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2012.02.08

美術に魅せられて! 欧米の美術ファンは図録を買わない

3506_3     プラド美の館内

3505_2     ロンドンナショナルギャラリーのガイドブック

展覧会をみおわると図録を購入するのは長年の習慣。だから、数はどんどん増えていく。これに海外の美術館へでかけたとき手に入れる本も加わる。でも、本棚のスペースや部屋の広さは決まっているから、こうした美術本を置いておく場所の確保について絶えず頭を使っている。

美術館にあるミュージアムショップは国内でも海外でも似たようなもの。絵葉書、ガイドブック、専門の美術本、人気の絵の図柄を使ったノートやホルダーなどの文房具類、カップ、Tシャツ、、いろいろ揃っている。海外のミュージアムショップをまわっていると、人々のある共通の購買行動に気づく。それはヨーロッパやアメリカの美術ファンは特別展の図録や美術館のガイドブックをあまり買わないこと。

日本で開かれる展覧会の場合、東博の空海展や故宮博物院展のように大勢の人を集めた展覧会ではあの重い図録を結構な数の人が手にして帰路についている。これと海外で行われる展覧会をくらべてみるとその違いがよくわかる。

10年にパリで大モネ展を体験した。興奮冷めやらぬなかミュージアムショップで図録を求める。値段が50ユーロ(5500円くらい)もするハードカバーのものと作品の解説がなく図版だけの簡易版(18.5ユーロ、およそ2000円)の2冊あり、両方購入した。展示会場は大賑わいだからレジに並ぶ人は多かったが、簡易版を買う人は10人に2人くらい。ほとんどの人が手にもっているのは絵葉書2,3枚。

これはパリの話だが、ローマで開かれた大人気のカラヴァッジョ展でも同じ。お宝のような図録なのに、これを買っている人は思った以上に少ない。ここでも皆絵葉書をいろいろ選んでいる。このように図録を一般の美術ファンが買わないのにはちゃんとした理由がある。

彼らは展覧会の図録は美術の専門家が買うものだと考えているのである。‘モネやカラヴァッジョが大好きだからここへ足を運んできたのよ、でも、こんな専門的に解説されている図録は私には必要ないは、私はそんな美術史家のお話はどうでもいいの、あの絵の前に立って、存分に楽しめればそれでいいのよ、ああー、この回顧展を体験できて最高に幸せ!’

欧米では一般の美術ファンは美術史家の議論にはあまり影響されず、自分流のアートライフをエンジョイしている。これに対して日本人は美術のお勉強が好きで知識をいったん頭に通さないと美術はわからないもの、楽しめないものだと思っている。ただ心で感じるだけでは何か軽くて本当に作品がわかってないのではとヘンに自分を縛っている。どうしても観念的にしか芸術をとらえられないのである。

アートはひろく生活の中に根づいており、宗教画でも肖像画でも風景画でもリンゴの絵でも、あるいは抽象画でも気楽にそして自分の感性や想像力をふくらまして自由に楽しむもの。美術史家の言葉で頭のなかを埋めつくすほどつまらないことはない。

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コメント

なるほど、面白いです。
昨日トーハクに行って重い図録を購入しましたが、確かにあんなもの持って、総合文化展廻っていたら、疲れるだけだなと思いつつみていました。
海外の美術展図録もあんなに重いんでしょうか?
ところで今回の故宮展はいろいろな意味で空前絶後ですね。
八王子でも似た展覧会が開かれますが、遠い道のり行ってガッカリとならないことを期待してます。

投稿: oki | 2012.02.09 00:12

to okiさん
女性にとっては重い図録はきついと思うの
ですが、男性よりは少ないですが日本の展覧会
では結構買う人がいますね。

海外の回顧展の図録はがっちりしたつくりで
値段も高めです。だから、図録を買う人は本当
に少ないです。皆絵葉書を買ってます。

東博の故宮博展は大勢のひとがでかけてますね。
今年はスタートからビッグな展覧会がどどっと
続きますね。

投稿: いづつや | 2012.02.09 13:27

僕は展覧会行く前は余分な知識は入れません。
予習はしませんね。
で、展覧会を観ると、いろいろ知りたくなる、で、図録を買う。
恥ずかしながら、今回も清明図に何で大行列ができるのか分かりませんでした。ただの風俗画でしょ、という感じ
図録を読んで、ああそうなのかと。
けど博物院は二度とあれだけ貸してくれませんね。
本当に行ってよかったです。

投稿: oki | 2012.02.09 23:59

to okiさん
まさに柳宗悦の‘見て知しそ 知りてな見そ’
ですね。私がこの言葉に出会ったのは20年
くらい前なのですが、以来これを座右の言葉
にしてます。

とにかく作品をまずみる。頭に入れる情報は
タイトルと制作年、この鑑賞スタイルだと
作品についてわからないことがでてきますが、
それはあまり気にしません。

すると、だいぶあとになってそのことについて
本や資料により、‘ああ、そうだったのか、
そういうことがきっかけであの作品を描いた
のか!’といったことなどがわかります。

ビジネスや実生活では気になることや不明な
ことは早めに解決したほうがいいですが、芸術
に関しては疑問符は心のなかにかかえたままに
していてある時ストンと腹に落ちるというほう
がいいですね。

なにか作家にぐっと近づけ、作品の価値がより
わかったような気がします。

投稿: いづつや | 2012.02.10 11:03

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