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2013.04.30

ガゴーシアンギャラリーのバスキア展!

Img_2    バスキア展を開催したガゴーシアンギャラリー

Img_0001_2     ‘王冠’(1981年)

Img_0003_2     ‘イタリアン’(1983年)

Img_0002_2     ‘死神’(1988年)

木梨憲武のNY、現代アートめぐりにバスキア展がでてきた。28歳で亡くなったバスキア(1960~1988)、どんな作風かは少しだけ知っている。スプレー缶で描くグラフィティ(落書き)から絵の創作がはじまったから、色がとても明るいのが特徴、そして人物の描き方は劇画的ではなく小学生が描くように平板で厚みがない、骸骨がよく登場する。

これがバスキアのイメージ。この個展(2/4~4/6)を開催したのは村上隆が所属しているガゴーシアンギャラリー。NYをあちこちまわった体験がないので所在地980 Madison Avenueをみてもどのあたりかすぐイメージできない。番組でみるとギャラリー内はすごく広い感じ。

東京でギャラリーをまわることはほとんどない、だから日本にあるギャラリーには縁がないし、ましてやNYのギャラリーのことなどひとかけらの情報もない。ネットでみたらガゴーシアンギャラリーは今世界NO.1のギャラリーだった!ロンドンや香港にも支店がある。村上隆はこのギャラリーの所属、バスキア展のようにここで個展が開かれ、評価が一気に高まったという。作品が高値で売れるはずである。

バスキア展は4/5に終了していたから、憲武がNYにいたのは3月かもしれない。憲武はバスキアが好きらしい。作品の前では楽しくて仕方がないという感じ。作品の数は50点くらいでていたようだが、入場は無料。ここのギャラリーはいつもお金をとらないのだろうか?お金を払わなくてこういうビッグなアーティストの個展がみれるのなら、ギャラリーめぐりもブランド美術館と同じようにお楽しみスポットになるかもしれない。ますます興味がわいてきた。

バスキアはドラッグの影響で1988年に亡くなったが、その7日前に描いたのが最後の絵。西洋絵画に描かれたテーマ‘メメントモリ(死を忘れるな!)’が瞬時に頭をかすめた。

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2013.04.29

木梨憲武が案内するMoMA!

Img          ニューヨークのMoMA

Img_0001     MoMAのミュージアムショップ

Img_0002      ソーホー地区にあるマーチン・ローレンス・ギャラリー

Img_0003     ブルックリンにアトリエを構える松山智一

昨日夜放送されたBS朝日の番組でニューヨークに出かけたとんねるずの木梨憲武がMoMAやソーホーやチェルシー地区にあるギャラリーを案内していた。1月にNYへ行ったばかりなので、デジャブ感覚でみた。

この番組が制作されたのが3月なのか4月なのかわからないが、MoMAに展示されていた作品が1月にみたものと一部ちがっていたからそれ以降であることは確か。感想記でもとりあげたムンクの‘叫び’(拙ブログ3/24)がまだ飾ってあった。われわれ同様この絵をみられた‘徒然なるままに’さんによると落札したコレクターはMoMAの理事の一人らしい。それで、こういう展示が実現したというわけ。納得!申し訳ないが、いつまで公開しているのかメモし忘れた。

MoMAのミュージアムショップはほかとは一味ちがうという感じでデザインセンスのいい記念グッズがいろいろ揃っている。今回は時間の関係でじっくりみれなかったので、次回の訪問ではショップ担当のディレクターが推奨していたものなどを検討してみたい。

知らなかったのだが、木梨憲武は現代アートを制作しており何年か前から個展を開いていた。今年は4/27から京都駅の伊勢丹ミュージアムで行われている。番組のなかで過去に描いた作品がでてきたが、なかなかやるじゃない、という感じだった。絵の才能もあるんだ、スゴイね!

MoMAのあと憲武が出かけたところでありがたかった情報がソーホーやチェルシー地区にあるギャラリー。最初にでてきたソーホーのマーチン・ローレンス・ギャラリーにはウォーホルや村上隆の作品がぞろぞろでてきた。そして、ギャラリーの外からみえるシャガールはなんと3億円!これは楽しそう。ここはソーホーにあるギャラリーのトップにちがいない。NYのギャラリー巡りをするぞ、という気にだんだんなってきた。

今若手アーチストが多く集まっているのがチェルシーより地価が安いブルックリン、ここで制作している松山智一が登場した。25歳のころから住んでいるらしいが、今30代後半?名前はまったく知らなかったが注目を集めている作家らしく、有名なコレクターにも購入されているとか。作品の一部をみて本物をみたくなった。ひょっとすると村上隆、奈良美智、束芋に次ぐ4人目のお気に入りアーティストになるかもしれない。

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2013.04.28

YouTubeの楽しみあれこれ!

Img_0001

新しいPCを使って3ヶ月が経とうとしている。購入したのはWindows8に対応した富士通のESPRIMOというデスクトップの機種。朝起きてから寝るまでPCの前に結構長い時間いる。以前も富士通のものだったが、新しいものに替わって楽しさが増えたことも多い。その一つがTouTube、今日はその話を。

液晶ディスプレイの画質がよくなったので以前よりYouTubeがぐんと楽しめる。見ているのは音楽の映像が多く、いい映像が見つかるとお気に入りにどんどんほおり込んでいる。このところ頻繁に聴いているのがエレイン・ペイジが歌う♪♪‘レ・ミゼラブル 夢やぶれて’

この曲はあのシンデレラおばさんスーザンボイルが歌って会場の人々、審査員から大喝采をうけた曲。3年前、この動画を繰り返し々みてとてもいい気持になったが、最近は見なくなっていた。それがなにかの拍子で現われ久しぶりに映像と歌に釘づけになった。

そのあと、ほかの歌手が歌う‘夢やぶれて’をいろいろ聴いてみた。そのなかにスーザンボイルが将来なりたい歌手といっていたエレイン・ペイジがあった。動画でみるのははじめてだが、NHKでスーザンボイルと共演した番組をみたことがあるので、その実力はわかっている。

だから、いくつかある彼女の動画をむさぼり聴いた。‘夢やぶれて’、‘メモリー’、‘アルゼンチンよ泣かないで’、こんなに上手な歌いっぷりならもっと早くアクセスすべきだった!今の姿は画像にでている顔とはちがってだいぶ歳をとり貫禄のある歌い方になっているが、声の衰えまったくなく本当に上手い!

動画はTVとはちがい画像が小さいけれど、これでも十分に楽しめる。アクセス回数の多いものは画像の質もよく音もクリアでボリュームを上げなくても聞こえる。なによりいいのはクリックひとつでまた聴けたりほかの動画に移れること。昔のビデオ再生と比べればそのスピードは雲泥の差。

YouTubeのことが全部頭に入ってないので時々困ることがある。お気に入りにあったものが突然消去されてしまうこと。これは版権の関係でNGだったということなのだろうが、これがダメなのにあれはOKなの?というものもある。このあたりはよくわからない。

先日、思い立って小田和正の動画をお気に入りにとりこもうとしたが、どういうわけか望むようなものはひとつもなかった。どれも画質の悪い古いものばかり。井上陽水は好きな‘ホテルはリバーサイドなどいくつもあるのに小田和正はどうしてないのだろうか?残念でならない。

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2013.04.27

アートに乾杯! ろうそくの炎の美学

Img     ラ・トゥールの‘大工の聖ヨセフ’(1640年 ルーヴル美)

Img_0002     エル・グレコの‘ろうそくの火を吹く少年’(1570~75年 カポディモンテ美)

Img_0004     ルーベンスの‘ろうそくを持つ老婆と少年’(1616年 マウリッツハイス美)

Img_0003     ホントホルストの‘大祭司の前のキリスト’(1617年 ナショナルギャラリー)

先週の‘美の巨人たち’でとりあげられたラ・トゥール(1593~1652)が3日前の‘世界の名画’(BS朝日)にも登場した。みる前はこの番組でもルーヴル・ランス美に出かけたのかなと思っていたが、これは予想がはずれルーヴル本館に展示してある‘大工の聖ヨセフ’に焦点をあてたものだった。

この絵をはじめてみたのがいつだったか記憶がだんだん薄れてきているのに、絵から受けた感動はずっと体の中に残っている。とくに印象深いのが少年イエスの手がろうそくの炎で透けてみえること。このリアルな表現に200%体が震えた。そして、その光があたって白く光るヨセフの額にも目が点になる。この絵を見た人は誰もがラ・トゥールの虜になるにちがいない。

‘ろうそくの火を持つ少年’を描いた画家があの細長い人体描写のイメージがこびりついているエル・グレコ(1541~1614)だというのが今もって謎。この絵だけをみるとエル・グレコはラ・トゥールとろうそくの光の画家としてペアを組んで絵画選手権に出場できる。幸運にもこの絵とは4、5年前ナポリではなく日本で対面することができた。そして、今年は別ヴァージョンに東京都美で開催された‘エル・グレコ展’でお目にかかった。

ルーベンス(1577~1640)の絵を知ったのは2011年12月のこと。マウリッツハイスでラ・トゥールのようなろうそくの光に浮かび上がる人物に会うとはまったく想定外だったので、その衝撃はマグニチュード7クラスだった。そして、思った。ルーベンスだって光の画家、ただこういう絵より動きの激しい人物を劇的に表現した歴史画のほうに注文が殺到したため、王の宮殿や貴族の館に飾る大作の制作に没頭したのだと。

ラ・トゥールもホントホルスト(1592~1656)もカラバッジョ(1571~1610)から大きな影響を受けた。ホントホルストの‘大祭司の前のキリスト’で描かれたろうそくの炎も強く目に焼きついている。この絵は見方によってはラトゥールの‘大工の聖ヨセフ’とつながっている作品ともいえる。ここではろうそくの光が成長したイエスを明るく照らしている。

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2013.04.26

‘狩野山楽・山雪展’をとりあげない美術番組!

