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2012.04.30

心を打つ‘サンク・ヴィクトワール山’3作!

3796_3     ‘サンク・ヴィクトワール山’(1887年 コートールド美)

3795_3     ‘サンク・ヴィクトワール山’(1882~85年 メトロポリタン美)

3797_4     ‘アンシー湖’(1896年 コートールド美)

3798_4     ‘マンシーの橋’(1879年 オルセー美)

現在、国立新美で行われている‘セザンヌ展’(3/28~6/11)のチラシをだいぶ前に手に入れたとき、目がすーっと寄っていったのが‘サンク・ヴィクトワール山’(拙ブログ4/26)。

この絵はワシントンにあるフィリップスコレクションが所有していることは以前から知っており関心を寄せていたが、実際にお目にかかれるとは思ってもいなかった。惹きつけられる理由はこの絵がロンドンのコートールドとNYのメトロポリタンにある絵と構成がよく似ているから。

これまでみたセザンヌの風景画で最も魅せられているのはコートールドにある‘サンク・ヴィクトワール山’。ただ、これはカッコつき。というのはまだフィラデルフィア美にある‘サンク・ヴィクトワール山’をみてないから。この抽象化がすすんだサンク・ヴィクトワール山には何か惹きつけられるものがある、やはりこの絵をみないとセザンヌの風景画は済みにはならない。

手前に松の木を大きく描き日本の浮世絵を思わせるサンク・ヴィクトワール山の絵がこれで3点全部みることができた。こいういう構成の絵は日本人好みかもしれない。3点をくらべてみると、一番最初に描かれたメトロポリタンのものは中央の松のインパクトがありすぎて、サンク・ヴィクトワール山の印象が弱くなっている。

セザンヌの風景画は山や松など描かれる対象にどーんと焦点があたっているのが特徴。だから、その存在感の感じ方は静物画に登場するリンゴや皿などから受ける印象と同じ。実景をみているというよりは絵として再構成された風景によって自然のもっている形や色の美しさが心のなかに入ってくる感じ。

サンク・ヴィクトワール山のほかでは‘アンシー湖’と‘マンシーの橋’がお気に入り。アンシー湖はスイスとの国境近くにある湖で昔ジュネーブに住んでいたころクルマで出かけたことがあるから、この絵が1997年日本橋高島屋にやってきたときは感慨深くみた。

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2012.04.29

セザンヌ お気に入りの人物画!

3791_2  ‘カード遊びをする人たち’(1890~92年 フィラデルフィア バーンズ・コレクション)

3793_3     ‘喫煙する男’(1893~96年 モスクワ プーシキン美)

3792_2        ‘農夫’(1890~92年 個人)

3794_2        ‘青いスモックの男’(1892~97年 フォートワース キンベル美)

人物を描いた西洋絵画だと心は8割方女性を描いたものに向かっているが、例外がひとりいる。セザンヌ、昔から無表情の妻オルタンスの肖像には関心が薄い。

セザンヌが描いた人物画で女性はオルタンスと‘コーヒー沸かしの横にいる女’(オルセー)だけでほかはすべて男性。描かれた男性はセザンヌ自身、父親、画商のヴォラール、コレクターのショケ、そして農夫など。このなかで数多く絵筆をとったのが農夫。

もともとこの農夫を描いた絵がお気に入りだったが、10年に訪問したロンドンのコートールド美で行われていた‘カード遊びをする人たち展’(拙ブログ10/12/22)に遭遇し、いっそうのめりこむことになった。で、大変魅了されたのに枚数の関係で感想記にとりあげられなかったものをいくつか紹介したい。

このミニセザンヌ展には出品されてなかったバーンズコレクション蔵の‘カード遊びをする人たち’はこれまでの鑑賞体験のなかでも忘れられない一枚。1994年、西洋美で公開されたときは食い入るようにみた。この絵ともう一点ある3人プレーヤー(メトロポリタン)、そして二人の農夫が相対しているオルセーのものがカード遊びの絵では完成度の高い傑作。

農夫が煙草を吸う作品で一番ぐっときているのはエルミタージュにあるものだが、プーシキンが所蔵しているものもなかなかいい。このテーブルに肘をつくポーズにわけもなく惹かれる。

ひきひまった顔をし農民の実直な性格がうかがえる‘農夫’の前にも長くいた。この肖像画は手元のセザンヌ本には載っておらず、一目見た瞬間惹きこまれた。個人コレクターがこんないい絵を所有していたとは!この絵に会わせてくれたミューズに頭を下げたくなる。

‘青いスモックの男’は働き者のお父さんのイメージ。国立新美にところどころ塗り残しの白がみられる‘坐る農夫’(ひろしま美)がでていたが、キンベル美にある絵でもセザンヌはスモックを全部きっちり塗っていない。

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2012.04.28

祝 日ハム稲葉 2000安打!

3790日ハムの稲葉が今日の楽天との試合でタイムリーヒットを放ち、通算2000安打を達成した。拍手々!

稲葉は今年39歳、この年齢までレギュラーでゲームにでること自体すごいが、よくぞ精進して大記録にたどりついた。すばらしい。

稲葉のバッティングを長く在籍したヤクルト時代からみているが、勝負強いのが一番の魅力。打って欲しいときにガツーンと鋭い打球をとばす、その姿はとてもカッコいい。

今シーズンは2000安打という大きな目標があったせいか、開幕から快調にヒットをつらねてきた。この調子をシーズンずっと維持し、チーム優勝をめざしがんばってもらいたい。

今日先発した斉藤は引き分けになったので敗けがつかなかった。大リーグへ行ったダルビッシュの後をちゃんと引き継ぎすでに3勝しているのだからたいしたもの。マー君、祐ちゃんの二人がパリーグ人気を引っ張っていく時代が到来した。

プロ野球が開幕して1ヶ月、各チームは20数試合を戦いその成績には明暗がはっきりしてきた。パリーグは大方の予想どおり、主力ピッチャーが3人抜けたソフトバンクの独走はなく、日ハム、ソフトバンク、ロッテの争いになっている。

まったくダメなのが西武。昨年同様ぶざまな敗戦を繰り返している。楽天はマー君には悪いがアホ星野が監督をやっているうちはAクラスはない。そのうち球団幹部と喧嘩別れすることは目にみえている。

セリーグはヤクルトが強い。昨年の雪辱を果たしリーグ制覇するような気がするが、果たして?

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2012.04.27

とっておきのリンゴの絵!

3787_2     セザンヌの‘台所のテーブル’(1889~90年 オルセー美)

3786_2     セザンヌの‘テーブルの上のミルク差しと果物’(1890年 オスロ国立美)

3789_2     クールベの‘リンゴの静物’(1871年 ミュンヘン ノイエ・ピナコテーク)

3788_2     岸田劉生の‘土瓶とシュスの布と林檎’(1917年)

芸術家の子供として生まれたわけではないから、絵画や彫刻との出会いはごく普通の人の芸術体験と変わらない。中学や高校の美術の教科書によって西洋絵画の扉が開いた。

近代絵画の有名な絵のなかには当然セザンヌも入っている。その絵が今国立新美に展示してある‘りんごとオレンジ’(1899年 オルセー)。そして、‘赤いチョッキの少年’(1888~90年 チューリヒ ビュルレ・コレクション)。ほかの‘サンク・ヴィクトワール山’とか‘大水浴’を知ることになるのは絵への関心が高まり美術館へ足を運ぶようになってから。

セザンヌとはりんごなどを描いた静物画からつきあいがはじまったから、セザンヌの作品のなかではりんごの絵に対する愛着が一番強い。セザンヌが生涯に制作した油彩画1000点のうち静物画は200点といわれる。これまでみたりんごの絵で感激度の大きかった‘ベスト3’は

1.‘りんごとオレンジ’
2.‘台所のテーブル’
3.‘テーブルの上のミルク差しと果物’

‘ベスト5’にするとだぶん入ると思われるのはシカゴ美にある‘りんごの籠’(拙ブログ4/13)だが、この絵は08年現地で見逃した。だから、リカバリーの機会がめぐってくることをいつもミューズにお願いしている。

静物画の好みは断然セザンヌなのだが、クールベ(1819~1877)の静物画にも魅せられている。08年パリのグランパレで開かれた回顧展でみたのが’リンゴの静物’。果物の絵は全部で5点あったが、豊かな質感描写をみてクールベの静物画に開眼した。

日本にもスゴイ絵がある。それは岸田劉生(1891~1929)が描いたリンゴの絵。過去2回みたが、はじめてみたとき飛び上がるほどびっくりした。セザンヌもこの絵をみたら裸足で逃げ出すにちがいない。このリンゴを絵をみるたびに岸田劉生って天才だなと思う。

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2012.04.26

期待値を大きく上回った‘セザンヌ展’!

