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2011.12.29

ゴヤの‘着衣のマハ’が40年ぶりにやって来た!

3374_2     ‘着衣のマハ’(1805年)
  
3375_2     ‘レイカディア・ソリーリャ’(1812~14年)

3377_2        ‘自画像’(1815年)

3376_2     ‘戦争の惨禍 37番これはもっとひどい’(1810~14年 1863年初版)

年初、スペインを旅行しマドリードにあるプラド美へ行った時、おもしろいことがあった。館内の休憩コーナーにいた別の旅行会社のツアーに参加された方が‘さっきゴヤの‘着衣のマハ’のところで、ガイドさんがこの絵は秋に日本へ貸し出されるといってましたが、すごいですネ’という。

その情報は昨年どこからとなく入ってきていたが、日本ではまだ公には発表されてない。ところが、現地の日本人ガイドさんはちゃんと知っていて、絵の前で‘裸のマハはダメですが、この絵はまた日本でみれますよ’としゃべっている。西洋美のゴヤ展のチラシやポスターがでてきたのはこれからだいぶ後のことだった。

‘ゴヤ展’(10/22~1/29)は西洋美の実力をみせつける一級の展覧会、流石というほかない。40年ぶりにやってきた‘着衣のマハ’のほかにもいい肖像画がずらずらと揃っている。1月鑑賞したとき大変魅せられた‘ホベリャーノスの肖像’(拙ブログ2/17)をはじめとして、‘自画像’、‘レオカディア・ソリーリャ’、‘赤い礼服の国王カルロス4世’、‘初代フロリダブランカ伯爵ホセ・モニーノ・イ・レドンド’。日本にいてゴヤの肖像画の傑作がこれほど多くみられるのはこの先20年はないだろう。

天才画家に共通してみられる特徴は画風がいろいろ変わること。ゴヤ(1746~
1826)もその例にもれない。カラヴァッジョが裸足で逃げるのではないかと思うほど美しいキリスト磔刑も描けるし、‘木登りをする少年’や今人気の佐々木希のような愛くるしい女の子を描いた‘日傘’といった風俗画で見る者の心を和ましてくれる。

その一方で、画業の後半でゴヤは人間の心の闇や悪魔的気分、そして戦争という悲劇のさなかに容赦なく発揮される人間の狂気や残虐さを黒い絵シリーズや版画で強く激しく表現する。4つある版画シリーズのなかで、緊張感を強いられるのが‘戦争の惨禍’。

‘37番これはもっとひどい’はまさにタイトルの通り。侵略してきたフランス兵は仲間の兵士が殺されればその何十倍の数のスペイン人を虐殺する。そうすればまたスペイン人の怒りは沸騰し、その仕返しにフラン兵の首を刎ね、腕や足をぶったぎる。残虐行為の連鎖はとめようがなくはてしなく続く。

現代なら写真家や映像作家が戦争の悲惨さを生のままとらえて世界に発信するが、当時はまだ写真がないからゴヤの絵画制作が写真の役割を果たした。こうした版画をみていると、芸術作品というものをこえて人間の本質を深くみつめたゴヤの魂の叫びが聞こえてくるような気がする。

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