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2012.10.31

メトロポリタンのゴッホ!

4403_2          ‘ジヌー夫人(アルルの女)’(1888年)

4402_2     ‘アイリス’(1890年)

4401_2     ‘糸杉のある麦畑’(1889年)

4400_2     ‘初歩き(ミレーによる)’(1890年)

ニューヨークのメトロポリタン美は印象派やポスト印象派のコレクションが大変充実している。では、それらの作品はどのくらいみれるのか、現在東京都美で開かれている‘メトロポリタン美展’(10/4~1/4)へ足を運ばれて、ひとつ現地に出かけてみるかという気持ちになられた方もいるかもしれないので08年のときの体験をお話したい。

今回‘糸杉’とミレーの模写‘初歩き’の2点が公開されているゴッホは7点、ゴーギャン5点、スーラ6点、マネ7点、ロートレック5点。これより多いのはセザンヌ8点、ドガ8点、ルノワール9点、そしてモネは最も多く16点。そのほかの画家ではシニャック、クロスが2点ずつ、バジール、カイユボット、モリゾは1点のみ。トータルすると78点。もちろん、作品はこれで全部ということはない。収蔵庫におさまっているのもあるから、コレクション全体としてはこれより多い。

Metにあるゴッホで最も惹かれているのは‘ジヌー夫人’と‘アイリス’。‘ジヌー夫人’はゴッホが1年3ヶ月いたアルル時代に描かれた作品。背景の鮮やかな黄色の色面にくっきり浮かび上がるカフェの女主人の姿が強く印象に残る。オルセーに同じ構成のものがあるが、Metの出来栄えを10点とすると3点くらい。オルセー作品は贋作という説に激しく同意している。

好きなアイリスの絵は3点ある。Met、ゴッホ美、そしてポール・ゲティ美が所蔵しており、どれもすばらしい。まだ縁のないポール・ゲティのアイリスは現在のゴッホ追っかけ画の最上位グループに登録している。ロサンゼルス旅行を早く実現したいのはじつはこの絵がみたいから。

‘アイリス’同様、‘糸杉のある麦畑’もサンレミの療養院にいるときに描かれた。この絵には別ヴァージョンが3点あり、ロンドンのナショナル・ギャラリーと個人がもっている。

東京都美に今飾ってある‘初歩き’はみててほっとする絵。ミレーの原画はどこかでみたような気がするが、、ボストンorオルセー?療養所では風景画は描けても人物はモデルがいないから手がけられない。で、ゴッホはミレーやレンブラントやドラクロアの絵を模写し、自分流の作品に仕上げている。この絵もその一枚。

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2012.10.30

アバド&ベルリンフィルの‘大地の歌’!

4397     アバド指揮ベルリンフィルハーモニー

4399     アバドとコンサートマスター樫本大進

4398     ヨナス・カウフマン(テノール)

先週に引き続き‘BSプレミアムシアター’(日曜深夜0時)でご機嫌な演奏会があった。マーラー没後100年を記念したアバド指揮ベルリンフィルによる‘大地の歌’。

マーラーを聴くのは本当に久しぶり。マーラーの大ファンで30代の頃交響曲シリーズを夢中になって聴いた。だから、1番から10番まで聴かせどころのところは耳に心にそして体中に沁みこんでいる。中国的な曲想が深く感情を揺すぶる‘大地の歌’もよく聴いた。

この演奏会が行われたのは2011年5月18日。指揮者のアバドはもう80歳くらいになっただろうか?大病のあと復活したときはすっかり爺さん顔になったという印象が強かったが、もうその表情にも慣れてきた。といっても、そんなアバドの指揮ぶりをみたのは2年前のこと。

コンサートマスターを務めているのは樫本大進。2010年12月にソリストからベルリンフィルのコンサートマスターになったことはニュースで知っていたが、その演奏を目にするのははじめて。この席に日本人が座るのは二人目だが、やっぱりこれはスゴいこと。才能豊かなヴァイオリニストが日本から次々でてくるとなにか誇らしい気分になる。

イケメンのテノール歌手、ヨナス・カウフマンはどこかでみた感じ、あとで調べてみると2年前に聴いた歌劇‘トスカ’(拙ブログ10/4/18)に出演していた。最近オペラはとんと縁がなくなっているのだが、このカウフマンは相当な人気歌手になっているにちがいない。これほどの容姿とすばらしい歌唱力があればヨーロッパにあるブランド歌劇場からひっきりなしに出演依頼があることは容易に想像できる。

ベルリンフィルの演奏会から遠ざかっているので、知っている人が少なくなってきた。名前はチェックしてないが相変わらずいい演奏をしているオーボエとチェロ奏者、そして大物フルート奏者パユが大映しになったときは耳をすまして聴いた。ベルリンフィルの質の高い演奏をを200%楽しんだ。

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2012.10.29

祝 ジャイアンツ Wシリーズチャンピオン!

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4396_2    10回表決勝打を放ったジャイアンツのスクータロ

4395_2    ジャイアンツのクローザー ロモ

ジャイアンツが今日も勝って、タイガースをスウィープで下し2年ぶりにWシリーズチャンピオンになった。拍手々!タイガースが3回カブレラの右翼スタンドぎりぎりの2点ホームランで逆転したときは、今日は勝てるかなと思った。ところが、波にのったジャイアンツにやはり勢いがあり、延長10回の表2番のスクータロがセンター前にヒットを放ち4-3で勝利した。

スクータロはポストシーズン(PS)に入り打撃好調、打つほうではMVPをとったサンドバルとともにチームの勝利に大きく貢献した。しぶといバッターで初球のストライクには手をださず、相手投手にいろいろ球を投げさせ攻略していくタイプの選手。こういう選手は監督に好まれる。2アウト2塁のチャンスでスクータロに打席がまわってきたときはヒットを打つような気がした。本当にいい選手。

レギュラーシーズンではナショナルリーグの試合はほとんど見る機会がないから、ジャイアンツの投手はまったく知らない。クローザーのロモは抑え専門ではなくケガをしたクローザーの代役で最後を任されていた。PSではじめてみたが、このくらいの球速でクローザーをやっているの?という感じで長くのびた髭ばかりに目がいった。

ところが、ピッチングは決め球のスライダーがすごくいい。なんであのボールを振るの?という球だが、打席に立っているバッターにはつい手がでるのだろう。これだけ鋭く曲がるとなかなか打てない。あのカブレラまで三振にとり3人を三振にしとめてゲームセット。

ジャイアンツに勝利をもたらしたのはチームの強い結束力。レッズとの5戦ではホームで2連敗したのに、敵地でまさかの3連勝。そして、カージナルスとのリーグチャンピオンシリーズでは1勝3敗からの逆転優勝。だから、カージナルスのホームでジトの好投で勝ち踏みとどまってから、今日の試合まで敗けなしの7連勝。最後までゲームを諦めず戦うこのチームの結束力は賞賛に値する。

これでナショナルリーグのチームがWシリーズを3年連続制した。今はアリーグよりナリーグの試合のほうがおもしろいかもしれない。来年はBS中継のゲスト解説をつとめていた青木が所属するブリュワーズの試合が放送されるときは見逃さないようにしたい。

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2012.10.28

Wシリーズ ジャイアンツ3連勝で王手!

4391_2     デトロイト コメリカパーク

4390_2     ジャイアンツのボーゲルセン

4392_2     タイガーズの主砲カブレラ

4393_2     ジャイアンツのサンドバル

Wシリーズの第3戦はジャイアンツがホームのタイガースを2-0で破り3連勝、シリーズ制覇に王手をかけた。ポストシーズン(PS)がはじまってから連日野球三昧、一年で一番楽しい時をすごしている。

今日の試合は2回に先制点が2勝しているジャイアンツのほうに入った。このシリーズタイガースは試合をリードして戦えない。得点のチャンスはあるのにタイムリーがでず、看板の打線は湿ったまま。

ジャイアンツのピッチャーはPSで好投が続くボーゲルセン。得意の球はツーシーム(シュート)とチェンジアップで外中心の配給。球種はこの2つとフォーシーム(ストレート)の3つしかないが決め球のツーシームのコントロールがいいので強打のタイガースもなかなか打ち崩せない。

三冠王のカブレラを2アウト満塁で迎えたときが最大のピンチだったが、内野フライに打ちとり点を与えなかった。今回も5回2/3を無失点と好投をみせた。

このボーゲルセンは07年と08年阪神でプレーしている。07年は中日が日本一になった年だが、ボーゲルセン(このとき30歳)は7勝したから、よく覚えている。翌年はダメで3勝しかあげられずタイガースを首になり、09年オリックスに移籍、でもこの年も成績はふるわず1勝しただけ。で、アメリカに帰った。

ところが、ボーゲルセンは11年にジャイアンツで復活し13勝の成績をあげオールスターにも出場した。今年も好調を持続し14勝と連続二桁勝利。このPSでその姿を再びみたが、日本にいたときとは格段の進化をとげていた。日本でプレーした選手がWシリーズで最高のピッチングをするのだから、応援にも熱が入る。とにかくツーシームがすばらしい。圧巻は4番のフィルダーをこの球で見逃し三振にとったところ。見事なピッチングだった。

タイガースのバッターで目が釘づけになるのはカブレラ、そしてジャイアンツの注目選手は達磨さんのような体型のサンドバル(26歳 ベネズエラ出身)。今日も2安打を放ちこのシリーズあたりにあたっている。第1戦で打った3本のホームランはスゴかった。あのヴァーランダーから2本もホームランを打ったのだから恐れ入る。

明日、タイガースは踏ん張れるか。エースのケインをたたけば、第5戦は雪辱を期すヴァーランダーが登板するから期待がもてる。果たして? 