3782_2     ‘サンク・ヴィクトワール山’(1886~87年 フィリップス・コレクション)

3783_2     ‘大きな松の木と赤い大地’(1895~97年 エルミタージュ美)

3785_2     ‘りんごとオレンジ’(1899年 オルセー美)

3784_2         ‘庭師ヴァリエ’(1906年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

国立新美で現在開かれている‘セザンヌ展’(3/28~6/11)は事前にいだいていたイメージとはちがい大回顧展だった!作品の質の高さではだいぶ前横浜美でおこなわれた回顧展と並ぶかもしれない。

この展覧会は3/28に開幕したのに、出動が遅くなったのはチラシのせい。ここに載った絵はみているものが多い。プティ・パレが所蔵する‘ヴォラールの肖像’(拙ブログ10/12/7)や12身頭くらいある女性が描かれた大きな装飾画‘四季’は10年に体験済みだし、ボストンにあるマチィスの色使いを連想させる妻オルタンスの緑の顔も以前現地でじっくりみた。

となると、初見で気になる絵はフィリップス・コレクションの‘サンク・ヴィクトワール山’の1点だけ。だから、この絵と大好きな‘りんごとオレンジ’を楽しもうと思い軽い気持ちで入館した。ところが、ところがである。世界の美術館からいい絵が予想以上にある。作品は全部で90点。‘チラシにこれなかったじゃあー’という感じ。で、一転してみるぞ!モードになった。

セザンヌの絵で好きなのは静物画とカード遊びの男たちをはじめとする肖像画、そしてサンク・ヴィクトワール山などの風景画。初期の人物が沢山下手くそに描かれた絵や髑髏にはまったく関心がない。

風景画は傑作が集結している。Myカラーが緑&黄色なので緑一色の‘サンク・ヴィクトワール山’に魅了された。手前に描かれた松の枝が窓のような役割をはたし、中景の鉄道橋、そのむこうの雄大なサンク・ヴィクトワール山へと視線を導いてくれる。期待値どおりの見事な風景画だった。

その横に飾ってあるロシアのエルミタージュからやってきた‘大きな松の木と赤い大地’と‘トロネの道とサンク・ヴィクトワール山’も画面のなかに吸い込まれる。この2点は現地でみたのでよく覚えており、‘大きな松の木’は横浜美での回顧展にも出品された。

THE 静物画、‘りんごとオレンジ’との再会を存分に楽しんだ。物のもっている形がしっかり描かれており、複数の視点から構成された画面には違和感がなくリンゴやオレンジの生き生きとした色彩に心を奪われる。こういう絵はまさに世界遺産ともいうべき人類共通のお宝、そんな絵が日本に何度もやってくる。本当にすばらしい。

最晩年に描かれた‘庭師ヴァリエ’の圧倒的な存在感に釘付けになった。手元のセザンヌ本にこの絵が載ってなく、08年に訪問したワシントンのナショナルギャラリーでも遭遇しなかった。昨年やってきたセザンヌの父親の肖像画や印象的な形が目に焼きついている‘ペパーミント瓶のある静物’といった名画のほかにもこんないい絵があったとは。セザンヌの人物画はじつに味わい深い。

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2012.04.25

念願のダ・ヴィンチ作‘ほつれ髪の女’と対面!

3777_2       ダ・ヴィンチの‘ほつれ髪の女’(1506~08年頃 パルマ国立美)

3778_2      ダ・ヴィンチ?の‘岩窟の聖母’(1495~97年頃)

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Bunkamuraでダ・ヴィンチの‘ほつれ髪の女’(3/31~6/10まで)をみてきた。平日なのに、館内にはかなりの人がいた。ダ・ヴィンチはやはり特別の存在、だから展覧会の話を聞くと自然に足がむくのだろう。

今回は‘ほつれ髪の女’の1点買いなので、鑑賞時間は15分で終わり。ほかにも出かける美術館があるから、はじめから時間配分はこれくらいと決めてある。見事な筆使いで美しく描かれたこの女性のデッサンを5年ほど前から画集でうっとり眺めてきた。本物をみれるとは思ってもいなかったが、流石Bunkamuraは力がある。パルマ国立美からもってきてくれた。

今月のはじめこの絵は‘美の巨人たち’に取り上げられ、その描き方などが再現されていたのでそれを思い出しながら視線を鉛白で薄く塗られた顔の肌に集中させた。口びるの描き方などはもう完璧。じっとみているとルーヴルにある‘岩窟の聖母’がダブってきた。この絵の下絵の一部だったのだろうか?

その‘岩窟の聖母’が目の前に現れた。でもこれはルーヴルとロンドンにある‘岩窟の聖母’ではなく、個人が所有するもの。これもダ・ヴィンチが描いた?本物を見ているような気もするが、果たして?こういうときは精巧なコピーに騙されたと思うことにしている。

出口のところにあるチラシ置き台に目にとまるものがあった。それは昨年11月からロンドンのナショナルギャラリーで開催された‘ダ・ヴィンチ展’(11/9~12/2/5)の様子が映画になったという案内。4/21から‘シネマート新宿’と‘Bunkamura’で上映されるという。料金は一律1200円。

入場券を手にするのに大行列ができたというこのダ・ヴィンチ展、出品作9点のなかで最も関心の高いのはダ・ヴィンチの真筆と認定されたあとはじめて公開された‘救世主キリスト’(個人蔵)。時価160億円といわれるこの絵をみる機会はこの先当分はないだろうから、せめて映像だけでも絵の雰囲気をあじわってみたい。

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2012.04.24

お目当ての絵を求めて再度‘三都画家くらべ’展へ!

3775_2     円山応挙の‘許由巣父図’(1773年)

3774_2     勝川春章の‘美人読書詠歌図’(18世紀後半)

3776_2              歌川広重の‘武蔵多満川図’(19世紀後半)

3773_2             狩野山雪の‘蝦蟇鉄拐図’(17世紀前半)

現在、首都圏で人気の江戸絵画を楽しめる3つの展覧会が開かれている。東博の‘ボストン美 日本の至宝’(6/10まで)、千葉市美の‘曽我蕭白と京の画家たち’(5/20まで)、そして府中市美の‘三都市画家くらべ’(5/6まで)。勝手に‘江戸絵画ゴールデントライアングル’とネーミングしている。

一日で3箇所をまわるのは大変だが、時期をずらして出かけそこに展示されている京都で活躍した蕭白、応挙、若冲らの作品や国芳、広重の浮世絵版画をじっくりみると一気に江戸絵画の通になれること請け合い。とにかくいい絵が沢山でている。

前期(拙ブログ3/27)に手に入れた図録をみて気になった絵を中心に30分ほどみた。‘人物画くらべ’のところで足がとまったのが円山応挙(1733~1795)の‘許由巣父図’。川で耳を洗う許由のしぐさにわけもなく惹かれた。東博にある狩野永徳の絵では許由は滝の水をすくいこれで耳を洗っているが、応挙のほうが耳についた穢れをより素早く落とせそう。

じつは最も楽しみにしていたのが勝川春章(1726~1749)の肉筆画‘美人読書詠歌図’。今回はこの絵と狩野山雪(1589~1651)の2点買いだった。が、春章の美人画は着物の描写にMOAや出光にある作品ほど目を奪われなかった。たまにはこういうこともある。

期待通りぐっと惹きこまれたのが山雪の‘蝦蟇鉄拐図’。これは蝦蟇のほうだが、蕭白と同じようにかなりアクの強い人物表現になっている。山雪は日本の前衛作家の元祖かもしれない。こういう絵をみると来年京博で開かれる‘山楽・山雪展’がますます楽しみになってくる。

図録ではさらったみた歌川広重(1797~1858)に大変魅了された。これは肉筆の掛け軸だが、広重がこんな山水画のようなしっとりくる風景画を描いていたとは。風景画を得意とした北斎と広重、‘動’の北斎に対して、‘静’の広重とよくいわれるが、広重のこの絵はそれをじみじみ実感させてくれる。

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2012.04.23

雪舟の国宝‘山水長巻’と再会!

