夢の美術館! ポートランド美
ホッパーの‘ペマクイッドの灯台’(1929年)
ボストンから北へ160kmくらい行ったとことろがポートランド。ここは隣国のカナダと接しているメーン州の街。ボストンを拠点にして美術館をまわるときはここにあるポートランド美までは足をのばせそう。
海洋画の名手として人気の高いホーマー(1836~1910)は北海に面したイギリスのタインマウス(ニューカッスルの近く)にしばらく滞在し漁師の厳しい生活に接したことがきっかけになり、海を題材にした作品を描くようになる。帰国後住みついたのがポートランド。ホーマーは生涯独身だった。今もポートランド郊外の海辺にアトリエが残されているという。
ポートランド美にあるホーマーの絵2点は08年シカゴ美であった回顧展のときお目にかかった。どちらも思わず足がとまる本当にいい絵。絵の才能で色使いと構図は天性のものとよくいわれるが、‘山をスケッチする画家たち’における画家の配置の仕方をみるとホーマーが真に比類のない才能をもった画家であることがわかる。3人の画家に関心が集まり、視線は自然に手前の画家から順に移っていく。
ホーマーの魅力のひとつが子どもの絵。ウィリアムズカレッジ美にも心が安まる子どもの絵があったが、この絵ではたった一人で描かれている。この男の子は自分の乗った帆船が軽快に海上を進んでいく光景のことでもを思いえがいているのだろうか。
ホッパー(1882~1967)の制作した灯台の絵にはいろいろヴァージョンがある。灯台だけのインパクトで較べればこの絵が一番かもしれない。でも、明るい日差しをあびた灯台の白の輝きは残念ながらシカゴ美ではみれなかった。ミューズが‘ポートランドへ行きなさい!’と囁いているが聞こえる。
ルノワール(1841~1919)の制作した風景画のなかで、この‘アルジャントゥイユのセーヌ川’はとても賑やかな絵。数隻いるヨットに張られた白い帆が画面に動きをあたえ、人々の楽しい気分を生き生きと伝えている。
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コメント
ホーマーの作品は海を描いた絵などをよくアメリカの美術館で見ましたが、ポートランドの作品の第一印象はアメリカ版印象派かな、ということでした。
時代的にも印象派と同じですね。もちろん下のルノワール作品と比べ筆致の違いは歴然としていますが、『帆で日よけする子供』の画面の光溢れる明るさは私には印象派のようです。
投稿: ケンスケ | 2012.07.03 22:49
to ケンスケさん
ホーマー、ホッパーの光の描写もいいですね。
自分の日常のなかで体験した強い日差しが今
まさに絵の中で再現されているという感じです。
ですから、絵がとても身近に思えます。
モネの描く眩しすぎる光も大好きなのですが、
二人の写実的にとらえられた光にも魅せられ
ます。
投稿: いづつや | 2012.07.04 00:44