹にストンと落ちた。たしかに最後が痛かったときはそのショックは尾をひく。これに対し、治療が長くかかってもソフトランディングで終わるとブルーな気はそう重たくない。

この法則を展覧会で受ける感動にあてはめてみた。名画を展示する場所をどこにするかは主催者もいろいろ検討する。大体目玉の作品は導線でいうと真ん中あたりにもってくることが多い。最初の部屋に目玉は配置しない。

‘ピーク・エンドの法則’でいってるように展覧会の鑑賞に要した時間は全体の満足度に影響しない感じがする。目玉作品から受けた感動がとても大きくて、最後の部屋にあった作品がぐっとくれば展示室を出たとき‘ああー、いい展覧会だったね!最高にいい気分’となる。

現状では最後の部屋は‘終わりよければ、すべてよし’的な思いで作品は配置されていない。‘ピーク・エンドの法則’に習って最後の部屋には意識的にいい作品を並べるのもひとつの方法。展覧会の楽しい気持ちがいっそう高められる効果はある。三菱一号館美であった‘クラーク・コレクション展’ではルノワールの傑作が真ん中の大きな部屋だけでなく最後の部屋にもどどっと展示してあった。ひょっとするとこの法則を知っているのかもしれない。

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2013.05.12

6勝目をあげたダルビッシュ 年間奪三振300なるか?

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レンジャーズの今日の対戦相手は勝率が3割にとどかないアストロズ、だからダルビッシュは楽に勝てるだろうと思っていた。だが、実際はちょっとひやひやさせる投球内容だった。

1回の立ち上がりは簡単に3つアウトをとり、2回もしっかり0点に抑えた。が、3回に8番のドミンゲスに軽く投げた球をこちーんとレフトにホームランされた。明らかに下位打線とみて手を抜いたのが失敗のもと。そして5回に再び高校生のような顔をしたドミンゲスちゃんにまさかの2点ホームランを食らってしまった。これで2点のリードを許した。

幸い6回の表にレンジャーズ打線が爆発し6点をとり一気に勝ちゲームモードになったので、7回を投げたところでお役御免。与えたヒットは3本、三振は8つだった。これで勝ち星は両リーグトップの6勝。

今日は三振を8つしか奪えなかったが、登板した8試合でとった三振の数は合計すると80個。これはア・ナリーグあわせての投手ベスト50(防御率のいい順)のなかでは断トツの1位、同じリーグの防御率でみると上位にいるヘルナンデス(マリナーズ)が56、バーランダー(タイガース)が57なのに対し、ダルビッシュはこれを10以上も上回っている。

この奪三振ペースは1試合平均10個、大リーグは年間162試合戦うので、先発ピッチャーは30くらいの登板機会がある。怪我をしないでシーズンを通してローテーションを守り、今の調子で三振をとり続ければシーズンを終了したときに300個の記録が生まれる。

20年くらいのスパンでみるとこの300個奪三振を達成したのはジョンソン、シリング、マルチネスの3人しかいない。大投手たちの記録に2年目のダルビッシュが限りなく近づく可能性は十分にある。潜在能力の高さをみせつけはじめたダルビッシュ、そのきれがよくて美しいピッチングはレンジャーズファンのみならず大リーグを愛する多くの人々の心をわしづかみにしている。

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2013.05.11

プロ野球 飛ぶボールの影響!

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今年のプロ野球の試合は打撃戦が大変多い。これは明らかに飛ぶボールの影響。昨年、飛ばないボールを使ったため投手優位の少ない得点差で勝負が決まるゲームが横行し、打つ方の醍醐味が薄れ野球人気を心配するむきがでてきた。それでまた飛ぶボールに戻したというわけ。

これがチームの成績にも変化を与えている。セリーグではジャイアンツが首位を走っているが、今年はぶっちぎりで独走するほど勝てなくなった。これは昨年とちがってボールがよく飛ぶようになり投手陣の総合的な力が低下したことも原因のひとつ。

