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2013.03.12

ラファエロの‘大公の聖母’がやって来た!

Img_0001_2     ‘大公の聖母’(1505~06年 フィレンツエ パラティーナ美)

Img_0006_2     ‘天使’(1501年 ブレーシャ トジマ・マルティネンゴ美) 

Img_0003_2     ‘聖セバスティアヌス’(1501~02年 ベルガモ アカデミア・カッラーラ美)

Img_0005_2     ‘リンゴを持つ青年’(1504年 フィレンツエ ウフィッツイ美)

ラファエロの‘大公の聖母’をみるため上野に出かけた。今、西洋美では‘ラファエロ展’(3/2~6/2)が行われている。日本にいてあの有名な‘大公の聖母’がみられるなんて夢みたいな話、これが本当に実現してしまうのだから日本は真に美術大国。

この絵は21歳のラファエロ(1483~1520)がフィレンツエへでて来たばかりの頃描いた初期の聖母像。これまで幸運にも2回みる機会があった。最後にみたのは1999年だから14年ぶりの対面である。この聖母像がスペシャルな感じがするのはほかの聖母像とちがって背景が暗闇になっているため。

ピッティ宮の2大看板である‘小椅子の聖母’も背景は同じように黒だが、円い画面でもうひとりヨハネがいるのでこの黒はあまり意識されない。これに対して‘大公の聖母’は典型的な長方形の画面に正面向きの聖母が描かれており、背景の黒が聖母の醸し出す静謐な美しさを一層浮かび上がらせている。

収穫は初見の2点、‘天使’と‘聖セバスティアヌス’。‘天使’は着ている鮮やかな赤い衣服が印象的でカールする金髪とともに視線を釘づけにする。ラファエロの描く聖人セバスティアヌスはどうみても女性の顔、この聖人の顔の形は‘大公の聖母’の聖母マリアの顔によく似ている。口、あご、眉毛がそっくり。

今回ハッとすることがあった。ウフィッツイにある‘リンゴを持つ青年’はこれまで女性とばっかり思っていたが、タイトルをみると青年だった!この髪のせいでずっと女性の肖像画としてながめていた。訂正されたことがよかったのか戸惑っている。

はじめてお目にかかった‘無口な女’(ウルビーノ マルケ州国立美)はなんとも地味で平凡な女性、聖母像ではマリアを慈愛にみちた理想の女性として描いたラファエロ、でも描きたい画題だけでなく依頼されればとりたてて魅力のない女性の肖像も描かざるをえない。ラファエロは元来性格がよく顧客対応も抜かりがなかったので、こういう肖像画が生まれたのかもしれない。後世の美術ファンは勝手だから、退屈な気分でこの絵をみている。

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コメント

おおっ、もうご覧になったのですね。ブログ
を拝見するとますます気もそぞろになってきます。
(雑事に追われてチケットすら入手しておりません。)
早く行かないとどんどん混みそうで焦っております。

投稿: 青江 | 2013.03.13 20:46

to 青江さん
足取りも軽く上野へ行ってきました。今回の回顧展
は3ヶ月のロングラン興行ですが、あったかくなる
と観客の数も増えていきそうですね。

‘大公の聖母’の前ではどなたもいい顔しています。
絵画の力をあらためて感じました。GWには全国から
美術ファンがやってくるのではないでしょうか。
もう一度みたいですね。GW前に。

投稿: いづつや | 2013.03.13 23:29

私も「大公の聖母」を楽しみに行ってきました。
幼い頃から宮廷になじんでいたラファエロの絵は格調高く優しさに
あふれていると思っていましたが「無口な女」などの肖像画を見て
同じ人の作品とは思えないほど地味で感情も出さないような絵が
あるのに驚き、なぜか平面的に感じました。

「天使」や「聖セバスティアヌス」はホントに女性的で優しいです。
聖母マリアや聖人と肖像画がこれほど違うものなのですね。

投稿: まりりん | 2013.03.16 14:13

ラファエロ展に二回行ってまいりました。(笑)

小品が多いですが、これだけの作品が日本に集まるのは大変貴重なことですね。

『大公の聖母』は30年ほど前、フィレンツェで見たのですがフィレンツェではあまりにもルネサンス絵画の傑作が多く、今回のほうが強い印象を持ちました。背景は塗りつぶされたそうですが、結果的に聖母子にフォーカスが当たっていいですね。

聖母子の情感溢れる描写には、言葉では語れないオーラさえ感じられます。

投稿: ケンスケ | 2013.03.16 21:56

to まりりんさん
ラファエロの女性の肖像画は恋人のフォルナ
リーナは惹かれますが、ほかの人物はどうもダメ
ですね。

男性の肖像にいいのが多いので関心は男性のほう
にいってます。ラファエロはヴァン・ダイクのよう
に脚色して描かなかったのでしょうね。

投稿: いづつや | 2013.03.17 00:20

to ケンスケさん
‘大公の聖母’は三角形構図で描かれたほかの
聖母像とは違って長方形の画面ですから、スポット
は聖母に強くあたりますね。黒の背景もあって
その存在感は多くの聖母のなかでは最もあるよう
な気がします。

この絵を含めて20数点やってきたのですから
スゴイ回顧展ですね。口コミで人気がどんどん膨
らんでいきそうですから、二度目の訪問は早めの
ほうがよさそうですね。

投稿: いづつや | 2013.03.17 00:34

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» ラファエロ @国立西洋美術館 [Art & Bell by Tora]
 ラファエロの回顧展が国内で開かれるのは初めてではなかろうか。ということで、初日の開館時刻に合わせて上野に行った。 行列は路上にまでつながっていたが、スムースに入館できた。階下にはまた行列が出来ていたが、これは音声ガイドを借りる人が並んでいるものだった。  展示はすっきりとした4章だて。Ⅰ.画家への一歩 Ⅱ.フィレンツェのラファエローレオナルド、ミケランジェロとの出会い Ⅲ.ローマのラファエロー教皇をとりこにした美 Ⅳ.ラファエロの継承者たち チラシ裏には、↓のように有名作品の画像が沢山... [続きを読む]

受信: 2013.03.14 11:40

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