3769_2     雪舟の国宝‘山水長巻’(1486年)

3770_2     ‘山水長巻’(1486年)

3771_2     円山応挙の‘鯉魚図’(江戸時代中期)

3772_2            狩野芳崖の‘福禄寿図’(明治時代)

サントリー美で開催中の‘毛利家の至宝展’(4/14~5/27)でとんだ勘違いをした。ここは夜8時までやっていると思い、国立新美で‘セザンヌ展’をみたあとゆっくりとサントリーへ。館に着いたのが5時25分。すると、‘あと20分で館は閉まりますがいいでしょうか?’と案内された。ええー!?

聞いてみると8時まで開館しているのは金曜日のみ。ほかの日は6時までだった。サントリー美がここに開館して5年もたつというのに間抜けなこと。で、急いでみた。

お目当ては雪舟(1420~1506)の大傑作、国宝‘山水長巻’。この絵をみるのは幸運にも3度目。前回みたのは02年京博であった雪舟展だから、10年ぶりの対面。嬉しいのは京博のときとちがって16mもある画巻が全部みれること。

山口県防府市にある毛利博物館でこれをはじめてみたときの記憶がすこしずつ戻ってきた。山水画の定番のモチーフである岩や山、樹木が力強い墨線や黒々とした墨の広がりで表現されている。視線をどんどん移動させると高士と童子が石橋の上を歩いている。霞む山々を背景に河の水流の曲線とまわりの岩や松の木の直線が見事にとけあう構成に思わず見入ってしまう。

この絵の最も好きな場面は最後からちょっと手前に描かれた山間の村。酒旗が立っている家の前には赤や青の服を着た沢山の人が集まり楽しげにしゃべっている。S字に曲がった道は上のほうでは急な坂道になっており、一人の男が昇っている。

この絵は保存状態がとても良く、墨と色がくっきりと目のなかに入ってくる。とくに印象づけられるのが樹木の描き方。濃い墨が目に焼くつく木の葉、垂直にすっと立ち並んでいたり大きく枝を曲げ強い生命力をみせる松、そしてところどころにでてくる木の赤い実。

思わぬ収穫だったのが円山応挙(1733~1795)の‘鯉魚図’と狩野芳崖(1828~1888)の‘福禄寿図’。ともに大きな絵なので見ごたえがある。毛利家のお宝展は広島にいたとき一度体験し今回展示されているものはほとんどみているので図録はパスするつもりだったが、こんないい絵をみてしまうと買わざるをえない。

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2012.04.22

目を楽しませてくれる京の画家たち!

3765_2                伊藤若冲の‘月夜白梅図’

3768_2                  伊藤若冲の‘鷹図’

3766_2                    池大雅の‘関羽図’

3767_2     与謝蕪村の‘寒山捨得図’(1781年 重文 文化庁)


千葉市美の蕭白展では最後のコーナーに曽我蕭白と同時代に活躍した絵師たちの絵が展示してあり、目を楽しませてくれる。

数の多いのが伊藤若冲(1716~1800)。前後期でなんと11点。ミニ若冲展をみているよう。前期に展示してあるのは‘月夜白梅図’や‘鷹図’など7点。お気に入りの‘白梅図’は会期中出ずっぱり。この絵を心行くまで楽しむには単眼鏡が欠かせない。花びらの小さな小さな黄色の点やつぼみの根元のえんじ色をいい気分でみていた。

今年は蕭白が大当たり!だから、蕭白の龍や波、そして京劇役者の化粧を連想させる強烈な赤や青が心のなかを占領しているが、もうひとりの人気絵師、若冲の作品も結構楽しんでいる。

ボストン美展では‘鸚鵡図’と‘十六羅漢図’に遭遇したし、府中市美で行われている‘三都画家くらべ展’(5/6まで)でも85年ぶりに登場した‘垣豆群虫図’など4点が姿を現してくれた。まさに江戸絵画の花盛り。

若冲のほかでは池大雅(1723~1776)が4点、与謝蕪村(1716~1784)2点、円山応挙(1733~1795)4点、長澤芦雪(1754~1799)1点。前期に登場した作品で足がとまったのがはじめてみる大雅の‘関羽図’。大雅の描く人物は顔も体も丸々しているのが特徴。強い武将というよりは徳の高い大人物と対面している感じ。

蕪村の‘寒山捨得図’をみるのは二度目。4年前、MIHO MUSEUMでみたときと違いこの度はどうでもいいことだが、箒(ほうき)をもっている捨得が民主党の輿石幹事長にみえて仕方がなかった。

千葉市美が所蔵している応挙作品のなかでは‘秋月雪峡図屏風’(後期)が一番のお気に入り。これまで図版がなく残念な思いをしていたが、やっとこの絵が載った図録を手に入れることができた。これもこの展覧会の収穫のひとつ。

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2012.04.21

蕭白ここがスゴイ! 波濤フォルムと静寂山水

3762_3     ‘波濤群禽図襖’(部分 重文 1764年 三重県美)

3761_3     ‘捨得図屏風’

3763_3         ‘富嶽清見寺図’

3764_3     ‘瀟湘八景図屏風’(右隻)

曽我蕭白(1730~1781)の作品で特別時間をかけてみているモチーフがある。それは波濤。この荒々しいフォルムで描かれた波は今、東京と千葉で響き合っている。

現在東博で開かれている‘ボストン美 日本美術の至宝展’(6/10まで)で夢中になってみたのが展覧会の目玉のひとつになっている蕭白の‘雲龍図’(拙ブログ3/23)。ここに描かれた波濤の描写がとにかくスゴイ。これとよく似た波が千葉市美で展示されている作品にもいくつかみられる。

‘波濤群禽図襖’は05年の蕭白展(京博)のとき展示替えで見逃した作品のひとつだったので、目をこらしてみた。鶴と波濤の組み合わせは応挙も描いているが、波の描き方は蕭白のほうが型破りに荒々しい。優雅な鶴とうねる海にはちっと違和感があるが、鶴はよくみると鋭い目をしているから、その思いも消える。

スローモーションの映像をみているような感じになるのが正方形の画面に描かれた‘捨得図’にでてくる滝。雲間をぬって滝が垂直にドドーッと落下している。滝つぼから飛び散る迫力ある水の形、そしてこちらにまで聞こえてくる音。左の箒(ほうき)をもつ捨得の姿に目はあまりいかず、この滝ばかりみていた。

蕭白が晩年に描いた山水画は北宋の絵画のように山々や峻厳な岩が垂直線で表現された角々した画面というイメージができているが、‘富嶽清見寺図’は四角のフォルムが少しうすれ、上の富士山やその周りの山は反対にもこもこしている。強く惹きこまれるのが富士山の山頂。白が一段と輝いている。見てのお楽しみ!

初見の大きな絵‘瀟湘八景図’を長くみていた。これは右隻だが、余白の多い画面は静寂な空気につつまれている。

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2012.04.20

ダルビッシュ 強力打線タイガース相手に好投!

3760

3759     4番フィルダーとの対戦

レンジャーズのダルビッシュが3回目の登板で本来のピッチングをみせ2勝目をあげた。相手は開幕から12試合で9勝3敗とレンジャーズ同様好調なスタートをきった中地区のタイガース。

タイガースは昨年のポストシーズンにも進出したアリーグの強いチーム。今年は強打のフィルダーをFAで獲得しワールドシリーズ制覇を虎視眈々と狙っている。このタイガースにダルビッシュは6回と1/3投げて打たれたヒットは2本、1失点と好投したのだから、これはスゴイ。3戦目にして一気にトップギアに入った感じ。

好投の要因はコントロールがよくなったことにつきる。前回もだいぶ改善されていたが、今回はストレート、変化球とも自分の投げたいところに決まっていた。ストレートは150キロ前後だからとびっきり速いというわけではないが、これだけの球速なら力のある大リーガーでもそう簡単には打てない。

昨年首位打者の3番カブレラと4番のフィルダーを完全に封じ込んだのだから、いうことなし。とくに圧巻だったのがフィルダーを緩いカーブで三振にとった場面。その前の打席でカブレラにもう少しでホームランという当たりをされていたから、この三振には思わず拍手。

レンジャーズはこれで7連勝(11勝2敗)。ダルビッシュはいいチームに入った。次の登板は中4日でホームでのヤンキース戦。ジーターとの対戦が楽しみ。

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2012.04.19

蕭白展のショック度はどのくらい?