ボールが昨年のように飛ばないと投手の駒が揃ったチームは圧倒的に優位。だからジャイアンツは2位、3位のチームを大きく離して優勝することができた。ところが、これが飛ぶボールのおかげで打撃が活発になり空中戦の展開になると、投手力の足りないチームでも打撃陣ががんばれば予想外に勝利をものにすることができる。DeNAが勝っているのは新加入のブランコや中村らが飛ぶボールの助けを借りてがんがん打っているから。2位の阪神だってマートンが3割5分も打っている。

選手の打撃成績にも飛ぶボールの影響が如実にでている。昨年は数えるほどしかいなかった3割打者が今年はセリーグではトップのルナ(中日)から西岡(阪神)まで8人おり、パリーグではヘルマン(西武)から糸井(オリックス)まで12人、これは2年前より数は多い。

打撃戦が目立つゲームは普通は投手がばてる夏場に多くみられるのだが、今年は開幕から派手に打ち合い大量得点をとったりドラマチックな逆転劇もたびたびみられる。こういうゲーム展開になるとしっかり打てる4番がいる、あるいは強力な助っ人がいるチームが強い。

飛ぶボールの影響は予想以上に大きい。だからは今年はセパともに投手力の差より打つ方が勝敗の鍵を握っている。ズバリ、セリーグは中日、広島、そしてパリーグは日ハムはダメだが、あとのチームは混戦を戦うことになるだろう。

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2013.05.10

スタバ 日本の店舗数が今年中に1000店突破!

Img_2      3月27日にオープンした‘シャミネ松江店’

新聞報道によるとスタバの国内における店舗数が年内に1000店を突破するという。3月末の店舗数は985店で来年3月までにあと65店できるらしい。そして、1000店を超えるのは世界でも北米以外では日本がはじめてとのこと。

日本の店舗数がアメリカ、カナダに次いで多いというのは知らなかった。イギリスとかドイツのほうが日本より多いというイメージだが、日本の市場規模は想像以上に大きいようだ。これをよく表しているのがつい1ヶ月前、島根県の松江にオープンした店の人気、大勢の人がつめかけ初日の売上はこれまでの最高を記録。地方の中核都市でスゴイことが起きている。

島根県への店舗展開は47都道府県では46番目、残りは鳥取県だけ。広島にいたとき山陰へはよく出張したから、松江の店舗のある場所はすぐイメージできる。これからできる65店の出店場所の分布がどうなっているのかわからないが、島根県だと次は出雲だろうし、最後になった鳥取県は鳥取か米子か、どっちが先だろう?米子のほうがいいような気がするが。そのうち新店舗が姿を現わすだろう。

世の中にはコーヒー党はごまんといる。そういう人たちに比べるとコーヒーを飲む回数はすこし少ないかもしれない。一日2回、昼と夜の食事の後と決めている。コーヒーが好きな人にとって欠かせないモーニングコーヒーはわが家ではなし。3回飲むとどうも胃が重たくなる。コーヒーなら一日何杯でもいいわという隣の方もこれにつきあってくれている。

ただし、例外がある。海外へ旅行したときは朝食のあとコーヒーをおかわりすることが多い。不思議なもので一日に3回くらい飲んでも胃は全然平気。観光名所の見学とか美術館巡りなど楽しいことばかりで、体調もリズミカルになるにちがいない。

日本のスターバックスで働いているパートナー(スタバでは従業員のことをアルバイトも社員もパートナーと呼んでいる)の数は約2万2000人。この人たちがいつも心に刻んでいるのが温かみのある接客、そして、ブランドプロミスとして‘Moments of Connection(つながりが生まれる瞬間)’を掲げている。

この会社には接客マニュアルがないらしい。1人のお客様、1杯のコーヒー、そして1つのコミュニティへの注力が人々の心に豊かさや活力をもたらすという信念のもとパートナー一人々が自分の判断で行動し、スタバらしいおもてなしをしているという。スタバのブランド価値はこうした人たちの日々の行動によって支えられている。

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2013.05.09

来年1月に実現する期待の里帰り展 ‘クリーブランド美名品展’!