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2012.10.27

アートに乾杯! 動物彫刻

4386     フランソワ・ポンポンの‘シロクマ’(1923年頃 メトロポリタン美)

4388     ピカソの‘雌山羊’(1950年 NY MoMA)

4387     ダリの‘象=白鳥’(1967年 諸橋近代美)

4389     ミロの‘犬’(1974年 バルセロナ ミロ美)

現在、東京都美で開催されている‘メトロポリタン美’(10/4~1/4)に出品されたものは数でいうと絵画より工芸、彫刻のほうが多い。これはメトロポリタンの全収蔵品のなかに占めるこうした美術品の割合の多さをそのまま反映している。

今回やって来たもので‘美術館ガイド’に載っているものをちょっとチェックしてみたら、いくか見つかった。例えば、エジプト美術の‘跳躍する馬’、‘トエリス神’、武器・甲冑部門の‘サレット’、そしてギリシャ・ローマ美術の‘鐙形の壺’。

大英博物館とかルーヴルとかMetのような大博物館の展覧会では、全部が全部お宝ということはないがレベルの高いものが多く含まれているので、目に力を入れてみるに限る。そのなかでとくに印象深いのがあった。

フランソワ・ポンポン(1855~1933)の‘シロクマ’、触れないのが残念だがこの白の輝きは大理石。癒し系の彫刻とはこのこと。7,8年前にでかけた旭川動物園でみた白熊と再会したような気分だった。このポンポンの彫刻はオルセーにあるものが確か一度やってきたような記憶があるのだが、どの展覧会だったか思い出せない。

ピカソ(1881~1873)が手がけた彫刻‘雌山羊’も大変魅せられている。ピカソにしてはこの山羊はやさしすぎるモチーフにように思えるが、‘ヒヒの親子’のようなピカソらしい動物も選んでいるからバランスはとれている。

とてもおもしろいのはダリ(1904~1989)のダブルイメージ彫刻‘白鳥=象’。この象を裏返すと美しい白鳥の姿に変身する。絵だけでなく、立体の彫刻でもイメージの変容をみせてしまうのだから、シュールさは徹底している。

同じシュルレアリスト、ミロ(1893~1983)の‘犬’になると、そのフォルムは具象をずいぶん逸脱している。でもなにか丸っこい犬の生命力が伝わってくるから不思議。

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2012.10.26

アートに乾杯! 眠る子どもの絵

4383_2         アメリングの‘マリー・リヒテンシュタイン候女2歳の肖像’(1836年)     
4384_2     モリゾの‘ゆりかご’(1872年 オルセー美)

4385_2     ミレイの‘二度目の説教’(1864年 ギルドホール・アート・ギャラリー)

足を運んだ展覧会が特別良かったか普通だったかは展覧会を見終わったあと図録をながめる回数でおのずと決まってくる。大きな満足を得られたときは、図録を身近なところにおいて何度も何度もページをめくっていることが多い。

今国立新美で開催されている‘リヒテンシュタイン美展’(10/3~12/23)はみてから2週間くらい経つが図録を頻繁にながめ、お気に入りの作品で感動の再生産をしている。この展覧会、ルーベンスが最大のお目当てだったが、そのほかに大変印象深い絵があった。

それはアメリング(1803~1887)が描いた眠っている子どもの絵。この女の子がリヒテンシュタイン家の子どもであることはこの際横におくことにしよう。白く柔らかそうなほっぺがとても可愛いからずっとそばにいたくなる。散歩をしていると時々こんな天使のような赤ちゃんや幼児に出くわすことがある。そんなときは足取りも軽く、夕食がいつもより2倍美味しい。

10月10日の美術館めぐりでは作品同士のおもしろいコラボがあった。ヒリテンシュタイン美のあと寄った三の丸尚蔵館でまた眠る子どもの絵に遭遇したのである。長澤芦雪の‘唐子睡眠図’(拙ブログ10/14)。

子どもでも大人でも眠っている姿を描いたものはごく少ない。だから、同じ日に同じモチーフを扱った絵を西洋画と日本画で2点みたというのはじつに不思議な縁。

アメリングの絵から眠る子どもを連想したのはモリゾ(1841~1895)の‘ゆりかご’と
4年前Bunkamuraであったミレイ(1829~1896)の回顧展でみた‘二度目の説教’。ミレイは子どもの絵の名手。この居眠りする女の子も本当に愛らしい。

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2012.10.25

ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授の‘VW’!

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今日はノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授のことを。といっても素人にはほんの少ししか理解できないiPS細胞の話ではなく、山中教授が色紙に書いている
‘VW’のこと。

VはvisionのvでWはhard workのw、教授はこの二つをいつも心に刻んで日々の研究に取り組んでいると仰っている。visionはまあそうだなという感じ、気を惹いたのはhard workのほう。30代前半アメリカの研究所に留学していたとき学んだのがhard workだという。この話を聞いたとき、アメリカでは研究者でもビジネスマンでも一流のひとは皆一緒だなと思った。

若い頃、アメリカ市場に関係する仕事をしていたのでアメリカ人ビジネスマンと接することがよくあった。そういうとき、上司や同僚たちとの間では彼らの仕事のやり方について‘彼らは2日くらい徹夜してもへっちゃらだからな!’というのが共通の認識だった。とにかくアメリカ人のガッツ魂はすごいというイメージを強くもっていた。

ヒット商品を生み出すのも大変なことだけれど、医学や物理や化学の分野でノーベル賞をもらうほどの高い業績をあげられるかどうかはどれだけ頭脳に刺激を与え続けられるかが勝負になる。その常識を打ち破る考えにいたるのは案外hard workがもたらしてくれるのかもしれない。どうも脳は休んでいると働かないらしい。

そう考えると、未知の分野でvisionを考え出しそれを目に見える形にしてみせる科学者にとって、hard workこそが夢の実現の鍵を握っているといっても過言ではない。山中教授は質の高い研究をし続けるために毎日マラソンをやっているのだろう。

この‘VW’、何本もネジがゆるんでいる者にはとても難しいが、一年に何日かは目いっぱいがんばってみると何かいいことがあるかもしれない。

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2012.10.24

バレンボイムのショパン生誕200年ガラコンサート

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NHKの‘BSプレミアムシアター’(日曜深夜)は普段はみないのだが、21日は床につくのを大幅に遅らせてショパン生誕200年を記念してワルシャワで行われた‘ガラコンサート’(10年2月)を聴いた。演奏は大御所ダニエル・バレンボイム(1942~)。

この番組は2年前だったか一度聴いたのだが、地デジ対応前のTVだったのでビデオ収録し直した。クラシックを録画する時は演奏がすぐ聴けるようにするため予約録画はしない。だから、演奏がスタートするまで待っていなければならない。時計をみると3時になっていた。演奏されたのはアンコールを含めて11曲。

★幻想曲 へ短調 作品49
★ノクターン 変二長調 作品27第2
★ピアノ・ソナタ2番 変ロ短調 作品35
★舟歌 嬰へ長調 作品60
★華麗な円舞曲 へ長調 作品34第3
★ワルツ イ短調 作品34第2
★ワルツ 嬰ハ短調 作品64第2
★子守唄 変二長調 作品57
★ポロネーズ 変イ長調 作品53‘英雄’
★マズルカ へ短調 作品7第3
★小犬のワルツ 作品64第1

ショパン(1810~1849)の生誕200年を祝う特別の演奏会だから、ビッグネームのバレンボイムが演奏する曲は代表的な傑作曲が次から次とでてくる。スタートは‘雪の降る街を’でお馴染みの‘幻想曲’、次がノクターンのなかではとくにいい‘変二長調’、そして3番目の‘ピアノ・ソナタ2番’は第3楽章の‘葬送行進曲’があまりにも有名。

そのあともいい曲が続く。とても優雅な‘舟歌’、美しすぎる‘ワルツ嬰ハ短調’。晴れがましい気分にさせられる‘ポロネーズ 英雄’や小気味のいい‘小犬のワルツ’を聴いているともう完璧にショパンワールドにはまり込み体中に‘ショパンはいいね!’がエコーしまくっている。

大ピアニストの風格が漂うバレンボイムの最高の演奏が聴けてこれほど幸せなことはない。

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2012.10.23

大リーグに挑戦する大谷に拍手!