3755        ‘雪山童子図’(1764年頃 三重 継松寺)

3756               ‘鷹図’(香雪美)

3758     ‘鷹図屏風’(部分 1758~61年)

3757_2          ‘蹴鞠寿老図’(京博)

千葉市美で現在‘曽我蕭白と京の画家たち’展(4/10~5/20)が行われている。サブタイトルに‘蕭白ショック!!’をつけ、開幕の随分前からPRをしていた。

たしかに曽我蕭白(1730~1781)の絵をみると相当ショックを受ける。今回もこれまでみたものでも初見のものでも頭がクラクラするのがいくつもある。作品の大半は白黒の墨の絵だが、濃い色使いの作品のなかには一度みたら忘れられないものが多い。その筆頭は蕭白が35歳のときに描いた‘群仙図屏風’だが、これは5/2からの展示。

濃彩の作品でお気に入りは‘雪山童子図’。木の太い枝のところに立ってい童子はどうみても女。その衣と口びるの目の覚めるような赤が中国の京劇の役者を連想させる。そして、強く印象に残るのは白い肌を浮き上がらせるこの赤と地べたに座り込んでいる鬼の体の青が生み出す強烈なコントラスト。これほど色彩に力を感じる絵はそうない。

神戸にある香雪美が所蔵する‘鷹図’も傑作。鳥としては優雅さは微塵もない鷹なのにこうして美しく彩られた草花に囲まれるとなんだか安心してみていられる。鷹の存在感ばかりに気をとられると下にいる二羽の鶉や枯れた花びらを見落とす。

本来の鷹の獰猛さが200%描かれているのが‘鷹図屏風’。これははじめてみる絵。画面には鷹が二羽描かれており、これは右の鷹。ぱっとみると何を捕まえているのがよくつかめないが、目をこらしてみるとこれが猿であることがわかってくる。鶴を追っかけている鷹はみたことがあるが、猿までものにしていたとは!自然界の厳しい現象とはいえ、このように絵画になると体が一瞬フリーズするほど緊張する。

‘蹴鞠寿老図’で感じるのは心地よいショック!この老人どうなっているの?えらくあごの長い坊さんだなと最初は思うのだが、よくみると鼻の下に目があるからちょっとヘン。となると、そうかこれは頭で首が折れるくらい曲げて空中の蹴鞠をながめているところかと、姿がちゃんとみえてくる。本当に楽しい絵をみた。

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2012.04.18

一級品のホノルル美北斎コレクション!

3752     ‘富嶽三十六景・尾州不二見原’(1830~32年)

3753     ‘百人一首乳母か絵と起 参議篁’(1835~36年)

3751     ‘地方測量之図’(1848年)

3754            ‘雪松に鶴’(1834年頃)

現在、三井記念美で開かれているホノルル美蔵‘北斎展’は前期(4/14~5/13)と後期(5/15~6/17)で作品が全部展示替えになる。出品数は粒揃いの160点。

この美術館の浮世絵コレクションが摺りの状態のいい質の高いものであることは過去に体験した‘北斎展’(05年東博)や03年に山口県美で風景画に絞って公開された‘浮世絵風景画名品展’でよくわかっているので、今回どんなプラスαがでてくるか楽しみだった。

北斎に限らず浮世絵の揃物が全部みれるというのはちょっとした快感。ここは‘富嶽三十六景’(全46点)は2点欠くものの44点あり、ほかの‘諸国瀧廻り’(全8点)、‘諸国名橋奇覧’(全11点)、‘琉球八景’(全8点)、‘詩哥写真鏡’(全10点)、‘百人一首姥か絵説’(全27点)は全点所蔵しているのだからまさに最強のコレクション。これはエポック的な浮世絵体験になりそう。

摺りで200%魅せられるのは青や緑のグラデーションや決して多くない色と色が見事に響き合っていること。‘富嶽三十六景・尾州不二見原’では富士の上の空に描かれたうす肌色と青の諧調がなんとも心地よかった。

‘百人一首乳母か絵と起 参議篁’は立体感のある空間表現が目を引く。太鼓橋のような岩の下を小舟が通り、海面では海女たちが鮑採りの真っ最中。構成といい鮮やかな色使いといい、北斎の豊かな絵心と高い技量によって生み出された傑作である。

今回の収穫はこれまでみたことのなかった‘地測量之図’と花鳥画の‘雪松に鶴’。土地を正確に測量している様子を絵の題材にするところが北斎の真骨頂。人物のポーズや動きを大量に描き‘北斎漫画’としてお手本帖をつくった北斎のことだから、測量技師たちの仕事ぶりにも興味があったにちがいない。

鶴の絵は羽のこまかい描写を夢中になってみた。応挙の鶴をみているよう。こんな手のこんだ羽を彫るのだから彫師の技も半端ではない。また、隣に飾ってあるマグリットばりのシュール感覚にびっくりする‘滝に鯉’も目を楽しませてくれる。

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2012.04.17

イタリア 新高速鉄道開業!

3749       4/28から開業する新高速鉄道‘イタロ’

3750

14日(土)の新聞に載ったイタリアの新高速鉄道‘イタロ’の記事を興味深く読んだ。
今月28日から開業するという。

これまでイタリアの中を移動するときは飛行機とバスだったので、鉄道についてはまったく知らない。記事によると、高速鉄道に新規参入する‘イタロ’はフェラーリ社の会長らが設立した会社が運営し、ミラノからナポリまでを最高時速300キロで走る。ミラノーローマ間を3時間11分でつなぐというから、日本の新幹線と変わりない。

12月までに路線はミラノの先はトリノ、そしてヴェネツィア、南はサレルノまでのびる。この路線拡張計画をみてちょっと元気が出た。ヴェネツィアの手前の白丸には地名がついてないが、ここはたぶんパドヴァ。この街にはジョットの有名な壁画‘キリストの生涯’(拙ブログ10/10/11)があるので、なんとしても訪問しようと思っているところ。

ここへローマから高速鉄道で3時間弱で着くのなら、気分的にはすごく楽。これまでは参加したツアーの行程がヴェネツィアになったとき、自由行動をとりパドヴァまで足をのばす作戦だった。これが高速鉄道で行けると他のオプションを使うことができる。イタリアツアーの場合、ローマは一日自由行動というのが多い。で、一日を丸々パドヴァ観光に当て、念願の絵と対面する。

もうひとつ、ローマからこの‘イタロ’を利用して行きたいところがある。それはナポリ。
1時間ちょっとで着く感じだから、ナポリの街をゆったり回れそう。期待値の高いカポディモンテ美(09/3/31)、二度目の国立博物館で彫刻鑑賞、そして、ぞっこん惚れているカラヴァッジョの‘慈悲の七つの行い’(ミゼリコルディア聖堂)との遭遇。

イギリスでも高速鉄道計画が進捗しており、日本で馴染んでいる新幹線を利用して旅行するのと同じ感覚でイタリアやイギリスの美術館を楽しめるようになる。これは便利になった。

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2012.04.16

もっと見たいマルクの名画!

3746_4        ‘青い馬Ⅰ’(1911年 ミュンヘン レンバッハハウス美)

3748_3     ‘二匹の猫’(1912年 バーゼル美)

3747_3     ‘森の鹿Ⅱ’(1913年 カールスルーエ 国立美)

3745_3     ‘戦う形態たち’(1914年 ミュンヘン 州立近美)

カンディンスキーと芸術家グループ‘青騎士’をたちあげたフランツ・マルク(1880~
1916)に大変魅せられている。きっかけは今から21年前、池袋のセゾン美(現在はなし)で開かれた‘グッゲンハイム美名品展’でみた牛の絵。生命力あふれる黄色の牛がこの画家に導いてくれた。

マルクというとすぐこの牛がイメージされるが、画集をみると馬や鹿、猫、そして虎も描いている。虎の絵は2年前の‘カンディンスキーと青騎士展’(三菱一号館美)でお目にかかった。これで動物のヴァリエーションは2つに増えたが、まだ馬と鹿と猫には縁がない。

今年の夏に改築が終了するミュンヘンのレンバッハハウスはマルクの絵を一体何点くらい所蔵しているのだろうか?画集やTVの美術番組には形や色が単純化されたインパクトのある作品がいろいろ登場する。常時10点くらい鑑賞できるとなると、絵の前では相当興奮しそう。

