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2011.12.25

アントワープの新ランドマーク MASミュージアム!

3354_2          MASミュージアムの外観

3353_3           ファン・エイクの‘聖女バルバラ’(1437年)

3352_3           ファン・エイクの‘泉の聖母子’(1439年)

3351_2     ルーベンスの‘凍えるヴィーナス’(1614年)

今年の5月にオープンしたMASミュージアムがあるのはノートルダム大聖堂から北の方向へ約1.5kmの再開発地区エイランチェ、歩いて20分くらいで到着した。ここは今アントワープの新ランドマークとして多くの人を集めているという。

開放的な造形で現代感覚の香りが漂うこのMASミュージアムの情報は偶然入ってきた。BSジャパンに‘美の浪漫紀行’という美術&旅番組があるが、11月の放送にMASミュージアムが登場。館の展示の特徴を説明し、4階の平常展示や3階で行われているオープン記念の特別展(来年の12月30日まで)を紹介していた。

じつはアントワープ観光のとき、昨日紹介したマイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美のあと街の中心から少し離れた王立美へも足をのばし大急ぎで目玉作品をみようともくろんでいた。番組のなかにその王立美自慢のコレクションがいくつかでてきた。王立美は改築工事のため今年の9月から2017年の秋までの長期の休館に入っており、その対応として16、17世紀の作品から現代アートまでの所蔵作品のなかから選りすぐりの傑作50点をMASミュージアムの特別展として展示しているのである。

これは時間が限られているわれわれにとっては願ったり叶ったりの鑑賞機会。館内には40分くらいしかおれなかったが、いい絵がいくつもみれたので2回にわたって紹介したい。

王立美でとくにみたかったファン・エイク(1390~1441)の2点が揃って展示されている。ともに小品で‘聖女バルバラ’は30×18cm、‘泉の聖母子’はさらに一回り小さく19×12.2cm。‘聖女バルバラ’は未完の下描き。でもその精緻な描写にはぐっと惹きこまれる。

視線がむかうのはバルバラの着ている大きく広がった衣裳と後ろで建築中のゴシック聖堂。とくに聖堂の幾本ものびる極細の垂直線に思わず目が寄っていく。聖堂のまわりや塔の上で忙しく働いている男たちの情景はブリューゲルの‘バベルの塔’を彷彿とさせる。

ファン・エイクが死ぬ2年前に描かれた‘泉の聖母子’はとても小さい絵。画面が小さくても一切手抜きなしの精緻な筆使い。目を惹くのが聖母子の背後に垂らされた黄金の刺繍入りの布を持っている天使のレインボー翼。ファン・エイクの絵をみる楽しみのひとつがこの虹を思わせる翼。これまで体験した‘受胎告知’(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)や‘ドレスデンの三連画’(ドレスデン国立美)と同じようにうっとりながめていた。

3点あったルーベンス(1577~1640)は‘凍えるヴィーナス’に大変魅了された。ヴィーナスというと愛と豊饒さが代名詞なのに、ここに描かれたヴィーナスは寒さで心も体も冷え切った様子。また、小さなヴェールを掛けられたキュービッドの辛そうな表情にも心が痛む。

この絵は‘ケレスとバッコスがないとヴィーナスは凍えてしまう=食べ物と酒がなければ愛も冷めてしまう’という古代ローマの劇作家テレンティウスのよく知られた格言を絵画化したもの。暗闇のなかぶさいくな顔をしているのは好色のサテュロス。豊饒の角から果物を差出している。ヴィーナスが愛をきらさないように助けにきたのである。

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