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月末になるとひとつ楽しみがある。それはTVの番組雑誌で翌月に放送される美術番組の情報がわかるから。いつも買っているのは‘TVTaro’、5月号を早速みてみた。

まず、地上波をチェックして、つぎにBSに目をやる。注目したのは今月の10日にみた‘狩野山楽・山雪展’(京博 3/30~5/12)と‘ラファエロ展’(西洋美 3/2~6/2)関連の番組。このビッグな展覧会は3月、4月には日曜美術館でも美の巨人たちでもとりあげられてない。

もし日曜美、巨人たちがこの展覧会を無視したら制作スタッフのレベルは以前と比べて相当低下しているとみざるをえなかった。果たして、31日分をざあっとみると評価はかろうじて半分の低下にとどまった。山楽・山雪はとりあげないが、ラファエロはどちらも特集する。

★美の巨人たち ‘ラファエロ 大公の聖母’ 5/11
★日曜美術館  ‘ラファエロ ルネサンスの革命児’ 5/12

山楽山雪展の展示期間はわずか39日、だから番組でとりあげる場合は4月の中旬までに放送しないと意味がない。スタッフにこれをとりあげようという強い気持ちがあれば、番組は当たり前のことだができあがる。放送しないということは山楽山雪を評価してないということ。

この方針をみてダメだなと思うのは日曜美、曽我蕭白、伊藤若冲をご熱心に特集するのであれば、この二人と同じくらいあるいはそれ以上の大きな才能をもった山雪にフォーカスしないでどうする、と大きな声でいいたい。出品作は海外の里帰り作品も含めて傑作揃い、また山楽山雪に光をあてた土井次義氏の立派な研究成果も合わせて展示してある。

こんな素晴らしい展覧会がやっと日の目をみたのだから、日本美術史の流れのなかで山雪の絵画世界はどこにポジションするのがいいか、果敢にチャレンジするのが美術番組に携わる者の心意気というもの。また、美術史家もあきれるほど行動が鈍い。蕭白や若冲の話に顔を出してステータスを誇示する受け狙いのコメントばかり、そんなことはもう知っているよ、‘奇想’ぼけにならないでね、といつもうんざりしながらみている。

それにしても、日本美術史家の世界は人材が薄い。山雪ワールドをいつブレイクさせるのか?‘今でしょう’!

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2013.04.25

大リーグと日本のプロ野球の違い!

Img     ダルビッシュ vs ハミルトン(エンゼルス)

大リーグ中継で今最もみられているカードはダルビッシュが投げる試合だろう。今日も期待に応えてエンゼルス打線を6回ゼロ点に抑え、4勝目をあげた。

BSが中継する大リーグは長いことイチローが主役を務めてきた。このことはイチローの打率が2年前から徐々に下がり複数安打の試合が少なくなった今でも基本的には変わってない。これはイチローが投手と違って毎試合出場する野手であることも理由のひとつ。

投手の場合、好投を続けているダルビッシュでも黒田でも岩隈でも登板の間隔は4日と決まっている。この3人はチームの先発投手陣の1番手、2番手なので登板する日が1日くらいのズレはあってもかなり重なってくる。すると、彼らが投げる試合は必ず放送したとしても、一週間でみると残り5試合はイチロー、青木らの野手が出場する試合をもってこなければいけない。

このためどうしてもイチローは外せない。が、悩ましい問題がある。それはイチローが下位の打順で先発することが多くなったので、マリナーズでプレーしていた時と比べて打席に立つ回数が少なくなったこと。すると、ヤンキースの試合とはいえイチローが1、2番で先発しない試合はソフトの価値が低下する。察するにイチローの試合を見る大リーグファンがだいぶ減ったのではなかろうか。

イチローが2番を打つのはかなり厳しい。それは大リーグの打順についての考え方が大きく影響している。大リーグでは1番から4番までを打つ選手に期待される能力が日本のプロ野球とは違っている。日本と違ってバントで送る戦法はポストシーズンのようなビッグゲームでは採用されてもレギュラーシーズンはほとんどやらない。そして、意外と思われるかもしれないが盗塁ができる足の速い選手は限られているので1,2番を打つ選手は盗塁ができなくても構わない。

1、2番に求められているのはヒットを打ち、あるいは四球を選び出塁すること。とにかく塁にでて3番の最強バッターのお膳だけをする。これが役目。日本では4番が打の中心だが、大リーグでは3番に一番いい選手をもってくる。

例えば、ヤンキースではカノー、タイガースだと昨年三冠王に輝いたカブレラ、エンゼルスはプーポールズか今年レンジャーズから移籍したハミルトン、そしてナリーグだと青木のいるブリュワーズのブラウン、ジャイアンツのサンドバル、ブリュージェイズのバチースタ、、

3番にロングを打てる選手が入っているので、1,2番がランナーででたときリスクのある盗塁で2塁を狙う必要があまりない。1塁にいれば2塁打がでればホームに帰ってこれるので強いチームはせかせかした野球をしない。これがヤンキースの点のとりかた。だからイチローの足は軽くみられる。

そのうえイチローは四球を選ばないバッター、つまり2番に求められる出塁率に達してないと首脳陣からはみられている。となると、打率を3割に上げないと2番定着は難しい。そのうち、長打力のあるグランダーソンやタシエラが復帰してくるとその可能性はますます低くなる。

ヤンキースの試合を気分よくみれるのはどうも黒田が投げるときだけのような気がしてきた。

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2013.04.24

ルーヴル・ランス美は日本人建築家デュオSANAAの設計!

Img_0004_2     ルーヴル・ランス美

Img_0005_2     館内の様子

Img_0002_2     SANAA 妹島和世(左) 西沢立衛(右)

Img_0003_2     SANAA設計のニューミュージアム(NY 2007年開館)

現代建築の知識が少ないので、世界的にみて今先頭を走っている建築家が誰れなのかはまったくわからない。絵画の本は沢山あるのに建築関連の本や雑誌はほんの数冊。その雑誌に載っていた日本人建築家デュオSANAAが昨年12月にオープンしたルーヴル・ランス美を設計したという。

手元にある‘カーサブルータス 美術館ベスト100’(08年7月)の情報だとルーヴル・ランスは09年にオープンとなっているが、実際美術館ができたのは12年の暮れ。館内の様子が‘美の浪漫紀行’と‘美の巨人たち’で映しだされていたが、外から光がはいりこみ明るい展示空間となっているのが特徴。

SANAAのこうした開放的な建築が世界的に高く評価されているようだ。注目をあつめるきっかけになったのが04年に完成した金沢21世紀美。この美術館は中に入ったことはないが金沢観光したときにバスの中から外観をちらっと見た。いつか機会があったら訪問してみようと思っている。

SANAAについては知らないに等しいのだが、07年NYのソーホーにできたニューミュージアムを設計した日本人デュオということはしっかりインプットされている。この雑誌を手にして以来、この美術館はずっと気になる存在。今年1月久しぶりにMoMAを訪問し、美術館をより魅力的にみせる建築の力に強く心を打たれた。

そこで次はこのニューミュージアムへ足を運ぼうという気になっている。NYの地下鉄にこの1月はじめて乗って、今では地下鉄は安全なのだということが十分わかった。この体験でこれまで抱いてきた不安な気持ちが一気に取り除かれたので、これからはNYの街を広く動ける可能性が広がった。現代アートへぐっと近づいていきたい。

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2013.04.23

アメリカ西海岸にあるラ・トゥールがみたい!