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Img_2     雪村の‘龍虎図屏風’(右隻 部分)

Img_0001_2     ‘龍虎図屏風’(左隻 部分)

Img_0003_2     曽我蕭白の‘船中八仙図屏風’(右隻 部分)

東博へ出かけるときはルーチンとして‘東博ニュース’を手にいれることにしている。この小冊子には特別展のお楽しみポイントなどが書かれているのでチラシを補完するものとしてとても役に立つ。今回はこれから開催される特別展のことがでており、来年1月にアメリカの美術館の所蔵する日本絵画コレクションの里帰り展があることがわかった。

それは‘クリーブランド美名品展’(1/15~2/23)、クリーブランド美は質の高い西洋絵画のコレクションで有名だが、美術本にはちょくちょく日本の絵もでてくるので、いつかこれらの里帰り展が実現すればいいのにと、アバウトに思っていた。それが本当に叶うのだから腹の底から嬉しくなる。

出品作のなかに是非とも入っていてもらいたいのが‘夢の日本美術里帰り展’(拙ブログ11/10/1)でとりあげた雪村の‘龍虎図屏風’、この絵の存在を02年にあった‘雪村展’(山口県美)で知って以来、いつか対面できることを夢見てみた。はたして期待に応えてくれるだろうか。ミューズへの祈りはラファエロ前派だけでなく雪村も加えることにした。

クリーブランド美にいい日本絵画があることを実感したのは京博であった曽我蕭白の回顧展(05年)。このときアメリカのコレクターが所蔵する名品がいくつも展示された。ボストンにあるものや今月21日からはじまる‘ファインバーグ・コレクション展’(江戸東博)にも出品される‘宇治川先陣争図’、そしてクリーブランドの‘船中八仙図’、、

また、雪舟展(京博 02年)でもこの美術館が所蔵する花鳥画にお目にかかったことや琳派展でみた渡辺始興の‘燕子花図屏風’も記憶している。

来年の名品展の会期は1ヶ月プラス数日とちょっと短いが、里帰り展のいいところは頻繁に展示替えのあるサントリーとちがって一度足を運べば全部みれること。だから、今は日本美術関連の展覧会は東博が行うビックな特別展と一年に一回くらいの頻度で登場する里帰り展が一番の楽しみになっている。クリーブランドのコレクションもおおいに期待して開幕を待ちたい。

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2013.05.08

ビッグニュース! 2014年1月 ‘ラファエロ前派展’

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美術館めぐりをするときはお目当ての展覧会を楽しむだけでなく、1年くらい先までに開催が決まっている展覧会の情報収集にも余念がない。で、美術館になにかしら置いてある展覧会のチラシは注意深くみることにしている。

そのなかに大変うれしいものを見つけた。2014年1月、‘ラファエロ前派展’が開催される。場所は六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー、どこのコレクションかというとチラシの作品をみればぴーんとこられるようにロンドンのテートブリテン。

チラシの表がロセッティの‘プロセルピナ’で、裏にはミレイの‘オフェーリア’、なんともスゴイ作品がやって来る!
今のところ情報はこれだけ、具体的な会期やこの2点以外のものは書かれてないが、これはロンドン、ワシントンなどでも行われる国際巡回展。となると、展示される作品は大いに期待できそう。

森美が2月から‘ウォーホル展’(2/1~5/6)を開催し、下の階のアーツセンターでは‘ラファエロ前派展’。六本木ヒルズはこの2つの展覧会により強い磁力を放つアートスポットとなり、半年くらい大勢の美術ファンを吸いこみそうな予感がする。どうも大変なことになりそう。

テートブリテンが所蔵する作品といえば、今年は秋に東京都美で‘ターナー展’(10/8~12/18)がある。また、三菱一号館美でも来年1月末から‘ザ・ビューティフルー英国の耽美主義1860~1900展’(1/30~5/6))が行われるので、東京はしばらくの間イギリス絵画の話題が続く。

‘ラファエロ前派展’で期待を寄せているのは未見のロセッティ作品。08年テートヘ行ったとき手に入れたロセッテイの画集に載っているものでチェックすると、まだ5点残っている。はたして何点姿を現してくれるだろうか、開幕までミューズへの祈りを欠かさないことにした。

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2013.05.07

ダ・ヴィンチの‘音楽家の肖像’がやって来た!

