満足のキメ手はリファレンス作品! 遠近法の名画(1)
ダ・ヴィンチの‘最後の晩餐’(1495~98年 サンタ・マリア・デラ・グラツィエ修道院)
マザッチオの‘聖三位一体’(1426~28年 サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂)
ファン・エイクの‘ドレスデンの祭檀画’(1437年 ドレスデン国立美)
ラファエロの‘マリアの結婚’(1504年 ミラノ ブレラ美)
ティントレットの‘聖マルコの奇蹟’(1562年 ミラノ ブレラ美)
西洋絵画の特徴のなかでまず思い浮かべるのは遠近法を使った構図。消失点が画面のどこにあるかがすぐわかる絵に出会うと奥行きを感じてなにか心が落ち着く。
この遠近法の安定感が心を打つ名画として最も有名なのがダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘最後の晩餐’。6年前、ミラノで修復が終わったあとのこの絵と再会したが、はじめてみたときとは鑑賞方法ががらっと変わり、絵の前にいられるのは15分だけ。今でも予約をとるのが大変そう。
フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂内に飾ってあるマザッチオ(1401~1428)の‘聖三位一体’はイリュージョン絵画そのもの。磔になっているキリストの後ろの壁の凹みに驚愕した。
ファン・エイク(1390~1441)の精緻な描写はみればみるほど惹きこまれるが、遠近法の構図が強く印象に残っているのはドレスデン国立美でみた‘祭檀画’。この三連画はとても小さく、王座の聖母子が描かれた真ん中のパネルは縦33cm、横28cmしかない。小品だがその色彩の鮮やかさと人物の衣装や敷き物の緻密な筆使いには心を奪われる。
ミラノのブレタ美で出会ったラファエロ(1483~1520)とティントレット(1519~1594)の絵も画面構成が忘れられない一枚。‘マリアの結婚’は若きラファエロが師匠のペルジーノの画風を真似て描いた作品。広い広場の奥にはドーム式の建物がみえる。
ティントレットは消失点を画面の中心からずらし左の奥にもっていくのが特徴、これにより動きが生まれダイナミックな情景描画になっている。この人物の躍動感と大胆な構図がティントレットの一番の魅力。
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