Img_2     ロサンゼルス郡立美

Img_0002_2     ‘マグダラのマリア’(1638~40年 ロサンゼルス郡立美)

Img_0003_2     ‘楽士たちのいさかい’(1625~30年頃 ポール・ゲッティ美)

Img_0001_2     ‘老人と老女’(1618~19年 サンフランシスコ美)

絵画の視覚体験を重ねてくると、画風のちがう作品にいろいろ出くわす。反応の仕方としてはスゴく惹かれるもの、まあー好きかな、次の鑑賞はなくていいな、これは何度見ても好きになれそうにない、だいたいこの4つに分かれる。

当たり前のことだが、美術史家ではないので関心の対象は最初の二つに集中する。ここに入る画家はかなりの数にのぼる。幅広く絵画を楽しもうと思っているので、人気の画家だけでなく名作の数は少ないが腕のいい作家も多く含まれている。

一方、何度みても魅かれるものがないなという作家は何人かいる。その一人がベーコン、今東近美で回顧展が行われており、まだ知らない作品がありそのなかに魅かれるものがあるかもしれないとちょっと期待して出かけたが、やはりダメだった。幽霊やホラー映画に登場する不気味な怪物を連想さす顔の表現がどうしても好きになれない。で、15分で退館した。

ラ・トゥールはカラヴァッジョとともに腹の底から魅せられている画家なので、憧れの作品は追っかけ画リストの最上位に載せている。今狙っているのはアメリカの西海岸にある美術館が所蔵する作品。まだ足を踏み入れてないロサンゼルス、この大都市がNYのようにアートの街だということは十分に察しがつくのだが、交際範囲のなかにこの街の楽しみ方を教えてくれる人がいないので今のところは美術本とか旅行のガイドブックだけが頼り。

まずみたいラ・トゥールはロサンゼルス郡立美にある‘マグダラのマリア’(拙ブログ09/5/7)。マリアのポーズはルーヴルにあるものと同じ。4点ある‘マグダラのマリア’のおもしろいところはモデルの女性が皆ちがうこと。一見すると同じ女性のようにみえるが、よおーくみると別人。早くこのマリアに会いたい。

ポール・ゲッティが所蔵する‘楽士たちのいさかい’も鑑賞欲を刺激する作品(10/9/23)。この時代に生きた人々の生々しい感情のもつれが引き起こす喧嘩の様子がリアルに表現されている。傑作風俗画の一枚といえるのではなかろうか。アメリカには本当にいいラ・トゥールがある。

LAへ行くならやはりサンフランシスコにも寄りたい。サンフランシスコ美にあるのが‘老人と老女’。当面の目標はこの3点。ミューズのアシストはあるだろうか?

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2013.04.22

北フランスの新名所 ルーヴル・ランス美!

Img      2012年12月に開館したルーヴル・ランス美

Img_0001_2     ラ・トゥールの‘マグダラのマリア’(1640~44年 ルーヴル美)

Img_0003_2     ラ・トゥールの‘マグダラのマリア’(17世紀 メトロポリタン美)

Img_0002     ラ・トゥールの‘女占い師’(1630年代 メトロポリタン美)

20日の‘美の巨人たち’はラ・トゥール(1593~1652)だった。大好きな画家だから、こうやって作品が取り上げられるのは嬉しいのだが、なぜこのタイミングでラ・トゥール?という気がしないでもない。番組をみてその疑問が解けた。

ラ・トゥールの最高傑作といわれる‘マグダラのマリア’、この絵がルーヴルにあることは知っている。ところが、今ルーヴルへ出かけてもこの名画をみることはできない。ではどこにあるのか、昨年12月、北フランスのランスにルーヴルの分館が開館し、ここにルーヴルにある絵画、彫刻などがどどっと展示されているのだそうだ。

この新しくできたルーヴル・ランス美のことはBSジャパンの‘美の浪漫紀行’(3月放送)で知り、ドラクロアの‘民衆を率いる自由の女神’などルーヴルの顔ともいうべきお宝絵画がかなり長い期間、半年?展示されていることがわかった。ラ・トゥールの‘マグダラのマリア’も出張し絵画のもうひとつの目玉作品として多くの人の目を楽しませている。

新しい美術館が誕生すると、TV局の美術番組担当は血が騒ぐのだろう。‘美の巨人たち’も‘美の浪漫紀行’も同じTV東京。で、美の巨人は‘ラ・トゥールにしようか!’ということになったのかもしれない。図星?

4点ある‘マグダラのマリア’、ロサンゼルス郡立美が所蔵するものはまだだが、ほかの3点は幸運にもみることができた。そして、3ヶ月前のアメリカ美術館めぐりでは嬉しい出会いがあった。ワシントンナショナルギャラリーにあるものは時間がなく再会できなかったが、メトロポリタン美蔵のマリアはお目当ての作品をめざしている途中に現れてくれたので少し立ち止まってみた。

番組のなかで再度対面したルーヴルの‘マグダラのマリア’、やっぱりこの絵に最も魅かれる。蝋燭の光に白く照らされるマリアの横顔と左腕、この生感覚の人物描写が心をとらえて離さない。この絵をもとめてランスへ行きたくなった。

‘マグダラのマリア’とともにお気に入りの作品が‘女占い師’、これをMETでみることを楽しみにしていたのに、08年のときと同様どこにも展示してなかった。こんな傑作なのに、コンディションに問題があり常時は展示してないのだろうか?残念でならない。

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2013.04.21

アムステルダム国立美術館 再オープン!

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NHKの夕方のニュースをみていたら、美術好きには嬉しいことがとびこんできた。オランダのアムステルダム国立美が10年に及んだ改修工事を終え4月14日に再オープンしたという。この話すっかり忘れていたが、今年は工事が終わる年だった!

2011年12月に訪問したときもらった館の案内パンフレットを引っ張りだしてみたら確かに2013年に再公開すると記されている(拙ブログ12/1/7)。そのときは計画ではそうなっているが、480億円をかけたこの大工事はいろいろあって進捗が遅れていることがわかっていたので、完成予定がまたずれ込むのではないかと思っていた。

それにしても、長い々工事だった。だから、その分新装美術館への期待も大きい。館内の様子がYou Tubeにでていたが壁の色がオルセーのようにちょっと紫ぽい。これは作品の美しさを一層引き立てる。昔の美術館のことが記憶から消えているので比べられないのだが、現代アートが展示されていた。前もみれた?

この美術館にあるレンブラントやフェルメールたちの傑作はおおよそ目の中に入れた。今、追っかけリストに載せているのは05年、11年の2回とも対面できなかった
★クリヴェリの‘マグダラのマリア’
★ヘルストの‘ビッカー隊長とその団員’

次回のオランダ旅行がいつになるかは未確定だが、楽しみのど真ん中にこの美術館があることはまちがいない。ネットで同じく長く改造工事をやっていた市立美術館の再開館時期をチェックしたら、こちらのほうは昨年の9月24日にオープンしていた。そして、改修工事のため7ヶ月間閉館していたゴッホ美は今月の25日以降に公開されるようだ。これで国立美、市立美、ゴッホ美の3つの美術館のリニューアルが終了した。

これからオランダへ出かけられる方が羨ましい。アートの街、アムステルダムに乾杯!

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2013.04.20

ダルビッシュ 3勝目!

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今日の大リーグ中継は豪華二本立て、まずヤンキース対ブルージェイズ戦がはじまり、途中からレンジャーズ対マリナーズの試合が加わった。イチローとイチローを慕ってアメリカに渡った川崎、二人がこうやってスタメン出場する試合を放送するのだから、NHKもいい仕事をする。

トロントのチームで元気いっぱいプレーする川崎に刺激されたのか師匠のイチローは2本のヒット。このブルージェイズとの3連戦が調子をあげるきっかけになり、また川崎も気力闘志がさらに盛んになれば日本で応援するわれわれにとっても大リーグがぐーんと楽しくなる。頑張れイチロー、川崎!

レンジャースが地元で対戦するマリナーズにダルビッシュは前回の登板で3点とられ敗けをつけられた。だから、今回はそのリベンジ、初回から三振を3つとるなど安定したピッチングで7回を3安打無失点に抑えた。打線はダルビッシュが登板するときはよく打つ、これで早くも3勝目。

この試合いいプレーがいくつもみられた。レンジャーズのセンターが大きなあたりを好捕したのにつづき、ショートのアンドラスがセンターに抜けそうな打球を軽快にさばき1塁アウト。そしてダルビッシュ自身もバッターの意表をついたセイフティバントを懸命に素手でとるやいなや1塁に送球、これが間一髪アウト。ダルビッシュは本当に俊敏な動きをする。昨年もヤンキースとの一戦で転げながらすばらしいホームタッチをみせた。この運動能力は一級品。

現在アリーグの西地区は西武の中島が入ったアスレチックスが首位、これをレンジャーズが1.5G差で追っている。昨年レンジャーズは序盤からが勝ちまくっていたが、今シーズンは連戦連勝というわけにはいかない。投手陣は昨年の勝ち頭を故障で長期離脱となったので、投手力の低下は否めない。そのため、軸になるダルビッシュの右腕に大きな期待がかかる。ダルビッシュは日ハムのときもそうだったが、期待されればされるほど力を発揮する。この逞しさをテキサスのファンにも見せつけるのではなかろうか。

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2013.04.19

山雪の描く龍や虎はゆるキャラ系!

Img_0002_2     ‘松梟竹鶏図’(部分 17世紀 根津美)

Img_0003_2     ‘出山釈迦・龍虎図’(部分 17世紀)

Img_0005_2     ‘龍虎図’(17世紀 佐賀県博)

Img_0001_2     ‘虎図屏風’(部分 17世紀)

今、先週京都でみた‘狩野山楽・山雪展’(3/30~5/12)の余韻に浸っている。この回顧展には特別の思い入れがあった。というのは、‘狩野永徳展’(07年)や‘河鍋暁斎展’(08年)などをみるため京博へ行ったときは必ずアンケート用紙に‘山楽・山雪展の開催を強く期待します’と書いていたから。学芸員がずっと前から構想しそれが漸く実現したのだと思うが、こちらの願いと美術館の心意気がピタッとシンクロしたことは素直に嬉しい。

図録をみていて画面に釘づけになるのはこれまで画業の全貌に接することがなかった山雪(1590~1651)。足がとまった作品で意外な感じがしたものがあった。それはゆるキャラ系の龍や虎。これにびっくりする前に現れたのが梟。この横にらみの梟、すぐにでもゆるキャラ祭りのイベントに出演できそう。根津美の所蔵だが、こんな絵があったとは!

