ルーベンスにもカラヴァッジョ風の絵があった!
ルーベンスの‘ローソクをもつ老婆と少年’(1616~17年)
マウリッツハイスにある名画を存分に楽しむためには所蔵作品の事前チェックが欠かせない。前回図録を購入したので、ここに載っているいい作品を見落とさないことを目標にした。手に握りしめた必見リストには6点。
今回は出足好調でお目当ての作品は全部姿をみせてくれた。今日取り上げたのにその2点が入っている。予定の絵がみれたので満足度は即200%に達したが、嬉しいことにプラスαが数点あった。そのオマケに驚きの一枚が、それはルーベンス(1577~
1640)が40歳のころ描いた‘ローソクをもつ老婆と少年’。
ルーベンスの絵は今年の1月プラドで大きな回顧展(拙ブログ2/12)に遭遇するなどこれまでかなりの数をみてきた。ところが、こういうカラヴァッジョ風の強い明暗表現で描かれた作品は一度も体験したことがない。だから、ルーベンスは人物の内面までは入っていかない画家というイメージができあがっている。それがこの絵で覆された。
じつはルーベンスの内面性を描いた同じタイプの絵と2ヶ月くらい前TVで遭遇した。BS朝日の‘世界の名画 ドレスデン国立美’のなかにでてきたのである。その‘火鉢をもつ老婆’というタイトルのついた絵はこの美術館を以前訪問したときには展示してなかったから、一瞬目が点になった。ルーベンスがこんなカラヴァッジョやレンブラント、ラ・トゥールのような絵を描いていたとは!
この絵がここ数ヶ月頭にこびりついていたものだから、マウリッツハイスで老婆が現れたときはドレスデンのものが貸し出されているのかと思った。でも、これはこの美術館の所蔵。ルーベンスは2点描いていた。ルーベンス、恐るべし。
ここ数年関心を寄せているホルバイン(1497~1543)はリカバリーの‘チェースマンの肖像’を含めて4点展示してあった。これは嬉しい誤算。鷹匠チェースマンの鋭い目つきと精緻に描かれた鷹の羽を最接近してみた。
カラヴァッジョの画風に強い影響をうけたホントホルスト(1592~1656)の‘ヴァイオリン奏者’は前回みたという記憶がまったくない。天真爛漫な表情をしたこの女性は一見するとそうはみえないが娼婦。これまでホントホルストの絵というと、ローソクの光に人物の姿が照らしだされるまさにカラヴァッジョ的な絵ばかりをみてきたからちょっと面食らった。
ハルス(1580~1666)の‘笑う少年’はお気に入りの絵。赤いほっぺたと出っ歯の歯茎がとても印象的。来年6月30日に開幕する東京都美のマウリッツハイス美展にはフェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’やレンブラントの‘自画像’とともにこの絵もやってくるという、なんとも豪勢なラインナップ。
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