4380_2高校生で160キロの球を投げる投手がいることをこの夏に知ったときは200%びっくりした。

その大谷(花巻東高校)が日本のプロ野球を蹴って、大リーグに挑戦するという。

今の高校生にとって大リーグは夢の舞台からもっと頑張れば自分もそのマウンドに立てると思えるものになっているのかもしれない。

3年前?西武に入った菊池雄星が大リーグに行く構えをみせたが最後は日本を選択した。大谷がどう決断するのか、このときと同じくらい注目していた。この投手は体もビッグ(193センチ)だが、大リーグへの思い入れも人一倍強かった。この痛快な決断に拍手を送りたい!

さて、どの球団と契約するのだろう?スポーツ紙によるとドジャーズやレッドソックスなどと事前の話し合いをもったという。また、ダルビッシュがいるレンジャーズやオリオールズも獲得したがっているらしい。そのなかで有力なのはドジャーズだという。随分前から大谷をマークしているようだから、大谷は心の中ではドジャーズに決めている?

もしドジャーズならいい選択ではなかろうか。日本とは言葉や文化が違い生活環境ががらっと変わるから不安な面もあるだろうが、ロサンゼルスは日本人が多いからほかの都市に比べれば野球以外のところで少しは落ちついて暮らせるだろう。

大谷の投手としての潜在能力は高そうなので、ドジャーズは大事に育てるはず。あせることはない、マイナーで2年間身体強化に励みピッチング技術に磨きをかければ、メジャーで大きく羽ばたける。この若き荒武者を熱く応援したい。

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2012.10.22

ゴッホの自画像!

4378_2        ‘フェルト帽の自画像’(1887年 ゴッホ美)

4379_2        ‘自画像’(1887年 ゴッホ美)

4376_2     ‘自画像’(1887年 ゴッホ美)

4377_2     ‘グラスのある自画像’(1887年 ゴッホ美)

一ヶ月前、ある人から‘長崎のハウステンボスへ行かなくていいの?’といわれた。ここで今アムステルダムのゴッホ美蔵によるゴッホ展(7/9~10/28)が開かれていることはアバウト知っていたが、先週はじめてみたBSプレミアムの‘ザ・プロファイラー’でその展示内容がわかった。

この番組はタイトルはよく目にしていたが、これまでみたことがなかった。番組案内でゴッホ(1853~1890)をとりあげるというのでチャンネルをまわしたのだが、ちゃんとした美術番組だった。もし過去にほかの画家もやっていたのなら惜しいことをしたかもしれない。

このゴッホ展ではゴッホが2年間滞在したパリで制作した作品を52点公開しているようだ。そのなかでちょっと気になるのが8点やって来たという自画像。全点の情報はないが、紹介されたものでまだ見てないのが2点あった。

フェルト帽の自画像と次のものは2年前国立新美であったゴッホ展に並んで展示された。フェルト帽の自画像は点描画法風に描かれたゴッホの顔が小さい頃みた西部劇映画に登場するインディアンとダブってくる。番組の進行役を務める岡田という若手俳優は狼男のイメージといっていた。

ゴッホの自画像は40点ほどあるが、30点くらいがパリ時代に描かれている。ゴッホ美が所蔵する自画像は17点。美術館が発行している‘ゴッホ美名画100選’にはそのうち5点が載っている。1886年秋に描かれたパイプをくわえるもの、麦藁帽と画服の自画像、上の2点、そしてアルルへ旅立つ直前に描かれた画架の前の自画像。

3番目と4番目の自画像はまだ縁がない。昨年11月に現地訪問したときも05年のときも飾ってなかった。ゴッホの自画像で不思議なのは同じ時期に描かれているのに1点々みな印象が違うこと。3番目のゴッホはすごく神経質そうな顔をしているし、グラスのある自画像は怖そうな目つきをしているからあまり近づきたくない感じ。

4人のゴッホのなかで落ち着いて対面できそうなのは上から2番目のゴッホ。学者か研究者のような顔をしている。

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2012.10.21

一度見てみたいエトルタの断崖!

4371_2     モネの‘マヌポルト(エトルタ)’(1883年 メトロポリタン美)

4374_2     モネの‘エトルタ 荒海’(1883年 リヨン美)

4373_2     クールベの‘エトルタの断崖 嵐の後’(1870年 オルセー美)

4372_2     モネの‘エトルタの断崖’(1885年 クラーク美)

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フランスのノルマンディー地方を旅行したことはないが、モネ(1840~1926)の絵が大好きなのでもう何度も行ったような気になっている。旅心を刺激し続けているのがモネの故郷のル・アーブルから北へ20キロほどのところにあるエトルタ。多くの画家たちを惹きつけたここの海岸の断崖を一度みてみたい。

今東京都美で開かれている‘メトロポリタン美展’(10/4~1/4)に出品されている風景画のラインナップは本当にすばらしいが、モネファンなら‘マヌポルト(エトルタ)’がたまらないかもしれない。世の中には多くの人の心をとらえる景勝の地が数え切れないほどあるが、このマヌポルトと呼ばれる針穴状の通路がある断崖は目を見張らせる。

Metにあるものはクローズアップで描かれたこの断崖に今まさに小舟で近づいている感じ。海が荒れ大きな波が岩に激しくうちよせる様子を遠くから描いたのがリヨン美が所蔵する‘エトルタ 荒海’。この絵は2年前幸運にもパリのグランパレであった大回顧展でみることができた。ちなみに展覧会には60点くらいあるエトルタの絵のうち5点が集結した。

クールベ(1819~1877)も‘エトルタ 荒海’とほぼ同じところからこのすばらしい景観を描いている。オルセーで‘エトルタの断崖 嵐の後’をみたときは200%感動した。もし、2つの絵のうちひとつを差し上げますといわれたら、NOタイムでクールベを指差す。

‘マヌポルト’と同じくらい参っているのが‘エトルタの断崖’。これはエトルタ海岸の反対側からの景観だが、右に描かれた大きな穴はマヌポルトではなく別のものでアヴァル門という名がついている。左で上部に明るい陽光があたっているのはエギユ(針)島。

この絵は94年にあったモネ展(ブリジストン美)に公開されたが、嬉しいことに来年2月からはじまる三菱一号館美の‘奇蹟のクラーク・コレクション’展(2/9~5/26)にまたやって来る。開幕が待ち遠しい。

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2012.10.20

セザンヌのレスタック風景画!

4366_2     ‘レスタックからマルセイユ湾を望む’(1885年頃 メトロポリタン美)

4368_2     ‘レスタックから見たマルセイユ湾’(1885年頃 シカゴ美)

4367_2     ‘レスタックの海’(1878~79年 パリ ピカソ美)

4369_2    ‘レスタック近くのリオー谷’(1879~82年 ワシントン ナショナルギャラリー)

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メトロポリタン美の図録は手元に3冊ある。大判の‘メトロポリタン美傑作選’(英文)とロンドンのナショナルギャラリーからでている縦長の‘コンパニオン・ガイド’タイプの‘メトロポリタン美ガイド’(英文)、そしてこのガイドの日本語版。

美術館ガイドは20年前に手に入れたのだが、当時は日本語版がなかった。そして、08年再訪したときもどういうわけか日本語版が用意されてない。ルーブルとかオルセーに比べるとサービス精神に欠ける商売をしている。で、やむなく大判の傑作選を購入した。

昨年、この図録でいいことがあった。古本屋で偶然日本語版の美術館ガイドを見つけたのである。いつ発行されたのだろうか?よくわからないが、今はミュージアムショップに並んでいるのだろう。

図録にセザンヌ(1839~1906)のどの絵が掲載されているかというと、傑作選に選ばれているのは2点、‘リンゴと鉢植えの桜草のある静物画’と2月国立新美であったセザンヌ展に出品された‘フォンテーヌブローの岩’。そして、ガイドには4点でている。‘リンゴと鉢植え’、‘レスタックからマルセイユ湾を望む’、‘赤いドレスを着たセザンヌ夫人’、‘カード遊びをする人々’。