つづいてニヤニヤしたのが龍と虎、これも相当ゆるい。今回みた‘龍虎図’は3点。龍はちっとも怖くない、真ん中に釈迦のいる三幅対に描かれた龍はとても痩せていてそのキャラは赤塚不二夫のニャロメタイプ、これは笑える。また、佐賀にある‘龍虎図’も気の弱そうな龍、こんな迫力のなさで虎に勝てるの?という感じ。

この龍の顔をみていると昨年ボストン美から里帰りした曽我蕭白の‘雲龍図’(拙ブログ12/3/23)が目の前をよぎった。山雪の140年後に生まれた曽我蕭白はひょっとすると山雪が描いたゆるキャラの龍をみたのかもしれない。山雪と蕭白の結びつきはこの龍の顔だけでなく波の表現にもみられる。山雪のDNAは蕭白に受け継がれた!?これは俄然おもしろくなった。

この龍虎図の虎と一番下の単独で描かれた虎は同じような格好で川の水を飲んでいる。この虎だけ描かれたものは何年か前、森美であった展覧会でみたもの。どちらの虎も山楽の虎と比べれば猛獣と猫ちゃんという感じだが、回顧展に展示されている虎のほうがすこし強そう。これに対し、下の虎はなにかでれっとした感じで強さはみじんも感じられない。横をみる目には落ち着きのなさが如実に現れている。この虎をゆるキャラに仕立て子どもたちの人気者にするのは容易いこと。

山雪が生きたのは17世紀、ほかの狩野派が永徳から受け継いだ画風で虎や龍を描いていたのに山雪は人間の内面を映したような表情豊かな龍や虎を描いた。モチーフに合わせて多面的に反応する絵心にただただ感服するばかり。

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2013.04.18

アートに乾杯! 馬力をまさに感じさせる馬図

Img_0002_2     狩野山楽の‘繋馬図絵馬’(1614 京都 妙法院)

Img_0003_2     狩野山楽の‘牧馬図屏風’(部分 ギリシャ国立コルフ・アジア美)

Img_0005_2          長沢蘆雪の‘躍馬図’(18世紀 アルカンシェール美)

Img_0004_2     曽我蕭白の‘牧馬図’(部分 18世紀)

毎年京都ではこの時期になると非公開文化財特別公開が行われる。過去2回京都のバス会社が実施しているお寺や神社めぐりツアーに参加し、貴重なお宝を楽しんだ。これで8つぐらいの寺を回ったことを記憶している。

そのひとつ、妙法院でみた墨で描かれた馬の絵馬が今京博で開かれている‘狩野山楽・山雪展’(3/30~5/12)に展示されている。背景が金地なので右の前足を大きくあげ分厚い胸と頭を後ろに反らす姿が目に強く焼きつけられる。

山楽(1559~1635)の描いた絵馬はもう一点みたとこがある。それは海津天神社にある連銭葦毛の馬のもの。だが、いつどこでみたかがどうしても思い出せない。ともに馬のカッコよさが見事に表現された作品だから、山楽の話になると‘龍虎図’とともにこの馬の絵が思い起こされる。

回顧展には馬が目を惹く‘狩猟図’がでているが、これをみて4年前江戸東博であったギリシャのマノスコレクション展のことが思い出された。作品の大半は保存状態のとてもいい浮世絵だったが、このなかにまじって山楽の馬の群れを画面いっぱいに描いた屏風があった。野原にいる馬の群れを描いた作品をときどきみることがあるが、この山楽の絵はこれまでみたなかでは一番印象深いものかもしれない。

長沢蘆雪(1754~1799)の子どもが手綱を一生懸命にひいている絵は15,6年前根津美であった‘アルカンシェール美名品展’でお目にかかった。忘れられない一枚なのでもう一度姿を現わしてくれないかと思っているが、その機会がまだやってこない。

動きがすごくある上ユーモラスたっぷりなのが曽我蕭白(1730~1781)の‘牧馬図’。これは韃靼人が野馬を捕まえる場面。空中を飛ぶような姿で描かれている人物はまるで木下サーカスの馬の曲芸をみているよう。戯画っぽい描き方に思わずニタニタしてしまう。

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2013.04.17

大リーグ 順調なスタートをきった日本人選手!

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ヤンキースと2年契約を結んだイチローの打棒がふるわない。オープン戦は2番で打席に入っていたから、シーズンがはじまってもこの打順で起用されると思っていたが、どうも首脳陣の見方はちがっていて6番とか7番で先発することが多い。今日はヒット1本打ったが、物足りないバッティング。

この調子で推移するとグランダーソンやジータ、タシエラたちが復帰してきたら、先発から外されるのではなかろうか。監督は故障者続出のチームを何とか立て直したいから、打撃の調子のいい選手を優先して使う。今頭の中にあるのは守備力より打撃のこと、そうなると打てないイチローの出番は減ってくる。ここはマルチヒットを放ってアピールするほかない。イチローが主軸でプレーしないとヤンキースの試合はとたんに興味が薄れる。

心配な選手がもう一人いる。FAで西武からアスレチックスに入団した中島。開幕から故障者リストは痛い、新人だから、打撃守備とも強烈にアピールしないといけないところだったが、懸念していた怪我にいきなり見舞われた。チームは好調なスタートをきっているため、中島にはまあ無理しないでいいよ、ということになるが、これは中島にとっては大きなマイナス。実力があっても試合を多くこなさないと大リーグの野球が体で覚えられない。期待している選手だけに気が重い。

さて、順調なスタートをきった選手、投手陣がとてもいい。ダルビッシュ、岩隈、黒田は3人とも2勝をあげた。2日前投げた黒田は5安打完封勝利、すばらしいピッチングだった。そして13日にダルビッシュと投げ合った岩隈も昨年の今頃とは打って変わって安定したマウンド。制球力がよく低めにボールが集まるので大きく乱れない。今年はローテーションをまもって投げれば10勝は楽に達しそう。また、レッドソックスの上原と田沢もリリーフでいい働きをしている。

野手で頑張っているのがブリュワーズの青木、オフの体力強化で体が大きくなり、高いバッティング技術に加えパンチ力がついてきたから、チームに活気を与える一番バッターになった。青木の目標は3割、大いに期待できる。

そして、ひょいと大リーグにあがってきたのが今年の3月にトロント・ブリュージェイズとマイナー契約をした川崎。故障したレイエスの代役として9番ショートで先発出場し、ヒットも4試合で2本打った。守備の良さを買われての起用は昨年いたマリナーズで元気よくプレーしたのが評価されているから。捨てる神あれば拾う神あり。レイエスが復帰してもスーパーサブとして起用されるようプレーに磨きをかけてもらいたい。

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2013.04.16

日ハムは大谷を野手として育てるの?

Img_2開幕して14、15試合を消化したプロ野球、どこが強いかはこのくらいの試合数ではまだいえない。

チームの総合的な力がでてくるのが40試合くらいを戦ったころ。この時点で勝率5割を上回れるチームとそうでないチームがはっきりしてくる。

関心の高いパリーグの首位は西武、10勝5敗。以下オリックス、楽天、日ハム、ロッテ、ソフトバンクの順。

予想外だったのがソフトバンク、勝てないのは打線が振るわないから。投手力がよくてもこの打力だと今年も苦戦しそう。頑張っているのがオリックス、監督が代わり日ハムから糸井は入ってきたのが大きなプラスになっている。

前任の岡田は阪神の監督をやっていたときもそうだったが、プライドが高く監督然としているところがあるから、選手たちは重い空気のなかでプレーをしていたのだろう。それが選手としての名声はないがコーチ術に長けていた森脇に代わり、チームの結束力が高まったことがいい結果を生んでいる。今年は強くなるような気がする。

逆に下手をするとBクラスに終わりそうなのが日ハム、糸井をトレードに出した影響が大きくでている。それと気になるのが栗山の監督としての能力。どうも威張り病がでている感じ。一年目でいきなり優勝したので自分の監督としての能力を過信しているのでは。

迷走しているとしか思えないのが新人の大谷に二刀流をやらせていること。日ハムは大谷をバッティングでスターにしたいと思っているのだろう。だったら、大谷にそういったらいい。大谷だって本音はバッターをやりたいのかもしれない。糸井を出したのは大谷への期待が大きいことの現れ、数年のうちに中田、大谷の2枚看板で勝利に突き進もうという目論見であろう。

大谷のあのどっしりとした構えは絵になるから、二人がビッグな選手に成長したら日ハムの黄金時代がやってくる。そして、斎藤祐ちゃんが肩痛を克服してがんばれば日ハムの人気はそれこそ全国区になる。

大谷は今は気が張っているからなんとか二刀流をやれるが、いずれどちらも悩む。すると、この選手は心はあまり強くなさそうだから調子は低迷を続ける。早く投手か打者か決めてやるのがいい。さて、栗山はどちらを決断するのか?

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2013.04.15

金鍔(きんつば)はお好き?

