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2011.11.05

‘酒井抱一と江戸琳派の全貌’展は後期も名作揃い!

3231_2     酒井抱一の‘四季花鳥図屏風’(陽明文庫)

3232_2     酒井抱一の‘十二ヶ月花鳥図’(三の丸尚蔵館)

3233_2               鈴木其一の‘牡丹図’

3234_3     鈴木其一の‘昇龍図’            ‘龍上玉巵図’

千葉市美で開催中の‘酒井抱一と江戸琳派の全貌’展(10/10~11/13)は残りの会期があと一週間となった。新しく展示される作品をもとめて再度訪れた。話題の展覧会のためか、バスの運転手は‘中央3丁目’の停留所を案内するとき、‘千葉市美はここでお降り下さい’も忘れずアナウンス、こんなことははじめて。

入館すると大勢の人がいた。いい作品が結集するとやはり展覧会は盛り上がる。一回みているので(拙ブログ10/1410/15)、鑑賞の導線はスムーズ。新規の抱一作品で目を惹いたのは余白を広くとって梅や蝶などがすっきり描かれている‘月次図’、立体感がよくでている三幅対の‘仁徳帝・雁樵夫・紅葉牧童図’。

これからしばらく抱一はお休みという気分があるので、締めの鑑賞のつもりで長くみていたのが定番の名作。東博にある‘夏秋草図屏風’(重文 08/11/11)の風になびく薄の様子をみていると‘ひゅうー’という音が聞こえてくるよう。ちょっと物悲しい雰囲気につつまれているが、そこを品のいい女性が静々と歩いていくようなシーンを想像してしまう。写実と装飾が見事に融合した傑作である。

雅な花鳥の世界が広がるのが陽明文庫のお宝‘四季花鳥図屏風’。これは何度みても心が震える。季節柄、左隻のほうに視線がむかう。緩くS字をつくる青の水流が前後の空間をつくりだし、後ろのほうでは一羽の雉が正面向きでうずくまっている。そして、左の枝振りのいい白梅の下にほわっと積もる雪の白さがえもいわれず美しい。

いくつかある‘十二ヶ月花鳥図’の最高傑作は三の丸尚蔵館が所蔵するもの。今回これが会期中来館者を楽しませてくれる。画像は‘十月 柿に小禽図’、‘十一月 芦に白鷺図’、‘十二月 檜に啄木鳥図’。巧みな配置で描かれた柿の赤に感動しっぱなし。

其一のお目当ては‘牡丹図’。期待通りのすばらしい牡丹の絵だった。しかも図版では想像できない大作。釘付けになってみていた。木の傾きがじつによく、立体的に造形された赤やうすピンクの大きな花びらに目を奪われるとともに葉の表裏でグラデーションをきかせた緑にも惹きこまれる。

もうひつつの収穫は‘昇龍図’。これほど垂直性を感じさせる龍ははじめてみた。そして、じっとみてしまうのが龍の精緻な描写とは対照的にぼやけにじんだ雲。その抽象的なフォルムが天に昇る龍の神秘性をいっそう際立たせている。

いい展覧会だったので、これから半年くらいはその余韻に浸っていられそう。

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コメント

いづつやさん 今回の抱一展は素晴しいですね。私は抱一のお膝元姫路で観ました。がちょっと姫路まで2回も足を運べず来年の京都の巡回を待っております。抱一を観ていると私はとろけそうになってしまうのです。夏秋草や流紋の洗練された上品さがなんとも。館長さんの力でしょうか??辻先生の時代からもう千葉市美の勢いが止まりません。

投稿: licolusie | 2011.11.11 09:50

to licolusieさん

抱一と其一の作品を全部見せますというのが
なんともいいですね。いつも書いてますが、
展覧会は回顧展しか関心がありません。回顧展
は作家に対するオマージュの表れですから、
その展示の仕方によっては主催した美術館への
好感度がいっそう高まります。

仰るように千葉市美はいつも期待値に応えてく
れますから、得点ランキングは上位を占めてい
ます。

抱一は一に花鳥画、二に花鳥画という感じです。
じつは風神雷神とか人物画にはあまり惹かれま
せん。

投稿: いづつや | 2011.11.11 22:33

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