08年Metを訪問したとき出会ったセザンヌは8点。そのなかで最も惹かれているのは風景画の傑作‘レスタックからマルセイユ湾を望む’と‘カード遊びをする人々’。
‘カード’は2年前ロンドンのコートールド美で想定外の対面があり、‘レスタック’は現在東京都美で行われている‘メトロポリタン美展’で再会することができた。こういう名画はみるたびに感動する。

セザンヌは1880年代のはじめ妻のオルタンス、息子のポールとともに長期間住んでいたことのあるレスタックで家からみた海の光景などを何点も描いている。シカゴ美にあるものはMet蔵に比べると海のほうにより近づいている。余分な物をそぎ落としたすっきり画面で立体的な家々がそのむこうに描かれた海や遠くの山のふんわりした表情とうまく溶けあっているが、海の占める部分が少ないのでMetの作品のような広大な海の感じが少し足りない。

セザンヌの特徴である縦に走る筆致がみられる‘レスタック近くのリオー谷’はワシントンで運良く遭遇したが、両サイドの木の構成が目を惹く‘レスタックの海’はまだ縁がない。ピカソ美へ寄る機会があったら最接近してみるつもり。

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2012.10.19

日本人大リーガーたちの気になるシーズンオフ!

4365タイガースがヤンキースに4連勝しアメリカンリーグのチャンピオンになったため、日本人大リーガーたちの今シーズンが終わった。

ポストシーズン(PS)に入る前の評価ではアリーグNO.1投手のヴァーランダーと三冠王になったカブレラのいるタイガースがワールドチャンピオンに最も近いとみられていたが、ゲームの展開はそれを証明するかのように進んでいる。

ヤンキースはPSに入って打線が冷え込んだまま。悪い時には悪いことが重なるもので、ジーターが左足首骨折でリタイヤーしてしまった。こうなると、今調子が最高潮のタイガースには勝てない。イチロー、黒田のワールドシリーズでのプレーは叶わなかった。残念!

多くの大リーグファンにとってPSにおける大きな誤算はダルビッシュ(レンジャーズ)のピッチングがみれなくなったことではなかろうか。レンジャーズがダルビッシュの好投で勝ち進むのをイメージしていたから、ワイルドカード獲得戦でオリオールズに敗けたときはがっかりした。世の中思い通りにはいかない。

さて、大リーガーたちのシーズンオフである。今年は気になる選手が多い。筆頭はレッドソックスとの6年契約が終了した松坂。肘の手術からの復活を目指したが1勝しかできなかった。あれだけボコボコ打たれては来年契約をしてくれる球団があるだろうかと心配になってくる。

シーズンオフから来年のシーズンが始まるまでの期間、トレーニングに励みいいときのピッチングフォームに戻ればまだ大リーグで十分やれると思うが、問題はそこまで球団が松坂を評価してくれるかどうか。今望みうるベストの道は中継ぎで契約してゲームで実績を積み重ねて先発に復帰すること。松坂にはなんとしても復活して欲しい。

われらがイチローは来年もヤンキースでプレーするだろうか?ヤンキースに移籍してからの打率は3割2分2厘、そしてPSではジーター、イバネスとともにチームの勝利に貢献したから、ヤンキースはFAのイチローにいい条件を提示するかもしれない。

例えば、1,2番で起用する、左投手のときも先発を使う。この条件だったらイチローはほかのチームに行く理由がない。ファンにとっても日本の宝であるイチローを主役で起用するのであればもっとヤンキースを応援しようという気になる。そして、16勝した黒田は来年もヤンキースの主力投手。

イチロー、黒田同様今年がんばったのが青木(ブリュワーズ)と岩隈(マリナーズ)、前半投球の機会がなかった岩隈は後半いいピッチングをし首脳陣の評価をぐっとあげた。来期はエースのヘルナンデスとともに投手陣の柱として10勝以上の勝ち星が期待されている。ケガをしないかぎり実現できるだろう。

元気印の川崎(マリナーズ)はかつてカージナルスに所属し外野のスーパーサブとしていい働きをした田口のような存在になれば、出場することが多くなる。そして、ダルビッシュは200%大丈夫、エースとしてさらなる進化をとげ20勝ピッチャーの称号を勝ちとる可能性が高い。

今あげた選手たちは来年のWBCには出場しないと思う。監督を務める山本浩二が大リーガーに出場を依頼したというが、はっきりと断ればいい。WBCの3連覇には来期が勝負の年となるダルビッシュ、青木、岩隈は関心がないはず。ファンだって彼らの気持ちはわかっている。

だから、大リーガーをあてにせず今年活躍したセパの選手のなかなら選抜すればいいのである。楽天のマー君、広島の前健、日ハムの吉川、ロッテの成瀬、ソフトバンクの摂津などいい投手がいるし、またバッターでは日ハムの糸井や西武の中村あたりが中軸になればそこそこのチームはつくれる。

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2012.10.18

ミレーとモネの積みわら!

4361_2     ミレーの‘麦穂の山:秋’(1874年 メトロポリタン美)

4362_3     ミレーの‘刈り入れ人たちの休息(ルツとボアズ)’(1850~53年 ボストン美)

4363_2     モネの‘積みわら 夏の終わり、夕方’(1890~91年 シカゴ美)

4364_2     モネの‘積みわら 雪の効果’(1890~91年 ボストン美)

人気の高い画家の回顧展は幾度となく行われる。西洋画の場合、図録が何冊もたまっているのがゴッホとモネ、近代絵画ではピカソ、ダリ、シャガール、クレー。そして、バルビゾン派の農民画家ミレー(1814~1875)もよく開催される。

ミレーの図録は2冊ある。ボストン美蔵のミレー展(84年 日本橋高島屋)のものと
03年Bunkamuraで開かれたオルセー美との共同企画‘ミレー3大名画展’。日本には山梨県美に‘種まく人’があるからミレーは特別な画家として長く愛されてきた。だから、オルセーやボストンから‘晩鐘’や‘落穂拾い’や‘種まく人’といった代表作がどっとやって来ても、それほど緊張することもなくすっと作品のなかに入っていける。

海外にでかけなくて代表作がほとんどみれた画家はミレーだけ。2年前森アーツセンターギャラリーであったボストン美展には‘刈り入れ人たちの休息’が出品され、今年はメトロポリタン美にある‘麦穂の山:秋’が現在、東京都美で展示されている。

08年‘麦穂の山:秋’をNYでみたとき、麦穂の山がお化け筍のようにみえた。それにしても大きな積みわらである。ミレーはほかの絵では地平線をだいたい下から2/3のところに描くのに、この絵では麦穂の山の大きさをみせるためちょうどまん中あたりに設定している。

その麦穂の大きさは‘刈り入れ人たちの休息’でも十分にうかがえる。みんなが休んでいるところのすぐ後ろにあるものは画面からはみ出しており、てっぺんまでははしごがもう一つ要りそうな感じ。

モネ(1840~1926)は農村のこうした積みわらをモチーフにして25点描いた。シカゴとボストンにあるものはお気に入りの一枚。連作シリーズではこの‘積みわら’と‘ポプラ並木’と‘睡蓮の池’がお気に入り。

その思いがミューズに届いたのか10年パリのグランパレであったモネの大回顧展ではいつか見たいと思っていた‘陽のあたる積みわら’(チューリッヒ美)と遭遇した。こういうときは腹の底から嬉しさがこみ上げてくる。

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2012.10.17

コンスタブルが描いたソールズベリー大聖堂!