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Img_2     名代金鍔

今年から‘一日一知’ということをはじめた。わが家ではTVを見ている時間がとても長い、大リーグ、ニュース、視聴率の高い人気バラエティ番組、そして収録した美術文化番組の再生。その合い間に展覧会の図録や画集をみたり、関心のある芸術や歴史の本を読むことが入る。

だから、いろんな情報が映像や活字を通して入ってくる。そのなかにはそのときだけで終わりというものもあれば脳を特別本気にさせるものもある。で、脳を刺激したおもしろいコトや物、腹にストンと落ちたことなどをひとつだけ長年使っているコンパクトダイアリー(手帳)に書き込みことにした。これがわが家の‘一日一知’。今日はそのひとつ、‘金鍔’(きんつば)の話。

金鍔がどうしてこう呼ばれるようになったか?この話が先月放送されたBSTBSの番組‘謎解き!江戸のススメ 老舗’にでてきた。きんつばという和菓子、今は口にすることはほとんどないが小さい頃はよく食べていた。父親が和菓子が好物で給料日にはきまって買ってきた。春のなると桜餅、鶯餅、そしてあんこを薄皮でつつんだきんつばとか最中は年間を通して食べる定番の菓子だった。このお茶を飲みながら和菓子を食べる習慣が高校を卒業するまで続いた。

日本橋にある栄太樓總本舗(1857年創業)の看板商品‘名代金鍔’、この和菓子が生まれたいきさつは社長によるとこう。
‘昔、刀の鍔師がいて殿様から金の鍔をつくってくれと言われた。ところが、この鍔師は悪い野郎で中は鉛にして上っ面だけうすく金を貼った。その事件に発想を得てあんのまわりにうす皮で覆ったのが金鍔(きんつば)のはじまり。で、うちのきんつばは丸い’。

なるほどね、それで金鍔なのか!菓子の形と偽金鍔のイメージがピッタリ合うので腹にストンと落ちる。商才にたけた人はやはり目のつけどころが違う。これまでこのお店の名前は知っていたが、店舗がどこにあるのか知らなかった。この番組のあと地図(拡大)をみてみると、日本橋の南側のすぐ近くにあった。ここだったのか!次回、三井記念館へ行くときは帰りに寄ってみることにした。ここのきんつばはどんな味だろうか?

番組にでてきた老舗がこの地図にいくつか載っている。‘神茂’(はんぺん)、‘日本橋弁松総本店’(弁当、乾物)、‘さるや’(楊枝)、‘江戸屋’(ブラシ)、この界隈をぶらぶらするのも楽しいかもしれない。

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2013.04.14

京都市美に‘ゴッホ展’が巡回していた!

Img_2     ‘パイプをくわえる自画像’(1886年)

Img_0005_2         ‘テオの肖像’(1887年)

Img_0004_2     ‘石切り場のみえるモンマルトルの丘’(1886年)

Img_0002_2     ‘サン・ピエール広場を散歩する恋人たち’(1887年)

京都へ出かけた10日は夜横浜球場でDeNA対広島戦をみることになっていたので、京都にいたのは4時まで。‘山楽・山雪展’を午前中にみて、午後は京都市美に足を運び‘ゴッホ展’(4/2~5/19)を楽しんだ。

アムスにあるゴッホ美所蔵の作品が昨年の夏から秋にかけて長崎のハウステンボスで公開されたことはBSプレミアムの番組で紹介されたからしっかり頭の中に入っている(拙ブログ12/10/22)。この回顧展、ハウステンボスの単独企画と思っていたが、そのあと京都、仙台、広島に巡回することになっていた。
★仙台 宮城県美:5/26~7/15
★広島 広島県美:7/22~9/23

このことを知ったのは新幹線の切符を予約した後、京博のあとほかの美術館でめぼしい展覧会をやっていないかHPをサーフィンしていたら、京都市美のゴッホ展にぶちあたった。じつにいいめぐりあわせ。京都市美があるのは京近美の前。乗りなれない地下鉄の東山駅で下車しそこから歩いたが、5分くらいで着くイメージが倍の10分かかった。

この美術館では今、‘リヒテンシュタイン美展’と‘ゴッホ展’が同時開催されている。どっちのほうに多くの人が流れているかというとやはりゴッホ。5人対1人という感じ。日本に限らずゴッホは世界中で愛されている画家だから、リヒテンシュタインのルーベンスは相手が悪すぎた。

ゴッホ美は自画像を17点所蔵しているが、今回8点が展示されている。そのなかで学者のような顔で描かれている‘パイプをくわえた自画像’に思わず足がとまった。初見ではないがとても魅了される肖像画。‘テオの肖像’は2年前、ゴッホ自身を描いたものとみられていたがじつは弟のテオだったと美術館から発表され話題になったもの。縦19㎝、横10㎝のなんとも小さな作品。隣には同じサイズで描かれたゴッホのものが並んでいる。

フィンセントとテオはよく似た兄弟だったようだが、テオの耳は丸くて頬髭がないことがこれまでの説を覆す決め手になった。たしかにほかの自画像をみるとフィンセントの耳は丸くはなく分厚い感じ。

関心を寄せていたのは現地では展示スペースの関係でなかなかみることのできない自画像、今回新規のものが4点あったので大満足。で、あとは展示の中心になっているパリ時代に描かれた人物画、花の絵、風景画をさらっとみた。とはいって大好きなゴッホだから、早足で通りすぎるというわけにはいかない。

絵の前にいる時間がどうしても長くなるのが風車の並ぶ光景が心を揺すぶる‘石切り場のみえるモンマルトルの丘’と点描法で丁寧に描かれた‘サン・ピエール広場を散歩する恋人たち’。3組のカップルがいる公園の絵は日本にやって来たような気がするが、絵のサイズは覚えてないのでその大きさにびっくりさせられた。

今回の一番の収穫はゴッホがパリ時代どのように絵を描いていたのかがよくわかったこと。どんな支持体にどんな色で、そしてどんなテクニックを使って描いたのか、ゴッホ美の学芸員たちが行った研究の成果がわかりやすく解説されている。貴重な体験だった。

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2013.04.13

パワーにあふれ工芸的な香りのする山雪ワールド!

Img_0002_2     ‘老梅図襖’(1646年 NY メトロポリタン美)

Img_0001_2     ‘群仙図襖’(1646年 ミネアポリス美)

Img_0003_2     ‘雪汀水禽図屏風’(重文 右隻 17世紀前半) 

Img_0004_2     ‘雪汀水禽図屏風’(左隻)

狩野山雪(1590~1651)に開眼する機会が過去に3回あった。そのひとつが08年NYのメトロポリタン美を訪問したときお目にかかった‘老梅図襖’。日本館のなかに小さな座敷がつくられ奥に飾ってあった。全体が暗く襖に最接近できないので細かいところはよくつかめないが、角々と曲がる太い梅の枝に強い衝撃を受けた。と同時にこんな梅が実際に存在するの?ということに気が回りだした。

この‘老梅図襖’が展示されている。‘妙心寺展’のときにも出品されたが、今回の里帰りには嬉しい演出がなされていた。この襖絵はもともと妙心寺塔頭 天球院にあったもの。そして裏側にあったのが現在ミネアポリス美にある‘群仙図’。アメリカに渡る前までは二つは一緒に所蔵されていた。アメリカの東部と中部にあるこの二つの襖絵がこの展覧会で同時にみれることになった。流石、京博、やってくれました!二つが表裏の状態になるのは50年ぶりという。これが回顧展の醍醐味。

3度目の対面となる‘老梅図’、この度時間かけてみたのは強いインパクトを持った太い幹や枝より細い枝のほう。よくみると脇役の細い枝が横や斜めさらには真下、垂直にのび、これにより画面に奥行きを与え立体的な空間が生まれている。

最後に飾ってある屏風‘雪汀水禽図’は7年前この回顧展が開かれている京博の平常展で遭遇した。このとき山雪のスゴさに体が震えた。再び対面していろんなことが思い浮かぶ。まず、右隻の松に積もった雪の描写、蒔絵箱に施された意匠をみているような感覚になる。とても気になるのが中央の岩。いく層にもできた穴はとてもモダンでシュールな造形、日本の伝統美である装飾性とシュールな前衛表現が一枚の絵のなかに同居しているのに違和感を感じない不思議さ。こんな体験はこれまでなかった。

右隻でも左隻でも目を奪われるのが銀が輝く波、このてかてか光る波の線は柴田是真が得意とした青海波塗をイメージさせる。そして、波のうねりかたはトポロジーの柔らかな曲面をみているよう。こういう装飾性豊かで洗練された波は宗達や光琳の‘松島図’とか加山又造の‘千羽鶴’で表現された波濤と合い通じるものがある。ほとほと感心する山雪の造形感覚、言葉を失ってみていた。

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2013.04.12

サプライズの細密描写! 山雪の‘長恨歌図巻’

Img_2     上巻 ‘玄宗と楊貴妃 情を交わす’

Img_0001_2     上巻 ‘安禄山の乱 長安城壁へ進軍’

Img_0002_2     下巻 ‘蜀の難所 剣閣山の急峻な山道を登る’

Img_0004_2     上の部分

2年前、夢の‘日本美術里帰り展’でとりあげた作品(拙ブログ11/10/4)がなんと実際に京都にやって来た!それは狩野山雪(1590~1651)の描いた‘長恨歌図巻’(江戸初期 17世紀前半)。アイルランドのダブリンにあるチェスター・ビーティー・ライブラリーが所蔵するこの絵の存在を知ったのは今から13年前、朝日新聞の日曜版に‘名画日本史’という連載があり、これが一冊の本になった。

わが家ではこの本は西洋版の‘世界名画の旅’とともに傑作絵画を知るバイブル、だから追っかけ画の鑑賞計画を立てるときはいの一番にここにでている作品をチェックするのがルーチン。‘長恨歌’は裏彩色が施され色彩の鮮やかな絵巻というのでいつか対面したいと願っていた。その絵が今目の前にある。上巻と下巻があり、別々の部屋で会期中展示される。いつ行ってもみられるのでご安心を、長さは両方とも10m、そのため上巻については前後期で巻き替えされ場面が変わる。

体を屈め気味にみることになるのでちょっと腰が痛くなるが、目を見張らされる色彩の鮮やかさや木々とか楼閣とか人物の衣装の精緻な描写をみればそんなことは吹っ飛び玄宗と楊貴妃の悲恋を描いた場面展開を夢中になってみていた。これほど脳を本気にさせる絵巻をみるのは久しぶり。山雪、恐るべし!