Img_0001_2     ダ・ヴィンチの‘音楽家の肖像’(1485年頃 アンブロジアーナ絵画館)

Img_0002_2     ルイーニの‘聖家族と洗礼者聖ヨハネ’(1520年代後半)

Img_0004_2     ダ・ヴィンチの‘アトランティコ手稿 頭部の素描ほか’(1482~83年)

Img_0003_2      ‘アトランティコ手稿 複数の弩を装備した歯車の素描’(1485~87年)

東京都美では今‘ダ・ヴィンチ展’(4/23~6/30)が開催されている。ダ・ヴィンチ(1452~1519)は西洋絵画史において特別の存在だから、たとえ作品が1点しかなくても出かけないわけにはいかない。今回の目玉は06年ミラノでみたことのある‘音楽家の肖像’と‘アトランティコ手稿’。

ミラノの名所観光のあと自由時間をやりくりして足を運んだアンブロジアーナ図書館・絵画館、忙しい日程のため館内にいたのは30分ほど。あわただしい鑑賞だっので1485年頃描かれた‘音楽家の肖像’の前にそう長くはいれなかった。印象深かったのはダ・ヴィンチしか描けないと思わせる金髪の細密な描写、顔の部分はすんなりダ・ヴィンチの作品、気になったのが黒と土色の衣装。筆が丁寧に入ってなく衣装の質感がない。

でもそのときは、それはどうでもよかった。なにしろ、この絵をみたことでダ・ヴィンチがコンプリートになったのだから。その感激で気分はプラトー状態。その絵と7年ぶりの対面、顔から下はやはりほかのダ・ヴィンチの作品とはちがうなという気がする。だから、カールした髪と内面まで強く伝わってくる彫りの深い顔を再度目に焼きつけた。

ダ・ヴィンチ派の作品はさらさらとみたが、2点でているルイー二(1480~1532)の絵の前にしばらくいた。ダ・ヴヴィンチをみているような気分になるのが‘聖家族と聖ヨハネ’。‘音楽家の肖像’1点だけで満足なのに、この絵がありダ・ヴィンチモードの濃度が濃くなったのはよかった。

今回この展覧会へ出かけたのはダ・ヴィンチの手稿のなかで最も有名な‘アトランティコ手稿’をしっかりみて、それが収録されている図録をゲットすることだった。展示されているのは1118の紙葉のうち22葉。‘頭部’や‘複数の弩を装備した歯車’などの素描を1点々じっくりみた。

8年前ビルゲイツが所蔵する‘レスター手稿’に出会い、このたびアンブロジアーナ図書館にある‘アトランティコ手稿’をみることができた。天才ダ・ヴィンチの世界に一歩々近づいていることがわけもなく嬉しい。

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2013.05.06

‘もののあはれ展’ 内容はいいが不満の募る展示期間!

Img_0001_2     ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原高光’(重文 鎌倉時代 13世紀 逸翁美)     

Img_0006_2     ‘秋草鶉図屏風’(重文 右隻 江戸時代 17世紀 名古屋市博)

Img_0003_2     狩野永納の‘春夏花鳥図屏風’(右隻 江戸時代 17世紀 サントリー美)

Img_2                鈴木其一の‘柿に月図’(江戸時代 19世紀)

サントリー美で4/17から行われている‘もののあはれと日本の美’展(6/16まで)、びっくりするような名品がいくつもでているので相当気合が入っていることは容易にわかる。そのなかに追っかけ画が5点もあるから楽しみは多い。

今回‘佐竹本三十六歌仙絵’が3点(いずれも重文)でてくる、‘藤原高光’(展示5/6まで)、‘藤原仲文’(5/8~5/20 北村美)、‘源順’(5/22~6/16 サントリー美)。この歌仙絵はこれまで運よくみられたのは‘源順’を含めて16点、残りもいつかこの目でという気持ちは強いがコンプリートは無理。あと数点が死ぬまでにみれれば御の字というところ。だから、‘藤原高光’はじっくりみた。これが逸翁美にあるものか、という感じ。

‘秋草鶉図屏風’(5/13まで)と‘春秋花鳥屏風’(5/22~6/16)は長いこと対面を待っていた作品。じつは1993年東博で‘やまと絵展’という立派な展覧会があり、今回この‘もののあはれ展’にも出品されている国宝‘寝覚物語絵巻’(5/1~5/13 大和文華館)など名品が沢山展示された。そのなかにこの2点も入っていた。