4357_2     ‘主教の庭から見たソールズベリー大聖堂’(1825年頃 メトロポリタン美)

4358_2 ‘主教の庭から見たソールズベリー大聖堂’(1823年 ヴィクトリア&アルバート美)

4359_2 ‘牧草地から見たソールズベリー大聖堂’(1831年 ロンドン ナショナルギャラリー)

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イギリスの画家でターナー(1775~1851)とともに多くの人に愛されているのがコンスタブル(1776~1837)。東京都美で開かれているメトロポリタン美展になかなかいい絵が出品されている。

‘主教の庭から見たソールズベリー大聖堂’は4年前現地でみたとき大変魅了された作品。中世ゴシック様式の大聖堂というとどえらい高い尖塔が天に向かって垂直的にのびていくイメージだが、これは高いだけでなく建物全体の形が大変美しい。だから、一度見てみたいと思った。

この聖堂のあるソールズベリーはまだ行ったことがない。ロンドンから南西およそ130キロのところにあるので、オックスフォードやケンブリッジの半日ツアーのように気軽に行ける感じ。コンスタブルは主教に依頼されて1823年主教館の庭から見た大聖堂を仕上げた。この絵は現在、ヴィクトリア&アルバート美が所蔵している。

ところが、これが主教のお気に召さなかった。尖塔の背景が暗い曇り空だったのが嫌だったようで、もっと明るい空を要求された。で、2作目ではコンスタブルは大聖堂を前景の樹木でつくったアーチのなかにおさめる構図をやめて、明るい空に尖塔がつきぬけていくようにした。

2作目のものが今回Metからやって来たものといって別に間違いでもないのだが、これはNYのフリック・コレクションにあるものの原寸大の習作。でもコンスタブルの場合、習作は本画とほとんど変わらない出来栄えだから、ほとんど同じ構図の絵が2点あるのと一緒。

1作目と2作目の3点を運良くみることができた。主教からNG出しされた1作目だが、日本人は北斎の富嶽百景で富士山がこういう風に描かれるのに慣れているから、ヴィクトリア&アルバートではぐっと惹きこまれた。

1831年に制作された‘牧草地から見たソールズベリー大聖堂’は注文された作品ではなく最後に描いた大聖堂。2年前、ナショナルギャラリーで遭遇したときは声を失ってみていた。この絵や‘干し草車’などコンスタブルの力強い風景画に200%魅了されている。

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2012.10.16

ゴッホの糸杉、どれがお好き?

4353         ‘糸杉’(1889年 メトロポリタン美)

4356     ‘星月夜’(1889年 MoMA)

4355         ‘二人の女性がいる糸杉’(1889年 クレラー=ミュラー美)

4354         ‘星月夜と糸杉のある道’(1890年 クレラー=ミュラー美)

NYのメトロポリタン美にはルーヴル同様、絵画、彫刻、工芸の名品が数限りなくあるから館内にいるときはテンションが上がりっぱなし。だから、感動の袋はひとつではとても足りない。とくに傑作が揃う印象派とポスト印象派の部屋では特注の大きな袋がどんどん膨らんでいく。

東京都美で開かれているメトロポリタン美展には目玉作品としてゴッホ(1853~1890)の‘糸杉’がやって来た。あの絵肌が盛り上がった厚塗りのタッチを目の当たりにすると、今本物のゴッホを見ているんだと素直に感動する。

ゴッホが糸杉を描いたのはサンレミの療養所にいたとき。油彩は全部で9点あるが、‘糸杉’、‘星月夜’、‘二人の女性がいる糸杉’など8点が1889年の6月集中的に描かれている。そして、サンレミを離れる直前の1890年の5月に仕上げたのが‘星月夜と糸杉のある道’。

幸運なことにこれまで7点をみることができた。残っているのは‘二人の女性’の別ヴァージョンと3点ある‘糸杉のある麦畑’のうちチューリッヒの個人蔵。これはずっと縁がなさそうだが、ロンドンナショナルギャラリーとMetにあるものをみたのでそう気にならない。

ゴッホファンは同じような鑑賞体験をされている方が多いかもしれない。というのも、これらを日本でみる機会に恵まれたから。‘星月夜’は1993年のMoMA展(上野の森美)、‘星月夜と糸杉のある道’は2005年のゴッホ展(東近美)に出品されたし、この度‘糸杉’も公開された。

4点のなかで糸杉の存在感がどーんとあるのが今東京都美に展示されているものだが、最も惹かれているのは‘星月夜’。夜景画がぐっとくるうえ、青の空に描かれた三日月、光り輝く星雲、渦巻き模様と炎のような骨太の糸杉の響き合いが心をザワザワさせる。この絵をみてからだいぶ時間が経つのでまたみたくなった。

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2012.10.15

太田記念美の‘月岡芳年展’!

4349     ‘藤原保昌月下弄笛図’(1883年)

4352     ‘義経記五條橋之図’(1881年)

4350         ‘月百姿 烟中月’(1886年)

4351         ‘和漢百物語  大宅太郎光圀’(1865年)

太田記念美で行われている‘月岡芳年展’(10/2~11/25)をみた。歌川国芳が師匠だった月岡芳年(1839~1892)の浮世絵が好きか?と尋ねられると返事にちょっと困る。国芳へののめり込み度を100とすると30くらいというのが正直なところ。

それくらいの浮世絵師なのに太田へ足を運んだのは芳年の図録を手に入れたかったから。10枚あったらそのなかに好きなのが3点は入っている。普通の浮世絵展だったらそれに当たる確率は当然低い。だが、作品が沢山でてくる回顧展なら数はそこそこ期待できる。

芳年の血みどろ絵は好みではないので鑑賞時間は短い。お目当ての絵は‘宇治拾遺物語’にでてくる故事を絵画化した‘藤原保昌月下弄笛図’。正面を向き笛を吹く保昌の横では盗賊が衣を奪おうと狙っている。衣はススキの穂同様、強い風に吹かれ揺れ動いている。緊張感を生み出しているのは烏帽子を頂点とした三角形の構図。そして、後ろのススキの先にみえる月にはこの緊迫の一瞬を暗示するかのように黒い雲がたれかかっている。

この絵に対してアクロバティックな動体描写が視線を惹きつけるのが義経と弁慶の五條の橋の戦い。この人物を正面からとらえる構成はなかなか思いつかない。宙を跳ぶ義経の姿はロンドンオリンピックで金メダルをとった内村の跳馬の演技を見ているよう。

2年くらい前、ここで‘月百姿’が全点展示された。それまで数点を体験し関心があったので前期の作品をみたのだが、グッとこなかった。理由ははっきりしている。国芳に比べて画面に対象をいっぱい描きすぎるのである。ぱっとみると意表をつく構図がいいかなと思うが、しばらくみているとビジー感が強く折角の構図が生きてこない。だから、これはという絵は本当に少ない。‘烟中月’はそのときみたか覚えてないが、これなら足がとまる。

骸骨が登場する武者絵はこの展覧会のまえに国立新美でヤン・ブリューゲル2世の模写‘死の勝利’をみていたので、すぐ反応した。

後期(11/1~25)に図録の表紙に使われている‘源牛若丸 熊坂長範’がでてくる。現在活躍する劇画の作家が描いたような感じで絵に勢いがある。後期も出動するかどうか、ちょっと悩む。

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2012.10.14

見逃せない三の丸尚蔵館の‘円山派展’!

4347_2     長澤芦雪の‘唐子睡眠図’(江戸時代中期)

4345_2     竹内栖鳳の‘和暖’(1924年)

4346_2     山元春挙の‘晴天鶴’(1916年)

4348_2    円山・四条派の系譜 ( )内の数字は入門年

今年は前半にビッグなものがあった日本美術の展覧会、後半はそれほど忙しくない。で、心踊る西洋絵画関連の特別展の合間をぬってお目当ての展覧会に足を運んでいる。

東京駅から近い三の丸尚蔵館(無料)では今、‘描き継ぐ日本美ー円山派の伝統と発展’(前期9/15~10/14、後期10/20~11/11)が開かれている。作品の数はいつものように多くはなく25点ほど、今日で前期は終了したが、円山応挙(1733~1795)は2点とも後期にでてくる。どちらもまだ縁がなかったので楽しみ。

長澤芦雪(1754~1799)の睡眠中の唐子を描いた作品が大変気に入っている。昨年3月府中市美で開催された‘江戸の人物画展’にも出品された。円山派は応挙をはじめ仔犬の絵がとてもいい。山口素絢の‘朝顔狗子図’にも心が和む。

今回この展覧会に出かけたのは京都画壇の中心的な画家山元春挙(1874~1933)の‘晴天鶴’をみるためだった。春挙が気になりだしたのは15年くらい前島根県の安来にある足立美で‘瑞祥’というタイトルのついた雄大な蓬莱山の絵をみてから。‘晴天鶴’で惹きこまれるのは高さを感じさせる山や岩と明快な群青。後期にもう1点でてくる。

会場に来て、これはいい絵に出くわしたと思ったのが竹内栖鳳(1864~1942)の‘和暖’。HPに載っていた題名と絵が結びつかなかったが、この絵は追っかけ画のひとつだった。栖鳳は動物や魚の絵の名手。この3頭の鹿もすごくいい。2年前は虎の絵をみて、今回は鹿。これらは献上されたものだから、画家の制作にかける意気込みがちがう。

ここにくるといつも収穫がある。今では美術館めぐりの欠かせない場所になっている。

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2012.10.13

目を見張らせる光と色彩の饗宴!

