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2013.02.14

ナショナルギャラリー(5) 心に響くコール、ホーマーの傑作!

Img_2     トマス・コールの‘クロウフォード・ノッチ’(1839年)

Img_0002_3     トマス・コールの‘生命の旅、老年’(1842年)

Img_0001_3     ホーマーの‘右に左に’(1909年)

Img_0006_2     ホーマーの夕食の‘角笛’(1870年)

5年前アメリカの美術館をまわったとき、ワシントンナショナルギャラリー、ボストン、メトロポリタンの3館はどこもアメリカ絵画を展示する部屋が改築のため閉鎖中だった。そして、シカゴ美ではホッパー展をみたのでパスせざるをえなかった。だから、今回はアメリカ人画家の制作した作品がとても新鮮に感じられる。

だが、どの画家も同じように目に力を入れているわけではなく鑑賞のエネルギーの80%はハドソンリバー派とホーマー、そしてホッパーに費やしている。ナショナルギャラリーの図録をみて今回は是非ともと意気込んでみたのがトマス・コール(1801~1848)の‘クロウフォード・ノッチ’と4枚連作の‘生命の旅’。

コールは前の日コーコランギャラリーで‘帰還’、‘出発’をみたので感激の2連チャン、壮大なスケールでしかも細部まで精緻に描写されたアメリカの自然に目がだんだん慣れていくのが素直に嬉しい。まさにこれがハドソンリバー派の絵なんだ、という感じ。

連作の‘生命の旅’は西館東側にある庭園に接する部屋に飾られている。最初の絵では天使に守られた赤ん坊が小舟に乗って川を進む場面が描かれ、最後の一枚は老人がまさに天国に導かれようとしている。ロマン主義と自然主義を融合したこの架空の風景画はイギリスのジョン・マーチンの作風を連想させる。

チェックリストに◎をつけていたのがホーマー(1836~1910)の‘右に左に’。これは前回も期待の作品、ようやく絵の前に立つことができた。じつはこの絵は日本にやってきたことがある。今から25年前、1988年西洋美で開かれた‘ジャポニスム展’に出品された。が、当時は目玉作品のマネの‘笛を吹く少年’や‘エミール・ゾラの肖像’に心が100%向かっていたので、アメリカの画家ホーマーのこの絵をみたという実感がまったくない。

この画家に開眼したのは08年シカゴ美でホッパー展と同時開催されていた水彩画を集めた回顧展、このあとワシントンへ移動したので‘右に左に’との再会?をたのしみにしていた。ところが、ナショナルギャラリーのアメリカ絵画がクローズ中、がっくり、、それから5年、ようやく対面が叶った。

この絵は浮世絵が好きな方ならすぐぴんとくるのではなかろうか、そう、ホーマーは北斎の描いた鳥の動きやポーズを参考にしている。海洋画を得意とするホーマーにも浮世絵は影響を与えていた。この絵をみて北斎の偉大さを再確認した。

ホーマーはほかに図録に載っている‘夕食の角笛’や‘秋’など5点でていた。そのなかで長くみていたのが‘夕食の角笛’、腰に左手をあて夕食を知らせる角笛を吹く若い女性。白のドレスが風になびく姿に心が和む。本当にいい絵に出会った。

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コメント

私もアメリカの美術館でトーマス・コールが好きになりました。『生命の旅』の連作は大変面白く見て、絵はがきも買いました! 

トーマス・コ―ルの絵に描かれる空想的なエピソードは、あたかも夢の中の光景のようです。あるいはCGを使った幻想的な映画の光景みたいにも思えます。

ホーマーの『右に左に』も印象に残っています。確か結構鳥が大きく描かれていますよね。右の鳥が風にあおられているのかひっくり返っているところも、インパクトがあります。

『夕食の角笛』は見た記憶がありません。たぶん私が行った時、展示されていなかったのでしょう。開拓時代のアメリカといった絵ですね。昔のテレビドラマの『大草原の小さな家』を思い出します。

投稿: ケンスケ | 2013.02.16 08:28

to ケンスケさん
今回はミュージアムショップへ寄る時間が
なかったので‘生命の旅’の絵葉書を買い損ね
ました。この連作を図録でみて気になっていた
のですが、ああいう円い部屋に展示してあった
のですね。たしかに映画の一シーンをみている
感じです。コールにますますのめり込みます。

ここにはホーマーのいい絵がありますね。6点
みました。5年前はシカゴで水彩画を楽しみま
したが、今回は3つの美術館で10点と出会い、
もう大満足です。

‘右に左に’は波に大きく描かれた鳥がのみこ
まれるのではと心配になるほど緊迫感に満ちた
作品ですね。25年前の鑑賞がやっととり戻せ
ました。

‘夕食の角笛’は小さい頃よくみた西部劇の場面
がよみがえります。こういうアメリカの風景を
みるのもいいですね。

投稿: いづつや | 2013.02.16 14:24

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