ところが、この2点展示替えかなにかでしかとみたという実感がなく、それ以来遭遇するのをずっと待っていた。その‘秋草鶉図’の前にようやく立つことができた。自然に画面の隅から隅まで目が動いてしまうのが細い線で繊細に描写された草の濃い緑。そして、右の草と草の間に鶉の親子がみえる。ふと若冲の鶏の親子を思い出した。

狩野永納(1631~1697年)の‘春夏花鳥図屏風’は何回かお目にかかっているが、先月永納の父、山雪の作品をたっぷり堪能したので敏感に反応する。いつか永納と永岳を軸にした京狩野派展に出会えたら嬉しいのだが、、

テーマ型の展覧会では思わぬ作品が現れる。鈴木其一(1796~1858)の絵も‘もののあはれ’の心を表現したもの、そして広重の風景画、最後は鏑木清方まで登場した。

作品の選択にケチをつけようがない。流石サントリーはブランド美術館、すばらしい内容。学芸員の美意識のセンスにはいつも感服している。でも、展示期間には不満が残る。こんなに数多くの展示替えがあったら、うんざりする。

4年前、‘日本美術展覧会の展示期間はもっとスッキリできないのか’(拙ブログ09/8/6)という記事を書いた。サントリーのこの展示替えはこのときの三井記念美とまったく一緒。京博でも‘大神社展’の東博でも全期間展示とか前期後期で総入れ替えの方法をとることが多くなり、お客が何度も足を運ばなくても日本美術を楽しめるように工夫している。だが、サントリーは何年経っても昔のスタイルのまま。

ずっとサントリーの展覧会に通いつめているが、好感度がだんだん低下している。はっきりいって、こんな美術ファンの気持ちがわからない美術館より千葉市美や府中市美の企画展のほうがずっと楽しい。今美術愛好家の関心は確実に東京都美、西洋美、国立新美、三菱一号館美、Bunkamuraのビッグ5が開催する西洋美術のほうに向かっている。西洋絵画は一回足を運べば全点みれるのがとにかくいい。

こういうときサントリーのようにお客に沢山のお金を払わせる日本美術の展覧会をやっているようでは、客は離れていく。ブランド美術館だって改革をしないでやっていると普通の美術館になることがわからないのだろうか。

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2013.05.05

予想どおりにお宝の山 国宝‘大神社展’!

Img_0004     国宝‘橘蒔絵手箱’(南北朝時代 14世紀 和歌山・熊野速玉大社)

Img  国宝‘沃懸地螺鈿金銅装神輿’(平安時代 12世紀 和歌山・鞆淵八幡神社)

Img_0001     国宝‘女神坐像’(平安時代 9世紀 京都・東寺)

Img_0002     国宝‘家津美御子大神坐像’(平安時代 9~10世紀 熊野速玉大社)

東博で今開かれている‘国宝 大神社展’(4/9~6/2)は予想どおりに国宝が続々登場する。国宝の追っかけをライフワークにしているから、こういう展覧会はじつに有難い。お蔭でリストに載せていた国宝のかなりの数に鑑賞済みマークがついた。

一度訪問したことのある熊野速玉大社、宝物館でお宝をみたが、それらはほんの一部。国宝の数は多く、全部みようとすると一生かかる感じ。蒔絵手箱は過去にみたことのある‘桐蒔絵’と初見の‘橘蒔絵’、蒔絵を楽しくみるにはひとつコツがある。それは蒔絵の前ではつま先立ちをしたりして視線を上下左右に動かすこと。そうすると光に反射した螺鈿のうすピンクや緑の輝きに酔いしれることができる。図録にでている‘唐花唐草蒔絵’もみたかったが、これは九博のみの展示。まだまだ追っかけは続く。

今回一番の収穫は鞆淵八幡神社にある‘沃懸地螺鈿金銅装神輿’がみれたこと。こういうお宝神輿をみる機会は滅多にないから、目をかっと開きぐるぐるまわりながらみた。装飾で気を惹くのがいくつもある円い鏡板。鏡をこれほど興味深くみたのははじめてかもしれない。