そのなかで一番注目しているのが‘青い馬Ⅰ’。表現主義では色は作者の感情を表現するためのもの。マルクは好きな青色で馬を描いた。宗達が象を正面からクローズアップで描くことで躍動感をだしているように、マルクもしっかりと大地に立つ馬を正面から大きく描いている。

バーゼル美にある猫の絵は黄色の猫はすぐわかるが、中央の青い猫は体をどういうふうにねじっているのかよくつかめない。それにしても大きな猫、体の半分は抽象化されたフォルムになっているが、シンプルな造形と鮮やかな色の響き合いは心を打つ。

‘森の島Ⅱ’はキュビスムの絵をみているよう。だから、視線を画面に定着させないと鹿の姿がとらえられない。じっとみていると奥深い森の様子がわかってくる。ところが、‘戦う形態たち’になると、もう抽象画の世界。中央で激しく絡まっている赤の青の塊は蛸とか蛇のイメージ。

この絵があるミュンヘンの州立近美は黙示録的な情景を連想させる‘ティロル’(拙ブログ11/7/31)も所蔵している。いつかミュンヘンでマルクの絵を心行くまで楽しみたい。

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2012.04.15

夢の美術館! ドイツ最北にあるノルデ美術館

3741_2     祭壇画‘キリストの生涯・磔刑’(1912年 ゼービュル ノルデ美)

3743_2        ‘仮面とダリア’(1919年 ノルデ美)

3744_2        ‘汝らも幼子のようになるべし’(1929年 エッセン フォルクヴァング美)

3742_2     ‘海と黄色い太陽’(1938~45年 ノルデ美)

ゴッホの色彩表現に大きな影響をうけたドイツ表現主義のエミール・ノルデ(1867~
1956)にはキルヒナー同様、大きな関心を寄せている。でも、この画家の鮮やかな原色を使って描かれた宗教画や風景画に出会った回数は極めて少なく、昔から遠い存在の画家のイメージが続いている。

そんなノルデだが、情報はいろいろある。ノルデは晩年デンマーク国境にほど近い小さな村、ゼービュルで暮らした。ハンブルクから北へ200kmのところにあるこの村はノルデが生まれたノルデ村(現在はデンマーク)からはそう離れてない。ここに1957年に開館したノルデ美術館があり、油彩500点、水彩2500点が所蔵されている。

この美術館とベルリンの郊外にあるブリュッケ美術館に足を運べばノルデにだいぶ近づけそうだが、その実現は簡単ではない。ハンブルク美へ意を決して訪問するときはさらに頑張ってゼービュルまで行きなさい、とミューズがささやいているのだが、さてどうなるか。

ノルデ美で最も気になる絵はグリューネヴァルトの‘イーゼンハイムの祭壇画’に霊感をうけて制作された‘キリストの生涯’、中央の‘磔刑’は色彩は格段に鮮やかだがグリューネヴァルトのものと感じが似ている。ノルデの宗教画は宗教画くさくなく、人物表現がカリカチュア風なのですっと画面のなかに入っていける。

これまでみた作品で一番魅了されたのは1996年にあった‘フォルクヴァング美展’で公開された‘汝らも幼子のようになるべし’。これは宗教画で中央にいるのがキリスト、赤い衣裳をつけ髪は長く口びるは真っ赤だから一瞬女性かと思った。その明るい表情からは性格のよさがうかがわれ、教えをそのまま実行すれば幸せになれそうな気になる。でも、右にいる男たちはキリストや子供たちとは対照的に暗い面持ちで深い悩みを抱えている感じ。

仮面というとアンソールの専売特許かと思っていたらノルデの絵にも‘仮面とダリア’があった。‘海と黄色い太陽’は‘描かれざる絵画’の一枚。ノルデはナチス党員だったのに退廃芸術家の烙印を押され、1941年には秘密警察の監視下におかれすべての創作活動を禁止される。

その通告に70歳のノルデはショックをうけるが、密かに小さな和紙に水彩画を描き続けた。その数1300枚以上、ノルデはそれらを‘描かれざる絵画’と名づけた。老画家のドラマが秘められたこれらの風景画をいつかみてみたい。

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2012.04.14

キルヒナーの回顧展を体験したい!

3740_2     ‘バラ色の二人の裸婦’(1909年 メルツバッハー・コレクション)

3737_2      ‘兵士の自画像’(1915年 オハイオ アレン記念美)

3738_2     ‘フェーマルン島の農場’(1913年 ハンブルク市美)

3739_2     ‘コーヒーテーブル’(1923~24年 エッセン フォルクヴァング美)

日本ではルーヴルとかオルセーといったフランスの美術館や人気のゴッホのあるオランダの美術館が定番のように名品展を開催し名画の数々を披露してくれるが、ドイツの美術館が所蔵する作品も結構やってくる。

お陰で日本にいてもドイツ表現主義の代表的な画家キルヒナー(1880~1938)の絵を楽しめることができる(拙ブログ06/3/5)。これにNYやパリやマドリードでみたものを加えるとこれまでに鑑賞した作品は20点くらい。この数は近代に活躍したドイツの画家のなかでは一番多い。

でも、現地の近現代美術館はまだ一つも訪問してなく、スイスのバーゼル美やベルン美にも縁がないから、キルヒナーとの付き合いは画業全体の3割くらい。だから、この画家の回顧展に遭遇することを密に願っている。こういうときに期待する美術館というと、Bunkamura。ここの学芸員たちはチャレンジングな精神にあふれているから、つい期待してしまう。無理かな?

初期の作品‘バラ色の二人の裸婦’は01年にあった‘メルツバッハー・コレクション展’でお目にかかった。これぞ表現主義、赤や黄色、緑の鮮やかな色調が強く印象に残っている。この絵や‘コーヒーテーブル’などは人物も丸みをおび穏やかな雰囲気につつまれているが、キルヒナーが1911年ベルリンに移ってからは大都市にひそむ孤独な情景が画風を一変させ、人物や建物は細長くとげとげしたフォルムに変わっていく。

‘兵士の自画像’は見たい度の強い絵。第一次大戦が勃発し、1914年に召集されたキルヒナーは精神を打ちのめされ2年で除隊になる。この絵は除隊後まもないころに描かれた。神経が相当参っている様子が画面にでている感じ。

一度訪問してみたいハンブルク市美にもキルヒナーのいい絵がある。回顧展の夢をもち続けていたら、そのうちミューズがすこしずつみせてくれるかもしれない。

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2012.04.13

グッドニュース! セザンヌの‘赤いチョッキの少年’発見

3733_2          ‘赤いチョッキの少年’(1888~90年 ビュルレ・コレクション)

3736_2     ‘マルディ・グラ’(1888年 モスクワ プーシキン美)

3734_2     ‘リンゴの籠’(1890~94年 シカゴ美)

3735_2     ‘サンク・ヴィクトワール山’(1904~06年 プーシキン美)

今日、海外から嬉しいニュースが飛びこんできた。08年盗難にあったセザンヌの大変有名な絵‘赤いチョッキの少年’が発見されたというのである。発見された場所はセルビア国内。この絵はスイスのチューリヒにあるE.G.ビュルレ・コレクションで強奪されたあと、セルビアに移されていた。

ベオグラードで逮捕された犯人たちは350万ユーロ(約3億7000万円)で売却しようとし捕まる前に280万ユーロを手にしていたという。こういう盗難品を4億円くらいで買おうとしていたコレクターが存在し、まさに取引が成立しようとしていた。謎のコレクターはこの名画を秘密の部屋に飾り永遠に楽しむつもりだったのだろう。

絵がビュルレ・コレクションから手放されることは絶対にないが、80億円以上の価値がある名画が4億円をだせば一生手元においてみられるのなら、盗難品とわかっていても手がでる。お金ならいくらでも持っている山師みたいなコレクターはごまんといるから、闇の世界でこういう美術品取引がよく行われているにちがいない。

以前‘もっと見たいセザンヌの名画’(拙ブログ09/1/5)でとりあげた‘赤いチョッキの少年’が幸運にも発見されたので、計画しているスイス美術館めぐりの楽しみがまたひとつ増えた。今、セザンヌの追っかけ画は一桁。見たい度の順番をつけると、

1.‘赤いチョッキの少年’
2.‘マルディ・グラ’
3.‘サンク・ヴィクトワール山’(フィラデルフィア美 09/1/5)
4.‘リンゴの籠’
5.‘大水浴’(フィラデルフィア美 09/1/5)
6.‘サンク・ヴィクトワール山’(プーシキン美)

‘リンゴの籠’は08年シカゴ美を訪問したときは運悪く展示されてなかった。セザンヌの描いたモチーフのなかで静物画が一番のお気に入りだから、この絵はなんとしてもリカバリーしたい。そして、プーシキンとフィラデルフィアにも傑作が揃っている。印象派コレクションで有名なこの二つの美術館がこれからの美術館めぐりの大きなハイライト。
一歩々前進したい。

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2012.04.12

もっと見たいベックマンの名画!

