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2012.07.16

‘真珠の耳飾りの少女’は‘北方のベアトリーチェ’!?

4080_2          フェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’(1665年頃)

4081_3           レーニの‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’

2日前にTV東京で放送された‘美の巨人たち’でフェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’がとりあげられた。この番組はフェルメールに過去何度もスポットを当てているが、この少女に最接近するのは2度目。

‘美の巨人たち’は高い人気を誇る美術番組だから、最初に登場した04年12月18日の放送を覚えておられる方も多いかもしれない。そのときとても興味深かったのは‘真珠の耳飾りの少女’をグイド・レーニ(1575~1642)の‘ベアトリーチェ・チェンチの肖像’と関連づけたこと。

つまり、フェルメール(1632~1675)は‘真珠の耳飾りの少女’をベアトリーチェの肖像に霊感を得て描いた可能性があるというのである。すぐ共振し、この説は直感的に当たっているなと思った。そしてこの思いは06年、ローマのバルベリーニ宮殿で本物と対面し(拙ブログ06/5/24)、いっそう強くなった。以来、フェルメールはレーニの絵の模写か銅版画をみたにちがいないと200%確信している。

この説を番組スタッフは今回の構成でさらに前面に出していた。フェルメールに関する番組は各局つくっているが、これはTV東京が最初に唱えたことだから他の局では触れもしないし、美術専門家だって誰もこれに言及しない。

専門家はこんな確証のない話にコメントすると名声に傷がつくから口には出さない。でも内心当たっているなと思っているかもしれない。というのは、画家が過去の作品の構図を参考にするのはよくあることで、カラヴァッジョだってレンブラントだって有名な絵をほかの画家が描いたものを参考にして自分流の画風に昇華させている。

フェルメールだって、例えば‘天秤持つ女’でも‘真珠の首飾りの少女’でも女性のポーズは過去や仲間の画家の作品とよく似ている。

‘真珠の耳飾りの少女’と‘ベアトリーチェ’はみればみるほど似ている。‘真珠の耳飾りの少女’はフェルメール作品のなかでは特別な絵で、窓もカーテンもテーブルもない、描かれているのは女性だけ。黒の背景にとても愛らしい少女が浮かび上がっている。この
‘ベアトリーチェ’と同じ黒の背景が2枚の絵のコラボ性をイメージさせる決定的な要素。

そして、少女がふとこちらを振り向く姿。フェルメールは女性の美しさを生感覚でとらえるのは本当に上手いから、‘ベアトリーチェ’のふりむくポーズにとびついたにちがいない。顔をよくみると二人は艶やかな唇がそっくり。人物画は顔が中心だから、顔の雰囲気がよく似ているということはフェルメールの絵をレーニの絵と関連づける上で一番のポイントとなる。

また、色は違うが頭につけているターバンまで一緒。似ている点がこれほどあると、どうみたってフェルメールはレーニの絵に深く魅せられたはず。1599年ローマであった父親殺しのベアトリーチェが処刑されるという悲惨な出来事はヨーロッパで発達していた郵便網によりデルフトにも伝わっていただろうし、涙をそそるベアトリーチェの肖像は本物ではないにしろ模写などを画家仲間たちは共有していたのであろう。

番組のなかに合点がいかないことが一つあった。‘ベアトリーチェ’が描かれたのは‘真珠の耳飾りの少女’の3年前の1662年となっている。これ、間違いでは。作者のレーニは1642年に亡くなっている。

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コメント

先日、美の巨人たちを見た後に真珠の耳飾りの少女を見に行ってきました。
50分待ちでしたが、それだけ待つ甲斐のある絵でした。
立ち止まって見れなかったのが残念です。
あまり西洋の絵というのは見たことがなかったんですが、今回、真珠の耳飾りの少女を見てから興味が出てきたように思います。

投稿: 空心菜 | 2012.07.17 00:27

to 空心菜さん
西洋絵画にひかれるきっかけが‘真珠の耳飾り
の少女’というのは即納得です。これから楽しい
世界が待っていそうですね、

西洋の絵でも浮世絵でも女性を描いた絵をみる
ことを美術鑑賞の大きな楽しみにしていますが、
このフェルメールの少女はとりわけ気持ちが
よくなる作品です。

50分も列に並ぶのは‘清明上河図’のときと
同様しんどいですが、絵の前にくると絵の魅力
がそんな疲れをふっとばしてくれますね。

絵が描かれてから350年近くも経っているのに、
今を生きているオランダの少女に出会ったという
感じ、この現代性に驚かされます。

投稿: いづつや | 2012.07.17 10:18

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