ミレーとモネの積みわら!
ミレーの‘刈り入れ人たちの休息(ルツとボアズ)’(1850~53年 ボストン美)
モネの‘積みわら 夏の終わり、夕方’(1890~91年 シカゴ美)
モネの‘積みわら 雪の効果’(1890~91年 ボストン美)
人気の高い画家の回顧展は幾度となく行われる。西洋画の場合、図録が何冊もたまっているのがゴッホとモネ、近代絵画ではピカソ、ダリ、シャガール、クレー。そして、バルビゾン派の農民画家ミレー(1814~1875)もよく開催される。
ミレーの図録は2冊ある。ボストン美蔵のミレー展(84年 日本橋高島屋)のものと
03年Bunkamuraで開かれたオルセー美との共同企画‘ミレー3大名画展’。日本には山梨県美に‘種まく人’があるからミレーは特別な画家として長く愛されてきた。だから、オルセーやボストンから‘晩鐘’や‘落穂拾い’や‘種まく人’といった代表作がどっとやって来ても、それほど緊張することもなくすっと作品のなかに入っていける。
海外にでかけなくて代表作がほとんどみれた画家はミレーだけ。2年前森アーツセンターギャラリーであったボストン美展には‘刈り入れ人たちの休息’が出品され、今年はメトロポリタン美にある‘麦穂の山:秋’が現在、東京都美で展示されている。
08年‘麦穂の山:秋’をNYでみたとき、麦穂の山がお化け筍のようにみえた。それにしても大きな積みわらである。ミレーはほかの絵では地平線をだいたい下から2/3のところに描くのに、この絵では麦穂の山の大きさをみせるためちょうどまん中あたりに設定している。
その麦穂の大きさは‘刈り入れ人たちの休息’でも十分にうかがえる。みんなが休んでいるところのすぐ後ろにあるものは画面からはみ出しており、てっぺんまでははしごがもう一つ要りそうな感じ。
モネ(1840~1926)は農村のこうした積みわらをモチーフにして25点描いた。シカゴとボストンにあるものはお気に入りの一枚。連作シリーズではこの‘積みわら’と‘ポプラ並木’と‘睡蓮の池’がお気に入り。
その思いがミューズに届いたのか10年パリのグランパレであったモネの大回顧展ではいつか見たいと思っていた‘陽のあたる積みわら’(チューリッヒ美)と遭遇した。こういうときは腹の底から嬉しさがこみ上げてくる。
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