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2012.12.21

岸田劉生の‘麗子微笑’を常設展示して欲しい!

4581     岸田劉生の‘麗子微笑’(重文 1921年 東博)

二日前、TVに東博の東洋館が3年にわたって行われた耐震改修工事を終え来年の1/2から開館するというニュースが流れた。

東博へ足を運ぶときは閉鎖されている東洋館を横目に見ながら本館に入っていたので、ようやくリニューアルオープンかという感じ。内覧会の様子をみるとLED照明の導入でよりきれいにみやすい展示に変わったという。また、作品にピンポイントの光をあて細部がよくみえる工夫もされているようだ。

東博の展示の仕方や照明の当て方はここ数年の間に格段に良くなった。例えば先月本館1階の漆器の部屋に展示してあった蒔絵の場合、細くやわらかい光をうまくあて螺鈿の輝きをいっそう美しくみせていた。ロンドンにある世界の工芸の殿堂ヴィクトリア&アルバート美でもこんなみせ方をしてないから、今や東博は作品の展示の仕方ではトップをいっているかもしれない。

そんな東博に是非検討してもらいたいことがある。それは岸田劉生の‘麗子微笑’の常設展示化。重文に指定されているこの絵は日本の画家が描いた世界に誇れる油絵ではないかと思うし、同じ認識をもたれる美術ファンは多いのではなかろうか。

‘麗子微笑’をみていつも連想するのはルノワールの‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’。同じ油彩画なのにルノワールの絵はオルセーで常時展示され世界中からやって来た人たちの目を楽しませている。ところが、‘麗子’は東博でいつも展示されてはいない。この名画がみれるのは2年に一回くらい。

その理由についてはわかっている。それは国宝・重文の公開ルール、年2回、2ヶ所、2ヶ月以内というしばりのため。日本画なら国宝や重文でなくても作品の保存維持に神経を使わなくてはいけないから展示の期間が短くなるのはやむをえない。

だが‘麗子’は油絵。だからこの絵や同じ重文の黒田清輝の‘湖畔’などは特別の部屋をつくって常時展示するのが本来の姿なのである。海外の美術館に展示されている名画と同様に。もちろん油絵には褪色の問題がある。でも、そんなことをいっていたら海外の美術館では展示する作品はなくなってしまう。

明治に描かれた油絵が褪色の問題のため常設展示できないということはありえない。重文の公開ルールは日本画に適用されればいい話であって、油絵にまでこのルールでしばることはない。世界の常識からすればまったくヘンな展示の仕方である。

一日でも早く1階の洋画と日本画を展示している部屋を改造して、‘麗子微笑’&‘湖畔’がいつも楽しめるようにしてもらいたい。

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