« グルーニング美でファン・エイクの傑作と対面! | トップページ | ブルージュでメムリンクに開眼! »

2011.12.22

ウィーン美術史美にあるはずの追っかけ画が突然あらわれた!

3341_2     ブリューゲルの‘サウルの自殺’(1562年)

3339_2        ファン・エイクの‘ヤン・ド・レーウの肖像’(1436年)

3342_2           ボスの‘十字架を担うキリスト’(1480~90年)

3340_2                ボスの‘最後の審判’

グルーニング美では念願のファン・エイクの‘ファン・デル・パーレの聖母子’がみれたので、あとは満ち足りた気分になってほかの部屋をまわっていた。すると、そこにサプライズの絵が飾られていた。

現在、ここでは‘ウィーン美術史美名品展’(10/5~1/15)が開催されており、その出品作54点のなかになんと追っかけ画としてリストアップしているブリューゲル(1526~1569)の‘サウルの自殺’があった。これは跳び上がるくらい嬉しいオマケ!道を歩いていて大金を拾ったような気分だから、かなり興奮した。

本物は図版でイメージしていた大きな絵とはちがって縦33.5cm、横55cmの小品。この画面にものすごい数の軍勢が細密描写でびっちり描き込まれているので(拡大図で)、その密度の高さと情報量の多さに目が吸い込まれていく。手前左、剣でのどを突き横たわっているのがイスラエル軍のサウル王。‘バベルの塔’のようにこの絵にも広大な風景がパノラマ的に描かれているがこちらには目がいかず、針の山のようにみえるペリシテ軍とイスラエル軍の兵士がもつ細い槍の描写ばかりをみていた。

この絵のほかにもう2点嬉しい絵があった。常設展示のファン・エイク(1390~1441)の2点とコラボする‘ヤン・ド・レーウの肖像’とボス(1450~1516)の初期の作品
‘十字架を担うキリスト’。

ファン・エイクの単独で描かれた肖像画は妻の肖像を除いて全部男性。この絵に描かれた男はとても強い目力をしている。視線はこの目のあと自然に右手にもっている指輪にむかう。そして、その下のオリジナルの額縁にみられる木に彫られたような文字もじっくりみてしまう。画面だけでなく額縁までファン・エイクの細密描写は徹底している。

今回の美術館めぐりでボスの絵はベルギー王立美にある‘キリスト磔刑’とグルーニング美の‘最後の審判’に期待していた。‘磔刑’のリカバリーはならなかったが、‘最後の審判’とはめでたく対面。ウィーン美術大学にある同名の絵にくらべると、怖い度がすこし緩くなっている。だから、寸詰まり体型の怪物が奇怪な雰囲気を漂わせてうごめいているものの、怖いものみたさに火がつきっぱなしという感じでもなかった。

‘磔刑’の埋め合わせになったのが、8年ぶりに再会した‘十字架を担うキリスト’。ボスは初期のころ聖書の場面を題材にしてこの絵や‘この人をみよ’(フランクフルト シュテーデル美)、‘東方三賢王の礼拝’(フィラデルフィア美)を描いている。

登場人物が横向きで表現されている‘十字架を担うキリスト’では、上のキリストと下にいる告白によって罪の許しを請う良い盗人(右)、悪態をつく悪い盗人(左)は三角形構図をなし、見る者の視線を惹きつけている。

|

« グルーニング美でファン・エイクの傑作と対面! | トップページ | ブルージュでメムリンクに開眼! »

コメント

グルーニング美術館は ‘信じられないくらい素晴しい美術館’ と思いました。興奮と感動の時間でした。

投稿: Baroque | 2011.12.23 00:44

to Baroqueさん
念願のグルーニング美を訪問でき、ほっとして
いるところです。ファン・エイク、ボス、メム
リンク、ダヴィッドらのいい絵に感動しました。
また、1点だけですがクノップフに会えたのも
収穫です。

こういうこじんまりとしてるが質の高い作品が
揃っている美術館は印象に強く残りますね。
今回はウィーン美術史美にあるブリューゲルと
ファン・エイクの追っかけ画があらわれてくれ
たので、2倍の満足度でした。

投稿: いづつや | 2011.12.23 11:15

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ウィーン美術史美にあるはずの追っかけ画が突然あらわれた!:

« グルーニング美でファン・エイクの傑作と対面! | トップページ | ブルージュでメムリンクに開眼! »