3732     ‘女たちの湯浴み’(1919年 ベルリン美)

3731          ‘シャンペングラスと煙草をもった自画像’(1919年)

3730     ‘船出’(1932~33年 NY MoMA)

3729             ‘二重肖像画’(1941年 アムステルダム市美)

ドイツ人画家のなかでマックス・ベックマン(1884~1950)はNYのMoMAやグッゲンハイム、ボストンにあるフォッグ美に数点展示してあるので、ほかの画家に比べればその画風に目が慣れている。

このアメリカの美術館での体験は10年以上前のことだが、ここ4,5年の展覧会鑑賞でいうと09年Bunkamuraにやってきた‘夜’(拙ブログ09/2/27)との遭遇がエポック的な出来事だった。これは強烈な絵、これほど無残な拷問の絵がほかにあっただろうか。

‘夜’と同じ時期に描かれた‘女たちの湯浴み’(ベルリン美)が当面の狙い目。大勢の人物は黒の輪郭線でくっきり描かれているので、画面に最接近してじっくりみていたくなる。‘シャンパングラスと煙草をもった自画像’は神経が昂ぶっている感じで攻撃的な印象が強い。この絵は個人蔵なので、ずっと縁がなさそう。

ベックマンはほかの前衛的な画家と同様、ナチスから退廃芸術家の烙印を押され、1933年にフランクフルトの美術学校の教職を追われる。そして、1937年アムステルダムに亡命する。‘船出’は1932年頃から描きはじめた三幅対の最初の作品。全部で10点描いている。MoMAで‘船出’をみてからだいぶ時が経っているが、日本でもこの三幅対を一点みた。それはエッセンのフォルクヴァング美が所蔵する‘ペルセウス’
(1941年)。

残りの8点がどこにあるのかは知らない。ベルリン美に何点かあればみる機会があるのだが、果たして?妻と一緒のところを描いた‘二重肖像画’は来年くらいに改築が終了するアムステルダム市美にあるから、次回のオランダではお目にかかりたい。

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2012.04.11

ディックスの一度みてみたい絵!

3726_2     ‘サロンⅠ’(1921年 シュトゥットガルト美)

3728_3     ‘大都会’(部分 1927~28年 シュトゥットガルト美)

3725_3     ‘マルタ・ディックス夫人の肖像’(1928年 エッセン フォルクヴァング美)

3727_2        ‘シルヴィア・ハルデンの肖像’(1926年 パリ ポンピドーセンター)

グロス同様気になるのがオットー・ディックス(1891~1969)。その作風はグロスほどではないがカリカテュア的なところがあるので関心を寄せているが、縁はまことに薄い。はっきりみたといえるのは2点しかない。

パリのポンピドーを訪問する度に強く印象づけられるのが‘シルヴィア・ハルデンの肖像’。一見すると男性のようにみえる、ある時期までてっきり男性と思ってみていたが、じつは女性でジャーナリスト。リベラルな女性ということは煙草をもつ手のしぐさによく現れている。論理的なしゃべり方ができない男が議論をしかけてきたら‘あのネー、あなたこんなこともわからないの?’とこてんぱんに論破されそうな感じ。

ディックス夫人を描いた作品は今から16年前にあった‘フォルクヴァング美展’でお目にかかった。何も描かれてない背景に浮き上がる黒々したお河童髪が印象的でいまでもよく覚えている。どうでもいいことだが、こういう髪をした女性が一昔前の外国映画によくでてきたような気がする。また、若い頃ジュネーブに住んでいたとき、現地在住の日本人女性で歳はだいぶとっているのにどういうわけはこういう少女風の髪をしていた人を多くみかけた。

ドイツのシュトゥットガルトにある美術館を訪問するのは簡単なことではないが、ここにある‘サロンⅠ’と三幅対に描かれた‘大都会’はとても気になる絵。‘サロンⅠ’はロートレックも描いている娼婦のサロン。右の真ん中にいる女は最も綺麗に着飾っているから指名ナンバーワンかもしれない。その左隣では厚化粧の老練おばさんがとりすまして客を待っている。

ベルリンの歓楽街での様子と戦争で負傷した兵士を一緒に描きこんだ‘大都会’も画面のなかに惹きこまれる。サックスの享楽的な音色に合わせて派手な衣裳に身をつつんだ二人の女がいい気分で踊っている。

ディックスの社会をみる目は鋭く、中央の画面で繁栄の極みに光をあてる一方、その店の外では足を失った兵士が石畳を杖を使い辛そうに進んでいく光景も描いている。この闇の部分もとらえ世の中を痛烈に風刺する深いリアリズムは心を揺るがす。

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2012.04.10

ダルビッシュ ほろ苦いデビュー戦!

3722_2   ダルビッシュ 大リーグデビュー

3723_3           イチローとダルビッシュの対戦

3724_2     川崎 セカンドでスタメン出場

今日はいつもより早起きしてレンジャーズ ダルビッシュのデビュー戦をNHKの総合でみた。相手はイチロー、川崎のいるマリナーズ。ダルビッシュはチームの投手陣のなかでは4番手。大リーグの試合に慣れるまではこの順番でまわっていくのだろう。

一回の表、マリナーズの攻撃は予想とは違い4点もとった。昨年アリーグ西地区の断トツ最下位のマリナーズでも、ダルビッシュの制球がこれだけ定まらないと自然に打っていれば点はすぐ入る。ダルビッシュは2回も1点とられ5対2。この時点で誰もが今日の試合はアカンなと思ったはず。

ところが、レンジャーズの打撃陣は強力、3回の裏に昨年のポストシーズンでホームランと連発したクルーズが目の覚めるような3点ホームランをレフトスタンドに叩き込んだ。これで試合は振り出しにもどった。ダルビッシュが安定さを取り戻し4回も0点に抑えると、その裏一塁のモアランドが勝ち越しの2点ホームラン、さらには主砲のハミルトンもホームランで続く。

この強力打線のおかげで、ダルビッシュに勝ちが転がり込んできた。5回で投球数も100球ちかくにきていたので、この回で終わりかと思われたが、6回もマウンドにあがった。ぽんぽんと2アウトをとったが2番のアトリーに四球を与え、3番イチローと4度目の対戦。ここをうちとればダルビッシュはほんのちょっぴりいい気持ちで今日の登板を終えられたのだが、そう上手くはいかずイチローに3本目のヒットを打たれ降板。試合はこのあとレンジャーズが3点を加え11対5で勝利、ダルビッシュが勝ち投手になった。

ダルビッシュにとってはほろ苦いデビュー戦になったが、運がいいことに負け投手にならず勝ち投手で大リーガーのキャリアをスタートさせた。この強運さはこれからの活躍を暗示しているかもしれない。次のツインズ戦ではいいピッチングをしてくれることだろう。毎回の登板が楽しみ。

イチローは3安打と貫禄をみせつけた。流石である。また、セカンドで先発出場した川崎も元気一杯、ダルビッシュからヒット1本打ったから気分よさそう。守備も堅実。

今年ブリュワーズに入団した青木(ヤクルト)もホワイトソックスへ移籍した福留もピンチヒッターでの起用なのに、マイナー契約でキャンプをすごした川崎はもう2試合も先発で使われた。これだけがんばっていると出場の機会は多くなるだろう。熱く応援したい。

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2012.04.09

胸に突き刺さるグロスの痛烈風刺画!