上巻に蛍がでてくる。どのあたりかは見てのお楽しみ!前期(3/30~4/21)にでている上巻の場面は安禄山の乱が勃発し、反乱軍が長安城壁を目指して進軍するところまで。風に揺れる赤い旗が印象深く躍動感あふれる馬の描写が見事。後期(4/23~5/12)に出動される方は最後に描かれた楊貴妃が処刑される場面に立ち会える。

下巻の見どころは都を追われた玄宗とおつきのものたちが蜀の難所を進んでいくところ。急峻な山道を登り、崖沿いの桟道を恐る恐るわたっていく。TVの映像で蜀の桟道の跡をみたことがあるが、こんな切り立った崖の横にどうやって道をつくったの?という感じ。足を踏み外して下の川に落ちた者が少なからずいたに違いない。

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2013.04.11

圧巻 ‘狩野山楽・山雪展’!  山楽

Img_2     ‘龍虎図屏風’(重文 右隻 17世紀初 京都・妙心寺)

Img_0001_2     ‘龍虎図屏風’(重文 左隻)

Img_0002_2     ‘紅梅図襖’(部分 重文  17世紀初 京都・大覚寺)

Img_0003_2     ‘文王呂尚・商山四皓図屏風’(部分 重文 右隻 17世紀初 京都・妙心寺)

4年ぶりに京都を訪れ京博で開催中の‘狩野山楽・山雪展’(3/30~5/12)をみてきた。これは日本美術の展覧会では最もみたかったものだから、ワクワク気分で入館した。

出品作は83点、大半が通期の展示で一部、前期(3/30~4/21)と後期(4/23~5/12)に登場する。そのうち山楽(1559~1635)は17点、そして山楽と山雪の合作が2点、残りが山雪(1560~1651)。なにしろはじめて体験する山楽・山雪の回顧展だから収穫は多い。手元に画集がある山楽はまだお目にかかってないのが4点、そして山雪は初見の作品があれもこれも、テンションはどんどん上がっていく。

最初の部屋に山楽の傑作がずらっと並んでいる。これは圧巻!運よく過去みたものだが、こうして一堂に会すると山楽の技量の高さを再認識する。やはり見入ってしまうのが妙心寺にある‘龍虎図’。これは09年東博であった‘妙心寺展’でも公開された。

数多く描かれた龍虎図、獰猛さではこの虎の右にでるものはいない。足を大きくひろげてふんばり顔を横に向け龍を威嚇する姿は迫力満点、こんな怖い虎には危険すぎて近づけない。一方、龍のほうも画面の構成が印象的、その胴体は多くが二つの雲の渦巻と斜めにのびる3本の光の帯に隠れている。稲妻で虎を幻惑させようという作戦か、かっと見開いた目で虎を睨み返している。どちらも強い生命力がまわりの空気をびりびり振動させている感じ。何度見ても惹きこまれる。

‘紅梅図襖’(前期展示)は永徳を彷彿とさせる豪快な樹木とピンクの梅に魅了される堂々たる金碧画。09年の京都美術巡りのときは最後に行った大覚寺でじっくりみた。横に広がる紅梅、細い枝がリズミカルにのび美しいつぼみを咲かせている。動きを感じさせる大きな幹、そしてそのダイナミズムを柔らげる花の繊細な描写。動と静を優雅に溶け合わせた山楽独自の世界。心ゆくまでみていた。

‘文王呂尚’の魅力は鮮やかな色彩、文王やおつきのものが着ている衣服の白や緑、うす青の発色の良さ。これまでみた山楽の屏風では一番色が輝いている。

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2013.04.09

今年は上野にルネサンスの巨匠が集結!

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2日前、知人から電話があり‘上野でやっているラファエロ展はいいですか?’と聞かれた。そういうお話ならと美術館に代わって大宣伝しておいた。美術の本によく載っている傑作‘大公の聖母’が日本にはじめてやって来てから1ヶ月が過ぎ、展覧会は中間点にさしかかるところ(6/2まで)。月末からのGWに入るとラファエロ人気はさらに沸騰するにちがいない。

今年前半に行われる西洋絵画関連の展覧会で主役をつとめるのは最初がエル・グレコ(7日に終了)で、次がラファエロ。上野では1ヶ月ちょっと二人の共演が実現したが、23日からはダ・ヴィンチが東京都美に登場し、ルネサンスのビッグツーのコラボがスタートする。

‘レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像’(4/23~6/30)にでてくるのはミラノにあるアンブロジアーナ図書館・絵画館が所蔵する‘音楽家の肖像’と‘アトランティコ手稿’。8年前、ビル・ゲイツが所蔵するダ・ヴィンチの直筆ノート‘レスター手稿’が森アーツセンターで公開されたが、今回は最も有名なアトランティコ手稿。これは見逃せない。

油彩の‘音楽家の肖像’は一度現地でみたことがある。06年のこと。ダ・ヴィンチはこの絵に遭遇したので画集に載っている作品はコンプリートになった。が、翌年小学館から出版された‘西洋絵画の巨匠シリーズ レオナルド・ダ・ヴィンチ’ではこの作品は‘レオナルド工房作か’となっている。著者の池上英洋氏は真筆説には否定的。ダ・ヴィンチ研究の権威のマーティン・ケンプ(オッククフォード大)氏の見解はどっち?

ラファエロとダ・ヴィンチがともに日本で楽しめるなんて夢みたいな話だが、秋になるともう一人のビッグネーム、ミケランジェロが西洋美にやって来る。会期は9/6~11/17、ミケランジェロの彫刻が過去に日本で公開されることは一度あったがこの時は木彫、今回展示される‘階段の聖母’はおそらくはじめての大理石の彫刻作品。所蔵しているのは3年前フィレンツエへ行ったとき出かけたカーサ・ブオナローティ。再会が楽しみ!

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2013.04.08

アートに乾杯! これぞ究極の泣き顔表現

Img_2     マザッチオの‘楽園追放’(1425~28年 フィレンツエ ブランカッチ礼拝堂)

Img_0002_2     マンテーニャの‘死せるキリスト’(1470~74年 ミラノ ブレラ美)

Img_0006_3     クリヴェリの‘キリストへの哀悼’(1485年 ボストン美)

Img_0004_2     レンブラントの‘ガニュメデスの掠奪’(1635年 ドレスデン美)

西洋絵画では劇画のように人物の感情表現が極度に激しく描かれることはあまりない。宗教画のなかで最も悲しい場面はキリストが磔刑に処せられるところであるが、多くの絵ではキリストの死を哀悼する聖母マリアたちの表情は映画で俳優が演じるほどリアルな描き方はされない。

ところが、ときどきその悲しみの表情があまりにも真に迫っているので思わず感情移入してしまう作品に遭遇することがある。マザッチオ(1401~1428)の‘楽園追放’は究極の泣き顔の筆頭かもしれない。眉をハの字にして泣きじゃくるイヴ、楽園を出ていかなければならない悲しみ、そして深い絶望感がストレートに伝わってくる。

中世以来繰り返し描かれてきたキリストの死の場面、嘆き悲しみ聖母マリアたちの表情がこれまで最もリアルに感じられたのが2点ある。ひとつはミラノのブレラ美で出会ったマンテーニャ(1431~1506)の‘死せるキリスト’、キリストの足がこちらに向かってくる短縮法にまず度肝をぬかれ、そして布で涙をぬぐう老婆の姿に釘づけになる。この聖母マリアはじつに人間らしい、まさに運悪く自分より先に亡くなった息子を悲しむ母の姿。

ボストン美にあるクリヴェリの作品はまだ縁がない。これは現地で買った図録に載っておりとても衝撃を受けた。キリストの右で口を大きく開け天を仰いで泣き悲しむヨセフの表情には現実感がある。幼い子は母親が欲しいものを買ってくれないときはこのような顔で泣きわめく。ダメなものはダメなの!わからない子ねえー、

