ナショナルギャラリー(9) 古典絵画もしっかりリカバりー!
今回訪問した美術館の感想記はお目当ての作品をみた順番に綴っている。で、ラストの20分であわただしくみた古典絵画は最後になった。
08年のときは鑑賞時間が3時間とたっぷりあったのとアメリカ絵画やスペイン絵画などの部屋が閉鎖中だったので、西館のルネサンスやバロック絵画が展示してある部屋はじっくりみてまわった。そのため今回必見リストに載せている作品は数点のみ。
その1点がエル・グレコ(1541~1614)の‘聖マルティヌスと乞食’。今東京都美で行われている回顧展にもこの絵の別ヴァージョン(台湾の美術館所蔵)がでているが、まずはワシントンで長年の思いの丈をはたすことになった。とても印象深いのが馬の白と画面の多くを占める緑の対比。グレコは緑の画家、ここでも聖人が乞食に与えたマントと背景に描いたトレドの風景に深い緑を使っている。この絵をみたのでグレココンプリートに大きく前進した。
アメリカの美術館でグレコを多く所蔵しているのはこことメトロポリタン。もしグレコがお好きならばアメリカ東海岸を巡るツアーをお薦めしたい。もちろんグレコをみるにはマドリードのプラドとトレド訪問が欠かせないが、アメリカが先になってもグレコ作品の真髄に接することができる。それほどこの2館にはグレコの傑作が揃っている。
今回展示してあったのは5点、そのなかに5年前はでてなかった‘ラオコーン’があった。23年ぶりの対面。はじめてみる隣の方も気に入った様子。一緒に感激した作品がもう一点ある、‘聖女アグネスと聖女マルティナのいる聖母子’またまた心を奪われた。
ルーベンス(1577~1640)の‘パエトンの墜落’は大作をイメージしていたが、実際はそれほど大きな絵ではなかった。こういう題材を扱ったバロック絵画だと大画面でないとなにか物足りない。で、‘ライオンの穴の中のダニエル’のほうに移動して再会を楽しんだ。
この2点をみたのであとはさあーっと各部屋をまわった。数の多いレンブラント(1606~1669)の部屋ではやはり‘自画像’と‘ルクレチア’の前で足がとまる。レンブラントの自画像はどれも特別な感じがする、レンブラント本人と今まさに会っているような気がしてならない。
ナショナルギャラリーに来てフェルメール(1632~1675)をみないで帰るわけにはいかない。3点あったが、好きなのは‘天秤を持つ女’だけなので、この絵だけを再度目に焼きつけて集合場所へ急いだ。
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コメント
私はだいぶ前に
ここ西館のレオナルドダヴインチを観るために
アメリカに行きました。
投稿: Baroque | 2013.02.20 21:08
to Baroqueさん
今回古典絵画に使う時間はほんのちょっぴり
でしたが、ダ・ヴィンチの前ではやはり足が
とまりますね。ここにはラファエロ、ボッティ
チェリもありますから、スペシャルな美術館
という気がします。
投稿: いづつや | 2013.02.21 16:52
ワシントンのナショナルギャラリーを訪れた時、載せていただいた画像のグレコ、レンブラント、フェルメールなど堪能いたしました。
ここのグレコ作品は、見事な修復を受けているようで特に色鮮やかですね。
ほかにもジョット、ボッティチェリ、ジョバンニ・ベリーニ、ラファエロ、ファン・エイク、ボッス、ラ・トゥールなどの一級品の数々。古典絵画の粒が揃っていて、ヨーロッパの大美術館やMETにまったく劣らない質ではないでしょうか。
これだけの収集が20世紀の数十年間でできあがったということからも、アメリカという国の凄さがわかりますね。
投稿: ケンスケ | 2013.02.22 22:48
to ケンスケさん
今回古典絵画は焦点ではなかったので、ぐるっ
と急ぎ足で回りました。お目当ての2点がみれた
ので、ひとまず済みマークになりました。
時間がもっとあれば2回プラスして傑作の数々
を紹介できたのですが。ここの所蔵品は質量とも
にすばらしいですね。
ダヴィンチ、ファンエイクからレンブラント、
フェルメールとなんでも揃っています。ビッグ
ネームでないのはカラヴァッジョくらいではない
でしょうか。
今回これにロココ、ゴヤ、アメリカ絵画にも目
を見張らされたので館の魅力は一段と上がりました。
追っかけのグレコの絵がみれましたので一安心
です。いい絵でした。
投稿: いづつや | 2013.02.22 23:59