神像はこれまで2回くらい展覧会でお目にかかった。そのなかで強く印象に残っているのが今回も出品されている松尾大社蔵の‘女神坐像’。その長くのびたおかっぱ髪が目に焼きついている。再会して目が寄っていくのはやはり黒髪。これに対し男神はさらさらとながめて終わり。

女神像のほうに目がいくなかで大変惹きつけられたのが東寺からお出ましいただいた‘女神坐像’。みごたえのある大きな坐像。こういうものが東寺にあったことをすっかり忘れていたが、その魅力は松尾大社のものと勝るとも劣らない。図録にはもう1点、熊野速玉大社にある‘熊野夫須美大神坐像’(九博展示)が載っている。どうやら女神像はこの3点がベスト3のような気がする。

男神像は‘家津美御子大神坐像’が群をぬいていい。造形的にみると顔は目も鼻も大きく男っぽいのに下の足の部分がこじんまりとしておりやさしい感じ。そして、横からみると奥行きもあまりない。

展覧会の会期は前期が明日5/6までで、後期は5/8~6/2。待望の‘北野天神縁起絵巻’が後期に登場するのでもう一回楽しむつもり。

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2013.05.04

クイズ 広重の‘東海道五十三次’に富士は何回でてくる?

Img_2     葛飾北斎の‘富嶽三十六景 神奈川沖浪裏’(1831年)

Img_0002_2     歌川広重の‘東海道五捨三次之内 原 朝之富士’(1833年)

Img_0001_2     渓斎英泉の‘江戸日本橋ヨリ富士ヲ見ル図’(1830~37年)

Img_0003_2     棟方志功の‘富嶽頌 赤富士の柵’(1965年)

絵画に描かれた富士で日本人に最も親しまれているのはやはり葛飾北斎(1760~1849)の‘富嶽三十六景’ではなかろうか。与謝蕪村や梅原龍三郎の描いた富士は教科書でお目にかかることはないが、北斎の富士は必ず載っている。だから、富士の絵というと北斎の浮世絵を思い浮かべる人が多いはず。

‘富嶽三十六景’に描かれた富士は全部で46枚、文字通り富士尽し。富士を連作にして売り出そうというアイデアは誰が思いついたのだろうか?シリーズものは当たると安定した売り上げが確保できる。いつの世にも商売上手がいる。後に印象派のモネはこれにヒントを得て積みわらや睡蓮などの連作を精力的に制作していく。

46枚の富士のうち雄大なスケールで描かれたのは‘凱風快晴’など3点だけ、そのほかは遠くに小さく描かれたり、樽の中に入ったりと手前に大きく描かれた人物や木々などのモチーフの引き立て役として描かれている。でも、富士がなくては絵は成立しない。富士があるから職人の仕事や旅人の姿は生き生きしてくる。で、本当の主役は題名の通り富士山だったのか、となる。

傑作‘神奈川沖浪裏’は浮世絵の代名詞、日本人の誰もがダ・ヴィンチの‘モナリザ’を知っているように、多くの欧米人がこの絵に魅了されている。だから、この絵はまさに世界の美術史におけるお宝、そしてそこに描かれた富士が今度世界遺産になった。波のお化けを思わせる波濤と美しい富士、一度みたら忘れられないこの絵の人気が一段と高まるにちがいない。

さて、タイトルのクイズの答えは次のどれ? A15点 B7点 C3点、正解はBでした!歌川広重(1797~1858)の‘東海道五捨三次之内’シリーズは55点、だから富士の絵は1割強。そのなかで最も大きく富士を描いているのが‘原 朝之富士’。おもしろいのが頂が枠の外にはみ出してるところ。ちょっと頭をのばしてみるか!という感じだが、これで山の立体感がいっそうでてくるのだから絵のマジックをみているよう。

渓斎英泉(1791~1848)の風景画にも富士山がでてくる。この日本橋からながめた富士は構図がとてもいい。手前が魚河岸、富士と魚河岸に挟まれる日本橋、ゆるやかにカーブを描くフォルムの橋の上にどーんと三角構図の富士。こういう風景画らしい作品は簡単に描けそうだが、じつはその逆、なかなか描けない。

棟方志功(1903~1975)の‘赤富士の柵’は草野心平の詩を絵画にしたもの。志功がアメリカに4ヶ月滞在しているとき描かれた。富士山の生命力がこれほど真に迫ってくるのは志功の情熱が霊峰富士の魂と一体化しているからだろう。志功の作品では心を揺すぶる一枚。

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2013.05.03

共演 洋画家の富士!

