音楽が誘う絵画の世界! スメタナ‘交響詩モルダウ’
フルート スメタナ
ホーマーの‘カヌー下り’(1897年 ボストン フォッグ美)
シスレーの‘モールジーのダム’(1874年 スコットランド国立美)
コローの‘緑の岸辺’(1865年 ワシントンナショナルギャラリー)
クラシックCDの中には演奏時間があまり長くない名曲をいろいろ集めたものがある。販売促進のためにはネーミングがとても大事、そこで‘元気のでるクラシック名曲選’とか‘癒される名曲20選’とかちょっと買ってみようかなという気にさせる名前がついている。
この癒し系名曲の定番のひとつがチェコの国民的作曲家スメタナ(1824~1884)がつくった♪♪‘交響詩モルダウ’。チェコの首都プラハは9年前訪問し、この街を流れる母なる川、モルダウ川をみた。これがあのモルダウ川かという感じで、自然に哀愁を感じる交響詩のメロディを口ずさんでいた。
この曲、出だしのフルートの奏でる旋律がとても耳に心地いい。スメタナは音楽で川の流れを表現しており、フルートとそれに続くクラリネットが二つの源流のせせらぎを奏でる。そして、これらの支流は合流し森や緑の牧草地を通りぬけ、チェコの南から北へと流れていく。
川やそこに架かる橋を描いた風景画は沢山あるが、川の流れをリアルに表現した作品はそう多くはない。そのなかで動きのある海洋画を得意としたホーマー(1836~1910)の描いた‘カヌー下り’はお気に入りの一枚。流れの激しい川の真ん中にカヌーを描く構成がなんともいい。
シスレー(1839~1899)の絵は5,6年前Bunkamuraであったスコットランド国立美展で遭遇した。穏やかな印象派らしい風景画を描くシスレーにしては珍しい激しい水流をとらえた絵なのでしっかり目に焼きついている。
川の源流の景色がよく伝わってくるのがホードラー(1853~1918)の作品。これは08年オルセーであった回顧展でみたのだが、高い木が林立するなかきよらかな水がごつごつした大きな石の間を滑るように流れていく様が見事に描かれている。
コロー(1796~1875)には川の絵がいくつもあるが、川の流れを一番感じるこの作品に最も惹かれている。これはワシントンのナショナルギャラリーの所蔵。現地と西洋美であったコロー展(08年)と2度みる機会があった。
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