3719_2       ‘ロボットの共和国’(1920年 NY MoMA)

3718_2     ‘オスカー・パニッツァの捧ぐ’(1917~18年 シュトゥッガルト州美)

3720_2     ‘メトロポリス’(1916~17年 マドリード ティッセン・ボルネミッサ美)

3721_2     ‘詩人ヘルマンナイスの肖像’(1927年 NY MoMA)

西洋の風刺画ですぐ思いつくのはドーミエとジョージ・グロス。今日はそのグロスの痛烈な絵を。

グロス(1893~1959)の絵を沢山みているわけではなく、ほんの片手ほど。一番最初にみた作品は改築される前のNY近代美術館。つるっぱげの人物の絵がぐぐっとインプットされている。

デ・キリコの影響を受けマネキンをロボットに変えた絵もMoMAが所蔵しているが、こちらはみた記憶がない。現在、この2点が常設展示されているかわからない。新しいMoMAを訪問しなければと思いつつも延び延びになっている。

‘オスカー・パニッツァに捧ぐ’にはグロス特有の戯画的な人物が数多く描かれている。また、真ん中には骸骨が座って飲み物でのどを潤している。グロスの描く人物の毒の効いた顔つきをみてすぐ連想したのは昔TVによく流れたトリスウイスキーのCM。角々した横顔の目つきを鋭くするとグロスの絵になる。

この絵とよく似ているのが昨年出かけたマドリードのティッセン・ボルネミッサ美でみた‘メトロポリス’、あの暴力的な顔つきをした人物が大勢集まる大都市ベルリン、その繁栄ぶりとやがてやってくる崩壊を予兆する影とひずみが未来派のような鮮烈な赤で扇情的に描かれている。

これまで体験したグロスで体が一番フリーズしたのはロンドンのテート・モダンにある‘自殺’(拙ブログ08/2/12)。グロスは一枚々が胸に刺さる。

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2012.04.08

気になるヴィクトリア朝絵画 フリス レイトン!

3717_2     フリスの‘ダービー開催日’(1858年 テート・ブリテン)

3716_2     フリスの‘駅’(部分 1862年 エガム 王立ハロウェイ・カレッジ)

3715_2     レイトンの‘燃える6月’(1895年 プエルトリコ ポンセ美)

3714_2  レイトンの‘音楽の稽古’(1877年 ロンドン ギルドホール・アート・ギャラリー)

イギリス人画家のなかで惹かれているのはまず第一グループがターナー、コンスタブル、その次がブレイク、ロセッティ、ミレイ、バーン=ジョーンズ、ビアズリー、その後は単発の数人。

このサードグループに入れているのは絵を体験した回数はまことに少ないがちょっと気になっている画家、マーティン、ワッツ、ダッド、そして今日とり上げるヴィクトリア朝絵画のウィリアム・パウエル・フリス(1819~1909)とフレディリック・レイトン(1830~
1896)。

人々が沢山登場する群集風俗画を得意としたフリスの作品はまだ1点しかみてない。西洋画でも日本画でも風俗画は大変好きなカテゴリーだから、テート・ブリテンに飾ってあった横に長い絵‘ダービー開催日’は楽しくみた。手元の画集にはほかに数点載っており、いつか見る機会を狙っている。

そのなかで興味深々なのがパディントン駅の構内を描いた絵。まるで映画の一シーンをみているよう。右端におもしろい場面が描かれている。列車に乗りこもうとした男が私服の刑事に肩をつかまれ、逮捕状を突きつけられてている。もうひとりの刑事の手には手錠が。ひきつった男の顔がじつに印象的。是非ともみてみたい。

女性画には目がないのでレイトンの‘燃える6月’はずいぶん前から気になっている絵だが、これは夢のままに終わりそう。プエルトリコのポンセ美にはバーン=ジョーンズのいい絵もある。ところで、プエルトリコは中米のどのあたりだっけ?

ミレイ並みの描写力がうかがえる‘音楽の稽古’は対面の可能性がある。次回のロンドンではこのギャラリーを捜してみるつもり。また、画家が住んでいた家が‘レイトン・ハウス’として公開されているようなのでここへも出かけてみたい。

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2012.04.07

マーティン、ライトのめざした崇高の美学!

3712_3          マーティンの‘ケルトの吟遊詩人’(1817年)

3710_3     マーティンの‘忘却の水を探すサダク’(1812年 サウサンプトン市美)

3711_2     マーティンの‘神の怒りの日’(部分 1852年 テート・ブリテン)

3713_2     ライトの‘ヴェスヴィオ火山の噴火’(1776~80年 テート・ブリテン)

数ある名画のなかには絵の大きさで見る者を圧倒するものがある。4年前ロンドンのテート・ブリテンで遭遇したジョン・マーティン(1789~1854)の大作は一生忘れられない絵となった。

それまでこのイギリス人画家にはまったく縁がなかったので、‘神の怒りの日’のスペクタクル宗教映画をみているような大画面の前では言葉を失ってみていた。天地創造とか神の怒りにふれて天地が崩壊するというような話は映像で体験するものだと思っていたが、マーティンやジョゼフ・ライト・オブ・ダービー(1734~1797)は壮大なドラマをキャンバスのうえに表現しその崇高な美を追求した。

ライトはイタリア滞在中(1773~75)にヴェスヴィオ火山の噴火を実際に目撃し、この絵を描いている。火山が噴火する光景は人間が自然の脅威におののく典型的なモチーフだからマーティンの‘神の怒りの日’でも‘忘却の水を探すサダク’でも空は赤く染まっている。

映画‘アバター’でもこうした絵で表現された崇高さは十二分に味わえるが、絵画は映画のようにテンポが速くなく視点が固定されているから、自然の厳しさや崇高さが体全体におおいかぶさってくる感じで相当重い空気につつまれる。

マーティンの初期の作品‘ケルトの吟遊詩人’(ニューキャッスル・アポン・タイン レイング・アート・ギャラリー蔵)は岩の頂から身を投げようとする白髪の詩人に目が吸い寄せられていく。尖った岩の形や遠くの山々の描き方はどこかドイツのフリードリヒの絵を彷彿とさせる。

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2012.04.06

北島 平泳ぎ100m、200mで五輪代表決定!

3709_2ロンドン五輪の代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権をここ数日熱心にみている。

今日はエキサイティングなレースが続いた。そのなかで一番の関心は男子
200m平泳ぎ決勝。

注目の北島は準決勝のタイムが2番目だった。1位で通過したのは立石。100mを制した北島だが今年29歳、だから、スタミナが最後までもつかどうか、若い立石に負けるかもしれないと半分は思っていた。

ところがレースがはじまると北島は終始先頭に立ち、スタミナ切れするどころか完璧に勝った。しかもタイムは昨年の世界選手権のメダリストたちがだしたタイムを上回った。やはり北島は怪物。これで100mと200mの代表は北島、立石に決まった。

1年前の世界選手権で北島は100mは3位、200mはメダルにとどかなかったから、ロンドンでは金メダルは難しいなと思った。でも今日の200mの泳ぎぶりをみて、100mは無理かもしれないが200mは3大会連続金メダルという大偉業も夢ではなくなった。本番がとても楽しみ。

200mバタフライは松田が貫禄勝ち。松田の頂点をめざす意気込みもスゴイから力をこめて応援したい。

この選考会では派遣標準記録突破というのを代表の条件にしている。だからレースに勝っても記録が悪ければ五輪へ行けない。日本の競泳陣のレベルが高く五論に出場する以上はメダルを獲れということなのだろうが、選手にとってはこの記録は高いハードル。それだけ五輪への道は厳しいから、この条件をクリアして五輪の切符を手に入れた選手はさぞかし嬉しいだろう。

毎週週末にスイミングクラブで泳いでいるが、土曜日は隣のレーンでは中学生の男女たちがコーチの厳しい指導の下猛スピードで泳いでいく。この子たちもオリンピックに出場することを夢見て頑張っているのだろう。

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2012.04.05

ブレイクの幻視ワールドをのぞいてみたい!

