‘メトロポリタン美展’にハドソン・リヴァー派がやって来た!
トマス・コールの‘キャッツキル山地の眺め’(1836~37年)
10日は‘リヒテンシュタイン美展’(国立新美 10/3~12/23)と‘メトロポリタン美展’(東京都美 10/6~1/4)を一緒にみたので、芸術心が特別刺激された感じがして一日中満ち足りた気分だった。
新築の東京都美へ行くのは2度目。以前は階段を上がるのはしんどかったが、今は3階までエスカレーターでいけるので移動に体力を消耗することがなくなり、作品から得られた感動の余韻にひたりながら次のシーンに誘われる感じになった。
展覧会のテーマは‘自然’ 、副題は大地、海、空ー4000年の美への旅、とある。メトロポリタンはルーヴル同様、博物館&絵画館だから、絵画から彫刻、工芸、写真なんでもある。その数は300万点以上、気が遠くなるような‘美の殿堂’。
その中から今回やって来たのは絵画54点、彫刻・工芸66点、写真13点の133点。リヒテンシュタイン美展でもそうなのだが、関心の8割は絵画に向かっている。Metの絵画作品は美術の本や画集に古典絵画から現代アートまで傑作が数えきれないほど載っている。
だから、‘自然’というテーマでどれを日本にもっていくかを決めるのはキュレーターにとっては悩ましくそして同時に楽しい仕事かもしれない。選択された作品にまったく期待してなかったものがあった。ハドソン・リヴァー派の壮大な風景画。次回Metへ出かけたときは重点鑑賞画家にしているトマス・コール(1801~1848)とビアスタット(1830~1902)が目の前に現れたのである。
アメリカ旅行の回数が少ないので、描かれた場所がイメージできない。ヨセミテはまだ未訪問、こういう絵をみるとアメリカの自然をもっともっと体験したくなる。
ホッパー(1882~1967)の光輝いている絵‘夜明けの灯台’は‘大地と空’の部屋に飾ってあった。08年シカゴ美で開催された回顧展でみたときは時間があまりなくあわただしい鑑賞だったので、この度は明るい空を灯台の下からじっくりみた。こんなホッパーの傑作が日本で見られるのだから、ミューズに感謝しなくてはいけない。
この横にあったオキーフ(1887~1986)の‘骨盤Ⅱ’にも目が吸い寄せられる。これは現地でみたような気がするがはっきり覚えてない。確かポロックの‘秋のリズム’があった隣の部屋にオキーフの作品が結構な数展示されていた。その一枚がやってきたのである。いつかオキーフの回顧展に遭遇することを願っている。頭に浮かぶ美術館はいつもBunkamura。
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コメント
ハドソンリヴァー派、名前だけ知ってますが、そこの画家の名前も全く存じませんね。
メトロポリタン美術館ですから、ハドソンリヴァー派も沢山あるのでしょうね。
いづつやさんのご関心の八割が絵画とは面白いです。
僕はいづつやさんは写真コーナーなんてすっ飛ばすイメージがありますね。
いづつやさんはトーハクの二つの特別展はどうされるのでしょう?
投稿: oki | 2012.10.14 00:02
to okiさん
ハドソンリヴァー派の最も有名な絵がMET
にあるのですが、これらは絶対日本にはやって
きません。08年のときはアメリカ館が改築中
だったので1点しかみれませんでした。もう
すこしすると実現する予定です。
写真の好みはありません。よくご存知ですね。
東博の出雲展と中国展勿論出動ですが、来月で
かけます。
ところで、西洋美のラファエロ展のチラシを
みたのですが、ラファエロの作品を20点以上
もってくるとありました。これはすごいことに
なりそうですね。ワクワクします。
投稿: いづつや | 2012.10.14 00:41
メトロポリタン美術館展に先日行ってまいりました。
期待を大きく上回る内容で、感動しました。
今回いづつやさんが画像に載せてくれた絵は、ぜんぶゆっくりと観ました!
特にビ―アスタットのとてつもない大自然に吸い込まれました。こうしたアメリカの絵画は、METならではのコレクションですね。
それにしてもホッパーの『夜明けの灯台』といい、一級の絵を多数送ってくれたことに信じられないような思いです。
投稿: ケンスケ | 2012.10.14 21:30
to ケンスケさん
ビアスタットのヨセミテの絵、いいですね。
クランドキャニオンとモニュメントバレーは
行ったのですが、ヨセミテはまだなんです。
アメリカ旅行の優先順位がだんだん上がって
います。
そして、ホッパーとオキーフもいい気分に
なりますね。今は展覧会は数より質ですね。
海外の美術館にある作品がやってくる場合、
画集に載っているような絵が3点あればもう
黙って◎ですが、今回はあれもいい、これも
いいですから本当にすばらしいです。
投稿: いづつや | 2012.10.14 23:38
僕も行ってきました。
メトロポリタン美術館と言うのは、中世に詳しい人がかなり関わっていたと図録にありましたが、展示に反映したのでしょうか?
いやあ、2時間はかかりますね、レンブラントにゴッホに、工芸品にと。
ハドソンリヴァー派は、光に関心があったのですね。
図録はゴッホ表紙のものを選びましたが、まだ聴いてないですが、坂本さんのCDがついてくるのですね。
さて、いづつやさんは、美術にぶるっ、の出動予定は?
投稿: oki | 2012.10.17 22:28
to okiさん
METの中世美術は本館だけでなく、別の
場所にあるクロイスターズにも展示されて
ますから強力なコレクションです。
今回来ている作品は美術館のガイドブック
にも結構載っていますからとてもいいライン
ナップだと思います。こういう展覧会は
2,3度でかけると美術品をみる目がまた
ちがってくるのではないでしょうか。
東近美の所蔵品は卒業しましたから、予定
に入ってません。
投稿: いづつや | 2012.10.18 00:50