4342_2     レンブラントの‘フローラ’(1654年頃)

4341_2     ターナーの‘ヴェネツィア、サルーテ聖堂の柱廊から望む’(1835年頃)

4344_2       ゴーギャンの‘水浴するタヒチの女たち’(1892年)

4343_2           ルドンの‘中国の花瓶に活けられたブーケ’(1912~14年)


4年前メトロポリタン美を訪問したとき、事前に作成した‘必見名画リスト’をにぎりしめて館内を走り回った。お陰でお目当ての作品はかなりみることができた。でも、残念ながら姿を見せてくれなかったものがいくつかある。

それらが今回のメトロポリタン美展で何点リカバリーなるか、追っかけ画の筆頭にあげていたのがレンブラント(1606~1669)の‘フローラ’。絵をみるとき心がけていることがある。最初は画面に顔を寄せてみるが、そのあと後ろに下がってみてみる。光の輝きをほかの絵と比べるためである。

絵はやはり本物をみないと画家の本当のすごさがわからない。左からあたる光によって横向きのフローラが背景の闇から浮き上がっている。レンブラントは絵の細部はところどころ手抜きをする。前に出している左手は闇のなかに隠れているので指はざざっと描かれている。見る者の視線はこんなところにいかないことを知っているのである。

絵画作品のなかで最も明るく光があふれているのがターナー(1775~1851)のヴェネツィアの風景を描いたもの。ターナーはロンドンのナショナルギャラリーやテートブリテンでいろいろみてきたが、こんなに明るい絵ははじめてかもしれない。この雲の白は本当に目に焼きつく。

最後の‘水の世界’の部屋にはこのターナーの絵をはじめご機嫌な作品がずらっと並んでいる。モネの‘マヌポルト’(拙ブログ8/28)、セザンヌの‘レスタックからマルセイユ湾を望む’(08/5/16)、そしてホーマーの‘月光、ウッドアイランド灯台’。

Metにはゴーギャン(1848~1903)のいい絵が揃っている。そのなかでまだ縁がなかったのが‘水浴するタヒチの女たち’、存在感のある裸の女が画面中央に後ろ姿で平板な緑の色面に囲まれるように立っている。これでMetとワシントンナショナルギャラリーが所蔵するゴーギャン作品を全部みることができた。ちょっと感慨深い。

今回ハットする絵があった。ルドン(1840~1916)の‘中国の花瓶に活けられたブーケ’。とくに心を奪われたのは右の赤い花。昨年訪問したクレラー=ミュラー美、ゴッホ美、そして今年の三菱一号館美でルドンをみる機会があったが、この絵がベストワン。目の覚めるよう色彩の輝きを放つルドンの花の絵はなかなかお目にかかれない。Metにこんなすばらしいのがあったとは!大収穫だった。

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2012.10.12

‘メトロポリタン美展’にハドソン・リヴァー派がやって来た!

4337     トマス・コールの‘キャッツキル山地の眺め’(1836~37年)

4338     ビアスタットの‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’(1866年)

4339     ホッパーの‘夜明けの灯台’(1929年)

4340          オキーフの‘骨盤Ⅱ’(1944年)

10日は‘リヒテンシュタイン美展’(国立新美 10/3~12/23)と‘メトロポリタン美展’(東京都美 10/6~1/4)を一緒にみたので、芸術心が特別刺激された感じがして一日中満ち足りた気分だった。

新築の東京都美へ行くのは2度目。以前は階段を上がるのはしんどかったが、今は3階までエスカレーターでいけるので移動に体力を消耗することがなくなり、作品から得られた感動の余韻にひたりながら次のシーンに誘われる感じになった。

展覧会のテーマは‘自然’ 、副題は大地、海、空ー4000年の美への旅、とある。メトロポリタンはルーヴル同様、博物館&絵画館だから、絵画から彫刻、工芸、写真なんでもある。その数は300万点以上、気が遠くなるような‘美の殿堂’。

その中から今回やって来たのは絵画54点、彫刻・工芸66点、写真13点の133点。リヒテンシュタイン美展でもそうなのだが、関心の8割は絵画に向かっている。Metの絵画作品は美術の本や画集に古典絵画から現代アートまで傑作が数えきれないほど載っている。

だから、‘自然’というテーマでどれを日本にもっていくかを決めるのはキュレーターにとっては悩ましくそして同時に楽しい仕事かもしれない。選択された作品にまったく期待してなかったものがあった。ハドソン・リヴァー派の壮大な風景画。次回Metへ出かけたときは重点鑑賞画家にしているトマス・コール(1801~1848)とビアスタット(1830~1902)が目の前に現れたのである。

アメリカ旅行の回数が少ないので、描かれた場所がイメージできない。ヨセミテはまだ未訪問、こういう絵をみるとアメリカの自然をもっともっと体験したくなる。

ホッパー(1882~1967)の光輝いている絵‘夜明けの灯台’は‘大地と空’の部屋に飾ってあった。08年シカゴ美で開催された回顧展でみたときは時間があまりなくあわただしい鑑賞だったので、この度は明るい空を灯台の下からじっくりみた。こんなホッパーの傑作が日本で見られるのだから、ミューズに感謝しなくてはいけない。

この横にあったオキーフ(1887~1986)の‘骨盤Ⅱ’にも目が吸い寄せられる。これは現地でみたような気がするがはっきり覚えてない。確かポロックの‘秋のリズム’があった隣の部屋にオキーフの作品が結構な数展示されていた。その一枚がやってきたのである。いつかオキーフの回顧展に遭遇することを願っている。頭に浮かぶ美術館はいつもBunkamura。

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2012.10.11

見ごたえのある‘リヒテンシュタイン美展’! (2)

4334     レーニの‘マグダラのマリア’(17世紀後半)

4335     アッローリの‘ホロフェルネスの首を持つユディト’(1613年)

4333     クエンティン・マセイスの‘徴税史たち’(1501年以降)

4336     スネイデルスの‘果物、狩の獲物、猿、猫のいる静物’(1630年頃)

この展覧会に出品されている絵画作品に全部が全部惹きこまれるということはないのだが、ルーベンスのほかにもぐっとくる作品が目の前に現れるとここのコレクションを一度は全部みておきたいという気になってくる。現地には同じような質の高い作品がいろいろあるのではと思わせたものをいくつか。

グイド・レーニ(1576~1642)はカラヴァッジョほどのめりこんでいないが、関心のある画家であることは確か。でも、見た作品は両手もない。それに手元に画集がないから追っかけリストも作りようがない。そんなレーニの絵がさらっと飾ってあった。なんともぽっちゃり顔の小学生みたいなマグダラのマリア。これは大きな収穫。

アッローリ(1577~1621)のユディトをみたとき、どこかで見たような気がした。会場では思い出せなかったが家に帰って美術本をあれこれみていたら、まったく同じ構図のものがあったのはフィレンツェのピティ宮殿だったことがわかった。アッローリはもう一点描いており、これはロンドンのケンジントンパレスが所蔵している。

画面中央で感情の高まりをそれほど見せずホロフェルネスの首をもっているユディト、どうでもいいことだが、お笑い芸人と結婚した木下ユッキーナを瞬間的に連想した。

今回目の力を200%感じた絵がある。アントワープの画家クエンティン・マセイス(1465~1530)の描いた‘徴税吏たち’。右の男の目力がすごい。こういう風俗画をみるのは本当に楽しい。この画家が描いたものはルーヴルにある‘両替商とその妻’が深く心に刻まれていたが、インパクトの強いこの‘徴税吏たち’がとって代わりそう。

どうでもいい似た人物の話をもうひとつ。この右の男の顔は今、ポストシーズンを戦っているワシントン・ナショナルズのジョンソン監督(巨人でプレーしたことがある)の若い頃にそっくり!

花などの静物画が何点かあったが、足がとまったのはスネイデルス(1579~1657)の作品。じっとみているとここに描かれている生き物たちがみえてくる。右では黒の猫が頭をだしている。その前に視線が集中する猿。こういう静物画で猿が登場するのははじめてみた。葡萄のうしろにいるのがリス。

会場には絵画のほかにすばらしい家具調度が沢山ある。見てのお楽しみ!

