夢の美術館! ウィリアムズカレッジ美
ホッパーの‘ある都会の朝’(1944年)
デ・キリコの‘驚き’(1914年)
アメリカの美術館ですごいなと思うのはユニヴァーシティやカレッジのなかに質の高い作品をそろえた美術館があること。ボストンのハーヴァード大にはフォッグ美があり、ニューヘブンのイェール大も美術館をもっている。
マサチューセッツ州ではフォッグ美のほかにウィリアムズタウンのウィリアムカレッジ、ノーサンプトンにある女子大スミスカレッジに付属する美術館がよく画集にでてくる。こうした美術館の成り立ちについて詳しいことは知らないが、大学の創立者が蒐集したものとか卒業生のコレクションだったものが後に寄贈されたりしてだんだん数が増え、やがて一般にも公開されるようになったのではないだろうか。
ウィリアムズカレッジ美のコレクションの情報はほんの少ししかないが、これまでいい絵と遭遇した。お気に入りはホーマー(1836~1910)の子どもの絵。これは水彩画、2人の女の子と2人の男の子がフェンスに腰を掛け楽しそうに話をしている。左の3人でかたまっているちょっと小さい子と右の少し年上の男の子の間のあけ方がじつにいい。近すぎず、あきすぎず。そして、背景の家と2本の大きな木のバランスのとれた配置。遠くからこの子たちをみているとホットする。
6/13、日本橋高島屋でシャガール(1887~1985)の展覧会をみた。期待値が特別高かったというのではなく、シャガールは好きな画家だから展覧会は皆勤することを昔から決めている。プラスαがあればと思ってのこと。が、残念ながら紹介したい作品は3点にとどかず、感想記はなし。日本初公開といっても個人コレクターが所蔵しているものはシャガールが後半生に描いたものが多く、目を見張るようないい絵は滅多にない。
それに較べればウィリアムズカレッジにある‘空飛ぶ牛’はシャガールらしいファンタジックな作品。不思議なのは牛が空を飛ぶこと。シャガールとベガが空中に描かれていても、あるいはギリシャ神話のペガサスのように馬が空を飛んでいても絵の中にすっと入っていけるが、牛が空にいるとちょっと目が点になる。
ホッパー(1836~1910)の‘ある都市の朝’は代表作のひとつ。シカゴ美であった回顧展で遭遇し忘れられない絵になった。この存在感のある裸の女性を描いた有名な絵があるのだから、ここのコレクションの質は相当高そう。
ホッパーはアメリカのデ・キリコ。そのデ・キリコ(1888~1978)の‘驚き’は2年前、ローマでみた。暗くて神秘的な画面の前に立っているとデ・キリコの形而上世界に紛れ込んだような錯覚を覚える。
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