メムリンクの最高傑作‘聖カタリナの神秘の結婚’!
今日は先般綴った‘オランダ・ベルギー美術館めぐり 感想記’で積み残した絵について。
拙ブログで名画を紹介するときはできるだけ美術の本に載っている有名な作品を選ぶことにしている。それが決まるとその絵の実際の色が最もよくでている図版をさがす。ところが、図録とか画集に使われているものには満足できる水準を下回るものがときどきある。この場合はいい作品でも諦めてセカンドベストのものに入れ替えることにしている。
メムリンク美(11/12/23)で購入した図録は2010年につくられたものなのに、色がよくでてない。このため、1点のみ使いあとの2枚はフラッシュなしで撮影した‘ウルスラの殉教’と手元にある美術本の肖像画を採用した。最高傑作の‘聖カタリナの神秘の結婚’は取り上げたかったが、購入した図版のものでは絵のすばらしさを伝えることができないので諦めざるをえない。
二日前、今回の旅行で手に入れた美術館や観光地のガイドブックなどを整理していたら、以前訪問したとき買ったブルージュの町のコンパクト本が2冊もでてきた。これを旅行に出発する2週間くらい前にはパラパラみていたのにてっきり忘れていた。
この中にメムリンク美で感動したあの‘聖カタリナの神秘の結婚’の三連祭壇画が載っていた。色もよく再現している。これはメムリンク(1465~1494)の大きな積み残しだったので、エピローグとして登場させることをすぐ決めた。
中央の画面構成は声を失うくらいすばらしい。聖母子やまわりの人物はとても穏やかな表情をしており、着ている衣裳の襞の精緻な質感描写に惹きこまれる。幼子キリストから指輪をはめられているカタリナの顔はびっくりするほどきれい。それもそのはず、モデルはブルゴーニュ公国最後のお姫さまで絶世の美女とうたわれたマリー。
左はギクッとする場面、洗礼者ヨハネの斬られた首をみているとブリュッセルの王立美で会ったバウツの絵がダブってきた。右は単眼鏡を使い時間かけてじっくりみた‘聖ヨハネの幻想’。下で膝のところに本をおいている人物はエーゲ海のパトモス島で黙示録を書いたヨハネ。眼前にパノラマ的に描かれているのがヨハネがみた幻視。この光景はちょっとボスの絵をみる感じで夢中にさせる。
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コメント
いつも‘すばらしい写真’の理由はカメラですか・・・。
おそらくフイルムカメラを御使用なのでしょうね。
明治や大正の先人様は5cmくらいの印象派の絵の写真に感動し 研究に研究を重ねてたという話をきいた事があります。聖カタリナの神秘の結婚 すてきですね。
投稿: Baroque | 2012.01.14 20:41
to Baroqueさん
作品の図版は一枚しかないときは仕方があり
ませんが、複数あるときはよく吟味して色が
最もよくでているものをスキャンしてます。
海外の美術館でも最近はいい色の図録が増え
てきましたが、ときどきどうしてこんな色しか
だせないのと、ガッカリするものに出くわします。
聖カタリナの絵が載っているブルージュの
ガイドブックに早く気づけばよかったのですが
、帰国したらもう忘れてました。
投稿: いづつや | 2012.01.14 23:55