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2012.01.27

アートに乾杯! みてるとはじき返される群像描写

3472_2     マグリットの‘ゴルコンダ’(1953年 ヒューストン メニル・コレクション)

3474_2         アンソールの‘仮面の中の自画像’(1899年 小牧 メナード美)

3473_2     ゴヤの‘魔女の夜宴’(1821~23年 マドリード プラド美)

3475_2  ベックマンの‘夜’(1918年 デュッセルドルフ ノルトライン=ヴェストファーレン美)

人物が沢山描かれた絵には絵の中に目が吸い込まれていく作品とそれとは反対に絵に入っていけずはじき返されるような気持ちになるものがある。今日は後者の絵をいくつか。

マグリット(1898~1967)の絵は画集でながめているだけで本物にはまだ縁がない。所蔵しているのはアメリカ ヒューストンにあるメニル・コレクション。山高帽を被ったコート姿の男性は一体何人いるのだろう?それにしても沢山いる。しかも皆同じ格好。

彼らが浮かんでいる空間はごくありふれた建物のまわりと屋根の上に広がる空。空に人物がいる光景でイメージするのは宇宙遊泳の飛行士とかパラシュートをつけて降下する兵士。マグリットはひょっとしてパラシュート部隊からヒントを得てこれを描いたのかもしれない。

さて、この絵のなかに入れるか?スペースが広く空いていていろんな人物、例えば男女、大人や子どもがいれば一緒に飛びまわるのもおもしろいだろうが、同じ姿をした男たちが密集するこの空間にはとても入れそうにない。それどころか、機械じかけのような男たちがこちらに迫ってくる感じなので、バッタの大群をみつけてあわてて逃げるのと同じような心理状態に陥る。

アンソール(1860~1949)の‘仮面の中の自画像’は自画像といっても、すこし大きく描かれたアンソールに目が釘付けになることはない。それよりずっと強烈な存在感を発揮しているのが画面いっぱいに沢山描かれた仮面たち。われわれはこの絵をみているのだが、同時にこちらも足の先から頭のてっぺんまでじっとみられているようでちょっと落ち着かない。だから、絵の前にあまり長くはいられない。

昨年1月プラド美を訪問したとき、腹にずしっとこたえた絵がゴヤ(1746~1828)の‘魔女の夜宴’(拙ブログ11/2/16)。黒い大牡山羊を多くの魔女たちが体を寄せ合うようにして眺めている様はお皿のうえにびっしり盛られた饅頭のようでもあり、その楕円形のフォルムはピザのようにもみえる。群像の形はこのようにまとまりがあるのに、魔女ひとり々の顔の表情はとてもグロテスクで不気味。

ゴヤの絵に通じる雰囲気をもっているのがドイツの表現主義者ベックマン(1884~
1950)が描いた‘夜’。この絵(09/2/27)を3年前Bunkamuraでみたときは大きな衝撃を受けた。腰は引き気味でこわいものみたさの感覚だった。こういう人間描写はインパクトがありすぎるからすこし離れてみるほうが冷静にみられるかもしれない。絵の真近まではとても寄れない。

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