Img_0002_3     五姓田義松の‘清水富士’(1881年 東京都現美)

Img_0001_3         梅原龍三郎の‘朝陽’(1945~47年 大原美)

Img_0005_3     林武の‘富士’(1965年)

Img_0008_2     絹谷幸二の‘富嶽曙’(2002年)

昨年のちょうど今頃東芸大美で‘高橋由一展’があった。この回顧展のおかげで高橋由一の画業の全貌を知ることができた。代表作の大半は目のなかにおさまったと思うのだが、一部はほかの美術館(山形美、京近美)での展示のためみれなかった。

そのなかに富士を描いたものがあった。‘本牧海岸’(香川の金刀比羅宮の所蔵)。由一は政府から1872年にウイーンで開催された万国博覧会に出品する作品の制作を依頼され‘富嶽大図’を描いたが、この絵は第二次世界大戦中、失われた。

五姓田義松(ごせだよしまつ 1855~1915)の‘清水富士’は1882年の第2回内国勧業博覧会で洋画の最高賞を獲得した作品。これを6年前神奈川県美葉山館であった展覧会でみたときは美しい富士にみとれてしまった。どこかの美術館が世界遺産登録を記念して‘大富士山展’を企画してくれたら、再会できる可能性があるのだが、果たして?

富士山を描いた洋画家で思い浮かぶのはまず梅原龍三郎(1888~1986)、次が林武(1896~1975)、そして絹谷幸二(1943~)。といっても、みている作品の数はせいぜい片手くらいで10も20も体験しているわけではない。林武はまだ回顧展に縁がなく、梅原龍三郎だって日本橋三越で06年にあったものだけ。東近美が梅原の大回顧展をやってくれないかとずっと願っているのだが、なかなか実現しない。そのときは‘朝陽’のほかにも画集に載っている富士の絵がずらっと並ぶだろう。

フォーヴィスムの強烈な色彩で描かれた林武の富士に大変魅了されている。縦長の富士は下の広々とした裾野から頂上をめざして一歩一歩登っていくような気分。赤い富士は希望の光の象徴のようにみえる。

今年70歳をむかえた絹谷幸二、世の中に大勢いる熱狂的な絹谷ファンほど作品をみていないが、鮮やかな赤や青、ゴールドで彩られた陽気で目の大きな人物や仏像に昔から強く惹かれてきた。過去2回あった回顧展でお話をする機会があったが、笑顔を絶やさない気さくな人柄なので会話がはずんだ。お気に入りの富士は02年に制作されたもの。またみたくなった。

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2013.05.02

日本画家の描いた富士!

Img_0001_2     横山大観の‘霊峰飛鶴’(1953年 横山大観記念館)

Img_2     福王寺法林の‘朝富士’(2007年)

Img_0002_2     横山操の‘赤富士’(水野美)

Img_0003_2     片岡球子の‘春の富士(梅)’(1988年 茨城県美)

日本画家で富士山を多く描いた画家というと、3人の名前がすぐでてくる。横山大観(1868~1958)、横山操(1920~1973)、そして片岡球子(1905~2008)。では、風景画家の代名詞みたいな東山魁夷は富士山を描いているか、描いていることは描いているが少ない。これまで見たのは3点のみ。

富士山に魅せられ続けている画家もいれば、富士山が特別なモチーフになっていない画家もいる。画家の好みもそれぞれ。大観の富士をこれまでどれくらいみたか数えたことはないが、沢山お目にかかったということは間違いない。だから、お気に入りの1点はすっとは決まらない。今回は蘆雪の絵と対照させるために‘霊峰飛鶴’を選んだ。

この絵を上野の不忍池の近くにある横山大観記念館でみたのはもうずいぶん前のこと。まだ一度しか対面してないが、画面いっぱいに富士を描く場合、周りに雲をたちこませることが多いのに対し、この絵は鶴の群れが前方を横切っていく構成になっているので強く心に刻まれている。