レンブラント(1606~1669)の描いた‘ガニュメデスの掠奪’はお気に入りの一枚。この坊やはゼウスが変身した鷲が怖くてたまらない、あまりに怖いもんだからお漏らししてしまう。ゼウスもこれほどいやがる子供をなにも天に連れていくことはなかろうに。

それにしても、レンブラントはおもしろい発想をする。オウィデイウスの本ではガニュメデスは美少年なのに、こんな泣き虫坊やに変えてしまった。人一倍人間が好きだったにちがいない。

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2013.04.07

アートに乾杯! 目に焼きついているびっくり表現

Img_2                  ミュシャの‘メデイア’(1898年)

Img_0001_2  レンブラントの‘ベルシャザルの酒宴’(1635年 ロンドン ナショナルギャラリー)

Img_0005_2     レーピンの‘思いがけなく’(1884~88年 トレチャコフ美)

Img_0002_2    ジャコメッティの‘テーブル’(1966年 ポンピドー)

本日の日曜美術館でとりあげられたミュシャ、今、六本木の森アーツセンターギャラリーで‘ミュシャ展’(3/9~5/19)は行われていることはもちろん知っている。はじめはでかけることにしていたが途中から気が変わり今回はパスでもいいかなと思っていた。以前にもプラハのミュシャ財団蔵のものはみる機会があり、作品の中心となっている装飾ポスターも結構みたというのがその理由。

ところが、番組の最後にでてきたミュシャ(1860~1939)が晩年に描いたという娘の肖像(油彩)が強い磁力を放っていたのでやっぱり足を運ぶことにした。処分したチラシにもこの絵が載っていたが、映像とはいえ本物にちかいもののほうがインパクトがあり、この絵は見逃せられないというのが素直な感情。

もう1点心を揺すぶる作品がでてきた。初見ではなく数回お目にかかっている‘メデイア’のポスター。この絵が目に焼きついて離れない一番の理由はそのびっくりした目。イアソンに捨てられたメデイアはあろうことかわが子まで殺してしまう。嫉妬が憎しみに変わり大きくしのびよってきた狂気性が皆殺しへと駆り立てる。タイムスリップしてサラ・ベルナールが演じてみせたたこの凍りついた目を劇場でみたくなった。

人物の心の中が手にとるようにわかるように描かれた絵はそうない。ミュシャの絵以外でびっくりした表情が忘れられない作品は3点。‘あらー、なんてことなの?王様の顔が恐怖でひきつっているわ’という感じなのがレンブラント(1606~1669)が‘ベルシャザルの酒宴’で描いた女。この絵をロンドンのナショナルギャラリーでみたとき、目が釘づけになったのは王の表情よりもこの隣にいる女のほう。まるで映画によくでてくる驚きの場面をみているよう。人間の感情がこれほどリアルに表現された絵をみたのははじめて。腹の底からレンブラントはスゴイなと思った。

ハッとする体験は昨年久しぶりにあった。それはBunkamuraの‘レーピン展’に出品された‘思いがけなく’。部屋に入ってきた男性を子どもと二人の女性が‘ええー、戻ってきたの?!’という顔つきでじっとみている。後ろの女性は死んだ人間が生き返ったかのようにおそるおそる見ている感じ。そのびっくりした目がじつに生感覚。

もうひとつジャコメッティ((1901~1966)が制作したヴェールを被った女性の頭部像も強烈なインパクトをもった作品。狂気じみた顔つきとテーブルにおかれた切断された手、ミュシャのメデイア同様、不気味で重っくるしい雰囲気が漂っている。

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2013.04.06

美術に魅せられて! お気に入りの美術番組

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4月は新年度になり新しいTV番組がでてくるのでTVガイドをほかの月より念入りにみている。おもしろそうなものをいくつか見つけたが、はじまったばかりだから評価を下すのはまだ早い。で、その番組は先で紹介するとして今日は前からある美術番組のことを少しばかり。

わが家ではTVから流れてくる美術番組は大リーグ放送とともに毎日を楽しくすごすために欠かせないものになっている。今、関心の高い番組は、
★‘日曜美術館’   Eテレ  日曜 午前9時
★‘美の巨人たち’  TV東京 土曜 午後10時
★‘世界の名画’   BS朝日 水曜 午後9時
★‘BBC地球伝説’  BS朝日 水曜 午後8時
★‘イッピン’      BSプレミアム 火曜 午後7時半
★‘謎解き!江戸のススメ’ BSTBS 月曜 午後10時

2年前こうした番組にふれたときはBS放送に‘極上美の饗宴’(BSプレミアム)、‘美の浪漫紀行’(BSジャパン)があったのだが、ふたつとも昨年終了してしまった。毎週楽しくみていたので残念でならない。‘極上’は復活することはないだろうが、‘美の浪漫’のほうは頭に‘欧州’とついていたから次は‘アメリカ’を制作してくれるのではないかとひそかに期待している。BSジャパンさん、頑張ってね。

今嵌っているのは‘イッピン’(25分)と‘江戸のススメ!’(54分)、毎週チャンネルを合わしているわけではないが興味のあるテーマのときは目に力をいれてみている。‘イッピン’は昔からある伝統工芸における職人の技にスポットをあてている。科学的な分析などを挿入して技の極意を伝える編集はとてもわかりやすいので、関心がいっそう深まる感じ。脳がとくに本気になったのは‘美濃和紙’、‘箱根の寄木細工’、‘紀州備長炭’。

片岡鶴太郎と草野さんが着物姿で案内する‘江戸のススメ’も楽しくみている。直近では新歌舞伎座の完成にあわせて‘歌舞伎’をとりあげてくれた。ここ10年くらい江戸の社会文化に熱い関心が集まっているから、みている方も多いのではなかろうか。

‘BBC地球伝説’は毎月TVガイドでチェックしており、美術や歴史ものは必ずみるようにしている。再放送が多いが、先月放送された‘古代ローマの至宝’(3回)は2012年の制作だった。このシリーズは感心するほどよくできた番組だから新作には目が離せない。

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2013.04.05

ニューヨーク、フィラデルフィア 街角ウオッチング!

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Img_0004_2       ダコタアパート

Img_2       ‘自由の女神像’(1886年)

Img_0002_2      フィラデルフィア観光の定番‘自由の鐘’

★‘ダコタアパートはセントラルパークの近くにあった!’

ジョンレノンとオノヨーコが住んでいたダコタアパートのことを知ったのは昨年7月、鈴木其一の‘朝顔図’をとりあげた記事(拙ブログ08/7/22)に竹内友章さんからコメントがあり、歌舞伎の中村獅童が知人の住んでおられるダコタアパートに番組の取材でやって来たとのこと。ダコタアパートって?さっそくネットで調べてみたら、なんとあのジョンレノンが住んでいた超高級マンションだった。

今回、METへ入館する前少し時間があったので現地の日本人ガイドさんのはからいでダコタアパートへ行って写真をとることになった。場所は地図(拡大)でおわかりのように西72丁目沿い、METとの位置関係がつかめなかったが、あとでガイドブックをみるとMETの裏側だった。

竹内さんがここへ導いてくれたのかもしれない。このアパートの入り口でジョンレノンは撃たれたのだ、世界中に衝撃が走ったこの事件、ジョンレノンはまだ40歳だった。写真を撮った場所からセントラルパークへ入ってすぐのところに‘イマジンの碑’があった。NYを歩き回ったことがないので、こういう有名なところの情報に疎い。ミューズに‘NYへもっと出かけたら!’といわれているような気がした。

★‘遠くに自由の女神像が見えた!’

08年のときと同様、バッテリーパークから遠くに小さくみえる‘自由の女神像’を眺めた。1990年はじめてNYにやって来たとき、フェリーに乗り自由の女神像があるリバティ島へ行った。真近でみる女神像は200%圧倒されるデカさ。銅像の高さは46m、土台から女神が右手に持ったトーチまでいれると93m。こんな大きな建造物をみる機会はそうないから一生の思い出。だから、先月‘美の巨人たち’であった自由の女神像物語はのめりこんでみてしまう。隣の方はまだフェリーに乗ってないので、もう1回でかけてもいいなと思った。

★‘自由の鐘はフィラデルフィア観光の定番!’

フィラデルフィアははじめて訪れた。定番の名所観光の後、お目当てのフィラデルフィア美入館。美術館への思い入れが強いので現地の日本人ガイドさんがしてくれる話は3割しか覚えてない。この街は公共芸術プログラムが全米一だそうで街のいたるところに彫刻や壁画が飾られているらしい、バスの中からその片鱗がうかがえた。
名所観光で強く印象に残ったのが‘自由の鐘’、驚くのはひび。こういうひびの入った鐘はみたことがない。

アメリカ美術館巡りの感想記はこれで終わりです。長らくおつきあいいただきましてありがとうございます。名画の数々を皆様と共有できたことを喜んでいます。

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2013.04.04

待望のノイエギャラリーでクリムト三昧!

