クレラー=ミュラー美でゴッホの傑作を200%楽しんだ!
今回の美術館めぐりで一番のお楽しみクレラー=ミュラー美はとても大きな国立公園の中にあった。入り口の前の芝生には赤色の巨大なオブジェが設置してあるので、何も情報をもたないでここへ立ったら館内ではモダンアートの作品が待ち受けているのかと思うかも知れない。
ここでの鑑賞時間は2時間。お目当てはゴッホ(1853~1890)だが、プラスαの必見作品もリストにはいくつも載せている。おおいに魅了された傑作の数々を5回にわたって紹介したい。最初の2回はゴッホ。
この美術館が所蔵するゴッホコレクションは油彩90点、デッサン110点。TASCHEN本をもとに事前にまだみていない油彩のリストをつくっておいた。その数36点、めでたく対面できたのは16点。みたい度の強かった作品はほぼあったので満ち足りた気分。
日本でクレラー=ミュラー美蔵によるゴッホ展は3回体験した。昨年は国立新美でゴッホ美とのジョイント回顧展があった。でも、‘アルルのはね橋’と‘プロヴァンスの麦積み’はやってこなかった。だから、この2点と‘ジヌー夫人’はリストのなかでは◎がついている。
小さいころゴッホの絵として目に焼き付けられたのはひまわりとはね橋の絵。ひまわりは日本の損保ジャパン美にもあるから、みたくなったときは新宿へ出かければいい。ところが、はね橋の絵で最も有名なものはアムステルダムから90km離れたところのクレラー=ミュラー美とケルン ワルラフ・リヒャルツ美が所蔵している。どちらもルーブルやロンドンナショナルギャラリーのように気軽には行けないところ。だから、はね橋はムンクの‘叫び’(オスロ国立美)のように西洋画のなかでは目に馴染んでいるのにじつは縁遠い絵。
その絵の前にやっと立つことができた。目ははじめ馬車が中央にいる形のいいはね橋にむかうが、そのあとは女性たちが腰をかがめて河で洗濯ものを洗っている光景に釘づけになる。水面に幾重にもできた丸い波文は洗濯のリズミカルな動きにあわせてゆらめく。そして、空と河の青とはね橋と土手のオレンジの鮮やな色合いが働く人々の逞しさ、力強さいっそう印象づけている。本当にいい絵をみた。
‘プロヴァンスの麦積み’はまん中にある2つのもっこりした黄金色の麦わらが強い存在感で迫ってくる。左奥に農婦やそのむこうの家が積みわらとは対照的に小さく描かれているので、余計に麦わらの大きさを感じてしまう。
‘夜のカフェテラス’を運良くまたみることができた。05年に東近美であった回顧展(拙ブログ05/3/26)のときと同様、大変感激した。この絵はゴッホの全作品のなかでものめり込み度では最上位にくる作品。しばらくいい気分でながめていた。
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