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2011.12.26

フーケの衝撃度マグニチュード7の絵に釘づけ!

3356_3       フーケの‘聖母子と天使たち’(1452年)

3355_2       ヤン・マセイスの‘ユディト’(16世紀中頃)

3357_3         メッシーナの‘十字架磔刑’(1475年)

3358_2     アンソールの‘東洋の品々のある静物’(1906~07年)

今回の美術館めぐりで新鮮な体験がふたつあった。それはこれまであまり馴染みのなかったフランドルの画家バウツとフランスのジャン・フーケの絵。

MASミュージアムでマグニチュード7くらいの衝撃的な出会いだったのがフーケ(1420~1481)の‘聖母子と天使たち’。この絵は15世紀の中頃に描かれたものだが、イメージ的には現代作家が手がけたグラフィカルな作品のようにみえる。そう感じさせるのは聖母と幼子イエスの後ろにいる天使たちの描き方。15世紀こんな色で描かれた天使はどこを捜してもいない。

天使たちは密度の濃い赤と青の油絵の具で満たされた溜め池のなかに頭からずぼっと漬かり、そのあと強い日差しのもとで乾かしてきた感じ。この深くて光沢のある赤と青に染まった天使には圧倒的な存在感がある。だから一人々じっとみてしまう。そして、天使たちの赤と青が白い肌のマリアとイエスを浮かび上がらせている。

聖母の左の乳房があらわになっているのは授乳のためとはいえ、これほど大きく丸いボールのような乳房がどーんと目の前にあると、どうしても心はザワザワする。聖母のモデルはフランス王シャルル7世の愛妾アニエス・ソレル。22歳のとき王に見初められた絶世の美女アニエスは豊かな乳房が自慢で、左の乳房をむき出しにした奇抜なファッションを考案した。で、聖母はこのようなドキッとする姿で描かれている。また顔を面長にみせるため剃りあげた前髪もアニエスお好みのヘアスタイル。

王冠や玉座に装飾された宝石の質感はファン・エイクやウェイデンばりに精緻に描かれているが、その輝きは押さえ気味なので、ここへは視線はながくとどまらない。‘週間 世界の美術館 ベルギー王立美とアントワープ王立美’(09年12月 講談社)を手に入れたときから、表紙に使われた‘聖母子と天使たち’がずっと気になっていた。運良くMASミュージアムでみれたのは一生の思い出になる。

ヤン・マセイス(1510~1575)はアントワープで活躍した画家。写実的な風俗画を得意とした父親のクエンティン・マセイスとはちがい、ヤンはイタリアのマニエリスムの影響を受け男を滅ぼす妖艶な女性を描いた。身体の理想的なバランスを崩して描くのがマニエリスム流だから、剣とホロフェルネスの首をもつ手が異様に長い。どうでもいいことだがこのユディトの顔をみていたら、モデル出身の女優りょうがふと頭に浮かんだ。

シチリア生まれの画家メッシーナ(?~1479)の絵に接する機会はとても少ないので、こういう画集に載っている絵と遭遇できたのは幸運この上ない。高い位置に描かれたキリスト磔刑の様子をさっとみてあとは、精緻に表現された中景、遠景に広がる風景をずっと先までゆっくり追っかけていった。

アンソール(1860~1949)で期待していたのは30歳のときの作品‘陰謀’だったが、これはダメだった。そううまくはいかない。展示してあったのは1988年に開催された‘ジャポニスム展’(西洋美)でみた‘東洋の品々のある静物’。黄色いお面がでてきたのですぐ思い出した。

アンソールの風来坊の父親はイギリス人。母親がオステンドでやっていた土産物屋には日本のお面や衣裳、団扇なども置いてあり、アンソールは小さいころから日本趣味に慣れ親しんでいた。

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コメント

ゲントにはゆきませんでしたの・・・?
あの ‘神秘の子羊’を楽しみにしてました・・・

投稿: Baroque | 2011.12.30 02:16

to Baroqueさん
このツアーはゲントは入ってません。
05年のときはゲントヘ行き傑作‘神秘の子羊’
をしっかりみました。

この絵はもう一度みたいですね。そのときはボス
の絵がある市立美術館へも寄ろうと思ってます。

投稿: いづつや | 2011.12.30 12:05

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