Img_0003_2        ノイエ・ギャラリーの外観

Img_0001_2     クリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’(1907年)

Img_0002_2         クリムトの‘踊り子’(1916~18年)

Img_0008_2     クリムトの‘黒い羽毛の帽子’(1910年)

Img_0005_2     シーレの‘緑樹に囲まれた町’(1917年)

5番街にあるノイエ・ギャラリーに関する情報がぐーんと増えたのは11年10月に放送されたBSプレミアムの美術番組‘極上美の饗宴’。おかげでギャラリーのある場所がイメージできた上、ここにあるクリムトは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’だけでなくほかにも2点あることがわかった。

ここへ是非とも足を運ぼうと思ったのはクリムトが3点もみれるから。でも訪問できる日は月曜日、だから開館してないだろうと半分あきらめていた。ところが、前日のNY観光を案内してくれた現地の男性ガイドさんに休館日を調べてもらったら、火曜&水曜だった。これは運がいい。開館時間は11時(夜6時まで)なので目と鼻の先にあるグッゲンハイムをみたあと寄ればいい。

好きな画家のことゆえ知ってることはもらさず伝えたくなる。ギャラリーは地下鉄4・5・6線86ST駅の前の通りを5番街に向かって7、8分歩くと到着する。ここからはMETへもグッゲンハイムへもすぐ行ける。館内に入ると料金は心づけでいいという。館全体が2月4日新装オープンする美術館のため準備の真っ最中、公開されているのはクリムトの作品が飾られている部屋だけ。急いで2階へ上がった。

ありました、ありました!クリムトの絵が、予定では3点だったが、なんと6点も、ええー、こんなにクリムトがあるの!もう天にも昇るような気分。そしてビッグなオマケがシーレ。これはたまらない。クリムトはここに紹介する3点、プラスTVで知った‘アッター湖畔ヴァイセンバッハの森番の家’(1912年)、‘カンマー城の公園’(1909年)、‘高いポプラの木’(1906年)

以前ウイーンでみたことのある‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’の前ではどうしても2006年に落札された金額155億円のことが頭にちらつく。ウィーンの人たちにとってはこの黄金に輝くクリムトの傑作がベルヴェデーレ宮殿から姿を消したことは残念でならないだろうが、NYへよく出かける美術ファンには楽しみのスポットがひとつふえたことになる。

初見の5点をこころゆくまでみた。とくに長くみていたのは赤が印象的な‘踊り子’と魅力溢れる肖像画‘黒い羽毛の帽子’。そして、シーレの‘緑樹に囲まれた町’にも200%魅了された。わずか7点の鑑賞だったが、忘れられないノイエ・ギャラリーになった。NYへまた来ることがあったらもう一度行ってみたい。

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2013.04.03

ダルビッシュ 惜しかった! 完全試合

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大リーグが開幕して第2戦、レンジャーズのダルビッシュはアストロズとの試合で大記録寸前のところまでいった。あと一人打ち取れば完全試合の達成だったのに、、本当に惜しいことをした。残念!8回4番のマーチンにボール3までいったときはハラハラしたがなんとか三振をうばったので、かなり高い確率で完全試合がみれるのではないかと思った。

9回は先頭打者の7番を難なくショートゴロ、続く8番も軽くセカンドゴロ、ここでダルビッシュはほっとしたように笑顔、本人はこれはやれるぞ、という気になったにちがいない。これはえらいことになった。あとひとりで大記録が実現する。そして、むかえた9番バッター、もう200%三振のイメージ、それいけダルビッシュ、が、1球目をいきなりセンターへクリーンヒット、万事休す!

ダルビッシュは昨年の終盤からレンジャーズの実質エース、今春のキャンプ、オープン戦でも順調に仕上がったみたいで、今日の登板はおおいに期待していた。序盤から三振をばんばんとり、まったく安定したピッチング。球がすっぽ抜けて四球が多かった昨年とはまるでちがう投球内容。1球々自信をもって投げている感じ。

圧巻だったのは3番のペーニャを156キロの速球で三振にうちとった場面。このピッチングは今年の活躍を暗示するような球、この試合の三振の数はこれを含めて14個。フォーシーム(ストレート)、スライダー、カットボール、どの球種もいいのでバッターはヒットを打つのはとても難しい。

アメリカの野球専門誌でダルビッシュはサイヤング賞の候補にあげられている。研究熱心なダルビッシュのことだから今シーズン、その高い投球技術をさらに進化させ、多くの野球ファンをうならせるビッグエースに成長するのではなかろうか。登板する試合が来るのがとても楽しみ。

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2013.04.02

ピカソの‘黄色い髪の女’と再会!

Img_0008_2     ピカソの‘黄色い髪の女’(1931年)

Img_0006_2     ピカソの‘水差しと果物鉢’(1931年)

Img_0002_2     マルクの‘黄色い牝牛’(1911年)

Img_0007_2     カンディンスキーの‘小さな喜び’(1913年)

グッゲンハイムはMoMA同様、久しぶりに訪れるので期待の作品が多かった。でも、その大半は次回に繰り越し、必見リストに◎がついていたのはシーレ、モディリアーニ、ロスコ、リキテンスタイン、そしてステラ。

こうした作品に会えればこの美術館は気が楽になる。実質2回の鑑賞でもうOK?、これには理由がある。1991年池袋にあったセゾン美(現在はなし)で‘グッゲンハイム美展’が開催された。当時大変話題になった展覧会なので足を運ばれた方も多いのではなかろうか。

その出品作がすごいラインナップだったことはその2年後この美術館を訪問し手に入れた図録(英文)をみて理解した。ここに載っている作品の多くが日本にやって来ていた!特筆ものはカンディンスキー、傑作がずらずらと並んでおり、夢見気分でみたことを今でもよく覚えている。今回日本でみた作品が3点でていた。

ピカソの4点のうち‘黄色い髪の女’と‘水差しと果物鉢’を長いことみていた。何年か前Bunkamuraで展示された‘黄色い髪の女’はお気に入りの作品、ピカソは昔から対象が直線的で角々描かれたものは好みでなく、この絵のように丸みをおびた造形にだけ熱い視線を注いでいる。

セゾンでみた‘水差しと果物鉢’は強いインパクトを持った作品。太い黒線で縁どられた水差しやテーブルカバーと鮮やかな緑が強く印象づけられる。緑、黄色、紫、好きな色が全部でてくるので上機嫌。

マルク(1880~1916)に開花するきっかけになったのがセゾンで遭遇した‘牝牛’、牛の飛び跳ねる姿が様式化されており、これにより動物のもつ生命力が力強く表現されている。その絵以降、マルクを体験する機会が何度かあったが、これを超える作品にまだ出会ってない。

この美術館自慢のカンディンスキー(1866~1944)はまたいっぱいみたかったのだが、4点のみ。残念ながらお目当てのものは姿をみせてくれなかった。その一枚‘小さな喜び’は日本で公開された17点のなかにも入っていたが、今回の展示はこの絵のタイトルのように小さな喜びにとどまった。

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2013.04.01

グッゲンハイム美はもっと大きくなかった?

Img_0002_2     グッゲンハイム美の外観は巨大なカタツムリ

Img_0005     ピサロの‘ポントワーズの風景’(1867年)

Img_0001_3     ゴーギャンの‘村の男と馬’(1891年)

Img_2     アンリ・ルソーの‘フットボールをする人々’(1908年)

日本へ帰る日の午前中は自由行動、月曜日は多くの美術館が閉まっているが、グッゲンハイム美はやっているので10時の開館にあわせてホテルを出た。前来たのは20年前だから、覚えているのは巨大なカタツムリを思わせる外観だけ、館内のレイアウトについてはまったく記憶にない。

ドアが開き意気込んで入ったが、なにかシーンとしている。先週まで‘黒と白のピカソ’という企画展を開催していてそのあとかたずけと次の展覧会の準備のため、中央の吹き抜けをとり囲んでいる螺旋状の回廊はクローズ中で横にある展示室も2室しかみれないという。拍子抜けした!リストには追っかけ画がいくつも書き込んであるというのに、、展示してある作品はわずか19点。20分で終わってしまった。

想定外の事態になったのだが、みたい度の強い絵がこのなかに運よく入っていたので半分の満足は確保された。その一枚がピサロ(1830~1903)の‘ポントワーズの風景’、印象派に画風が変わる前の作品で大作。メトロポリタンでも同じ年に描かれたものをみたが、仮に2点のうちどちらか1つをさし上げると言われたら、躊躇なくここにあるものをいただきたい。いったん左に曲がって先のほうで右のほうへむかっていく道には何人いるか数えてみたら9人いた。本当にいい絵をみた。

2点飾られていたゴーギャン(1848~1903)は1点は2010年にテートモダンであった回顧展でお目にかかったが、この‘村の男と馬’は初見。ピサロ同様、リカバリーを願っていた作品に出会えたのはラッキーというほかない。15点展示されている2階のこの部屋の記憶が消えているのだが、もっと広い部屋だったようなイメージがある。ところが、この美術館はそれほど大きくないことがだんだんわかってきた。巨大なカタツムリの外観によって大きな美術館のイメージができあがっていたのかもしれない。

特◎の絵が目の前に現れた。それはアンリ・ルソーの‘フットボールをする人々’、これで一気にニコニコ顔になった。ルソーに引き込まれるにつれ、いつかグッゲンハイムにあるこの絵をみたいという思いが強くなった。それがようやく実現した。視線が集中するのはやはり真ん中でボールを手から放している男。そして、下をみると心もとない表現が目に入る。なんとも貧弱な足!まるで中国人の纏足のように細い。

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