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2012.10.10

見ごたえのある‘リヒテンシュタイン美展’! (1)

4329_2     ルーベンスの‘占いの結果を問うデキウス・ムス’(1617年)

4330_2         ルーベンスの‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’(1616年)

4331_2     ヴァン・ダイクの‘マリア・デ・タシスの肖像’(1629~30年)

4332_2     ヴィジェ=ルブランの‘カロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人’(1793年)

オーストリアの首都ウィーンの印象はとてもよく、もう一回は行ってみたいと思っている。そのとき計画している美術館めぐりの柱にしているのが04年の3月に66年ぶりに再開館したリヒテンシュタイン美。その美術館が所蔵するすばらしい絵画や家具調度を公開する展覧会が10/3からはじまった。今日はウキウキ気分で国立新美へ出かけた。

お目当てはルーベンス(1577~1640)のバロック絵画。全部で10点ある。画集に載っているようなルーベンス作品を日本でみるのははじめてのこと。ロンドンのナショナルギャラリーやルーヴルにあるルーベンスの部屋にいるような気分になってきた。この演出はすばらしい。

まず最初に出迎えてくれるのがルーベンスの5歳の娘、クララ。おでこの上の金髪の描き方がすごく自然な感じ。でも、ぱっとみると5歳にはとてもみえない。10歳くらいの少女と会っているよう。ようこそ日本においでいただきました。ディズニーランドにでもお連れしましょうかと声をかけたくなる。

拙ブログ9/19でもとりあげた‘デキウス・ムス’連作、‘戦いにおけるデキウス・ムスの死’をちょっぴり期待していたが、これは強欲というものだった。‘占いの結果を問うデキウス・ムス’1点で十分。こんな傑作がみれたのはエポック的な鑑賞体験であり、生涯の喜びである。

デキウス・ムスが身につけている赤いマントがはためく様は大作‘マルスとア・シルヴィア’でも同じように目に焼くつく。躍動感あふれる力強いポーズ、これぞまさにルーベンスが描きあげたバロックの美の真髄。

チラシに大きく使われているヴァン・ダイク(1599~1641)の‘マリア・デ・タシスの肖像’にも200%KOされた。これはこれまでみたダイクの肖像画では5本の指に入る。光沢のある絹のドレスと気品のある眼差しに釘づけになった。心を奪われる肖像画とはこのこと。

収穫はまだあった。それはヴィジェ=ルブラン(1755~1842)の空を飛ぶ夫人。昨年三菱一号館美で行われた‘ヴィジェ=ルブラン展’によってこの女流画家に200%惚れこんでしまったが、リヒテンシュタイン美にもこんないい絵があったとは。しばらくぼーっとなってみていた。

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2012.10.09

ポストシーズンで実力をみせつけるイチロー!

4328今週からはじまった大リーグのポストシーズン、毎日楽しくみている。

今日はアリーグのヤンキースとオリオールズの第2戦がオリオールズの本拠地、ボルチモアで行われた。

この2チームはつい先週まで東地区の優勝をかけて激しく戦っていた。最後はヤンキースに敗れたオリオールズだが、今年はチームの戦力は大幅にアップしているため、ワイルドカードを決めるレンジャーズとの1戦を制し、再度ヤンキースとの決戦となった。

1ヶ月前はイチローを8,9番でしか使わないヤンキースは応援しないことにしていた。が、首脳陣が爆発的な打撃をみせたイチローをようやく2番で起用することを決めたので、気持ちを切り替えて毎試合みることにした。

われらがイチローはやはり、大舞台に強い。美味しい場面ではきっちりみせてくれる。昨日の第1戦は最初の打席ですぐ結果をだした。ヒットで出塁したジーターを完璧に打った左中間2塁打でホームに返した。そして、9回表1点リードしさらに追加点が欲しいときにぼてぼてながら内野安打で打点1。

今日の試合でもスゴイプレーをみせてくれた。1回表2アウトのあと、4番のカノーがライト線ぎりぎりの2塁打を放った。1塁にいたイチローは3塁をまわってホームに突入するが、どうみてもこれはアウト。ところが、キャッチャーのタッチを腰をよじって逃れ、ホームベースの後ろをぐるっとまわるようにして2度目のタッチもかいくぐって右手でベースタッチ。

こんな忍者か軽業師のようなプレーはイチローにしかできない。イチローの伝説の走塁として長く語り続けられることだろう。レーザービームのような送球、忍者走塁、誰もヒットにできない低い球でもいとも簡単に打ち返す高度な打撃テクニック、まさに唯一無二のプレーである。

あさっての試合はNYのヤンキーススタジアム、先発の黒田ががんばると一気にヤンキースが勝つような気がする。イチロー、黒田を熱く応援したい。

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2012.10.08

アウグストゥスに島流しにされたオウィディウス!

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4327_2     ‘プリマ・ポルタのアウグストゥス像’(14~29年 ヴァティカン博)

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ある時期、ギリシャ神話の本を片っ端から読んだ。そのお陰でゼウスをはじめとする神々の人間臭い話やヘラクレスやペルセウスなどの英雄物語がおおよそ頭のなかに入っている。

知識の森を散策する時、その知識が木の幹のようになっていると世界はどんどんふくらんでいく。BC1世紀ころに活躍した詩人オウィディウス(BC43~AD18)が書いた‘変身物語(上下)’ (1981、84年 岩波文庫)はそのギリシャ神話の幹づくりに役立った本のひとつ。

ルネサンスの画家でもバロックの画家でもギリシャ神話を題材にして作品を描く時はたいていこの本がネタ本になった。ルーベンスのように古典文学にも精通しているとすぐ制作にとりかかれたが、そこまで知識がないものは学者から教えてもらって物語を絵画化した。だから、この‘変身物語’は古典絵画が好きな人ならホメロスの‘イリアス’や‘オデュッセイア’よりも早く読んだほうがいいくらいの本なのである。

本には訳者の解説が最後についているが、読んだのはもうだいぶ前のことなのでどんなことが書いてあったかはすっかり忘れている。だが、あることが気になって、もう一度ぱらぱらめくってみた。あることとは何か?

最近、この‘変身物語’を書いたオウィディウスが初代皇帝アウグストゥス(BC63~AD14)によって島流しにされたとこを知った。これは歌麿が‘絵本太閤記’などを描いたことでお上に睨まれ、手鎖50日の刑を食らったのと同じ話。

アウグストゥスは娘ユリアの男遊びに頭を痛めていたから、オウィディウスの‘愛の技術(アルス・アマトリア)’と題された詩集にカットなったのかもしれない。10年も前に刊行された作品なのに、紀元8年突然、オウィディウスはドナウ河が黒海に流れ込むところから近くにある町トミ(現在ルーマニアのコンスタンツァ)に追放される。

オウィデイウスはこの年に流刑になったユリアのとばっちりをうけた感じ。愛のハウツー本とはいえそれほどきわどい内容の本でもなかったが、身内の不品行が皇帝を過度の綱紀粛正へと走らせてしまった。不運というほかない。オウィディウスはローマに帰れることを願っていたが、これも叶わず18年この地で亡くなった。

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2012.10.07

心に刻まれるカエサルの言葉!

4324     ‘ユリウス・カサルの肖像’(BC30~20年頃 ヴァティカン博)

今、塩野七生さんの‘ローマ人の物語’(新潮社)を集中的に読んでいる。文庫本の最後、‘43  ローマ世界の終焉(下)’が出版されたのは昨年の9月。‘1 ローマは一日にしてならず(上)’が92年6月にでて以来、ようやく文庫本化が終了した。その間、ひたすらためこんでいた。

一冊々はページ数とか活字の大きさからみてヘビーではないので、時間さえ確保すれば一日で一冊読み終えるのも十分可能。だから、この本だけに集中すれば2ヶ月もあれば43冊全部読破できる。ただ、全冊に等しく関心がいっているわけではないからエネルギーを強く注ぎ込むのは‘賢帝の世紀’(24~26)、そして‘すべての道はローマに通ず’(27~28)あたりまで。

ユリウス・カエサル(BC100~BC44)の発した言葉で最もドラマチックなのは暗殺されたときつぶやいた‘ブルータスよ、お前もか!’、英語は知っているが、イタリア語ではどういうのだろう?

そして、もうひとつは‘賽は投げられた!’、時はBC49年1月12日の朝方、こう大声で叫んでカエサルは4500人の兵士たちの先頭に立ってルビコン川を渡った。塩野さんはおもしろいことを言っている。‘三つのタイプの人間がいる。ルビコン川を渡らない人、ルビコン川を渡るが立ち止まる人、これはブルータス、ルビコン川を渡るとその後は迷わない人、カエサル’。

人生には大きなルビコン川もあるし、小さなルビコン川もある。大は大なりに、そして小は小なりに決心してあることをやる時は迷わないで進んでいくのがいいかもしれない。

簡潔な表現で戦況報告をした‘来た、見た、勝った’も有名。‘(私は戦場に)来た、(私は戦場で敵を)見た、(私は敵と戦った)、(私は敵に)勝った’

サラリーマンならいい企画書をあげたのに採用されなかったときはカエサルのこの言葉を思い出すにちがいない。‘人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない’

だが、現実が行きづまったとき、新しい世界はそう簡単には見えない。いつの時代でも人より早くあわてて行動し、多くの人が気づかなかった市場を切り開いた者だけが大きな富を手にすることができる。

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2012.10.06

カラカラ浴場 ローマ人は入浴が大好き!

