フィリップス・コレクション訪問が実現!
モディリアーニの‘エレーナ・パブロウスキーの肖像’(1917年)
旅行会社A社の団体ツアーに参加し、アメリカの美術館めぐりをしてきた。訪問したのはワシントン、フィラデルフィア、そしてニューヨーク。フィラデルフィアははじめてだが、ワシントン、NYは5年ぶり。このツアーはミュージアムめぐりが売りなので今回は名所観光は脇役といったところ。いつものように日程にくみこまれている美術館プラス自由行動で足を運んだ美術館で出会った名画の数々を目いっぱい紹介したい。
体験した美術館は次の10館、
(ワシントン) ★ナショナル・ギャラリー
★フィリップス・コレクション
★コーコラン・ギャラリー
★ハーシュホーン美
★フリーア美
(フィラデルフィア) ★フィラデルフィア美
(ニューヨーク) ★メトロポリタン美
★MoMA
★グッゲンハイム美
★ノイエ・ギャラリー
トップバッターはフィリップス・コレクション、2回にわたってとりあげたい。ワシントンの街の地図(拡大図)でおわかりのようにこの美術館はナショナルギャラリーがあるところからは少し離れており、北側の住宅街の一角にある。ツアーの行程にここは入ってないので、定番の国会議事堂、ホワイトハウス、リンカーン記念堂見学をパスしタクシーで急行した。
この美術館は典型的な邸宅美術館、資産家ダンカン・フィリップスの屋敷がそのまま作品の展示空間になっている。邸宅の中に入るのははじめてのことだが、ここにある絵画や彫刻は幸運なことに日本で2度もお目にかかる機会があった。美術好きの方なら、すぐ思い出されるのではなかろうか。
最初は05年にこの美術館のお宝中のお宝であるルノワール(1841~1919)の‘舟遊びの昼食’などが森アーツセンターで公開され(拙ブログ05/6/17)、つい2年前の11年には国立新美で‘アメリカンアート展’が開催された(11/10/12)。館を去る前に購入した図録には2回の展示でみた作品が多数載っている。だから、日本にいてとても有難い展示に接したことになる。こういう‘どうぞ、わが名品を見てください!’というサービス精神満点の心意気には好感度が大いにます。
館内で真っ先に目指したのはオキーフ(1887~1986)の‘レッドヒル’。この絵の存在を知ったのは20年前、週刊‘ラ・ミューズ フィリップス・コレクション’に載っており、太陽の光を背景にした真っ赤な丘が異彩を放っていた。以来、いつか対面したいと願っていたが、その丘が目の前にある。だが、本物は画像で印象づけられている燃えるような赤ではなかった。これにはちょっと拍子抜け、20年の間に少し退色したのだろうか?
ラミューズの情報で気になっていた絵はモディリアーニ(1884~1920)とルオーだったが、ルオーの‘サーカスのトリオ’は残念ながら姿をみせてくれなかった。モディの描いたエレーナ・パブロウスキーはモディと親しくつきあった女性、とてもいい絵をみた。
印象派のコレクションのなかで群を抜いていいのがルノワールの‘舟遊びの昼食’、今回は追っかけ作品に多くの時間をさいたので日本で対面したときのようにじっくりみれなかったが、この傑作と再会できた幸せをかみしめながらみていた。今年はクリムトと同様ルノワールイヤー、楽しいひと時だった。
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コメント
ワシントンには15年ほど前に行きましたが、その時は滞在時間の都合で美術館はナショナルギャラリーに行っただけでした。
フィリップス・コレクションの『舟遊びの昼食』は画集でしか見たことがありませんが、実物はすばらしい色彩なんでしょうね。雰囲気的にオルセーの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』と同系統だと思いますが私は、『船遊びの昼食』のほうにより惹かれます。
モディリアーニの作品は、眼だけで内面を語っていますね。
オキーフの作品は赤が退色しているかもしれないとのことですが、画集と実物では色がかなり違っていることが多くて、よくびっくりします!
投稿: ケンスケ | 2013.02.07 08:20
to ケンスケさん
ルノワールの‘舟遊びの昼食’は大きな絵で
本当にすばらしいです。おっしゃるように
‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’と同じような
雰囲気が漂っており、心が温まります。
ルノワール作品ではこの2点を200%愛し
てます。
収穫はモディの絵とロスコでした。エレーナ・
パブロウスキーの内面がうかがわれるとても
いい絵でした。一方、オキーフの赤にはイメー
ジと違っていたので、戸惑いました。こういう
ことはよくありますね。
投稿: いづつや | 2013.02.07 09:49