鶴の群れの配置を大観はいろいろ考えたはず、美しい富士の姿を引き立てるにはどういう飛翔のリズムがいいか。これは富士の表情をどう感じるかによって左右される。左の鶴たちが上昇し曲線をつくることで角ばってみえる富士山のイメージが和らぎ山全体が神々しくそびえている感じに仕上がっている。

6年前に描かれた福王寺法林(1920~2012)はとても印象深い作品。目の覚めるような赤で描かれた富士が背景の金地と斜めに流れる金の線にはさまれて浮き上がっている。ヒマラヤの画家として広く世に知られた福王寺法林は昨年2月91歳で人生に幕を下ろした。この富士の絵をみれたのは幸運だった。

横山操の富士も心に沁みる一枚。赤富士と雪の富士があり、白の富士では夜の静寂さに体がフリーズししんみりモードに陥る。赤富士はこの静寂さだけでなく霊峰富士の魂に体がつつまれる。ここには荒々しい自然の不条理さをみせつける富士の別の表情がある。

103歳まで生きた片岡球子は生命力あふれる富士山を沢山描いた。明るい色使いで富士の輪郭が太い線で形どられる。立体的ではなくマティスの切り紙絵のようにモザイク画的な富士、これほど元気をもらう富士はない。色彩の組み合わせがいいので何度みても感激する。

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2013.05.01

祝 富士山 世界遺産へ登録!

Img_0005_2             長沢蘆雪の‘富士越鶴図’(1794年)

Img_0001_2     与謝蕪村の‘富岳列松図’(部分 重文 18世紀 愛知県美)

Img_0002_2     池大雅の‘夏雲霊峰図屏風’(1772~77年 島根 八雲本陣記念財団)

Img_0008_2 曽我蕭白の‘富士・三保松原図屏風’(部分 1762年 パワーズコレクション)

今日は嬉しいニュースがとびこんできた。富士山が世界文化遺産として来月登録されることになった。拍手々!国内の世界遺産は2年前に平泉が選ばれたがこれで13件目。大変めでたいことなので、富士山を描いた名画をとりあげることにした。まずは江戸絵画から。

江戸時代に活躍した絵師たちが描いた富士山で最も気に入っているのが長沢蘆雪(1754~1799)の‘富士越鶴図’。これをはじめてみたとき、体が熱くなった。富士山の中腹から鶴の群れが隊列を組んでこちらに飛んでくる。富士山だけならそれほど立体感を感じないのに、こういう風に大勢の鶴が前との間隔をあけずにグライダー飛行のようにゆるくカーブしてくると、雄大なスケールの富士の存在感がいっそう増し、そのリアルな量感がぐっと迫ってくる。

与謝蕪村(1716~1783)の富士も目に焼きついている。目を奪われるのが富士の白さ。まさに雪一色の富士といった感じ。画面が極端に横に長く、天地の半分は沢山の松の木で占められている。濃い墨で勢いよく描かれた松林が横に連続し、そのむこうに安定感のいい富士が白く輝いている。この富士にもう一度会いたい。

よく旅にでた池大雅(1723~1776)は富士山にも登っており、富士を何点も描いている。島根の八雲本陣記念財団が所蔵する‘夏雲霊峰図’は長いこと追っかけているが、なかなか縁がない。先月京都で狩野山楽・山雪展をみたので、今残っているビッグネームの回顧展は池大雅だけになった。京博を訪問するときはアンケートに山楽山雪展と一緒に池大雅展も書き添えていた。ひとつは夢が叶った、池大雅についても帆を高くかかげておきたい。あとはいい風が吹くのを待つばかり。

曽我蕭白(1730~1781)の‘富士・三保松原図屏風’は大作でアメリカのデンバーにあるパワーズコレクションが所蔵している。2005年にあった回顧展(京博)で遭遇し、かたずを呑んでみていた。蘆雪、蕪村、蕭白の富士がベスト3だが、ほかでは(浮世絵は除く)谷文晁にいいのがある。今年はサントリー美で‘谷文晁展’(7/3~8/25)があるから、また会えるかもしれない。

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