夢の美術館! インディアナポリス美術館
現在、アメリカを身近に感じるのは大リーグのみ。ニュースは毎日入ってくるからアメリカの景気がどうかとか、ダウが下がったとか上がったとかといった経済のマクロの状態はわかっている。でも、アメリカに住んでいる人々の生の暮らしぶりについてはよくわからない。
4年前にシカゴとかNYなどを旅行したが、皆大都市。こういう大きい街はこれまで二度、三度と行ったから大体の感じはつかめている。でも、地方の都市となると足を踏み入れたのはナッシュビルだけ。このときは陽気なカントリーミュージックがじつにに楽しく、摩天楼のNYもアメリカなら、素朴なお兄ちゃんやオッサン、オバサンのいる町もまたアメリカなんだと思った。
インディ500でインプットされているインディアナポリス。シカゴからは約280kmのところに位置している。この街は今年日本であった展覧会で強く印象づけられた。それは東近美で開かれた‘ジャクソン・ポロック展’。最も心を奪われたのは目玉の‘インディアンレッドの地の壁画’(テヘラン現代美)だったが、もう一点インディアナ大美の所蔵する
‘Number11,1949’にも大変感動した。
インディアナポリス美にある作品でちょっと驚くのはヴァトー(1684~1721)。アメリカの大富豪たちはロココ絵画もせっせと蒐集した。名画を多く所蔵しているのはNYのメトロポリタンとフリック・コレクション、そしてワシントン・ナショナル・ギャラリー。
‘メズタン’(MET)、‘イタリア喜劇の俳優たち’(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)はヴァトーの有名な作品だか、初期に描かれた‘田舎の踊り’にも魅了される。
ターナー(1775~1851)の‘エジプト 五番目の禍’はじっくり見たい一枚。ターナーはロンドンのテート・ブリテンとナショナル・ギャラリーにある作品をみれば済みになるかというと、まあそうなのだが、アメリカの美術館にもいい絵が結構ある。フィラデルフィアやボストンなどのブランド美術館がもっている作品とおなじくらい見ごたえのあるターナーがここにもあるというのがすばらしい。
スーラ(1859~1891)の点描風景画は残った追っかけ画のひとつ。静かな世界に身をおきたいときもってこいの絵がスーラの風景画、人気のない静寂な空気につつまれると心が落ち着き、自然の美しさが愛しくなってくる。
アメリカの美術ファンにとても愛されているホッパー(1882~1967)、‘ホテルのロビー’は08年シカゴ美であった回顧展でお目にかかった。この展覧会の図録を宝物のようにして時々みているのだが、この絵はお気に入りの一枚。
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コメント
インディアナポリスは、車で通ったことが二度ありますが町は見ませんでした。
美術館はすごいですね! ターナーのピラミッドのある絵は一級品。スーラの静寂感溢れる風景は色調がなんとも言えません。ホッパーの作品はアメリカの雰囲気に満ちています。
ヴァトーの絵は画集で見たことがありません。『田舎の踊り』は素朴な作風で、初期の作例なのでしょうか。
投稿: ケンスケ | 2012.06.05 08:18
to ケンスケさん
ロココやターナーまであるのですからここ
のコレクションの質は高いですね。
ヴァトーの絵は生まれ故郷のフランス北部
ヴァランシエンヌからパリに出てまもない
ころに描かれた作品です。オランダの風俗画
の影響がみてとれます。
投稿: いづつや | 2012.06.05 20:16