東博浮世絵エンターテイメント! 国芳・歌麿・北斎
喜多川歌麿の‘高名美人見たて忠臣蔵・十だんめ’(1794~95年)
喜多川歌麿の‘高名美人見たて忠臣蔵・十一だんめ’(1794~95年)
東博の浮世絵コーナーには12月の定番、忠臣蔵を題材にして描かれた作品が並んでいた。これまで12枚揃ってみる機会がなかった歌川広重の‘忠臣蔵’をはじめいろいろある(展示は12/11まで)。
最も迫力があったのは歌川国芳(1797~1861)が3枚続のワイド画面に描いた‘義士両国橋引取’。本懐をとげた義士たちが両国橋をわたっている場面。こういう橋を正面からとらえる構図がとてもユニーク。中央の奥に小さく描かれた義士たちは橋の一番高いところにたどりついた感じで、橋が立体的にイメージできる。
喜多川歌麿(1753~1806)の‘高名美人見たて忠臣蔵’は六・十・十一だんめの3点。最後の十一だんめだけは2枚続。女性たちは歌舞伎の‘仮名手本忠臣蔵’の登場人物に見たてて描かれている。3年前太田記念美で開催された‘ベルギーロイヤルコレクション展’で、12枚全部を楽しまれた方も多いのではなかろうか。
‘十一だんめ’の左にいる男は歌麿自身といわれているが、本人がこれほど美男であったかは?実際はどうも逆だったようで、これはほんのお遊びで描いたらしい。
作品のなかに嬉しい再会があった。それは葛飾北斎(1760~1847)が日蓮聖人を描いた‘七面大明神応現図’。これは肉筆画で北斎が亡くなる2年前の作品。ご承知のように北斎は熱心な日蓮の信者。この絵をはじめてみたのは03年東博であった‘大日蓮展’、そのあと05年の大北斎展(東博)にも展示された。ここの浮世絵コーナーでまた出会うとは思ってもみなかった。
東博蔵以外のものがここに並ぶのは本当に珍しいこと。こちらを鋭い眼差しでみている龍は妖艶な美女が変身した姿。風に吹かれてうごめくどす黒い雲と画面いっぱいに飛び散った墨の点々が目に焼きつく。激しい風の音を聞きながら、経典を広げる日蓮をじっとみていた。
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