4322    カラカラ浴場

4323     ポンペイの浴場の乾式サウナ

週末に利用しているスイミングクラブにはサウナの部屋がある。水泳をしたあとここで汗を流している人が多い。だが、こうした人たちを横目にみながらいつもジャクジーで体をほぐしている。サウナは昔からダメなのである。

サウナは5分くらい?中にいてシャワーをあびて、また5分熱い部屋にじっとしていて時間がきたら冷たい水を浴びる。この繰り返し。この熱さにどうも耐えられない、息苦しくなって心臓がばくばくしてくる。サウナ好きの人はこのあと飲むビールがたまらないという、ビールの美味さは人一倍知っているがあの苦行にダウンしてしまってはビールどころではなくなる。

古代ローマ人は紀元前1世紀のはじめころ、大浴場に親しんでいた。ヴェスヴィオ火山近くの海岸沿いでは温泉の蒸気を利用して病気を治療する習慣が昔からあった。これをみたある裕福な商人が地下で炉を燃やし、床下や壁の間に熱を伝えることによって、天然の発汗室を再現できると考えつく。これがローマの大浴場のはじまり。

ローマは幾度か訪問したのにまだカラカラ浴場跡には行ってない。これを造営したのはあの悪名高いカラカラ帝(188~217)。歴代の皇帝は皆後世に自分の名をとどめることに心を砕いたが、カラカラ帝の野心は公共浴場の建設にむいた。212年に着工し4年という短い期間で完成させた。

この大浴場は一度に2000人を収容する大規模なものだった。浴室、サウナ、プール、トレーニングルームがあり、さらに図書室、会議室、庭園まで備わっていた。今ならレジャー施設と文化センターが一緒になったようなところである。無料ではないがごく庶民的な料金だから人々にとっては午後のひと時をすごす憩いの場だった。裕福な者も奴隷も、職人も兵士も、男も女も、老人も子供もいる。

ポンペイ遺跡で乾式サウナをみたことがあるが、カラカラ浴場のものもこれと同じ。サウナで汗を流している人たちの姿を思い浮かべてみたが、苦痛で顔がゆがめている者はいなかった。

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2012.10.05

横浜美の‘プーシキン美展’が来年復活!

4321          ルノワールの‘ジャンヌ・サマリーの肖像’(1877年)

4320        ゴッホの‘医師フェリックス・レーの肖像’(1889年)

今日の朝日新聞に大変嬉しい記事がでていた。東日本大地震と福島原発事故のため開催が中止になった‘プーシキン美展’は来年復活することが決まったとのこと。

詳細な日程は書いてないが4月から12月にかけて名古屋、横浜、神戸で開かれるという。昨年予定通りに開催されていたら最初が横浜美、次が愛知県美、そして神戸(どこの美術館?) 仕切りなおしの日程だと横浜美は7月くらいに開幕だろうか。

この展覧会はてっきり企画自体がお流れになると思っていたから、なにか得した感じ。処分したチラシに載っていた作品で思い出せるのはゴッホ、ルノワール、アンリ・ルソー、アングル、プッサン、

期待の作品はルノワールの‘ジャンヌ・サマリーの肖像’。今年がフェルメールイヤーなら来年はルノワールイヤー、三菱一号館美で行われる‘クラーク・コレクション展’(2/9~5/26)には待望の‘劇場の桟敷席’など22点がやってくることになっている。そして、横浜美ではプーシキン自慢の女優ジャンヌ・サマリーの肖像が公開される。ルノワール贔屓にはこたえられないラインナップである。

ゴーギャンの絵もたしか入っていたような気がするが、夢中にさせるのはゴッホの‘医師フェリックス・レーの肖像’。手元にあるゴッホの画集‘全油彩画’に載っているプーシキン美蔵の作品は4点。その一枚、生前に唯一売れた‘赤い葡萄畑’にもお目にかかりたいところだが、あまり欲張りすぎてもいけない。絵の出来栄えとしては最もいいフェリックス・レーでゴッホを存分に楽しみたい。

詳細な作品内容がわかってくると、鑑賞意欲が相当刺激されることになりそう。来年のお楽しみ展覧会がまたひとつ増えた。

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2012.10.04

ビッグニュース! 14年2月 ‘アンディ・ウォーホル展’

4318_2     ‘カラーキャンベルスープ’(1965年 ピッツバーグ アンディ・ウォーホル美)

4319_2     ‘ゴールド・マリリン’(1962年)

六本木の森美術館では14年にアンディ・ウォーホルの大回顧展が行われる。開催期間は2月1日~5月6日。

今年の前半、目を楽しませてくれた西洋美術は東近美で開催されたポロック展(拙ブログ2/16)。こんなビッグネームの回顧展はもうほかにはないだろうと思っていたら、2年後にはアメリカ現代アートの大スター、ウォーホル(1928~1987)の回顧展まで行われるという。西洋美術関連の企画展で熱くなっているのは上野の東京都美や西洋美、丸の内の三菱一号館美だけではなかった。

六本木にある美術館で今エース的な存在になっているのが国立新美、昨日は待望の‘リヒテンシュタイン美展’が開幕した。来年のスケジュールはまだ手元にないが、またでっかいことをやってくれるのではないかとつい期待してしまう。

同じビルのなかにある森アーツセンターは国芳展や古代エジプトの‘死者の書’が目玉だった大英博展などで訪問する機会があるのに、森美となるともう3,4年足が遠のいている。だから、ウォーホル展は再度この美術館に目をむけさせることになるかもしれない。

よもやのウォーホル展、作品はウォーホルの故郷ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美が所蔵するものが沢山やってくるようだ。特にみたいのは1965年に制作された‘カラーキャンベルスープ’。ウォーホルの代名詞、‘ゴールド・マリリン’はこの美術館のものではないが、同じ輝きを放つ別のヴァージョンが心をときめかしてくれることを信じている。

ウォーホルは‘夢の美術館’で紹介したワシントンのハーシュホーン美蔵の‘マリリン・モンローの唇’(6/17)のようにアメリカの美術館へ出向かないと最接近できないとずっと思ってきた。ところが、嬉しいことにピッツバーグへ行ったような気にさせる展覧会が1年半後に日本で開かれる。おおいに期待して開幕を待ちたい。

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2012.10.03

日ハム パリーグ制覇!

 4317_2日ハムが3年ぶりにリーグ優勝を果たした。

今年のパリーグは昨年とは違いオリックスを除いてチームの順位はめまぐるしく変わり、最後の最後までどこが優勝するのかわからなかった。

8月の半ばに西武とソフトバンクが勝ち続けたときは、最後に勝つのはソフトバンクではないかと予想した。これが見事にハズレ、混戦を抜け出したのは日ハムだった。

昨日札幌ドームで行われた栗山監督の優勝会見をみて、日ハムは本当にいいチームだなと思った。大エースのダルビッシュがいなくなり、栗山もいきなりの監督だから優勝は無理だろうというのが戦前の大方の予想だった。ところが、シーズンを通して結構勝つ。チームの状態が悪い時でもズルズル連敗することがなかった。

一番の勝因は投打のバランスがよかったこと。今のプロ野球は統一球にしてからボールが飛ばなくなったためピッチャーに有利な野球になっている。防御率が1点台の投手が4人もいるなんて、ちょっと前までは考えられなかった。このため3割バッターはたった4人、そしてホームラン数も激減、20本以上打ったのは4人のみ。

この誰もが注目する投打争いのなかに日ハムの選手が入っている。防御率の1位は吉川で1.71(14勝5敗)、これは立派。武田とともにダルビッシュの穴をよくうめた。打撃陣では糸井が.305で打率3位に入っている。ベテラン稲葉同様、その勝負強いバッテングはじつに頼もしい。

シーズンを通して4番に座り続けている中田、打率は低いがホームランバッターとしては着実に成長している。西武の中村の26本につぐ23本は◎ クライマックスシリーズ(CS)ではどれだけいいところで打てるか、期待したい。

誤算は斉藤佑ちゃん、長いこと2軍にいたが、やっとあがってきた。栗山は佑ちゃんをCSで起用する感じだが、吉とでるか凶とでるか?

現在2位、3位にいる西武とソフトバンク。ソフトバンクは今年は打撃力が弱いのはいなめない。ひょっとすると西武をぬくかもしれないが、順位はこのままで終わりそう。

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