心をとらえて離さないモンドリアン、レジェの抽象美!
モンドリアンの‘赤と黄色と青のコンポジション’(1927年)
クレラー=ミュラー美のモダンアートコレクションはゴッホ同様一級品が揃っている。とくに目を見張らされるのがヘレーネ・クレラー=ミュラーがパトロンになっていたモンドリアン(1872~1944)、7点あった。そして、レジョ(1881~1955)も画集に載っている名画が3点姿をみせてくれた。
モンドリアンというとすぐこの‘赤と黄色と青のコンポジション’シリーズが頭に浮かぶ。水平線と垂直線が交わることでできる区画に赤、青、黄色、白の均一な色が整然と配されている。非常にすっきりした色模様なので服飾デザイナーとかグラフィックアーティストなど様々なクリアエーターに大きな影響を与えた。モンドリアンはオランダが生んだ近代絵画以降の画家ではゴッホに次ぐビッグネーム。
モンドリアンは初期のころ、印象派風の砂丘とか木を描いている。それが‘黒と白のポジション’のような線と十字で表された絵に変化していく。この多数の十字は海や空、星を表現している。その次は土色やうす青で彩色された小さな長方形や半円などがモザイク画のように組み合わさったもの。
この後は線は水平と垂直のみ、色は純粋色の三原色と補足の黒と白、灰色という目に心地いい抽象美の世界へ突き進んでいく。クレラー=ミュラーではモダンアート全開のモンドリアンがたっぷり楽しめるので、テンションはぐっとあがる。次のオランダではモンドリアンが沢山あるハーグ市美を訪問してみたい。
レジェの‘森の中に裸婦’はすぐには裸婦がどこにいるのかわからない。が、目が画面に慣れてくると左のほうにそれらしき彫刻っぽい形をした女がとらえられるようになる。女が樵になって木を切り出しているようだ。まわりの輝く白や青緑の円筒や円錐は伐採された木。隣に展示してあった‘トランプ遊びをする人々’も傑作。パリのポンピドーにいるような気がしてきた。
‘週間 ラ・ミューズ 世界の美術館’を手に入れたときから魅せられていたのがデ・キリコ(1888~1978)の‘2頭の馬’。躍動感にあふれる馬の姿をみているだけでも惹きつけられるが、左上のギリシャ神殿が目に入ったとたんデ・キリコはどんな形而上のイメージを仕組んでいるのかとつい思ってしまう。
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コメント
いづづやさま
明けましておめでとうございます。本年も絵画宇宙の道先案内役、よろしくお願いいたします。
さて、レジュの絵を初めて観ましたが、茂木健一さんの「あは、体験」みたいですね。芸術家は知らず知らずのうちに、能科学に挑むのでしょうか。
今はまだ、ご旅行中ですか?今年もこころ豊かな一年をお過ごしください。
投稿: 黄色いカナリア | 2012.01.07 10:17
to 黄色いカナリアさん
新年おめでとうございます。今年もよろしく
お願いします。
レジェは回顧展を一度体験しただけですから、
まだみたい絵がいくつも残ってます。その3つ
がクレラー=ミュラーにありました。長いこと
待っていましたから、感激もひとしおです。
‘森の中の裸婦’は木や裸婦の密度が濃くもこ
もこした描写が心をゆすぶります。こういう絵
をみまと芸術家の脳は特別なのかなという感じ
がしますね。
投稿: いづつや | 2012.01.07 14:52