スーパー展覧会!‘ボストン美 日本美術の至宝’ その三
展覧会場へ入ると最初に出迎えてくれるのが仏画。全部で16点ある。このなかに以前確実にみたものが2点、展覧会の図録には載っているがみたという実感がないのが3点あった。
日本にあったら国宝に指定されると思われるのが‘馬頭観音菩薩像’と‘普賢延命菩薩像’。‘馬頭観音’は07年奈良博であった‘美麗 院政期の絵画展’(拙ブログ07/9/21)ではじめてお目にかかったときその忿怒の表情と臙脂(えんじ)色のような赤の肉体に圧倒された。描かれた当時は截金で装飾された着衣の部分が美しく輝き、重厚な仏画だったにちがいない。
大収穫なのが‘普賢延命菩薩像’。目が自然に向かうのは菩薩を食ってしまうほど存在感のある白象。頭が3つある白象の下にはさらに小さな白象が5体みえる。どの象も目は金色で彩色され強い目力をしている。その目に吸い寄せられしばらくながめていた。
狩野派の実質的な確立者である狩野元信(1477~1559)の描いた‘白衣観音’に心を打たれた。絵の存在は知っていたが、本物はこれほどの傑作だったとは!白衣の観音が正面向きで宙に浮くように描かれているのでじっと見入ってしまう。元信はほかに3点あるが、大きな‘韃靼人狩猟図’にも視線が釘付けになる。
狩野山雪の‘十雪図屏風’と狩野永納の‘四季花鳥図屏風’は20年くらい前銀座の松坂屋であった‘ボストン美展’に出品された。そのころは狩野派というと永徳と山楽の絵くらいしか関心がなかったから、この親子の作品にそれほど惹きこまれなかった。
ところが、今では山雪(1590~1651)に開眼したから、永納(1631~1697)の‘四季花鳥図’に描かれた雪の積もった梅の太い幹が山雪の絵とダブってみえてくる。京狩野の画風の魅力を再認識した。
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