3705_2     ‘ヘカテ’(1795年 テート・ブリテン)

3706_2     ‘大きな赤い竜と海の獣’(1803~05年 ワシントン ナショナル・ギャラリー)

3707_2         ‘旋風’(1803~05年 ボストン美)

3708_2     ‘ペスト’(1805年 ボストン美)

詩を書き絵筆もとったウイリアム・ブレイク(1757~1827)の絵はフュースリ同様、不気味で奇怪な雰囲気につつまれているものが多い。二人はイギリスのロマン主義の先駆者だった。

ブレイクの版画や水彩画はロンドンのテート・ブリテンを訪問するとかなりみることができる。作品の数が多いのでローテーションによる展示、だから画集に載っている所蔵品を全部見ようとすると数回は足を運ぶ必要がある。

次回の訪問で対面を願っているのはフュースリの‘悪魔’のような奇怪さにちょっと腰がひける‘ヘカテ’。ヘカテはギリシャ神話のなかでもとくに謎めいた女神。女性の守護神で3つの顔をもち、幽霊や精霊や気味の悪い生き物を飼っていた。横向きで描かれたヘカテは目力のあるただならぬ美女の姿。でもこれが曲者。

強烈な幻視体験と鋭い想像力を駆使して生み出されるブレイクの絵画世界は怖さや不気味さがじわじわと体を沁みてくる感じ。‘大きな赤い竜と海の獣’は西洋の地獄絵をみているようで心がザワザワする。この絵と同じく画面の中心に裸の人物を配置する構成になっているのが‘旋風’。ブレイクの絵にはこういうぐるぐる回る車輪のようなモチーフがよくでてくる。

ボストン美のあるもうひとつの‘ペスト’は一度みたら忘れられない絵。濃い緑で体を彩られたペストの巨大な擬人像は大きく手を広げ、世界を死体で埋め尽くす悪の力を人々にみせつけている。

ブレイクは‘ダンテに語りかけるベアトリーチェ’のような明るい色調の絵も描いているが、大半はこういう霊的な幻視ワールドが表現されている。ブレイクの絵で連想されるのが何年か前にヒットしたサイコ殺人映画‘羊たちの沈黙’(ジュディ・フォスター主演)。この映画にブレイクの絵がでてきたこともあり、以来ブレイクというとこの怖ーい映画がセットで思い起こされる。

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2012.04.04

フュースリの奇怪な絵!

3701_2       ‘悪夢’(1781年 フランクフルト ゲーテ博物館)

3702_2     ‘夢魔’(1781年 デトロイト美)

3703_2     ‘ボトムを抱擁するティターニア’(1792~93年 チューリヒ美)

3704_2        ‘ティターニアが魔法の指輪をみつける’(1805年 チューリヒ美)

美術本をコンスタントに買い込むのは作品情報を得るのが目的。で、文章は横においてひたすら画像をながめ絵の特徴を目に焼きつけている。作品情報が沢山入ってくると似たような絵をひとくくりにしてみたくなる。そして、それを表す気の利いたフレーズをつける。これは結構楽しい。

時代の異なる作品をフレーミングするとき誰しも思いつくのは感情表現の言葉。楽しい絵、悲しい絵、怖い絵、奇怪な絵、人間の心のなかは単純なところと複雑なところが半々。だから、楽しい嬉しい気分のままでいたいときもあれば、心の奥底にある自分でもよく分からない世界をのぞいてみたいときもある。

そのなかでインパクトの強いのが怖い絵とか奇怪な絵、不思議な絵。ベックリンの絵は骸骨やグロテスクな顔をした怪物が登場するから怖い系タイプ。そのベックリンよりもっと不気味で奇怪なのがスイス人画家、フュースリ(1741~1825)。

この画家はベックリン同様縁がほとんどなく、すぐ思い出されるのはテート・ブリテンにある‘羊飼いの夢’だけ。でも、ずいぶん前から画集に載った不気味な絵が目に焼きついている。

みるたびに体がフリーズするのが目玉が飛び出た馬の登場する‘悪夢’と‘夢魔’。この馬はあまりながくみていると夢でうなされるような気がしてならない。一度お目にかかりたいが、絵があるのはフランクフルトとデトロイト。そう簡単には行けない。

フュースリはチューリヒの生まれなので、この街の美術館には作品が揃っていそう。チューリヒ美はスイスで美術館めぐりのときの主要美術館、フュースリの強く緊張させられる奇怪な絵といくつか対面できるかもしれない。

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2012.04.03

ベックリンはお好き?

3700_2     ‘死の島’(1886年 ライプツィヒ造形美)

3697_2     ‘眠るディアナと二匹のパン’(1877年 デュッセルドルフ美)

3699_2         ‘ヴィタ・ソムニウム・ブレーヴェ’(1888年 バーゼル美)

3698_2     ‘ヴァイオリンを弾く骸骨のいる自画像’(1872年 ベルリン美)

バーゼル生まれのアルノルト・ベックリン(1827~1901)の作品はこれまで縁がうすく片手くらいしかお目にかかってない。だから、この画家については知らないも同然。

画家に対する関心はみた作品の数が増えてくるとその画風に目が慣れてくるので、ここらでひと段落してもいいかなと思うようになってくる。そこで、さて次はどの画家に鑑賞エネルギーを注ぐかとあれこれ思案する。そして新たに追っかける画家はこんなところかと決まってくる。でも、決めた鑑賞計画がスイスイと進むわけではない。

これまで画家との縁が少ないことの一番の理由はその絵のある美術館がパリやロンドン、NYのように行きやすい都市にないため。ベックリンもその例にもれない。作品を多く所蔵しているのはバーゼル美などのスイスの美術館やドイツの美術館。だから、個人旅行でも組まないかぎりなかなか訪問できない。

思いえがいている作品で対面が実現するのは少ないかもしれないが、帆だけは高くあげておきたい。画集には‘死の島’などバーゼル美蔵のものが4,5点載っているので、実際にはこの2,3倍がみれそうな感じ。関心の高いのはルンゲの絵を彷彿とさせる‘ヴィタ・ソムニウム・ブレーヴェ’。BSの美術番組で作品の情報が豊富になってきたバーゼル美への思い入れがだんだん強くなっていく。

ドイツでみれる可能性のあるのはベルリンにある‘自画像’、死をイメージさせる骸骨が横にいるのでみているだけですごく緊張する。ギリシャ神話とのつきあいはライフワークだから、ベックリンの作品でもっとも関心を寄せているのはこの神話画。‘眠るディアナ’に描かれた覗き見するパンはまさに美女と野獣といったところ。興味深々。

‘死の島’はメトロポリタンで第2ヴァージョンをみたから見たい度の強いのはバーゼルにあるものよりライプツィヒ造形美が所蔵する最後の第5ヴァージョン。でも、この街は遠いから夢に終わりそう。

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2012.04.01

もっと見たいファン・エイクの名画!

3694_2      ‘ルッカの聖母子’(1435年 フランクフルト シュテーデル美)

3693_2             ‘教会の聖母子’(1438~39年 ベルリン美)

3695_2       ‘アルノルフィーニの肖像’(1438年 ベルリン美)

3696_2       ‘ボードワン・ド・ラノワの肖像’(1436~38年 ベルリン美)

昨年11月ベルギーを旅行したとき、アントワープでの美術館めぐり(拙ブログ11/12/25)は収穫が多かった。ツキのはじまりはBSの美術番組で偶然はいってきた新美術館、MASミュージアムの情報。

この番組のお陰でルーベンスやファン・エイク、アンソールの絵などで有名なアントワープ王立美は2011年の9月から2017年の秋までの長期休館に入っており、所蔵の名画の一部がMASミュージアムに展示されていることがわかった。アントワープ王立美は一度は行ってみたい美術館だが、街の中心部からは少し離れたところにあり今回は無理かなという感じだったから、この代替展示は願ったり叶ったり。変ないい方だが、休館になったことでかえって運が向いてきた。

しかもMASには最も関心を寄せていたファン・エイクが2点とも展示されていたのだから二重の喜び。これはファン・エイク全点鑑賞にはずみがつく。残りの追っかけ画の目標はとりあえず4点。フランクフルト1点、ベルリン3点。シュテーデル美にある‘ルッカの聖母子’は王立美の聖母子と聖母の姿がそっくり。

ベルリン美蔵の‘教会の聖母子’は縦31cm、横14cmの小品。この小さな画面に教会の内部がびっくりするほど細密に描かれている。ファン・エイクの技はまったく神業的。そして、ベルリン美には肖像画が2点ある。‘アルノルフィーニ’はロンドンのナショナルギャラリーのある夫妻の絵と同じモデル。この人物は商人なので右手に書簡を持っている。一方‘ラノワ’は貴族。威厳のある顔つきで豪華な衣裳を身に着け宮廷の杖を手に持っている。

西洋美で開催される‘ベルリン国立美展’(6/13~9/17)でかすかに期待していたファン・エイクはダメだった。ファン・エイク、ボス、ブリューゲルはヨーロッパの美術館では別格扱いで大切にされているから、日本にはほとんどやってこない。新装なった東京都美に期待しているのだが、やはり無理だろうか?

アントワープ王立美関連の情報をひとつ。秋に損保ジャパン美で行われる‘アンソール展’はひょっとしてと思っていた王立美蔵のものだった!やってくれますねェー、損保ジャパン。MASでみれなかった‘陰謀’が登場するかもしれない。

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